デジモンテイマーズ第7話感想

デジモンテイマーズ第7話「ギルモンが危ない!ぼくの町の冒険」感想

脚本:小中千昭 演出:角銅博之 作画監督:浅沼昭弘 美術:飯島由樹子 (2001/5/13 放映) 

大都会新宿を野暮ったい「町」とはいかにと思ったが、繁華街をイメージする「街」でなく、小学生が生活圏と認識する地域だから「町」なのだろう。(と思ったら、事後「街」の入ったタイトルも現れるのだが…)
ヒュプノスが西新宿に異変を検知、それと思われる黒い影は、消えてしまうが…
登校中にギルモンホームへ寄ったタカト、ギルモンは夜「別のところにいた」と言うので、タカトは夢を見たのではと思う。それは異変の予兆であったのに。トンネル工事の出入りゲートの前で、ギルモンの下半身の姿がかすむ、驚くタカト。離れると元に戻る。
ギルモンという友だちが何かの拍子に消えてしまうのではと不安でジェンリャに早々に相談に行くタカト。しかしジェンリャの答えは冷めたものだった。そもそもデジモンがリアライズしているのが異常な事態で、永遠に一緒に居られるわけではないのだと。それはジェンリャ自身の気がかりでもあるが、思わぬ答えを、受け入れがたいタカト。ギルモンと離れると思うと授業中も気がそぞろで、ジュリのさりげない励ましにも気が乗らない。ちなみに授業内容は便宜上例のトンネル工事の解説。治水のためのトンネル工事は実際にあったことで、工事が終わる時にはロケハンティングした出入りゲートは無くなったという。
放課後急いでギルモンホームへ行くと、ギルモンは無事でクルモンと遊んでいた。「さみしくないの?」「さみしいって何?」気に障ったのか去ってしまう。この気まぐれはぐれデジモンめ。
急用とオペレーター(永野愛さん。この回から名前が決められたとブログにあるが、鳳麗花というクレジットではなかった。スタッフ間で鳳という名を決めただけだったのか?)に呼び戻された山木。ヒュプノスが必要な事態をさっぱり理解していない監査委員(佐藤晴男さん)が呼び出したのだ。ヒュプノスは国家機密、ワイルドワンがリアライズなどあってはならないと持論を展開。皮肉にもその頃ギルモンは靖国通りを幾分人に気にされながらも堂々と歩いていたから可笑しい。
新宿駅から神楽坂まで都営大江戸線なら4駅分あるが(普通小学生が歩ける距離ではない)、留姫の学院まで歩いたタカトたち。初等部でも年少であろう児童たちが、ギルモンにかまっている。タカトはというと、ルキの特徴的なヘアスタイルをジェスチャーで説明しルキを探す。それで伝わってしまうのだから、変わったヘアスタイルなのだ。今のところテイマーはジェンリャとルキしかいないので、ルキにも相談を持ち掛けにわざわざ自宅を探したという訳。
突如走るギルモン、デジモンの気配を察知したらしく、その先にいたのはレナモンだった。デジモン同士は、戦うために魅かれ合うのだというレナモン、ギルモンは無邪気にレナモンと戦う気はないと言う。「腰抜けテイマーは、何の用?」「告白しに来たわけ?」とルキにひどい言われようのタカト、初めて「牧野留姫さん」と名を呼ぶ。
夢の中でルキを見たというタカト、のっけからその話じゃさすがにルキも「相当不気味なこと言ってる」と引くわけで。本題に入ろうとするタカトだが、祖母が友好的に声をかけてくる。とっさの判断でギルモンを隠すレナモンが可笑しい。レナモンがどうやってリアライズしたのか、またデータに戻ってしまうのではないかと尋ねるタカトだが、ルキはもともとデータなんだから当然、とにべもない。しかしこの時レナモンに視線を送るにはやはり思うところあって。相談できて礼を言うタカトに、ルキは今度ちゃん付けで呼んだら蹴り飛ばす!と冷たいご挨拶。ちゃん付け(笑、まあ、ごもっともで。
ヒュプノスで前例のない異変を検知、後で出てくるのでわかるが、デジタルフィールドが結晶化したように見える。
