デジモンアドベンチャー第2話感想


デジモンアドベンチャー第2話「爆裂進化!グレイモン」感想

脚本:西園悟 演出:角銅博之 作画監督:信実節子 美術:飯島由樹子

タイトルコールはグレイモン。崖ごと川へ落ちた子どもたちは、ゴマモンのマーチングフィッシーズ(何て便利な技!「魚を操れる」と言っているが、この世界にはデジモン以外にも実は生き物が存在するという事か)で助かり川沿いに歩き、海へ到着する。スリル満点。そこは何と電話ボックスが並び、でたらめな情報を流してくる。電話ボックスという明らかに人為的な物品、亜熱帯とも言えない植物、日本かどうかすらわからない風景が極めてシュール。海岸の電話ボックスは、寺山修司の監督作品「ボクサー」がネタ元だという。調べたところ、主演は元ボクサー役の菅原文太さんと新人ボクサー役の清水健太郎さんによる日本版ロッキーのような物語だというが、どのあたりが電話ボックスなのかは不明だった;令和の現在はスマホが普及し公衆電話はほとんど使われなくなったことは付記しておこう。公衆電話からの声は女性声優さんが兼役しているよう。場面によりなぜか電話ボックスが5つのシーンと6つのシーンがある。デジモンは、ここは「ファイル島」で「日本」も「太一みたいの(人間)」も知らないし、自分だけだと進化できないようだという。

●太一とアグモン:今回の主役。せっかくの食糧分配を気にも留めず食し、結果として充電完了したこの組で敵に立ち向かうことに。「俺たちだけで何とかするぞ」もうすでにパートナーの絆は固い。太一自らも参戦し、成熟期・シェルモン(川津泰彦さん)の触手に捕われ、太一が絶体絶命のピンチに。するとアグモンが成熟期・グレイモンに進化した。ぐっと大型化し頭部は硬そうな甲羅のようなもので覆われて角も鋭い爪も生えている。メガフレイム炎の一撃、シェルモンとのバトルが一番の見せ場。ギガフレイムでシェルモンを追い払う。電話をかけ続けている丈を「丈らしい」と評しているからには、キャンプ以前から上級生を呼び捨てで性格もよく知っている。御台場小という完結した狭い世界の住人であったことが伺える。

●ヤマト:じっとしててもしょうがないと進もうとする太一に、電話が向こうからかかるかもと言ったり、皆疲れているからと説得するなど、何でも行動が先に出る太一のアクセルに対してブレーキの役割を果たす。

●丈:崖の上の森に戻ると言ったり、大人の助けを待つと言ってみんなに置いていかれたり、電話をかけ続ける様が最年長の責任感の空回りで、光子郎に「結構しつこい性格」とのたまわれ、スイスイ泳いだりのんびり海に浮かぶゴマモンと好対照。せっかくの食糧分配も、光子郎にいいとこ持っていかれ、勝手に食べる太一とアグモンを叱責。逆の意味でこの回大活躍。私の中でギャグキャラ決定。電話をかけようとする空に「空くんまで」と驚いているから、普段は少なくとも空には先輩として立てられているであろう事が推測される。非常食を持参しているのが発覚したシーンの音楽は、どうにもコミカルな丈のテーマ曲。

●光子郎:進化の定義を皆に説明(「ある生物の種全体がより高度な種に変化すること」)したり、食料の配分の計算をたちどころに行ってしまう。サマーキャンプというのにパソコンのほか携帯電話、デジカメ、テレホンカードを持参。電話ボックスを設置した人間がいるはず、とかシェルモンを完全に倒していないからここを離れた方がいいなどと、今後の指針を示す。謎の機械・デジヴァイスについてもある程度推論を持っていた様子。のちの知識の紋章と参謀役の面が見え隠れ。しかし、GOサインを出すのはやはり天性のリーダー太一。

●空:ボーイッシュなサッカー少女かと思えば、ポケットに救急セット・針と糸を持っており、家庭的なしっかり者らしい。「家庭的」という表現は、もしかして差別的かもな。進もうと主張していた太一がいったん休憩を了承するとほっとした様子。太一の暴走を危惧していたよう。さすがサッカーのツートップ。

●ミミ:内緒で父親のアウトドア用品を複数持ってきたのは意外。でも実用と言うには軽いノリ、それがミミ。「借りてきた」のが内緒なら、借りたとは言えんぞ;お嬢様育ちで非常食を持つと重い、と不満を。この先の冒険をやっていけるのか。

●タケル:リュック一杯にお菓子を持参。幼さが目に付く。もしかして甘やかされてる?ヤマトをお兄ちゃんと呼ぶが、他の皆はいとこか何かと思っており、親の離婚のことはまだ明かされない。

●パタモン:飛べるが歩くより遅いという…カワイイ。意外とピヨモンも遅いのね。

●テントモン:光子郎との距離感が安定してから「光子郎はん」と呼ぶようになるのだろうか。

●パルモン:光合成ができるらしいが、光合成が何なのか、その辺はミミと同じくアバウトな理解、非理論的な点が似ている二人。

●シェルモン:悪意があったわけではなく縄張りを守ろうとしただけなので、攻撃されてちょっと気の毒。

●次回予告:ヤマトがタケルを命懸けで守ろうとする。そこまでする動機とは。二番目の成熟期進化はガブモン。

声優さんについては本文が長いため、別記していきます。

<藤田淑子さん>声優、女優、歌手にして、最終所属は青二プロ。2018年12月28日、ドラマCDの元ネタ通り、アニメでは「一休さん」の一休さん役、「キテレツ大百科」のキテレツ役、「キャッツ♥アイ」の来生泪役が有名。浸潤性乳がんで逝去、享年68歳。無印では八神太一役の他に、武ノ内淑子、ガーベモン、02のピピモン、ガニモン、シーラモン他を演じた。

<坂本千夏さん>アーツビジョン所属。「キャッツ♥アイ」の来生愛役、「となりのトトロ」のメイ役などが有名。「坂本」は旧姓。デジアドのアグモン役の他に、高石奈津子役、オタマモン、02のディンゴ、クロウォのシャウトモンを演じた。

<川津泰彦(かわづやすひこ)さん>青二プロ所属の名バイプレーヤー。無印でシェルモンを演じた。

(2023/11/21 記 11/26更新)

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