第32話「謎の遺跡ホーリーストーン」
脚本:まさきひろ 演出:佐々木憲世 作監:信実節子
テイルモンとホークモンがジョグレス進化を遂げた。一方、位相を歪めながら倒し甲斐のある強い相手を求め、さ迷うブラックウォーグレイモン。
彼を取り戻すため、ダークタワーを200本も使ってマンモン(20頭いる、だからさ、一頭50本くらいで制御可能なデジモンを作るといのに〕)を作ったアルケニモンたち。ブラックウォーグレイモンはマンモンを造作もなく倒すが、胸のむなしさにとらわれる「倒しても・・・倒しても・・・倒しても虚しい・・ 決して弱い相手ではない・・・それなのに・・この虚しさはなんだー!!」。もう彼は、強いものに勝つことが自分の目的ではないと気付いたのだ。アルケニモンは、虚しさを感じるとしたらそれは錯覚だという。ダークタワーで作ったデジモンは命のない操り人形、何も考えない、感じない。錯覚があるとしたら、作る時にプログラムのかすが混じったかなんか、と言い放つ。が、ブラックウォーグレイモンには‘苦しみ’がある。マミーモンは俺たちに従えば苦しさは無くなるというが、ブラックウォーグレイモンが従うはずもない。アルケニモンは、ブラックウォーグレイモンを用なしだといい去っていく。疑問もなく漫然と向かってくる群れ、「お前たち、本当に何も感じないのか・・? 心を持っていないのか?答えてくれー!」。マンモンに答えを求めても得るものはない。
マミーモンは、「ホーリーストーン」という何やらいわくつきのものがこの近くにあるとマミーモンを誘う。テントモンがそれを聞いていた。逐次偵察を続けてるんだね。
ブラックウォーグレイモンは、マンモンたちがうらやましい、何も考えないから、と思う。
一方こちらは…リビングで、お菓子を食べながらゲームする大輔に、ジュンは「食う寝る遊ぶしか考えてない」と小言を言い(この時のジュンがバスタオル姿でリビングをうろうろするの、教育上よろしくないという意見が一部にあったが・・・うちは親からしてそうだから全然何とも・・)、いろいろ考えてるよと大輔は反論する。あれくらいのケンカでビンタはちょっとひどいよジュン。まだヤマトにご執心のようで。ヒカリからメールが来る
テントモンが
アルケニモンたちを
発見しました。
急いでパソコンルームに来て!
最後のマンモンと対峙した時、ブラックウォーグレイモンは足もとに小さな花を見つけ、花を踏もうとするマンモンから身を挺して花を守る。なぜそんなことをしたのか自分でもわからない。
賢が優しさの紋章を手にしていると(なぜ自分の紋章が優しさなのかぴんと来ないとでもいう風に)、前回暗い海の時間を共有したせいもあるのか、ヒカリからメールが来る。
アルケニモンの居場所が
わかったので知らせます
おせっかいだったら
ごめんなさい
賢は急いで向かう。
何も考えずに生きられる花の命を羨み、思わず踏みにじってしまうブラックウォーグレイモン。だがその『心』は痛む。
ホーリーストーンにたどり着いたマミーモンとアルケニモン。壊すため、アルケニモンはナイトモン(完全体)を作る。
ブラックウォーグレイモンの目前に、アグモンが話をしに来る。テントモンたちから話は聞いていただろうし、同じ種として黙っていられなくて、ずっと探していたようだ。デジタマから生まれたお前と話をしても、いや質問に答えてくれたら・・とブラックウォーグレイモンは言う。
ナイトモンがホーリーストーンを壊し始めるが、全く歯が立たない。ネフェルティモンによると、ホーリーストーンを壊すとこの世界に恐ろしい異変が起こるという噂だ。エクスブイモンが止めようとする。ヒカリは他の子供たちを呼びに行く(何で二人だけで来たんだろう?)。
ブラックウォーグレイモンの質問は、心はどこにあるか、だった。頭をひねるアグモン。ブラックウォーグレイモン「心とは本当にあるものなのか。もしかしてそれは錯覚なのではないのか」。アグモン「誰かを思いやったり信じ合ったり、そういう気持ちが錯覚だなんてこと絶対ない」。デジモンがデジモンらしく、人間が人間らしくあるために心は存在するんだ。ブラックウォーグレイモンはさらに、なぜ物体の自分に心があるのか問う。心があるならもう物じゃない、生きてる、だったら仲間になれるとアグモンは答える。もっと先の答え、「俺が俺であるべき理由」「俺はこの世界で何をすればいい、いや、何をすべきなのか」、それが強敵と戦う事であるなら専念したいのに、なまじ心があるために苦しい、だから心を捨てると言うブラックウォーグレイモン。アグモンはとめる。戦う道具として生み出されたのに、心を持ってしまったという皮肉。
タケルたちも到着するが、ナイトモン、アルケニモン、マミーモンに苦戦するデジモンたち。そこに賢が到着し、パイルドラモン・シルフィ―モンにジョグレス進化する。
アグモンは心を捨てちゃだめだ、「僕たち友達になれると思う。いや、きっとそのために君は心を持ったんだ」と、握手を求めブラックウォーグレイモンが応じようとした時、ナイトモンがホーリーストーンの一部を壊し、ブラックウォーグレイモンが苦しみだし飛び去ってしまう。向かった先は、ホーリーストーンだ。破壊しなければという本能に近いものがうずいたのだろうか?一人残されるアグモン、せっかくうまくいきそうだったのに。
ブラックウォーグレイモンは一撃でナイトモンを仕留め、ガイアフォースを何度も打ち、子供たちはなすすべもなく、ついにホーリーストーンは破壊される。
黒い渦が天へ巻き上がっていく。破壊そのものが、ブラックウォーグレイモンがここにいる理由なのか?
何だか重い、しかも答えの見えない話でした。