デジモンテイマーズ第12話感想

デジモンテイマーズ第12話「留姫とレナモン きずなの危機!」感想

脚本:吉村元希 演出:芝田浩樹 作画監督:浅沼昭弘 美術:渡辺佳人 (2001/6/17 放映)

ギルモンを友達に自慢したいタカトだったが、多くの人間はまだデジタルな生き物の存在を受け入れる余地がない状況。
大ガード付近を検証するヒュプノス、そこにデジモンと一緒の子どもたちが確かにいたことを振り返る山木。リアライズした危険なデジモンをタカトたちが退治しているのは、ヒュプノスが無力だからだろ?どうよ。
恐竜公園でヒロカズとケンタがいつものようにカードバトルしている。昨日逃げ出した気まずさからうつむく二人、本物のデジモンがいるなんてとても受け入れがたく、そそくさと帰っていく。タカトがギルモンを自慢したかったのがすっかり裏目に出る。遠めに見ていたジュリは心配。
昨日の子どもたちが淀小生であることをつき止め、校門に赴く山木、やっぱ不審者だよう;
帰宅したルキ、広い庭を見回すのはレナモンの気配を期待しているのだろう、しかしそれは無く、気落ちする。いてほしい存在だと気になるくせに、素直になれない…。
ヒュプノスにてワイルドワン検知、デジタルフィールドが発生した西新宿の野球グラウンド。フライビーモン(入賞したファンアートのアーマー体、必殺技は背中の羽根を振動させ電撃を浴びせる「フライスパーク」と尻尾の先の針で貫く「ニードルスティンガー」)3体が出現、迎え撃つのは何とレナモン単独。劣勢になってついルキにスラッシュを求めるが叶わない事を思い出し、一人で決着を付ける。ルキはその場に来たものの、強いレナモンに自分は不要ではと思い声もかけずに去っていく。レナモン、自分が進化するためにルキを利用していただけだとつぶやく。そんなことないのにね。
レナモンはルキがいたことをジェンリャから聞くが、自分が案じられていたとも思えない。ルキがいなくとも私は強い、と自分に言い聞かせるよう。
ルキを心配し追っていたクルモンが戻ってくる。なぜかテリアモンとお腹をぶつけ合う変なスキンシップがかわいい。おまけに太極拳の真似事でじゃれ合う。それを挟んで、レナモンとジェンリャが深刻な面持ちで話し合う。パートナーとは何なのか問うレナモン、友だちだ僕の場合は、出会ったのは偶然でない、何か意味があるとジェンリャは答える。レナモン、無言で思いを巡らす。
ジェンリャがタカトに振ると、友だち、仲間という答えが返ってくる。ルキは一体どうなのかと案ずる二人。そうそう、テイマー同士支え合わなきゃね。
そこへ突然、スーツに金髪(大丈夫なの?一応国家公務員的なポストじゃないの?)にサングラスの男が話しかけてくる。2人の名を把握しており、ジェンリャのことは敢えて日本語読みで「けんりょう君」と呼ぶ、失礼な奴。自分は名乗りもせず、デジモンを使った「危険な遊び」はやめろという。必要だったし、遊びなんかじゃないのに。そこへジュリが声をかけてきた、秘密主義の男はさっさと退散する。追うジェンリャ。テイマーとヒュプノス関係者の初めての直接の接触。
ジュリが来たのはタカトを心配してかと思いきや、実は「本物のデジモン」を聞き捨てならんと思ったよう;ジュリのうるうるビームにタカトは落とされその気になり、ギルモンホームへ連れていく。またも暗闇に光る目、ヒロカズたちの二の舞を踏みたくないタカトは、いきなり冗談と嘘をつくが、パン食べたいとギルモンは出てきてしまう。終わった!と思った瞬間、ジュリはかわいいと抱き付く、意外なリアクション。「かっこいい」でしょ、と訂正するタカト、いやそこじゃないんですけど。
ジュリの少女趣味たるや、お花の形のピンクのシールをかわいいわよとギルモンの鼻先に貼る。絶句するタカト。すっかりご機嫌のギルモンをよそに。
