第31話「愛の嵐シルフィ―モン」
脚本:吉田玲子 演出:梅澤淳稔 作監:伊藤智子
100本のダークタワーから生み出された究極体・ブラックウォーグレイモンはパイルドラモンを倒した後、アルケニモンの命令を聞かずもっと強い相手を探し飛び立ってしまう。弱い相手(クワガ―モン)には目もくれず、森を進むブラックウォーグレイモン。
ブラックウォーグレイモンが通ると位相が乱れる、誕生の仕方自体が異常だからなのだろうか。それをたどるアルケニモンたち。そのサイレン、ヤンキーか!あくまでブラックウォーグレイモンありきで、例えば数十本で少し強い制御可能なデジモンを作り直そうとはしないのか。
放課後パソコン教室。パイルドラモンでもブラックウォーグレイモンを倒せなかった。あと1体でもジョグレス進化できればとタケルが言う、誰と誰のジョグレスになるのか?テイル姐さん、品定め目線のような;
ヒカリは一人つぶやく「どこへ行くんだろう、たった一人で。戦うためだけに生まれてきたみたいなデジモン・・・」とブラックウォーグレイモンのことが気がかりだ。孤独と闇にとらわれやすい自分とどこか同じと感じてなのだろうか。ヒカリと親しいとまでは言えなかった京はヒカリを印象深くとらえる。京は思う《確かに私と違うんだよね。心の中にいろんなこと抱えてる。だからときどき何考えてるかわかんない》。今はとにかく、ダークタワーを少しでも減らしにいかないと。
デジタルワールドの森のある場所で、テイルモンがホーリーリングをなくした場所に気付き、みんなで探す事にする。何気に賢ちゃん別行動じゃないけど、大輔か京が呼んだのかな。ヒカリを前に大輔は張り切るが、ヒカリは京と探しに行くと言う。(素なのかわざとなのか、大輔へのこの冷たさ…もしかしたら大輔と正面切って向かってしまうのが怖いのかもしれない。同じ意味で、大輔と似ている京とも。)
賢の行ったところには、なぜかあの暗い海が見える。賢は叫び声をあげうずくまってしまう。それをただ一人聞きつけたヒカリ、続いて京は賢のところへ走る
。「暗い、海・・・」賢の言葉はヒカリにとって他人事でないが、海など見えない京は何が何やら。皆の方へ戻ろうと歩く賢、ヒカリ、京の後姿には ノイズが入っていた。D-3の表示がおかしい。ヒカリたちに何かあったと気付き、タケルは走る。
ヒカリたちは暗い森を歩き続けるが、迷ってしまう。大輔を見かけ声をかけても、大輔にはヒカリたちの姿が 見えていないし姿がすり抜けてしまう。暗い森とは、位相のずれだったのだ。タケルは直感する、もしやまたあの海・・・?(だとしたら僕が取り戻す!!と決意しただろう。そうはならなかったけど)パタモン、ブイモン、アルマジモンは進化してヒカリたちを探し始める。
賢「このままどこへも行けず、どこへも戻れないかもしれない」。ヒカリは「帰ってきてほしいと思ってくれる人がいれば (タケルや太一?)必ずこの世界から抜けられる」と気丈に言う。歌だしりとりだトランプだと、せっぱつまった2人の雰囲気から(二人に他意はないのだが)浮いてしまう京は「ヒカリちゃんって私のことバカにしてるでしょ」と怒って先へ進んでしまい、ちょっと反省。美しく優しくて神秘的で落ち着いたヒカリへの積もりつもった疎外感と妬みもあったのだろう。行き止まりの崖の途中に、光るものを見つける。ホーリーリングか?
