デジモンテイマーズ第18話感想

デジモンテイマーズ第18話「美しき進化!月光に舞うタオモン」感想

脚本:吉村元希 演出:川田武範 作画監督:直井正博 美術:渡辺佳人 (2001/8/5 放映)

ALAMANDAと看板にあるが、この派手な白とどピンクなひさしは、六本木交差点の待ち合わせのメッカ・アマンドという喫茶店のもじり。そして六本木に何用かというと、「ホシ☆プロ」という看板がルミ子の所属プロダクションと思われる。ルミ子が半ば強引にカメラテストにルキを連れてきた模様。ややオネエ言葉の菅井なるマネージャー(小栗雄介さん)がルキの美貌を買ってルミ子に頼み込んだよう。当のルキはもちろんご機嫌斜め。変なこと言わないでとルミ子に釘を刺されるが、ルキにしてみれば笑顔を要求されて応えるモデルの神経がわからないし、服が嫌いなのではなくルミ子の選んだ服が嫌いなのだと、変どころかまっとうなご意見。
そこは菅井氏、ルキちゃんは顔がはっきりしているからそういう服を着こなせるのだと持ち上げる。さすがに大人にちゃん付けされて、反論はしなかったルキ。「女の子で着こなせる子はそういない」というが、女の子向けの服なんじゃないの?着る人を選ぶ特別な服ということか。ラブリー&ファンシー、フリルにリボンにレースにお花にピンク色。
カメラテスト開始。ルキ、お母さんと同じ仕事やってみたくないと問われて(ルミ子の狙いはそこ)、全然、とにべもない。最初はストロボなしで撮影、好きでもない慣れない体験に極度に緊張、さてストロボがたかれるとその衝撃がルキには耐え難く、帽子を思わず落としてカメラマン(小嶋一成さん)を押し倒して逃げてしまう。軽いパニック発作。やはりモデルなんて性に合わないと実感するルキ。
その頃ジェンリャの部屋でタカトたちはいなくなったレナモンを案じている。しかしルキのDアークでもなければ探せない。レナモンを連れ出したデーヴァ・ヴァジラモンの目的とは?
新宿のルキ、いつものハートブレイクシャツ(これはこれで、ちゃんとポリシーあるオシャレなコーデだよね)に戻ったということは、自宅に一旦帰って着替えたよう。Dアークにレナモンの反応がない、心配なルキは戻ってこないのかとまで思う。
脱ぎ捨てられた例のピンク服を抱え、気のないルキを嘆くルミ子。ルキみたいな自立心旺盛な子が、親として成熟し切れていない母親の思い通りになるとでも思っているのか。ヤンママの弱点か。でも母親なりに心配でもあると知っていて、ルキは存外しっかりしていると取りなす聖子。
美しい夜景、高く広いホール、観葉植物、ロッキングチェア、ドリンク…このプールは公営などではなく高級ホテルの高層階と思われる。泳いでいたのは鳳麗花。ナイスバディで水着は紫色のワンピース。ビキニでないのは、大人の色気の演出と、おそらくはダイエット目的でガッツリ泳ぎたいからと思われる。アフターファイブならぬビフォーファイブの麗華、携帯が鳴る。着信音がデジモン定番のボレロって、何か意図あり?相手はボーイフレンドなのか、夜勤があると誘いを断っている。
大江戸線の都庁駅で降りる麗華。茶髪のストレートロング、赤いパンツにゼブラ柄のシャツ、黄色のインナー、黒のサンダルと攻め攻めなファッションであるからして、プライベートは全般華やかなよう。派手にイイ女光線ハンパない。都営地下鉄特有のの恐ろしく長いエスカレーター、余程の美貌なのだろう、すれ違いざまに異性の目を奪うものだから、視線を避けるためにサングラスをかける。
駅を降りて向かったのは職場に近いまつだベーカリー。けやき橋商店街で偶然自転車のルキとすれ違う。2階にいるタカトは、ギルモンがレナモンのようにいなくならないか心配。すると、階下より店を手伝うよう呼ばれる。麗花の買い物はサンドイッチにパック飲料。サングラスかけたまま商品を選んでいるから、常連なのだろう。まつだ家のたかとと呼ばれる少年を麗華は凝視。おそらくは山木から「マツダタカト」という少年が関与していると聞いているのだろう、本人はこれか。
レナモンが気になって西新宿へ出ていたルキ、遅くに帰宅するとルミ子の雷が落ちる。けどまるで気にしないルキ。なかなかかみ合わないなあこの母娘。
ジェンの自室にて、ヴァジラモンの気配を感じるテリアモン。レナモンの気配の有無まではわからぬよう。すぐに出かける二人。
ルキにジェンリャから電話が入る。相手が男児であることに誤解を受けぬよう、母に隠れてこそこそしゃべる。そして母の言うことも聞かずMTBで走り出す。電車の時間から言っても集合場所から言ってもさすがに徒歩は無理のよう。
都庁舎、麗華が夜勤に出勤すると、後輩の小野寺恵に肌のツヤが違うと言われる。何気にプライベートに介入、恐るべし女子トーク。明言を避ける麗華だが、普通プール後の肌は塩素で荒れてしまうから、プール出てから麗華はみっちりスキンケアしたのだろう。そこへ非常警報、仕事上がりのはずの恵も、帰るわけにいかなくなる。お疲れ様です、残業代出るのかな。
