デジモンゴーストゲーム第7話感想

デジモンゴーストゲーム第7話「鳥」感想

脚本:森地夏美 絵コンテ:- 演出:角銅博之 総作画監督:石橋大輔、金久保典江 作画監督:舘直樹、澤木巳登理、冨田恵里沙、仁井宏隆、会津五月 (2021/11/21 放映)

<あらすじ:公式サイトより引用>
都内のあちこちで目撃されている、鳥の形をした飛行物体。同時に大量のカラスが街に現れ、ペットショップや民家を襲撃するという事件が相次いでいた。宙の学校や瑠璃の友人も被害に遭い、ペットの鳥たちが姿を消してしまう。事件の裏で糸を引いている謎の飛行物体。飛行物体と協力関係にある怪しい青年・ダイゴ。彼らの目的はなんなのか。カラスの襲撃地点を調査する宙たちは、ダイゴたちの恐ろしい目論みに気付く。そして彼らの凶行を止めようとしたその時、ガンマモンに新たな進化の兆しが……!?

●全体を見て:サブタイトルには「…人を襲うカラスたち…一体なぜ?」と追加されている。
角銅氏が初の演出ということでテンションが上がりまくった回。以降も何話か担当されると聞いてうれしい。角銅氏の「錆びた館分館」によると、「前半は動物パニックホラー系なものの後半はアクションメインでカウスガンマモンお披露目の回でした。ヤタガラモンが飛ぶところは音楽が大谷幸さんなのでギャオス感ありましたね」。「ギャオス」は大映の怪獣映画・ガメラシリーズに登場する、コウモリのような羽根の飛行する怪獣という。見てないのでわかりませんが。ヒッチコックというよりダニエル・マン(アメリカの映画監督)のアレっぽいというが、アレは「ウイラード」(タイトルは主人公の名前。ネズミを扱ったパニック映画)なのか特定できなかった。
ヤタガラモン相手に、予想通り空中戦が得意なカウスガンマモンへの進化回。完全体相手に善戦、しかしヤタガラモンが負けはしないだろうに戦いを放棄して去ったのは意外。ヤタガラモンの思惑がセリフがないのでよくわからず、これ以上戦うのは無意味とでも思ったのか、黄金郷へと旅立っていった。こんな終わり方も、バトルでの解決を目指さない今作なら許容範囲か。飼い主のもとへ戻った鳥もいた、人間との関係を鳥自身が選択する結末となった。自由とは、物理的開放ではなく、複数の選択肢を選ぶ事が許されていることにほかならない。
子どもたちとモンが今回から冬服仕様なの、かわいい。無印や02と同じく、視聴者の体感する季節で放映されるのは粋な計らい。

●宙:前半はともかく、珍しく好奇心ではなく、猛禽類が放たれることへの危惧という正義の心からの介入。
進化にはやはり子どもとモンの心の絆、それを媒介するデジヴァイスが関係している。

●ガンマモン:寮まで待てずにチョコを食べようとして失敗。例のカラスに食われてしまう、食べ物の恨みは深い。黒い羽根だけでは、スピードや機動力が鳥にもかなわない描写は進化への布石。
作戦本部のケーブルをかじるイタズラ。ヤタガラモンの足にもお得意の噛みつき。

●カウスガンマモン:宙の励ましとガンマモンの飛びたいという強い想いで進化した、体色の青い成熟期。進化バンクの赤い線に青い線が加わった。
アンゴラモン曰く飛行形態はグライダーのようで風の流れを掴まないと能動的に飛べない。風を読んで、ウルダインパルスを発動、ヤタガラモンを打ちのめす功績。

●瑠璃:「ミカ、チロルのことはあたしたちに任せて!」って、ミカとアオイとの3人組より宙、清司郎との仲間意識が優先で驚かされた一言。少年探偵団並みの活躍ぶり。
中学生が先輩の事を今度は「ひがっち」と、私の感覚ではなれなれしい、生意気と感じてしまう。世代の差ですかね。清司郎の学歴や授業免除など事情に詳しく、短期間でずいぶんと関係を深めたよう。

●アンゴラモン:飛行物体はデジモンではとの助言、デジタル細胞を分解する技、ヤタガラモンの基本データ、光に触れると分解される、カウスガンマモンの飛行の特徴など、相変わらず知識を披露。
「籠の鳥は自由を慕い 日なたの鳥は友を慕う」、これじゃヤタガラモンの行為を肯定してない?

