デジモンテイマーズ第15話感想

デジモンテイマーズ第15話「巨大ヘビ出現!大江戸線大パニック」感想

脚本:前川淳 演出:角銅博之 作画監督:出口としお 美術:清水哲弘 (2001/7/8 放映)

舞台の都営大江戸線は当時まだ物珍しく(1991年一部開通、2000年12月に全線開通)、テイマーズの舞台の新宿西口駅・都庁前駅だけでなく無印の聖地・光が丘へも通じているということでファンを沸かせた。
前話から2クール目の「デーヴァ編」となる。小中氏「人間とその文明に明らかに敵意を持った強力な敵が現われて、デジモンテイマーズに戦いを挑むのが基本形」。
あの夜から遠くない後日であろう夕暮れ、恐竜公園に集う三組。場所から言って声をかけたのはタカトだろうか。RWへ現れた危険なデジモンを退治する使命に異論はない。が、チームワークの象徴として絵の得意なタカトが大マジで作った旗(黒沢明監督「七人の侍」の旗が元ネタ)は不評。手描きでとても上手いしかわいいのにな;
巨大ヘビがまず現れたのは終電過ぎの新宿西口駅で酔客に目撃される(駅員:小栗雄介さん)。地下鉄構内で一夜を過ごしたよう。その間よく暴れなかったよな。今回デジモンの見せ場を作る会議で、どこに現れたら一番嫌かという発想で舞台が地下鉄になったという。長い通路に長いヘビ;確かに嫌です。
翌朝の日曜(7月15日)タカトは、「テイマーズ」なんだからパトロールしようと異様に張り切って、予定のあるジェンリャにもルキにも断られてしまう。やる気ないなぁと愚痴るタカト、ところが。
ジェンリャの予定は「趙先生」とメモ書きがあるので、習い事のよう。テリアモンのうるうるビームに、シウチョンからテリアモンを一瞬の隙をついて奪取するジェンリャ。さすがにあ~んなことはかわいそう。地下鉄内でテリアモンが武術を披露しているので、おそらく習い事は武術系だろう。
ルキの祖母との出掛け先は神楽坂、住所で言うと矢来町(やらいちょう)に実際にある矢来能楽堂。東映アニメの本社オフィスが中野に移転する前、この近くにあったという。和装の祖母と違い普段着まんまで無関心なルキだったが、狐の出てくる演目(狂言『釣狐』。角銅氏がわざわざフィルム・アーカイヴに足を運んでこの場面を作られたというから本格的。)となると目を見張る。それは、異界から来て守り守られる存在となったレナモンの姿そのものだったから。ただ、帰りは自宅なら当然徒歩も可能と思うがわざわざ大江戸線牛込神楽坂駅を利用したのはなぜか。都営線は全ておおむね新しく作られているので地下深さがハンパない。つまりそれだけ地上の出入り口とホームの間が離れており不便というのに。新宿にでも出てランチやショッピングなどするつもりだったのかと推測したが、違う。聖子が自宅にいるルミ子に「今から帰る」と伝えているから。神楽坂の自宅と能楽堂、電車に乗るほどの距離じゃないはずなんですけど;;和装だから歩きづらいとか?ルキは微笑んでいる、ただのお供だったはずが演目に満足したよう。
ちなみに私、その隣駅の牛込柳町に住んでいたことがあります。勤め先がそのまた隣の若松河田駅(元フジテレビの最寄り駅)で。だから神楽坂から西新宿まで、小学生のルキはよくも歩くなあ無理だろといつも思います。そして今も大江戸線には定期的に乗るのですが、まだ光が丘に巡礼した事はないです。
ギルモン目当てで訪ねてきた5年2組たち(太めが中村正:宮下富三子さん、角刈りが青山泰三:魚谷香織さん、長髪めが寺山裕治:中山りえ子さん、ツインテールが伊藤彩香、七三のショートが中島美紀)。最初は違うなあと思ったものの、タカト「テイマーズ」の張り切りはどこへやら、中央公園で他愛ない遊びに興じる始末。そこは小学生だもの。当のギルモンも無邪気に「タカトの友だちは友だち」と喜んで遊ぶ。子ども達にすっかり受け入れられた「デジモン」。ショッピングカートにギルモンミサイル、本当に楽しくて笑ってしまう。チャチを入れに来たインプモン、彼もデジモンではあるのだが…。うらやましいのかとレナモンに図星を刺されおかんむり。レナモンのあの微笑が特に気に入らなかったよう。
