デジモンアドベンチャー第16話感想

デジモンアドベンチャー第16話「暗黒進化!スカルグレイモン」感想

脚本:まさきひろ 演出:川田武範 作画監督:出口としお 美術:飯島由樹子

タイトルコールは誰?藤田さん?坂本さんのグレイモン??新たな敵エテモンの前になすすべもない子どもたち。更なる進化の鍵となる紋章をただ一人手に入れた太一だが…

太一は紋章の発動を固く信じてグレイモンの進化に一心に賭ける「もう一段上に進化できるのはお前しかいないんだから」。その自信と責任感が空回りし、人が変わったようになってしまう。クラブで後輩に優しかったという光子郎の証言、サッカー部で一人突っ走るように見えて結構周りを冷静に見ているという空の証言が、本来の太一の性格を浮き彫りにしており、お見事。二人とも太一をよく見ている。本当のところは太一を擁護したいのだろう。太一の空回りには胸が痛いし、ましてや自身のピンチを招いてでも進化させようとする強引な姿にはかける言葉もない。リーダーとしての責任感と焦りは、アグモンをとんでもない進化へ導いてしまう。暗黒進化が解けて、「Seven」インストが流れる。誰でもない自分が悪いと深く反省する太一がいとおしい。ヤマトも空も、太一が原因だとは判っているが責めたりはしない思いやりがあった。さて、正しく進化させるとは?

光子郎が整理したところ進化の要件は、エネルギーを大量に消費することと、パートナーの危機である。そこで皆から徴収した食糧を無理やり食わされる羽目になったアグモンは気の毒。どうすれば進化できるかなんて彼に知る由もない。空の言うとおり、追いつめられるだけ追い詰められて。しかし、オアシスでもあったのだろうか、どこからそんな量の食糧を入手したのか。

光子郎・ヤマト・空が、太一の紋章が反応していないから進化は無理だという立場を取っているが、いつそう学習したのだろうか。体感的にそう判断したのか。ヤマトもアグモンも、紋章で進化できるという確証すら持てずにいて、太一と意識のずれは明らか。

無防備な大砂漠の中、エテモンの圧倒的なパワーに気落ちする一行。それを案ずる空、お姉さん的。サッカーボールに食いついたのも、単にサッカー好き(女児ながら腕前がすごいのも判明、カッコイイ)なのもあるが、一行の気分転換を図ろうとしたのではないか。だが神経の張りつめた太一にそれはふざけた行為と映ってしまう。

丈の紋章はコロッセオのサッカーゴールの場所にあった。奥手な丈のことだから、紋章の発見は遅い方かと思ったが、二番目だった。大陸にばら撒かれたという紋章の在り処に、法則性はあるのだろうか?大きな石だった紋章は、丈のタグに収まった。スカルグレイモン騒ぎのせいで、丈が紋章を得て心境の変化があったのか、特に描写はないのでちょっと残念。

タグの反応にあわてて、エテモンのダークネットワークにつまづいてしまう。丈先輩ってばドジっ子。それで居場所がバレるとは思いもせずに。ところでエテモン、コロッセオで毎年コンサートをしていると。どうせ子分どもに無理矢理聴かせてるんだろうな。コロッセオの広大な威容、一行が小さく見える。

「歓迎の準備」「スペシャルゲスト」すなわち首輪で操られた別個体の凶暴なグレイモン。エテモンは、次の対戦相手がグレイモンだと予想して同類を準備していたということか。いくら食べ過ぎで体が重いとはいえ、グレイモンにとってかなりの強敵であった。対面し本能的に逃れようとするそれを、スカルグレイモンは簡単に吹っ飛ばしてオーロラヴィジョンを破壊したうえに、グラウンドゼロを放って壊滅させた。恐るべし。エテモンの被害の規模たるや。スカルグレイモンはコロッセオを散々破壊し暴走の末に退化。こうして、エテモンとの直接対決の時はまだ来ずにいる。

マーチングフィッシーズ、砂漠のど真ん中でも使えるとは驚き。その仕組みはゴマモン自身知らないとは。光子郎によると「異次元空間の切れ目」だそうで。勝利の打ち上げ花火を逆用し、操られグレイモンのかく乱に成功。やってみるもんです。

ファイル島しか知らないはずのテントモンがスカルグレイモンを知っていたのはなぜか。知識としてだけ知ってはいたのか。でも現実世界のコロッセオやサッカーのことは知りませんでした。知識には限りがある模様。

ピヨモン・ガブモン・テントモンは、アグモンに食糧を譲ったので進化できないかと思った。丈は「働かざるもの食うべからず」空腹を口にしていたから、デジモンたちは何とか食べて、子どもたちだけが食糧を譲ったということか。太一はやたら鼓舞するが、「あたしたち足手まとい」皆の士気は下がり気味。助けに入った三体はとてもじゃないがスカルグレイモンの相手ではなかった。暗黒進化が解けたコロモンに、三体とも声かけがやさしい。「みんなの期待にこたえられなくてごめんね」なんて健気。

スカルグレイモンは戦いへの執念で動き続けるスケルトン型の完全体。骨格だけなのに生々しい心臓を擁しているおぞましい姿。

次回予告:砂漠で乗り込んだ謎の豪華客船は、エテモンの支配下にあった。戦力をそがれ、残されたピヨモンとパルモンの「プリティーペア」の活躍やいかに。

(2024/   記)

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