デジモンテイマーズ第10話「レナモンは友達!留姫の迷い」感想
脚本:まさきひろ 演出:吉沢孝男 作画監督:直井正博 美術:清水哲弘 (2001/6/3 放映)
「友だち」「ともだち」「友達」と、引用語が一貫性なくて気になる。タイトルも文献資料も、統一してほしい。「町」「街」、「僕」「ぼく」もそうだけど。
「テイマーとパートナーデジモンの関係とはこうだ、と安易に結論を出せないのがテイマーズ。」と小中氏。確かに、メインの3人だけでもケースがかなり違う。
ヒュプノスにて、自分だけでなく自分を取り巻く環境までリアライズするワイルドワンが検知される。把握する事態は悪化の一途。
ヘッドホンをして一人靖国通りを歩くルキ。ガルゴモン、キュウビモン、グラウモンが進化したが、単に戦闘経験やロードした数で進化するのではないという事実を突き付けられどう考えたらいいのか。強くなれば進化できると信じてきたが違うようだ。突如冷気を感じるが、気がつくと今度はクルモンが足元に。何事?
インプモン、リー家をのぞいて読書するジェンリャとテリアモンにまた悪態。背中合わせで読書、めちゃ絵になるのにな。このショット、中鶴氏のアイデアという。
ルキについてきて、抱き着いて愛想を振りまくクルモン。前は触られるのを避けていたのになぜ。伊勢○百貨店の壁は何気にルミ子(28歳)へそ出しファッションのポスター。かなりの有名人のよう。あまりの偶然、当のルミ子が派手なファッションでルキに駆け寄ってくる。そそっかしい性格らしく、仕事のスケジュールを勘違いしたという。衆目集まるのを気にもせずしゃべり倒す。ルキがクルモンを抱いているのを誤解して、かわいいものが好きなんだと。思わず引くルキ。
花園神社にて、ルキはクルモンに付きまとうなと説教。愛くるしいデジモンを、敵以外としてどう扱ったらいいのかわからないのだろうか。わかっているものか、「てくてく」と言って(笑、去るクルモン。そしてまたも嫌な気配を感じるルキだが、誰もいない。レナモンのそれでもない。案じるレナモンだが、ルキはそっけない。
インプモン登場、レナモンは速攻無視を決め込む。嘘をついてでも振り向かせようとするインプモンだが、「テリアモンが戦いたい」というレナモンにはバレバレの嘘。戦いをテイマーから止められていると聞き、それじゃもはやデジモンじゃないとあきれるインプモン。その気持ちは十分わかる。で、そこはインプモン、テリアモンをやっつけようと作戦変更。
ルミ子が大量に買い物。フリルにリボンにクマさん、ラブリー&ファンシーな服が女の子は好きという固定観念をルキに押し付ける。ルキが嫌がってるのは重々承知ながらあきらめてはいない様なのが怖い。クルモンのことは捨てたと、逃れようとするルキ。どちらの立場も承知の聖子、「そうそう趣味は変わるもんじゃない」と達観視。
廊下で突然、またもルキは冷気に襲われる。シルエットは悪魔(デビモン)。レナモンがのぞくが誰もいない。パートナーとして心配するレナモン、しかしルキは「ただのデジモンじゃない、何がパートナーよ」と言い放つ。あまりの言いように固まるレナモン、さすがに気まずく一人で出かけるというルキ。レナモンは立つ瀬がない。
新宿中央公園、タカトはスラッシュの練習中で、ジェンリャにいろいろと教わっている。そこへインプモン、彼らも無視を決め込む。ご指名受けて気にはなるテリアモンだがジェンに手を出すなと釘を刺される。テリアモンなら楽勝と踏んだインプモンの火球を、プチツイスターでインプモンごと吹っ飛ばすテリアモン。OPの最後の映像のように、インプモンが都庁の塔の間に飛ばされる図は意図してだろう。「手」は出さなかったと屁理屈を言い叱られるテリアモン。つまりは何事もなく過ぎた、インプモン形無し。
夕暮れ、一人ルキの事で思い悩むレナモン。ついてこないでといったルキはというと、新宿メトロ地下道を歩いていてまたあの冷気を感じる。
その正体アイスデビモンは、ルキの体をわしづかみ取り込んでしまう。そこは冷たい空間(デジタルフィールド)。ルキはアイスデビモン(堕天使型の成熟期。小杉十郎太さん。前任の塩沢兼人さんのご冥福を。)の冷たい翼に包まれて、抵抗しないのは意識がコントロールされているせいか。この表情、なんか色っぽいvアイスデビモンは自らがルキのパートナーだと口説く。が、ルキの口から出たのはレナモンの名。
