デジモンアドベンチャー:第65話感想

デジモンアドベンチャー:第65話「巨大な破滅ネガーモン」感想

脚本:十川誠志 絵コンテ:八島善孝 演出:内山まな 総作画監督:仲條久美 作画監督:八島善孝(原画もお一人) (2021/9/12 放映)

<あらすじ:公式サイトより>
情報の大樹に現われた白い亀裂と触手。それは増殖しながら空間を白い虚無と化していく。さらに太一たちの前に姿を現わしたアルゴモン完全体は、太一ら子供たちだけを白い無の世界に無理矢理引き込みアグモンたちと分断、進化させないようにした上で言う。「これぞネガーモンの本能。やがては全てが食い尽くされ無と化すだろう」と。その時、忽然とアルゴモンの究極体二体までもが現われ、片方は白い空間の太一たちを襲い、もう一方は情報の大樹にいるアグモンたちを襲い始めた。
 「絶対に太一たちの所にいくんだ!」と決意したアグモンとその仲間たちは、無数の触手やアルゴモン究極体の仕掛けてくる猛攻をかいくぐりながら、何とか太一たちと合流しようとするのだが・・・・・。

●全体を見て:録画のタイトルには「全てを食らう虚無」と追加されている。
アルゴモン究極体、二体いたんだ。何体なのかいまいちわからなかった。触手が子ども達とパートナーを引き離すためだったなら、なぜレオモンやロップモンの所にも現れたのか。
ナレで「謎の紋章の答え、それは彼らのこれまでの全ての冒険そのものであった」とまとめられても、「勇気の紋章」と明言したのは太一のだけで、その他の子のは何という名の紋章かという説明すらないのに何をどうやって納得しろと?旧作見てるファンだから自前で補足して見ているけど、新しいファンにとっては説明不足で失礼だと思う。
ともかくお腹一杯にはなったが、料理の味わいが思い出せない、そんな後味だった。進化の多用、情報量だけ多くて、8人と8体の言うべきことやるべきことをノルマとして消化するので精一杯という感じで、感動しない自分が悲しい。
前話で「願わくば高い知性があって喋る敵」と書いたのは無印のアポカリモンに準ずる存在を期待してのこと。進化から取り残されたデジモンたちが実は正義や友情を謳い生きたかったという恨み節に、敵ながらに共感した。そういう深みがあるから、それでも倒すんだという決意にも重みがあった。
一方アルゴモンと言えば、高い知性こそあるものの極めて抑えた演技で感情がなく、死と再生をも消したい本能についての一方的な説明のセリフだけ。これには感情移入できない。
各地のデジモンたちとのあの程度の交流だけで、小学生が未来ある幼い命を懸けてまでも守りたいと言い切れるのか少々疑問。選んだ側はデジモンたちでありデジタルワールドそのものだったというのも、何か動機として弱い。無印とどう違うとはうまく言えないのだけど。リアルワールドをも救わねばという動機がない(途中からRWの描写がお留守になった)のが一因。最後にちょこっとRWの東京スカイツリーが映るのが小手先だけで何ともお間抜け。
●丈:ここのやりとりは愛らしくて好き。「彼らのために何かができるのなら、僕はやる!」「オイラもやるよ、大船に乗った気でいたまえ」今作のゴマには珍しくお気楽発言。ええ、ゴマ丈ひいき目です。が、他の子たちのやりとりも絆が感じられて良い。
●ヤマト:なぜか太一より先に目覚め安否確認、「みんな生きているか」ってオイ、ずいぶんシビアな第一声にウケる。それだけ衝撃がひどったということか。
●太一:「生き抜いてやる」相当のトラウマを乗り越えた者とか…小5がなかなか言えるモンではないと思う。どこまでもメンタル強い系か。
●デジヴァイス:各地をリモートで結んだり、触手に対して安全なスペースを確保するなど、前から感じていたのだが多機能すぎる。ここぞという時だけに使わないと、何でも屋みたいでかえってありがたみが薄れる。
●セラフィモンとオファニモン、ウォーグレイモンとメタルガルルモン:出てきたけど何かやりました?
●アルゴモン完全体の前で、8人でなく男児と女児に分かれたのは何か意味が?
●コモンドモン:あの巨体でどうやって入ったのか噴射、後は尻尾を回して何とか飛んでいる。ありがたい助っ人。
●ネガーモン:ネガ―とは第二次世界大戦でドイツ軍が開発した魚雷艇のことらしい。実は18話で影だけ登場していた。ネットワークに溢れる負のデータに浸かり成長した幼年期Ⅱ。自らも絶命を常に望み、闇の中にひっそりと暮らすという。
「やがては自らをも食らい、訪れる永遠の虚無、それがネガーモンの本能がたどり着いた破滅の極致」
自らも絶命をお望みってことは、アポカリモンの生きたかった恨み節とは真逆ですね。はあ~そうきたか。よくもそんなストーリー上身もふたもないデジモンを作ったもんですわ。いいデジモンも悪いデジモンも、同じ一つの命。だから、結論的にお前だけ自滅しろとは言いませんが、自分の命ぐらいは肯定するデジモン(敵)を作ってほしかった。こんなデジモン哀しい、あんまりだよ。シリーズ全体を見ても敵陣への扱いが雑すぎる。何話だったか、味方が倒したタンクモンの無残な残骸をさらしたりと、敵への敬意がない。デジモンシリーズには命の大切さをキッズに伝える使命があるんじゃないのかと独り憤る。

●次回予告:究極体8体はまぶしくて壮観!けどまた、ネガーモンの進化等「やっつけたのにすぐ復活」のパターンの繰り返しではと不安。素直にオメガモンで決着付けてほしいわ。結局66話でなく67話で完結?

(2021/9/15 記)

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