第29話「アルケニモン蜘蛛女のミス」
脚本:まさきひろ 演出:芝田浩樹 作監:八島善孝
タイトルは「蜘蛛女のキス」のパロディか。アルゼンチンの作家マヌエル・プイグ作の小説で、1976年に出版されベストセラーに。投獄された性犯罪者でゲイのモリーナと、社会活動家のヴァレンティンが心通わせていくシリアスな話。
怪しい笛の音で、昆虫型デジモンを操り子供たちを追い詰める女。
大輔、賢、伊織は蜘蛛の巣に捕われ、ドクグモンが襲ってくる。ディグモンの代わりように心乱す伊織(臨機応変というのが苦手なのよね)に、賢と大輔は声をかけDターミナルで仲間への連絡を促す。しかし、京とアクィラモンはフライモンをかわすので精一杯だ。タケルとヒカリは、書斎でスナイモンと戦い、本の隙間に隠れるが、これでは大輔たちを助けに行けない。
自分よりドクグモンに近くて襲われそうな賢に諦めるなと言われ、伊織は気を取り直して部屋を見回しエアコンを見つける(こういう、賢と伊織の距離の縮め方、いいよね)。賢が板切れを大輔にパスし、大輔がリモコンへシュートしたのが当たり(ナイスパス&シュート!賢ちゃん、サッカーの腕は落ちてないのかな)、エアコンが作動して風を起こし、蜘蛛の巣は壊れる。落ちる伊織を、蜘蛛の糸を手繰り寄せた賢が助ける。ベッドの上に無事避難した大輔たちはたんすの引き出しに隠れる。エクスブイモンは、スティングモンとディグモンに散々やられて、ブイモンに退化してしまう。賢と伊織が、蛾とコウモリの話を始める。蛾はコウモリの音を聴けるし、自分から音を出してコウモリを撹乱するのだという。あの笛の波長さえわかれば・・・いや、そういうのが得意な子がいるじゃないか!と大輔が機転を利かせる。
連絡を受けた京は、パソコンのある書斎へ向かう。援護するタケルとヒカリ。京はWacという赤いトマトがトレードマークのパソコンを起動する。賢ちゃん、音楽には関心がなかったからって言うけど、私のイメージでは杉下右京みたいにさらっとピアノ弾けそうな気がするよ。京はヤマトのバンド・TEEN-AGE WOLVESの打ち込みもやっているらしい。知識の紋章、伊織なのにな~。タケルは、ヤマトのバンドの曲が好きなのか聴かされているのかわからないが、結構聴き込んでいるようだ(タケヤマ、ヤマタケ派へのサービス?^^)タケルにマイクとパソコンをケーブルでつなぐよう指示し、ヒカリにはマウスを動かす手伝いをしてもらう(ジョグレスの伏線か)。
女の笛の音を録音し、京の指示に従ってヒカリがマウスを操作する。「選択範囲を反転させ、いらない部分を除去してから、全て選択で、波形をリバースさせサウンドファイル新規保存、そしてループ再生よ」とまくし立てる京、すごい知識なんだね小6なのに。私にはまったくわからん。できた音が効いて、昆虫型デジモンの洗脳が解ける。子供たちの役割分担(チームワーク)の勝利だ。全く記憶にないディグモンとスティングモンをフォローするブイモン、お人よし。しばし呆然とする女。
そして彼女は、ついに大輔、賢、伊織の目の前に現れる。そしてアルケニモンという蜘蛛のような体の完全体に変形する(このシーンの音楽は、映画「デジモンハリケーン上陸!!」の劇中曲のようです)。まがまがしい醜い蜘蛛女の姿。ぺガスモンたちではかなわず、パイルドラモンに進化(ブイモンは待機中に充電したのだろう)。
京たちがダイニングに先回りし、パイルドラモンがそこへ追い込む作戦だ。アルケニモンはダイニングでコショウ、殺虫スプレー(「ムシコロリ」。でも、ディグモンも昆虫型だから扱いには気をつけないと;)を浴びせられ、感電させられ、とどめはデスペラードブラスターだ。(パソコンといい殺虫スプレーと言い、戦いを仕掛ける場にしては物が揃いすぎてるんじゃないの?ギガハウス。)
京「命まで奪おうとは思わないわ」なぜデジタルワールドを壊すのか問うと、「破壊することが私の生きる目的だからだよ」と言う。ダークタワーをデジモンに変えられるのはなぜか聞いても「理解できないだろう」と答えない。ネフェルティモン「どうする?反省はないようだ」。生かしておいても、デジタルワールドの破壊をやめないだろう。倒すしかない、とパイルドラモン。が、伊織は抵抗感を示し、賢が名乗りを上げる。しかし、タケルは「かっこつけるな」と止め「一時的に閉じ込めておくのは」と。「甘いな、その甘さがお前たちの命とりだよ、死ね!」アルケニモンが反撃した時、これまたおぞましい姿のデジモン・マミーモン(森川智之さん)が助けに来る。車掌のような姿は、銀河鉄道333へのオマージュか?スネークバンデージで皆を攻撃し、マミーモンはアルケニモンを連れさっさと行ってしまう。
彼らの目的はいったい何なのか。破壊?伊織(あんなやつらと戦っていくなんて…僕にできるんだろうか)。ずる賢く悪い奴らを前に、それでもデジモンという生きた存在を殺すのをためらう気持ちがある。伊織は、みんなは、どんな答えを出していくのか。
それはさておき、賢に改まって助けられた礼を言う伊織。表情はだいぶ柔らかい。貸し借りなんて、ほんとは照れてるだけなんじゃというチコモンの意見が当たりだろう。
マミーモンはアルケニモンにベタぼれだが、アルケニモンにはドSに相手にされてない。ここまで惚れ抜いてると気持ちいいよね。ツンデレならぬ、デレデレ×ツンツン。「これ以上ダークタワーを壊されたら…」次はどんな手で来るのだろう。