そこでルキの危機を察知したレナモン、しかしさっきの言い様を思い出し迷う。
ルキはレナモンを思いデジヴァイスに触れるが、私こそ強いパートナーと言うアイスデビモンの大きな手に包まれてしまう。氷の柱の中に、アイスデビモンが倒してきたデジモンたちが入っている。それは彼の強さの証という。言わば氷の墓標、おぞましい光景。
外では、百貨店の屋上にアイスデビモンの空間が見える。なぜかまたいるお気楽クルモン、そして駆けつけるタカトとジェンリャ。
強くないものには死を、がアイスデビモンの持論で、ルキは「ひどい」と動揺するが、アイスデビモンはルキもそうしてきたろうとお見通し。弱肉強食は仕方のないことだが、少なくともパートナーデジモンには知性と人格があるから一筋縄ではいかない。アイスデビモンにテイマーになれと迫られて、簡単に賛同するルキではない。なりゆき上レナモンを呼ぶ事ができないが、知ったかぶりの偉そうなアイスデビモンなんてムカつく、願い下げだ。
タカトとジェンリャはデジタルフィールドにたどり着くが、凍りついたフィールドの様子を見てジェンリャは相当強そうだと作戦を考えあぐねる。ひとまず立ち向かうギルモンとテリアモンだが、一瞬で凍らされてしまい、氷は叩いても割れない。ジェンリャのスラッシュした「メラモン」も効かず、彼はレナモンは来ないのかと尋ねる。
アイスデビモンは非情な頃の自分に戻れとルキにいうが、凍らされたデジモンたちを見て自分のしてきた罪を思い知る。
ルキを案じた気持ちのが勝り、ようやくレナモン参上。しかし成熟期相手に滅多打ちにされルキにカードを請うのだが、強くなることを求めるのではアイスデビモンと同じこと、とルキは目をそらす。この弱いデジモンはお前にとって何なのだと問われ、「友達」と正直に答えるしかない。素直でないルキのようやくの本音。
するとデジヴァイスが発光、レナモン進化、キュウビモン。前は恐がっていたのにクルモンはなぜか今度は喜んでいる。強さなんて進化なんてと思っていたルキだが、結果は進化した。友達、という想いがパワーの増強につながった。
まだ凍り付いているテリアモンに、ジェンリャはいい思い付きをする。「膨張する宇宙」をスラッシュ、体が膨張したテリアモンは氷を割り崩した。解放されたギルモンも負けてはいない、突進を指示しスラッシュ(なんとこれが初)するタカト、「高速プラグインB」「白い羽」のコンボ、さすがジェンリャに教わったことをものにしたよう。苦戦したキュウビモンが必死で開けた穴にアイスデビモンの頭をを押し込み、ファイアー・ボールでとどめを刺し、ロードする。
アイスデビモンの空間は消え、一件落着かと思いきや。「デジモンなんて嫌い」と一人去る。キュウビモンも別の方向へ去る。それがなぜかわからぬタカト。ルキは、アイスデビモンと同じひどいことをしてきたという罪悪感、ましてや自分の手を汚さず友達であるレナモンにやらせてきたことを受け止めきれないので拒否的になったのではないか。キュウビモンは、ルキが自分で納得するまで距離を置こうとしたのではないか。
小中氏も、視聴者の子どもたちもわからなかったのではないかと記す。うまく自分の意見を書けないので、引用させていただく。「パートナー・デジモンは自分の分身ではなく、最も親しい他者。だから判らない事だってあるのだ。 こうした障害を乗り越えた時こそ、友だちから親友になる。それは馴れ合いでは生じない。 理解が難しくとも、考えて欲しかったのが、まさきさん、そして吉沢さんの意図だった。」つまりはあくまで子どもに向けて創り発信しているということ。ここに創り手の良心を感じる、だから私はテイマーズが好きだし、子どもにも見てほしいと思う。ブログを追っていくうち、当初の難解な印象はだいぶ払しょくされた。
次回予告:新宿大ガードにワイルドワンが出現。戦いたいテリアモン、ためらうジェンリャ。テイマーに突き付けられた、戦うか否かという命題。でも他にいないんだもの、ねえ。ファイナルコールはタカトとジェンリャ。
(2021/7/28 記)
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