デジモンテイマーズ第22話感想

デジモンテイマーズ第22話「ヴィカラーラモン登場 僕たちの街を守れ!」感想

脚本:吉村元希 演出:梅澤淳稔 作画監督:出口としお 美術:渡辺佳人 (2001/9/2 放映)

夏休みは終わり、帰宅したタカトは公園に出かけようとする。母は勉強しろと言う、来年は6年生、その次は中学生なのだからと。タカトは気を持ち直す、「今しかできない事、あるんだ」。これには心が動く。そう、特に子ども時代とか死期が迫る人にとって、今を生きることが切実に大切なのだ。そこでまた地震、不安なタカト。
同じ時、リビングから街の様子を見ているジェンリャ。テレビのニュース(アナウンサー:小嶋一成さん)は情報が速い、地震が新宿区周辺のみで起きていると知り、案じる。テリアモンを抱いていたシウチョンから引き離すのに、らしくない大声を出してしまう。テリアモンたちのせいでデーヴァが挑んでくる事情に焦り、出動は容易に予想されたから。泣き出すシウチョン、でもちゃんと「行ってらっしゃい」と言うのがいじらしい。ごめん、と謝るものの目は合わせないジェンリャ。(アフレコ現場も緊迫していたらしい。)テリアモンに心配されるが、ジェンリャだってわかってはいるのだ。
通りでふと目にした写真館のポスター。それは年賀はがきの印刷の見本だった。店に行って同じものを分けてもらったよう。
そこへ偶然お稽古の帰りのルキと出くわす。和装の祖母絡みで、彼女の平服で行けるお稽古って何だろう…華道や茶道、日本舞踊などはあのファッションじゃ行けないし。ただ、お稽古ごとの一つや二つやらせていてもおかしくはない家庭。
ジェンリャはタカトがいるからとルキを公園へ誘う。電話してきたルミ子の誘いを断って、公園へ走るルキ。ルミ子をなだめる聖子…この出来た親から、どうしてはっちゃけたルミ子が育ったのか、時々わからなくなる。
公園へ向かうタカトも、母の誘いより友だちを選んだルキも、親から自立し始めている。そして、後半の「守られる存在から、家族や街を守る存在へ」と成長していく。
走るジェンリャ達の足元、暗渠にインプモンは避難している。傷もまだ癒えぬまま、でも憎まれ口をたたく元気は残っているよう。
ギルモンホームにて。パートナーのいるタカトがうらやましいヒロカズとケンタ。ヒロカズは、カードスラッシュの練習をしている、と華麗にY字バランスを披露(笑。「どうよ、クルモン的には」と尋ねているから、ヒロカズの目から見てもクルモンが進化に関係してるように見える証拠。なんで俺らにはいないんだろうと、ケンタ。タカトは、レオモンみたいにデジモンが現われる可能性はあると言うが、そこへ来たのはレオモンロスのジュリ当人。決心して歩み寄り、カードゲームを教えてほしいと言う。即答せず、カードのトレードを持ちかけるヒロカズとケンタ。ビギナーズラックか、ジュリは良いカードを複数持っているよう。
教えてくれるのくれないのと迫るジュリに、応えたのはルキ。トレード候補のカードをもぎ取って、うれしそうにルキのもとへ走るジュリ。カード女子会開始と言ったところ。下手すりゃデジモンクイーン二世が生まれちゃう、とあっけにとられるヒロカズとケンタ。「レオモン、また来るかな」ジュリの本心がカードゲームにあるのではないと察したルキ、来るといいよねと。ゲームを把握することできちんとしたテイマーになりたいという覚悟がジュリにはできたということ、これはちょっと意外だった。一瞬の片思いに終わるわけではなかったのだ。クルモンが「クル~」とジュリに近づく、これがタイミングよくて和む。
例のポスターをジェンリャは皆に見せる。十二支なら知っている、とタカト。そうか、干支が中国起源とはいえ文化背景の違うジェンリャは馴染みがなかったのか。それはデーヴァと共通している。子(ね=ネズミ→クンビラモン)、丑(牛→ヴァジラモン)、寅(虎→ミヒラモン)、卯(う=ウサギ)、辰(たつ=龍)、巳(み=蛇→サンティラモン)、午(馬→インダラモン)、未(ひつじ=羊→パジラモン)、申(さる=猿)、酉(とり=鶏→シンドゥーラモン)、戌(いぬ=犬)、亥(い=猪→ヴィカラーラモン)。となると残るのは、ウサギ、龍、猿、犬、そして猪。苦戦してきたのに、まだ5体も居るのかと暗い気分に。
