第49話「最後のアーマー進化」
脚本:前川淳 演出:梅澤淳稔 作監:竹田欣弘
開いたのはデジタルワールドではない異世界で、べリアルヴァンデモンが目の前で行った残虐な行為に恐怖におののく子どもたち。大輔とエクスブイモンだけが絶対勝つと信じて立ち向かっていく。
タイトルコールは、おそらくパートナーデジモンの皆さん。
「俺たちは絶対勝つ。そう信じてやってきたんだ!今さらここで負けてたまるか!!」大輔とブイモンの闘志が通じたのか、究極体にエクスブイモンの技が効いているまさかの展開になろうとした時、子供たちはべリアルヴァンデモンのマインドイリュージョンにかかってしまう。それは、こうありたいという甘い幻やまだない未来の世界を見せられる技。瞳の構造が美内すずえ化した、と当時公式掲示板で話題だった。
タケルが帰宅すると、エプロン姿の母だけでなく父と兄も食卓を囲んでいる。穏やかな笑顔と語らい。両親が離婚しなければ、淋しくなかった。大人の迷惑にならないよう早く大きくなろうとした。争いを憎み、争いが起きないよう細心の注意を払った。いつかは4人に戻れると願っていた。
京は四人兄弟なのに、たくさんのケーキを全部一人で食べていいと言われる。賑やかなのは嫌いじゃないけど、人数が多いと割に合わないことがある。親や上の子のいうことを聞かなきゃいけないし。でも、一人なら伸び伸びできる。
伊織は、父と手をつなぎデジタルワールドを散歩する。記憶にないけれど尊敬する大好きなお父さんと会えた。溢れる思慕。(そこは臨死体験でよく語られる一面の花畑だ。)幻とはいえ、父・裕樹の魂の発現というか、伊織にとっても単なる悪い幻ではない、いつも見る遺影以上の意味があったように思う。生きていたなら、本当に仲の良い父子だったろう。
ヒカリは、木陰に座りテイルモンを待ち、ニャロモンを持つ男の子と話す。前から、デジモンが見えていた。でも誰にも打ち明けられず我慢して一人ぼっちだった。でもここなら皆が当たり前にデジモンと楽しく一緒にいる。デジモンと人間の共生する社会。
タケルは4人で食事をしていると、パタモンに「タケルはこれでいいの?」と聞かれてこれが現実でないことに気付くと、大輔が迎えに来る。大輔は技にかからなかったということか。
京もホークモンに問われる、たまには一人になりたい、でもずっと一人ぼっちは嫌。そんな京をホークモンはわかってくれた。エクスブイモンが迎えに来る。
花畑を眺める伊織をアルマジモンが心配し、父は手を放して(しっかり者でもまだ小3、まだお父さんとのスキンシップが恋しいんだね)花畑の向こうへ消える、さよならを言うように一度振り返って。「さようなら、お父さん」、進むんだ、次へ。母にアルマジモンを紹介すると決めると、フレイドラモンが迎えに来る。
ヒカリはテイルモンと、子供たちがパートナーデジモンと遊ぶのを眺め、テイルモンの言葉で気づき、ライドラモンが迎えに来る。テイルモン「私たちの未来は、私たちの手でつかみ取らなくちゃ」。
賢は砂漠の砂嵐の中に、磔にされたデジモンカイザーがデジモンたちに傷つけられなぶりものにされ(この描写はちょっと暴力的すぎないか?)消えるのを見る。残ったサングラスを拾った治兄さんに、シャボン玉が飛ぶ中「お前の贖罪は終わったんだよ」と言われ賢は安心するが、ワームモン「過去にばかり囚われていていいの、今やるべきことがあるんじゃないの?」。どの子も、これでいいのと問いかけるのがパートナーデジモンである事は意味深い。「犯した罪を悔やんでる場合じゃない、暗黒の種を植え付けられた子供たちを早く何とかしなくちゃいけないんだ。そのために僕が今やらなければいけない事、ベリアルヴァンデモンを倒す!」気付くと大輔とタケルが迎えに来る。賢のところにみんなが集まり、口々に賢を認め励ます(うんうん、そうだよ)。伊織からはついに「一緒に戦いましょう」と。タケルからの「僕たちは仲間だ!」の言葉は重い。