●清司郎:ほんと昼間は寮長の仕事以外何してるんでしょう。寮内に作戦本部を設置、寮長の権限で空き部屋を自由に使えるのだろう。
It's a piece of cakeと言っているがピース・オブ・ケイクは「愉快で易しい仕事」という意味だから「簡単だよ」ぐらいの意味。
事件の発生地点がフィボナッチ数列だと解明する大手柄。フィボナッチ数列とは、数学者フィボナッチに因んでつけられた、数学で、前二つの項を足してできる数の並びになっている数列。すなわち1、1、2、3、5、8、13…。フィボナッチ数は広く自然界によく見られる不思議な数(例えば草花に固有の花びらの枚数)、数列は、オウムガイの螺旋構造、台風や銀河の渦巻き形状等。フィボナッチ数列が生み出す螺旋は世界一美しい螺旋と言われる。次の襲撃予想は「都会に自然を取り戻そう」がキャッチフレーズの富士の花鳥類園であると突き止める。ちなみに、東京にそのような施設はないので、フィクションと思われる。

●ジェリーモン:「怖がりで意気地なし」と清司郎を煽って調査に参加させる。
清司郎がジェリーモンに振り回されるのがいちいちかわいいが、ジェリーモンが5話で謝罪しなかった件のフォローらしきものは未だなし。

●柏木ミカ:文鳥・チロルの飼い主。チロルをSNSにアップしりるるん他からいいねをもらっている。自室にカラスが数羽いたのはそれだけで恐怖な上に攻撃してくるとは、怖いです。住宅街の大きな一軒家に居住。やはり瑠璃同様、裕福な家庭と推察される。

●コタロウ:由緒正しき園芸飼育部の部員であるが、お目当ての美人先輩がいて下心ありという点は予想にたがわぬ奴。チュンタ、ブランコ?、コッコと鳥の名をそらんじているから意外に飼育はちゃんとやっているよう。

●ヤタガラモン:八咫烏(やたがらす)が命名の由来と思われる。八咫烏は、日本神話において、神武天皇を大和の橿原(現在の奈良県のエリア)まで案内をした三本足の鳥で、導きの神として信仰されている。セイバーズではイクトのファルコモンの進化系。三本の足という異形の妖鳥型の完全体。DWの東方に存在する、幾重もの聖なる結界に守られる「黄金郷」へ選ばれしものを導くと伝えられている。必殺技は、両翼の独鈷杵から生まれるエネルギーを前足で放ちデジタル細胞を「0」「1」に分解する「ミカフツノカミ」、黒い羽根から発する黒い光「羽黒」で周囲3kmを闇夜に変えてしまうという。
多くのカラスにミカフツノカミを分け与えペットの鳥を解放させる。鳥類園の戦闘で、子どもたちには手を出さなかったから、相応のポリシーを持っているのだろう。つまりは知能は高いと思われる。カウスガンマモンに打ちのめされ、復活したがあっけなく退去。太陽に向かって飛び去った。
メイン敵で残念ながらセリフはなし、怖いのは伝わるけれど、増谷さんを呼んでまで?という感じ。鳴き声の声は増谷康紀(ますたにやすのり)さん、青二プロ所属。無印のエテモン役でおなじみ。何と北大工学部卒の高学歴。

●ダイゴ:名前を名乗りも呼ばれもしないのにクレジットに名前が載っているのが不思議、スタッフに特別な思い入れがあるのか。
大量の鳥を飼っていたが、ヤタガラモンの鳥を解放する行為に共鳴し、拘束されている鳥の案内をするなど協力をするように。共鳴したのは、実は自分こそが囚われの身のような精神状態にあったからだろうか。例えば、暗い部屋に無精ひげに長髪など見た目まともに働いてるように見えないし「人間のエゴイズム」を批判しているから、社会不適応、ニートとか引きこもりなのかも。それで、「自由に飛べる」鳥という生命体に憧れ執着していたところを、実際に鳥を解放したのを目の当たりにして「美しい」と感じ高揚したのか。不適応者が理想郷を肯定するのはいかにも非現実的。
子ども相手に宙を力づくで止めるなど心酔ぶりは狂気じみている。崇拝の対象ヤタガラモンを失って困惑し、その後が大変心配なままの終わり方。鳥でなく人間との関係がきちんと築けるよう、医師・心理・就労援助などの専門家の援助が必須と思われる(宙たちでは力不足)。
声は飛田典男(とびたのぶお)さん、声優にして舞台俳優、アーツビジョン所属。「機動戦士Zガンダム」の主人公カミーユ、キャプ翼の若島津を演じた方。ゲストキャラに随分贅沢なキャスティング。

●(ペットショップの)店員:声は既出の佐藤悠雅さん。

●男子学生:声は既出の橘内良平さん。

●(ふくろうカフェの)警備用ホロ:声は八木沼凌(りょう)さん、男性、青二プロ所属。ゲーム「ライザのアトリエ2」にて鍛冶屋の青年デニスを演じておられる。

●(ピーちゃんを失って路上に座り込む)女性:声は生艸東子(いぐさとうこ)さん、青二プロのジュニア枠所属、高音の声で歌唱が得意というので、ついAiMさんを思い出す。

●ニュースキャスター:デジモンのことは知られていないので、ヤタガラモンの事を「鳥の形をしたドローンらしき飛行物体」と報じている。声は既出の松嶌杏実さん。

●次回予告:ゴーストナビゲーターが一人称「僕」と初めて名乗ったのが印象的。一体誰?たくさんのデジモンが登場するようで楽しみ。

(2021/11/27 記)

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