時は夕刻、影が長くなったのは秋のしるし。8人のはずが影が9個ある、とケンタ。それはあの謎の少年だった。「モン!」と叫んで嘲笑い走っていく。続けて言うと「マ・ク・ラ・モン」。おかしな奴だとは感じるが、振り向く時首が180度回転しているのに、誰もそれには言及しない。先日も会ったからだろうか、ジュリがもっと話しかけてみようと大胆な提案。走る一同。
ヒュプノス、地震のあった西新宿にワイルド・ワンを検知(マクラモン)。それと、前代未聞の巨大なワイルド・ワンも検知。これがリアライズしたら新宿は壊滅だという山木。そんなところに監査委員から一報。イラつく山木。国家機関の長とはいえ、言ってることは中間管理職みたいで気の毒。
早足の少年、タカトはクルモンが狙いではと。(何気に商店の看板に「角銅」「シバータ」と。)へばるギルモンだが突如戦闘態勢の目に。テリアモンも気配を感じ、また地震。少年はその間に消え去る。
地震は暗渠にも被害を。ここにすらいちゃいけないのかよと、インプモンの皮肉なつぶやき。かわいそう。
ネット管理局R&Dセンター、山木はジャンユーに解析の結果を急かせる。しかし、独自に高度に進化した今のデジモンをそうやすやすと解析はできずにいる。お子さんの危険な遊び、と山木は引き合いに出す。ジャンユーはもうテリアモンと息子が戦っていることを察している。
唸り声の止まらぬギルモン、テリアモンを乗せて走っていく。普段は身を隠しているレナモンも現れ、近くにデジモンがと。向かったのは戸山団地。ここも私は用事があって通っていた場所だからわかるが、たくさんの団地と広い公園が一体となっている区域だ。現われるデジタル・フィールド。
ヒュプノス、新宿戸山公園に巨大なワイルド・ワンを確認。麗華のためらいをよそに、山木はシャッガイの起動準備を命じる。
デジタル・フィールドから現れたのは、山のように巨大な猪型デジモン!
暗渠に光るものが。インプモンに近づいてくる。「帰れって言うのかよ…。あそこしかないのか、俺の行くとこは…」それすなわち、デジタルワールド?
Dアークがデータを表示、ヴィカラーラモン(木村雅史さん)、完全体。その背中と、空の黒い穴とが繋がっている。そして動き出す巨体、動くだけで甚大な被害、明治通りまで出ると南下。その先は新宿繁華街だ。このコースは、最大級のデーヴァを効果的に見せるには国道の幅がいいだろうということからきているという。そんなことさせない、発動を求めるパートナーたち、応えるテイマー3人。タカトは頼もしくもジュリとクルモンをヒロカズとケンタに託す。クルモンの額が光り、3人同時に「超進化プラグインS」をスラッシュ、ガルゴモン・キュウビモン・グラウモンに進化。
逃げ惑う人々、つぶされる車、倒される電柱、崩されるビル、自衛隊のヘリも出動。弧炎龍、ガトリング・アーム、エキゾースト・フレイムの集中攻撃がまるで効かない。
シャッガイ起動の出力は、以前70%で止まっていたが、今回は…。山木は言う、シャッガイでRWに棲息するすべてのデジタル生命体を一挙に消去すると。パートナーデジモンも巻き添えになるとジャンユーは反対するが、子どもたちを守るため、新宿を壊滅させないためだと、山木は譲らない。正直山木の言うことがもっともだ。
繰り出されるプラズマ・ブレード、ダムダム・アッパー、鬼火玉も効かない。がれきの山、手詰まりの3人は家族を想う。守りたいものが、ある。
シャッガイは出力90%(音声:中山りえ子さん)、掴みかかるジャンユーを山木は突き放す。暴力とは穏やかでない、パワハラ上司だ。ジャンユーはどうしてもテリアモンと息子の絆を断ちたくないのだろう。
ジェンリャが、ルキが家族を守りたい、タカトが街を守りたいと念じた時、カードはブルーカードに変化していた。気の持ちようで道は開ける、精神主義というやつですがまあ良し。顔を上げた3人、同時にスラッシュ!マトリックス・エボリューション!ラピッドモン、タオモン、メガログラウモンへ進化、3体でヴィカラーラモンの前に立ちふさがる。完全体になっても体格の差はまるで大きい、それでも。
出力100%、シャッガイ起動!ジャンユーのやめろという叫びが響く。ヴィカラーラモンと対峙する子どもたちと完全体のパートナー、さあどうなる!?

次回予告:恐るべし巨体のヴィカラーラモンを、完全体3体で倒せるか。キーワードは「デジモンは友だち」。麗花のアップの意味が気になる。ファイナルコールはタカト、ジェンリャ、ルキ。

(2021/10/1 記)

 

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