デジモンアドベンチャー第14話「出航(たびだち)・新大陸へ!」感想
脚本:吉田玲子 演出:今沢哲男 作画監督:信実節子 美術:飯島由樹子
タイトルコールは、皆の原動力となり出発を象徴する太一。エンジェモンという大きな犠牲を払ってデビモンを倒した一行。味方を自称するゲンナイなる謎の老人に、サーバ大陸に渡りデビモンの封印した「タグ」と大陸にばら撒かれた「紋章」を探してさらなる進化をするよう求められる。また、もっと強い闇の力と戦えと。子どもたちは不安に揺れ、このまま安全なファイル島に残るのか海を渡り帰還するために更なる冒険に出るのか意見が分かれたが、エンジェモンが旅を望んでいるというタケルの一言で一同合意する。
まずは筏作り、新しい冒険に向かって7人のことを歌った名曲「Seven」が効果的に流れ、ファイル島の知り合ったデジモンたちが加勢に来てくれる。友情を育んだデジモンたちに見送られるとき、デジタマが孵化してポヨモンが生まれる。晴れやかに広がる青い海と空の大きさ美しさ、一行の存在感、この映像のスケール感は秀逸。ファイル島の冒険で「子どもたちは自分の力で生き抜くことを覚え」た、とナレで大きな一区切り。
ホエーモンを助けたおかげでサーバ大陸に送ってもらえることになり、タグ複数もさっそく発見する。夕暮れにタグを胸にした子どもたちの心は明るく希望に満ちて、後は大陸で紋章を入手すればさらなる進化ができる!
●ゲンナイ:エレキテル(静電気発生機)を修理し復元した平賀源内が命名の由来。立体映像で現れた、人間であって人間でなく、DWに始めからおり、サーバ大陸に居る味方だと言う謎だらけの存在。しかも誰が子どもたちを呼んだのかもどうしたらRWに帰れるのかも知らんと言う。ここではホメオスタシスのホの字も出ない。サーバ大陸へ来て敵を倒してほしいと。進化すればさらに強い敵も倒せる可能性があると。その進化のためには、タグに紋章をはめ込む必要がある。しかしそれ以上は通信が途切れてしまう。
●太一:RWに戻るにはサーバ大陸に渡るしかないと主張する強硬派。ホエーモンの黒い歯車を、落ちたら胃液で溶かされるのに率先して取りに行く勇気と抜群に鍛えられた身体能力。
●光子郎:ゲンナイから送信された地図には、中国大陸のような陸地にイタリアのような靴型の半島が飛び出ている。RWのデータが部分的にDWに反映されているためと思われる。それがサーバ大陸、ファイル島からはかなり離れているのがわかる。ホエーモンの食道にて大真面目に「レストランという意味の食堂ではありません」と解説、笑。
●丈:ゲンナイを疑いファイル島に残ることを推す慎重派。丈の船酔い持ちの描写はなぜか無く、ミミも光子郎も気分不快、相当揺れる模様。責任感からだろう、大雑把な太一に対し「水も食料も切りつめても半月」と気にしている。ホエーモンに次いでドリモゲモンにも歯車があった事を憂慮するいつもの調子。
●ミミ:小4で25メートルを泳げないことが判明。空と違い体育系は不得手なのか。ホエーモンのおしりから出されるのを嫌がっていた。
●パルモン:セルフイメージは大陸一美しい花と判明。自己肯定感がすごいが、サボテン(トゲモン)の姿もやはり自信があるのだろうか?
●タケル:争いごとを嫌うが、エンジェモンが身を挺して暗黒の力を消したから、まだあるという暗黒の力をどうにかしたいと思ったのだろうか、新たな冒険に積極的。
●ポヨモン:旅立ちを祝うかのようなタイミングで孵化し、タケルを喜ばせるスライム型幼年期。子どもたちの希望の一つが今まさに形となった。タグを、一番小さくて弱いポヨモンが見つけたのが印象深い。
●加勢に来たデジモン:レオモン、ケンタルモン、モジャモン、エレキモン、もんざえモン(目が赤い)、ユキダルモン、メラモン、ピョコモン。大いに助かった。しかし帆船の帆はどうやって入手したのだろう?
●ホエーモン:巨体が黒い歯車に操作され、皆を呑み込んで消化しようとした。それを取ってくれたお礼にサーバ大陸に送ってくれるが、この巨体でも5日はかかるという。テントモンによると獰猛というが、その実、紳士的なやさしい水獣型成熟期。普段は深海におり、暴れたりはしないらしい。この海域の主なのだろう、デビモンがサーバ大陸への途中の場所で海中に何かを置いていったことを知っており案内してくれる。頼もしい!
●ドリモゲモン:黒い歯車によって、DEJIという看板のコンビニ(DIGIじゃないんだ;)でデビモンの命令でタグを守っていたもともとは大人しい獣型成熟期。ファイル島から離れた場所にいたのは、やはりデビモンがファイル島以上の支配をもくろんでいた証拠だ。ドリルつながりでイッカクモンと対戦、カブテリモンも加わり黒い歯車が壊れると這う這うの体で逃げ出すいかにも小物。
<ホエーモン:木村雅史(まさふみ)さん>ぷろだくしょんバオバブ所属の声優、ナレーター。声種は普段は低いが、声を張ることで高くなるという。テレビアニメ、洋画吹き替えを中心に活躍し、ゲームやナレーションも行っているという。02で賢の父・メラモン・米軍司令官を、テイマーズでゴブリモン・政府次官・ヴィカラーラモン・ジジモンを演じた。
<ドリモゲモン:金光宣明(かねみつのぶあき)さん>81プロデュース所属の声優、舞台俳優。劇団ワニ缶びーるを主催。松尾銀三さんを師と仰ぎ、以前は銀プロダクションに所属していた。どれみのオヤジーデ役を引き継いだ。デジモンではタカトの父・松田剛弘、フロのトーカンモン、スターモンを演じた。
次回予告:無限大の希望を胸にたどり着いた大陸。中ボスは何やら愉快そうなお猿!強いんだろうけど。
(2024/2/13 記)