デジモンアドベンチャー第22話「ささやく小悪魔ピコデビモン」感想
脚本:まさきひろ 演出:川田武範 作画監督:海老沢幸男 美術:飯島由樹子
タグと紋章が発動し完全体に進化して勝利したが、次元の裂け目のせいで東京へ戻った太一と、退化したコロモン。だが、デジモンワールドの影響が現実の世界に出ているのを目の当たりにし、デジモンワールドへ帰っていくのだった。そして残されたヒカリにも…
タイトルコールとシルエットはピコデビモン。
太一が不在の間に、一行はばらばらに離散していた。最初に再会できたトコモンとタケルも、ピコデビモンの介入で仲たがい。「生きてたの?!」「死んでたまるかよ」感動の再会。謎の声のおかげでピコデビモンの嘘がばれ、メタルグレイモンへの進化に次いで、タケルのタグ・紋章とデジヴァイスの力でトコモンはパタモンへと進化!そして太一たちは、二つの世界の平和を取り戻すため、仲間を探す旅へと。
●太一:DWでの自分らの使命を胸に帰還。不在の間の一行の行方不明に動じず、デジヴァイスの反応を見て、さっそくトコモンを見つけ出す勘の良さと行動力。トコモンにいきさつを聞いて「ヤマトも心配だがまずタケルだな」その瞬時の状況判断の正しさは頼もしい。リーダーらしく、皆が訳あって去ったのだ、訳を聞こうとすねているタケルを説得する。抱き合うタケパタをそっと見守る繊細さ、デリケートなとこもあるんだと意外。「この世界が現実世界にも影響を及ぼしている。だから元の世界に戻る前にこっちの世界の歪みを何とかしなきゃならない。それにはみんなの力を合わせなきゃ」それが帰還の教訓。タケルの力も、とタケルを励まし力づけるのも忘れないのはさすが年上。
●アグモン:川があるということは砂漠が終わりに近い、と珍しく賢さを見せた。生きる上での知恵は持ち合わせているというたくましさ。キノコの毒性についてもつい疑ったのもさすが。
●タケル:年少者には状況が過酷なのも事実だが、感受性が豊かなのもあってか泣き虫なのも子供じみているのもまた事実。ヤマトに泣きついたり、「弟にして」と太一に無理難題を吹っ掛けたり、トコモンよりやすやすと未知のピコデビモンの言葉を信じたり、敵がもういないからとタグとデジヴァイスを捨ててしまったり、とことんお騒がせな子。親の離婚に直面し、ひとの心変わりには敏感になったのだろうか。意地張ってるけど本心は出て行かせたトコモンが心配、素直じゃないのはらしくない。タケルは気がかりだった、自分が泣き虫で幼くてお荷物だからみんなが自分を置いて去って行ったと。これも親の離婚が影響していよう。
●トコモン:「お腹空いて疲れてるだけ」と言うが、パートナーと離別してうつ状態で放心していたのではないかと推測する。タケルのために採ってくる果物がおいしそう。でもタケルはそれこそうつ状態で食欲不振。タケルの喜怒哀楽に、基本受け身で結果的に振り回されてしまう。かと言って自己の正当性を明確な論理で主張できるほどの成長体でもない。その為ピコデビモンにタケルがいい様に使われてもなかなか誤解が解けなかった。売り言葉に買い言葉で、タケルの元を離れようとした。「出ていく」って、まるで家庭持ち、夫婦のよう、笑。でも、誤解が解けるとタケルを責めたりは一切せず、仲直りするのが健気だ。本性を暴かれたピコデビモンからタケルを守ろうという決意、それにタグとデジヴァイスが反応し、ピコデビと同じ成長期のパタモンに進化!ピコデビモンに勝利して、タケルと抱き合う姿は実に微笑ましい。
●ヤマト:親友である太一を探さない理由は、一月半探しても全く手がかりがないという全くもって正当なもの。それと、タケルの安全を旅の最優先事項にしてるから。スワンボートにタケルを同乗させなかったのも、遊園地のあるここの方がタケルだけは安全だと考えてのことだろう。それがピコデビモンのせいで完全に裏目に出た。2~3時間、のつもりが何日にも。太一の行方を諦めろと言ってタケルを泣かせてしまうが、大きな敵を倒したからみんなどこかで何とかやっている、とフォロー。追随するしかないトコモン。泣きついて、希望を失いかけるタケル。