秋葉原に現れた個体と同じものが一体、国立競技場にリアライズする。勝手なことをしていられるのも今のうちだと悪態つかずにやっていられようか、山木は自分のせいで穴を開けてしまったのだから。
国立競技場にデジタルフィールド、グラウンドに立つヴァジラモンと聖火台に立つレナモン。レナモンがついて行った理由は、デーヴァの意図や彼らの言う神が何なのかを知るため。
一方ヴァジラモンはレナモンを仲間に引き入れるため。レナモンを美しいデータとほめる。まじキモいよおっさん;てっきりパジラモンが相棒かと思ったが、失った悲しみもなく、レナモンへの好意は本物のよう。レナモン、ルキの気配を察知。
気配を頼りに自転車で走るジェンリャとテリアモン、ルキ、ギルモンを乗せての走りはさすがに重そうなタカト。3人揃ったv目を保護しつつ、3人は場内へ向かう。
ヴァジラモンはレナモンを説き伏せようとする。我らが神を崇め、我らが神の意志に従い、我と共にこの地に降り、栄えていくのだと。神とはデジモンの神、元の創造主は人間だが、人間はデジモンを見捨てた、だからデジモンはデジモンなりに進化しデジモンの神に従うのだと。
熟考するレナモン。レナモン自身がリアライズというある種不自然なデータの在り方だし。デジモンの神?といぶかる3人、テリアモンやギルモンに聞いてもそんなのは知らないという。
ここへ唐突にクルモン参上。何してるんでーすか、ってお前がだよ!ヴァジラモンに蹴り飛ばされ追いかけられる。ギルモン、自己申請で進化を希望、「超進化プラグインS」グラウモンへ。テリアモンも「超進化プラグインS」でガルゴモンへ。レナモンに声をかけられずにいるルキ。
「美しい」とは反対にヴァジラモンに「うっとうしい奴ら」呼ばわりされるグラウモンとガルゴモン。いかにヴァジラモンがレナモンだけに入れ込んでいるのがわかる。なかなかに苦戦。
しかしレナモンは告げる「私はパートナーと共に進化するデジモンだ」。説得は無益、背中でカードを乞うレナモン。ルキ、応えて「超進化プラグインS」キュウビモンへ進化。
ヴァジラモンはそれでもレナモンと戦うことを避け説得を試みる。ルキ、「パワーチャージャー」を使うが無効、タカトも「高速プラグインH」を使うが破れ、ガルゴモンも「強化プラグインO」が無効。倒されたガルゴモンもグラウモンももうパワー切れ。戦う意志を捨てないキュウビモンに、ヴァジラモンは仕方なく宝剣を振るい力ずくでわからせようとする。
キュウビモンピンチ、その時ルキの取り出したカードは何となぜかブルーカードだった。先日のブルーカードでのラピッドモン進化を目撃しているルキ、これは進化できると直感、クルモンも協力する。マトリックスエボリューション、限りなく人型に近い狐、タオモン、完全体に進化する。進化バンクの原画は大塚健さんという。月と太陽がゆっくりと重なり金環蝕となる背景も美しいが、長い袖を振るった所作も美しい。タオモンへの進化はヒュプノスでも検知。
しかしヴァジラモンはこの人間に近い形への進化が神の意志に反しており腹立たしい。間違った進化だという。弧封札を放つタオモン、完全体の技だけにダメージを与えられる。「お前からは、私が欲していた情報を得られた。礼を言う」とタオモン、クールで上品でカッコよい。いよいよもはや敵とみなしたヴァジラモン、技を乱打。しかし、しなやかで無駄のない動きで牽制、巨大な筆の技「梵筆閃(ぼんひつせん)」でとどめをさす。滅を見守るタオモン、あまりの美しい戦いぶりにほっとしたというより呆然としたルキ。
ヒュプノス、ユゴスは無効だしガキどもでないとワイルドワンを消せないのかと、イラつく山木。大の大人が形無し。
安堵した表情で帰宅してゆくタカトとジェンリャ。ルキ「進化って、デジモンとパートナーの戦い方で決まるの?」とレナモンに問う。互いに、そんな気がするというレベルのゆるい認識だが。強くなったレナモンもいいけれど、月に照らされたレナモンもすごくきれい、とルキ。BGMは「3 Primary Colors」のエンディング、これ大好き。二人にこんなに静かで穏やかで優しい会話ができる日が来るなんて、思いもよらなかった。いいですねルキレナ!
小中氏ブログより「留姫にとっての「美しさ」は、派手な洋服を着て作り笑顔するものではないのだ。留姫には留姫の美学がある。そしてレナモンはその象徴になっていた。」そういうわけで、前半のカメラテストの件と見事に呼応した最後。麗花の美学とも比較するのが一興。

次回予告:パートナーがいなくたって進化できなくたって俺は強いんだ!といきがるインプモン。しかし、よりによってあのデカ馬は無理だろうよ…ファイナルコールはタカト。

(2021/8/28 記)


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