ベリアルヴァンデモンが舌打ちする。ラスボスに焦りが見える。さあ、総攻撃だ!「俺は、奴を倒したい、もっと強くなりたいって思った。そしたらエクスブイモンがパワーアップしてフレイドラモン、ライドラモンが現われたんだ」大輔の思いが、エクスブイモン・フレイドラモン・ライドラモンを同時に存在させた。思いの強さが力となる世界、ならばとタケルは祈る「僕は闇の力には決して負けない!」パタモンはぺガスモン・エンジェモン・ホーリーエンジェモンへと
進化する。京「負けない、負けない、負けない!」ホークモンはシュリモン・アクィラモン・ホルスモンに。伊織「人の心をもてあそぶなんて絶対許せません!」アルマジモンは、ディグモン・サブマリモン・アンキロモンに。ヒカリ「未来のために、私たちは絶対に負けない!」それぞれらしいひと言。テイルモンはネフェルティモン・エンジェウーモンに。ワームモンはスティングモンに。
ガキどもを侮っていたベリアルヴァンデモンはボロボロだが、執念深くメルティングブラッドを放つ。こちらもジョグレス進化で対抗しシャッコウモン、シルフィ―モン、パイルドラモン、さらにインペリアルドラモンファイターモードへ進化する。居並ぶデジモンは壮観ですな!全部でえ~と20体?進化シーンも懐かしさもありお腹いっぱい。ヒカリ「でも、最後まであきらめない絶対に負けないっていう大輔君のまっすぐな心がなかったら」京「そんな大輔の熱い心がなかったら、きっとこれだけの力は生まれなかったわ」
ベリアルヴァンデモンがなぜ大輔だけ術にかからなかったか聞くと、大輔は「ああ、持ってないね。俺は今が一番幸せなんだ!家族がいて、仲間がいて、デジモンたちがいる、何の不満も悩みもない!」「でも、不満や悩みを持つことは別に悪い事じゃない。今より良くなりたいって思うのは、きっと大切なことなんだ。それを闇の力で穢そうとするなんて!今の俺に望むことがあるとしたら、たったひとつ!ベリアルヴァンデモン!お前を倒す事だ!!」穢すだって、大輔普段は頭悪いのに、ここ一番でいい言葉知ってるじゃん、惚れる~!まっすぐでピュアで他人への思いやりに溢れた大輔。2体のインペリアルドラモンがダブルポジトロンレーザーを放ち(もうこれでもかっつーほど強力)、ベリアルヴァンデモンをついに倒す。だがダブルポジトロンレーザーの衝撃で壁が破壊される。フレイドラモンたちが消え、子どもたちの服も変わる。残ったのはインペリアルドラモン、シャッコウモン、シルフィ―モンだけ。壊されたその穴は、デジタルワールドに通じていたのだ(ずいぶん壁が薄いな)。
大輔が悩みがないと言い切ったのがすごい。彼にも悩みの芽くらいはあるのだろうが、すぐ実行して、ダメならまた実行して、解決してきたのだろう。今を全力で生き、未来へ進む。長きにわたった『主人公として力不足』の評が否定されたのは遅すぎるかもしれない。
しかし、ベリアルヴァンデモンは死んでいなかった。デジタルワールドでは闇の力を思い通りにできてしまう。ベリアルヴァンデモンは闇の力を吸収して巨大化し、ヒカリはそれを感じて気分が悪くなる(このヒカリちゃん、すごい美人。男子たちも男前だしさすがの作画)。インペリアルドラモンたちもかなわない。ベリアルヴァンデモンは手から天へ黒い光を放ち、デジタルワールドと地球をも闇で包んでいく。ベリアルヴァンデモンの真の目的は「現実世界とデジタルワールドを闇の世界に統一させ両世界を統べる王となる」こと、つまり3年前と同じ。変わったのは、何十倍もパワーアップした事。子供たちは勝てるのか?(ここでナレーションが「僕たち」と名乗る。)現実世界とデジタルワールドは、闇の世界になってしまうのか?
僕たちの戦いとは、進化とは何だったのか?いよいよ最終話。