●ガブモン:湖畔でタケルを置いていく時、幼年期の弱いトコモンを精一杯尊重して、タケルを守るよう告げる。自分もヤマトに一途なガブモンらしい。
●ピコデビモン:こうもりの姿をした悪知恵の働く小悪魔型の成長期。単体でいるのは稀で、闇を好みデビモンやヴァンデモンなど上級デジモンの使い魔をしているという。必殺技は大きな注射器で相手の血を抜き取ってしまう「ピコダーツ」。この回でわかるのは、どうやら闇のボスデジモン(吸血鬼っぽいシルエット)がいて、その為に子どもやパートナーデジモンをそそのかさないと罰せられるよう。逆に言えば、選ばれし子どもの始末(間接的な手段だが)を任されているのはすごいこと。偶然を装い初めから悪意でタケルに近づく。悪党としては小物ながら、極めて口が達者でひとの心の機敏に付け入るのがまあうまいことと言ったら!うまいことタケルにヤマトが嫌っていると思い込ませた。幼年期のトコモンに対して「証拠」だ「名誉棄損」だ「裁判」だと、理屈をこねて反論させないのが小賢しい。トコモンを忘れさせようとタケルにあの手この手のアプローチは、幼少者の扱いにも慣れた様子。対パタモン戦で最初はパタモンを遊び半分で翻弄し小ばかにしていたが、そこは同じ成長期、一方的にはいかず頭突きされたのが効いた。エアーショットでダメ押しされ水没;
●謎の声:空とピヨモンは太一を探すという強い信念で一行を離れた(トコモンは目撃はしたが眠くて引き止められず)。ツートップの盟友・太一をどうしても放っておけなかったのだろう。訳あって今は身を隠し、アグモンたちを愛情深く見守っていた。
●光子郎:この世界で唯一の手がかりたるゲンナイを探すという目的が、一行を離れた理由らしい。どこにいるかわからないのにという丈の反論はごもっとも。
●ミミ:皆の意見が錯綜する中、お家に帰りたいとの本音をポロリ。建設的な意見は出てきません。そのあとのタケルに至っては、あくびして議論どころではない。なんかもうかわいそう…
●丈:どうでもいいことなんですが、寝てる姿が他の子のように横臥でなく非常袋を抱えての座位なのが、緊張の解けない性格を表しておりツボでした。
●遊園地:DWにこんな本格的なしかも無人の遊園地があるのは驚きで、シュール。観覧車(残念ながらカートはお台場のような七色ではなく、どれも濃いピンク色)、蜂型の乗り物、メリーゴーランド、ゴーカート、ローラーコースター(スリル・ライド、いわゆる絶叫マシン)、ティーカップ、パラソル、ベンチ、花壇と一通りある。
●ガジモン:一時でもエテモンの仇などと殊勝なことを口にしたのには驚いた。そう、駒としてこき使われてただけだもの。お話上、ワスレキノコの被験者に。CVは菊池さんと、誰?
●ワスレキノコ:焼いた方が美味い、アグモンのトイレ、うらやむトコモン、味付け忘れてた、熱いからフーフー。脚本家さん、視聴者(とピコデビモン)を焦らしまくってます笑。ところで、火種はあるとして七輪はいったいどこから出した?笑
<ピコデビモン:宮田始典はるのり(現、幸季こうき)さん>81プロデュース所属。第一回声優アワード男優部門受賞の名バイプレーヤー。電話で女性と間違われるなど、独特の高めの声には複雑な思いがあるよう。高橋直純さんとマブ友というのは、デジファンにとってうれしいプチ情報。声優を志した同時期に母君を亡くされ、「何が生きていく上で大切か」「いつ死んでも後悔しないように」という人生観をお持ちになったという。ピコデビモンという子悪党からは想像つかないお方。ピコデビの、口の達者な小物感がよく出ていてすばらしい。
次回予告:一行が離れ離れになった理由は一体何なのか。ヤマトが帰れなかった理由は、レストランにとらわれた丈の度重なる失敗だった。友情にひびが入りそうになったが、タケルのために命を張る丈を見てヤマトの心は揺さぶられ、ガルルモンが新たな進化を遂げる!そっか、メタルグレイモンに次ぐ完全体への進化回。個人的には、丈先輩のダメっぷりに期待ですv
2025.3.4 記