第19話「迷宮のナノモン!」感想
脚本:西園悟 演出:角銅博之 作画監督:直井正博(原画もお一人で) 美術:清水哲弘
ピッコロモンの修行で、迷いと恐れを克服した太一とアグモンは、グレイモンに進化した。だが、まだ完全体への進化には至らない。タイトルコールとシルエットはナノモン。
●ナノモン:ナノとは、十億分の一というごく小さい単位。マメモン系の超小型(この回では子どもと同じくらいのサイズで描かれている)のマシーン型の完全体。謎のメールの送り主。敵か味方か不明だったが、希望の紋章の在り処を示し子どもたちを信用させる。が実はエテモンの配下にあり復讐を企てていた。ダークネットワークの扱いに通じ、エテモンのネットワークのホストコンピュータを任されていた。手段を選ばぬ狡猾なデジモン。メールの文面を書き出すと、以下。
「選ばれし子供たちよ。
残された紋章の在処が知りたければ、私のいうことを聞いてほしい。
私は、エテモンによってあるところに閉じこめられている。
私を助けてくれれば、紋章の在処を教え、君たちの連れているデジモンに
さらなる○○(読めません)をもたらすことができるだろう。
もちろんすぐに信用してもらえるとは私も思っていない。
私が君たちの味方である証拠として、一つの紋章の在処を教えよう。
それは君達の今いる場所から南西にほぼ一日歩いたところだ。
そこに行くとかなり大きな岩がある。
その中の一つに、紋章が隠されているのだ。」
光子郎に隠し通路の存在を案内し、自身の封印の解除を手伝わせるところまではスムーズだった。
●光子郎:この回で、鋭い考察をもってデジタルワールド(この時はデジモンワールドという表現を使っている)の何たるかという設定をわかりやすく自然に解説。「この世界全体はデータやプログラムが実体化した世界なんじゃ」「(子どもたちは)実体のないデータのみの存在」「地球のコンピュータネットワークそのもの」「デジモンワールドはぼくたちの世界と同じ場所にある地球の影と言ってもいい世界」。「ぼくたちはかなり緻密で膨大なデータ」「フィードバックされるはず」
●太一:自分の存在がデータだと聞いて、軽はずみないたずらを繰り返した。それが原因でエテモンにばれてしまう。メールの主を助けるのも、情に厚い部分と軽率さが半々。
●空:ピラミッドへの突入前夜、自分の紋章のために皆が、と自責の念に駆られるが、太一にしか相談できなかったし、太一の言葉に救われる。そこはさすがサッカーの盟友、信頼関係は厚い。DWで出会った相手や体験をRWに戻っても忘れない、生身の肉体を持ってるのと変わらないのかと光子郎に確認。この二人の会話に太一は参加していなかったのは布石。「やっぱり今はデータだからって投げやりになっちゃいけないわね」
●丈:この世界のことを知らされ落ち込んでしまうが、ゴマがフォロー。潜入に当たって「余計な戦闘は絶対にしないように!」と太一に釘を刺す、ここ大人びておりとてもカッコいい。
●ヤマト:光子郎との絡みは少ないが、ファクトリアルタウンで「そんなこと言ってたな」と。高圧電流にひるむ太一の肩を抱き連れていく。ヤマ太ポイントですなあ。出番は少なかったけど。
敵?味方?警戒しつつも差出人を探すと、途中でメールの通りタケルの紋章が見つかる。残り一つの紋章は、助けてくれたら教えると言うので、子供たちはまた探そうとすると、紋章の出的対話に通路があり、ファクトリアルタウンや遺跡で見たのと同じ文字がある。さっそく解析する光子郎。光子郎は、この世界はデータの実体化したもので、僕たちもデータ、実体はキャンプ場にあるのではと話す。それ以上の事は私は機械音痴なのでよくわからないが、デジタルワールドと地球は表裏一体の関係らしい。光子郎がさらに文字を操作すると、空間が差出人のいる空間へと繋がった。その向こうはピラミッド、エテモンの車が走るのを子供たちは見る。
見張りの交代の時、空は自分の紋章のために皆を危険にさらす事を太一に謝る。気にすんな、と太一。元の世界へ戻った時この経験を覚えているのだろうか、と空。覚えてなかったら切ないよね。膨大なデータだから戻った時フィードバックされるのではと光子郎。なら、今がデータだからって投げやりになっちゃだめと自戒する空。
翌日、空と太一、光子郎、丈が、ピラミッドに侵入を開始する。差出人の救出と紋章の入手が目的、余計な戦闘は避けるようにだって、丈の成長が見えるセリフ。そこにはすでに、ナノモン(宇垣秀成さん)を叱りにエテモンが来ている。差出人に聞いた隠し通路から入ると、高圧電流の流れている柵が。でも隠し通路の部分だけはデータなのですり抜けられる。そこには、ケースに隔離された完全体・ナノモンがいた。エテモンに敗れ封印され利用されていたが、自分で体を修復した。あとは外部の助けを借りて封印を解くだけだという。その執念とエテモンへの恨みときたら。レバーを倒し、ダイヤルを右5、左8、赤いボタンを押してレバーを戻そうとしたら・・
その操作中にエテモンに見つかってしまう。太一のした度重なるいたずらのせいで。子供たちがサーバ大陸に上陸した時から、ナノモンはエテモンのじゃまをしていたらしいから、ネットワークは実質ナノモンの支配下にあったのだろう。グレイモン、カブテリモン、バードラモン、イッカクモンに進化するが、エテモンにまるで歯が立たない。太一がレバーを戻し封印を解くと、ナノモンはエテモンばかりかバードラモンを攻撃する。ナノモンは子供たちを利用しただけだった。エテモンに負けたナノモンは、空と傷ついて退化したピヨモンをさらって逃げる。追う太一たち。どうせデータなんだろ、と高圧電流の柵を安易に超えようとする太一を、光子郎が止める「ここで死ねば、本当に死ぬんですよ」。死の恐怖にハッとする太一は、隠し通路にはいる事が怖くなってしまい、空をみすみすにがしてしまう。
エテモンに追い詰められるが、ガルルモンとトゲモンに助けられる。悔し泣きする太一。せっかくピッコロモンの修行を乗り越えたのに、またも真の勇気とは何かを問う試練が。空とピヨモンはどうなってしまうのか?
<ナノモン:宇垣秀成(うがきひでなり)さん>81プロデュース所属。俳優業からメインを声優に移された。ウィキの表現では、本来はやわらかな声だが、アニメではマッチョ系の野太い声で知られ、壮年から初老役をこなす名バイプレーヤー。
次回予告:データであってもここで死ねば本当に死ぬ。太一のその恐怖に勇気の紋章は打ち勝って…進化へ。