帰りはもう暗い。デジモンが、ゲームとかじゃなく実際に現れて遊べたりしたらいいと思っていたタカト。その夢が叶ったのに、ことはそう簡単ではない様。ギルモンのコメントは素朴でかわいい。ここ(出入りゲート)でまたギルモンの姿がかすみ、泣いて抵抗するタカトだがついにギルモンは全て消えてしまう。が、デジヴァイスはある方向を確実に示している、きっとギルモンだ。慌ててジェンリャにSOSの電話をかけるが要領を得ず、そんなこと無視のシウチョンがジェンリャに取り次ぐ。
夕食時を迎えた松田家では、両親が心配している。実際は学童保育は4年生までだっけか。5年生ともなると自己責任の面が出てくるわけで。
49歳(にしておばあちゃん!)の聖子はパソコン(この頃はサイズ大きかったな)を操る。呼び鈴が鳴り、ルキが出ると今度はタカトだけでなくジェンリャまで、何事?!ルキ、お疲れさん。
山木は『禁止されている承認されていないプログラム』Yuggothユゴスを「旧人類」(←死語)の秩序など無視して使おうとする。俺様キャラ。ユゴスとは、ラヴクラフトが名付けた、知られざる太陽系惑星。
出入りゲートに着くと、何とレナモン・テリアモンの姿もかすむ。デジモンは近づかない方がいい、とジェンリャ。デジモンはデジモンと割り切るルキ、でもタカトにとってデジモンは友だち。小中氏は言う「本シリーズのデジモンは、友だち、という他者。完全に解り合えるとは限らない。しかしそのギャップを、お互いに寄って埋められる。」と。無印・02の「自分の分身」とは違っているということ。
ジェンリャとルキのデジヴァイスにも方向が示されている。フェンスを越えるタカトとジェンリャ、関係ないと言いつつ気にはなって合流するルキ。迂闊にちゃん付けされてお怒り(笑。第7話にして、この3人のスリーショットが初出。
トンネルの先に、結晶化したデジタルフィールドが出現。突然デジヴァイスが光線を発し、それを3人重ねるとフィールドに入り口が。ゴーグルとサングラスを付けて入る3人。中は無重力で広い、この時のタカトのポーズが、無印のOPの当初のシーンを思わせる。そこは演出角銅氏。
果たして、ケーブルに繋がれたギルモンがいた。意識もある。小中氏「この‘ゾーン’が何で、誰が送ったのかー、それは後の展開でも判らない。しかしリアル・ワールドにリアライズしているデジモンをデータとして取り込もうという存在であるなら、類推は可能な筈だ。」って、教えて下さいよう。あれですか。
ヒュプノスでは、子どもたちを異物として検知するが、山木は構わずユゴスを撃てと言う。
ジェンリャとルキが協力してタカトをギルモンの方へはじき出す。ギルモンも必死で拘束を解き、抱き合う2人に、安堵。ギルモンがどういう仕組みか、赤い退路を示してくれ、ユゴスに追われるように逃げる3人と1体。フィールドの消滅が確認される。
礼を言うギルモン、モーマンタイとテリアモン、君は何もしていないとツッコむレナモン(笑。くだらないと言い捨て去るルキ。まだまだデジモン観のガードは硬い。そこへさすがに不安な松田両親の声が。リー君また明日、ギルモンも帰る。タカトの瞳はうるんでいる、永遠に一緒にいられるわけじゃないかもという想いを胸に秘め。小中氏「友だちが永遠に側にいる訳ではないという、このストーリーの最終的な帰結店を見ちびたエピソードだった。 この7話は私にとって、可愛くて、楽しくて、哀しいエピソードでもある。」これを読んで、心しんみり。

次回予告:ギルモンに強く進化を求めるタカト。進化の何たるかをまだよくわからぬギルモン。さあどう進化する?

(2021/7/25 記)




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