牛込神楽坂駅にて、ルキはDアークでデジモンを感知。一体目は女子高生(村岡雪枝さん)にかまわれてる何だクルモンか、けど二体目は?!なぜだかここのルキの顔面アップが怖いです;すかさず駆けつけるレナモン。大きさだけからいっても前回と同じ完全体の可能性が高いのに、闘志満々でひるむことないルキとレナモン、さすがテイマー。しかし困った事に、ミヒラモンの時と同じく、なかなかデータが表示されない。サンティラモン(世田壱恵さん)、完全体。となれば、こちらも進化が必須。「超進化プラグインS」スラッシュでキュウビモンに進化、新宿方面へ向かったサンティラモンを追う。
若松河田駅で降りるジェンリャ達。そこへサンティラモンが現われる。いくら先頭にいたとはいえ、乗客の安全確保が最優先なはずの乗務員さんが、我先に逃げてます;それほど怖かったということですか;電車を量子化するサンティラモン、逃げ残った幼児(母親:塩味薫さん)を助けようとジェンリャすかさずカードスラッシュ。ウォーグレイモンの持つ「ブレイブシールド」を使い、攻撃から守った。小さなテリアモン、大きな盾を何とか持ってます。テイマーズであのシールドが見られるとは。電車は完全に消滅、怖い。
新宿方面へ走り去るサンティラモン、追うルキ。タカトに連絡を、とジェンリャに携帯電話を託す。そうそう、テイマーズは連携しなくちゃ。ところが大江戸線構内で電波が通じるには2013年まで待たねばならないという。そこで地上へ出て松田家へ電話するがタカトは不在と。伝言もせずそそくさと電話を切るジェンリャ。張り切ってたくせに肝心な時に、というぼやきは全くもってごもっとも。必死に走るが、テリアモンが頭に乗って重くて走れないとクレーム。頭から肩へと移るテリアモン、意味なし(笑。ジェン、ファイト!
走るルキ、「高速プラグインH・ハイパースピード」でさらに加速、疾走シーンがかっこいい。都庁前駅まで来たサンティラモン、人々は駅から逃げ出す。キュウビモンが鬼火玉を放つが無効、尻尾で巻き掴まれてしまう。そこへテリアモン到着、ガルゴモンへ進化。
アホな遊びっぷりにさすがに視聴者も呆れてきたところ、ギルモン鼻が空いてデジモンの匂いをキャッチ。さらにお人よしインプモン君が地下での対戦を知らせに来てくれた。本物のデジモンの対戦と聞いて沸き立つヒロカズらだが、真剣な顔のタカトに遊びじゃないと一喝される。そこはもうテイマー、「鋼のドリル」をスラッシュしギルモン得意のお穴掘りで現地へと。「ここ掘れワンワン」は、おとぎ話の花坂爺さんのフレーズ。まさに犬の如く、掘っちゃいますギルモン。ヒロカズだって伊達じゃない、真剣な戦いと聞いてタカトに彼の見立てで極めつけのカード「パワーチャージャー」を託す。タカトは素直に喜んで受け取り、声援を受けながら穴へと降りてゆく。もはやテイマーとパートナーデジモンは子どもたちのヒーロー。
弧炎龍、ダムダムアッパーも力及ばず、期待のテイマーの登場は、天井から落ちてくるというお間抜けさ(苦笑。サンティラモンは、「聖獣型」だというのに聖どころかクルモンたちが言うに大変嫌な気配のデジモンだと。何か今までのデジモンとは違うよう。さあギルモン進化だグラウモン!さっそくスラッシュでパワーチャージする。
ジェンリャの指示で、居並んだ成熟期三体が連続攻撃、完全体を撃破する。しかしサンティラモンは言い残す、我ら神のしもべの12体、人に隷属するデジモンよ、我は滅ぶともデーヴァは必ずや、と。デーヴァとは何ぞや?しかし理論派でないタカトが話に割って入り、開けた穴から早くの撤退を勧める。
当然、居並ぶ5年2組たちの前に現れたグラウモン、ガルゴモン、キュウビモン。三体ものこの大きさのデジモンに、みな驚きと親しみを感じる。ルキの祖母、携帯でルキの無事を確認、見守る女子たち。パトカーだろうか、サイレンが聞こえてきて、デジモンを皆で隠そうと走る。もうすっかりみんな、仲間だ。
小中氏「デーヴァ=十二神将デジモンとの対決というのが予め設定されていた。(略)干支十二体の神像に準えた強いデジモンが敵」というわかりやすい構図、真の強い敵が見えてくるまではデーヴァの強さを様々な形で見せていく方針としたという。デーヴァとは、サンスクリット語で神を意味する語である。ヒンドゥー教、仏教などインド系の諸宗教で現れるという。

次回予告:キャンプと言えば無印冒頭。当然楽しみなのだけど、停電や酉(とり)型のデジモンがいて危険な匂い…。どうやってギルモンとテリアモンを連れていき帰るのかも注目。ファイナルコールはタカトとジェンリャ。

(2021/8/17 記)


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