「パートナーは友だち」の意味がわからないレナモン、ビルの屋上からインプモンを見つめる。そこはインプモンのパートナーだったアイ(寺田はるひさん)とマコ(まこと。松本美和さん)の部屋。漫画「愛と誠」が元ネタだろう。幼い姉弟は互いにインプモンでやっつけさせようとした。板挟みな上に、両側から腕を引っ張られ心身の限界を感じた時のことがフラッシュバックするインプモン。その姉弟は今もぬいぐるみを取り合ってついにぬいぐるみは引き裂かれて。インプモンのトラウマがうずく。だからパートナーなんていらない…。
そんな訳アリらしい彼だからこそレナモンは聞きたい、なぜパートナーがいないのか、デジモンにとってパートナーとは何だ。意味ないねとまともに取り合わぬインプモン、しかしパートナー不在でどうやって進化するのかと問われるとそこはまともな返答が出来ない。見限って去っていくレナモン、プライドが傷ついてご不満なインプモン。背景の派手な看板(ムジンくんのパロディと思われる)は、そののち規制されるようになったという。
またも不審者山木、今度はまつだベーカリーへ赴いている。金髪にサングラスの威圧的な男、まさにストーカー然。商店街にこんな人いるとなんか笑っちゃう。
祖母に買い物を頼まれるがにべもない返事のルキ。前に砂肝の唐揚げ言ってたけど、ああ普通に肉じゃがも作るんですね牧野家。デジヴァイスを再びゴミ箱へ。何も話してくれないと分からないという祖母、わかってくれなくていいと拒否るルキ。確かにこんな無口な孫じゃ心配です;言葉にしなければだめ、人間は一人では生きていけないと諭す祖母(49歳だけどさすがわかってます、貫禄のおばあちゃんっぷり)だが、ルキは机に突っ伏したまま心閉ざして。
木々の中にデジタルフィールド発生、向かうレナモン。デジヴァイスが光るが、見ないふりするルキ。クルモンがちょっかい出すが。
新宿中央公園のギルモン、テリアモンも気配を感じ取り向かう。リアライズしたのはハーピモン(塩味薫さん)、翼の腕と女性の上半身を持つアーマー体がレナモンと対戦。思わず来てしまったルキ。けれど一人で戦おうと決めているレナモン、迫力の勝利。しかしロードしようとしない。勝ってロードして強くなって…けれど何のために?根源的な意味を見出せぬレナモン。息を吹き返したハーピモンの猛攻にピンチ。ルキは支援したいがデジヴァイスを不所持、レナモンを助けたい一心で何とそこら辺にあった木の枝でハーピモンを攻撃する。あくまで強気な子。今度はルキがピンチ、するとクルモンもいてキュウビモンに進化しハーピモンを倒す。ロードはしない「だって私にはルキがいるから」。こんなん言われたらテイマー、シビレます。
戦い済んで、「助けたのはパートナーだからしょうがない」と、んもう互いになんて不器用な二人、でもそこがいい。笑顔が戻ったじゃないですか。見ていたタカトとジェンリャも安堵。
テイマーの生活圏をすっかり把握しここでもライター越しにストーキング、もちろんデータのクズであるデジモンを認めない山木、デジモンの存在をなかった事にしようと目論む。テイマーにとっても情報化社会にとっても、いろんな意味でヤバい人。
小中氏はブログで綴る「自分自身が何の為に存在するのか。それをテイマーズの登場人物たちは多かれ少なかれ、自分に問わねばならない時を迎える。」。

次回予告:ネットワークの秩序を乱す人口知性は駆除しなければと主張する山木。デジモンの存在を否定され、どうするテイマー。ファイナルコールはタカト。
(2021/8/9 記)




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