取りに行こうとした京の足もとが崩れ、ヒカリが捕まえるが、賢とヒカリに崖の底の暗い海が見え、 ヒカリと京は落ちてしまう。テイルモンとホークモンが助けにいくが、賢はパニック状態だ
。位相のずれと、暗い海のトラウマがシンクロしてしまったのか。健忘やらフラッシュバックやら、賢ちゃんはまだ苦しんでいるし加害者ではあったけど被害者でもあるんだから、もう苦しめないで(;-;)
倒れていてヒカリに呼ばれ、京は気が付く。崖の途中に落ち、助かったのだ。見えたのは、ホーリーリングでなくイービルリングだった。でも京の気持ちがうれしかったとテイルモンは礼を言う
。しかしホークモンが進化できず、「あーもうだめおしまいよ私の人生ここで強制終了しちゃうんだー!!」とパニクる京の頬をヒカリが打つ。ヒカリは「京さんて結構世話焼けますよね。」「でも、あたしずっとうらやましいって思ってた。私は京さんみたいに素直に怖いって言ったり叫んだりできないから。だから闇の世界にとらわれたりするのかな」と言う。「行きたくないのに、拒めない」(周囲に心配をかけまいとして自分がどうなっても仕方ない、いっそいなければというような心境なのか?)こんな弱音、ヒカリがあらわにしたことあったかな。京にだから言えたんだろう。2人はホークモンとテイルモンの見つけた蔓で、崖の上へ帰還する。賢も何とかパニックはおさまったようだ。
突然、ヒカリは波の音が聴こえ走る(拒めないどころかとりつかれてでもいるような走りっぷり・・ややこしい体質持っちゃった子だねえ)、その先にはヒカリと賢(とテイルモンとワームモン)にしか見えない暗い海が広がっている。賢は、この海に来たことがあるのが自分だけでないと知る。ところが
、「なーんであたしには見えないのよー!」と京が叫ぶと京にも海が見えた。賢「何か変だ、世界がずれている気がする」京「それって、デジタルワールドを守護する力が弱まってるから?前に、泉先輩がそういってたの」。確かに、見えないよと言ったとたん見えるなんて、ずれまくってるよ。
位相のずれた世界に入り込んだヒカリたちを見つけたアルケニモンは、ブロ ッサモン(完全体・十本分くらい?)を送り込む。このブロッサモンて、お花いっぱいなのに全然かわいくないしグロテスクで苦手だあ私。ブロッサモンが開けた空間の穴から元のデジタルワールドの森が見えた。それを契機にアクィラモンとスティングモンに進化するが、ヒカリは海からの呼びかけが恐怖でテイルモンを進化させられない。「いや、やめて、あたしを連れていかないで」「闇の声が聞こえる、闇に呑み込まれる、もうダメ!」。今度は京が光りの頬を打つ「しっかりして!闇の声が聞こえたらあたしがぎゃあぎゃあ叫んであげる、闇に呑み込まれそうになったら、あたしがヒカリちゃんの手を握ってヒカリちゃんを必ず連れ戻す、だからもうダメなんて言わないで」とヒカリの手を握る。ヒカリが礼を言うと、(おお、心の友)天がピンクの光りを放ち2人を包み、「ヒカリちゃんは光なんだから、闇なんて照らせちゃう光なんだから!」そうだよ、底抜けの明るさとはまた別の、ヒカリは光。テイルモンとアクィラモンがシルフィ―モンにジョグレス進化する。確かに、鷹プラス猫プラス女性の造形ですね。しかし、どこらへんが「愛の嵐」なのか。こいつはダークタワーデジモンだと断言する根拠は、直感か?シルフィ―モンはブロッサモンをトップガン一撃で倒す。
テイルモンはプロットモン、アクィラモンは幼年期①のプルルモンに退化する。大輔たちとも合流した。大輔は、ヒカリのジョグレスの相手がタケルでなかったので機嫌がいい。賢はそそくさと去っていくが、京は賢の事もヒカリの事も少しわかった気がする。タケル「また・・僕の知らない世界へ行ってしまったんじゃないかと思った」ヒカリ「ううん…もう大丈夫。二度とそんなところに行ったりしないから。(京をちらと見て)絶対に」ここのヒカリの、しっかりとした表情が良い。
性格が正反対同士のジョグレスは、大輔×賢と同じ。互いにない所を補い合うから強くなるのだろう。しかし、タケヒカジョグレスというのも捨てがたい妄想だ、個人的に。ヒカリとタケルは2人とも闇に対する感受性が強すぎるから、組まない方がいいのかもしれない。
しかし、「女性イコール感情的にビンタ」と言うのは、多少の女性差別が含まれてしまうように思うが、どうか。それを言うと、男が拳で語るのも、男性差別に抵触するが。