デジモンテイマーズ第27話感想

デジモンテイマーズ第27話「インプモン進化!魔王ベルゼブモンの戦慄」感想

脚本:前川淳 演出:芝田浩樹 作画監督:八島善孝(原画も八島さんお一人) 美術:行信三 (2001/10/7 放映)

取り残された小さな村を救ったのは、タカトの無茶とも思える正義感だった。そして魔王は戦慄というほどではなく顔見せだけの登場で、代わりにベヒーモスが暴走を見せた。それを乗りこなすのだからなんぼ、のベルゼブモン。
ルキたちが飛んだはるか遠くにテイマーズの旗、そのまた遠くにタカトたちがいるのが、一連のカメラワークで描かれる。良かった、一応地続きに居るんだ。
光の柱に飛ばされると必ずしも同じ場所に行けないとレオモンは言う。手詰まりの一行、ジュリはくたびれてしまい、休憩することに。向こうには家なのか、土の塊の集まりがある。ジュリが大胆にも大声で人を呼ぶ。大人しい優等生のマドンナかと思いきや意外。疲れでイっちゃってるのかも。
突如、バイク(ハーレー・ダヴィットソンがモデルと思われる)が一行に向かってくる。無人のようなのに、明らかにこちらを狙って来るものだから一同散開、するとタカトとギルモンが狙われる。土の塊はやはり家で、戸を開いた子熊の様なデジモンが飛び出てくる。その子は寸でのところでレオモンに助けられるが、様子を見に来た親らしき熊デジモンは哀れ壁もろともバイクの餌食となる。獲物を仕留めたからか、バイクは走り去る。
一難去って、家々から顔を出す熊デジモンたち、タカトたちを取り囲む。Dアークの表示で、ツチダルモン・成熟期と分かる。一歩先に出たのは、長老らしきツチダルモン一体(石井康嗣さんの兼役)。ツチダルモンは、図鑑によるとユキダルモンの突然変異の変種かと言われ、戦いを好まぬという。
長老の家にて、お礼と食事を出してくれたのだが、土団子にしか見えないので皆手が出ない。ところがジュリは真っ先にかぶりつき、イケると。またもマドンナらしからぬ大胆さ。こういう面がちゃんと描かれてるからこそ、終盤の彼女のシリアスさも生きてくる。
霞がかった中をとぼとぼ歩くインプモン。寒さと体のダメージと孤独感で思わず咆哮する。すると霞の中から現れたのは大きな犬型デジモン。戌のデーヴァ、チャツラモン(石井康嗣さん)、図鑑によるとバイフ―モンの配下の完全体。何を話しかけてきたかというと。
長老の家にて、ジュリはハンモックで眠っている。人間への厚遇を心配するジェンに、長老はデーヴァなど知らぬという。ここはデータの吹き溜まり、誰にも忘れられた村だと。さてレオモンが質問、さっきの鉄の獣は何だと。突然現れ、暴れ回って走り去り、必ず犠牲者が出るという。が、戦いも逃げもしない、わしらにはここしかないのだと。レオモンが「お前たち」と呼んでいるが、レオモンはDWに周知の勇者だから許される呼び方なのだろう。やられるのをただじっと待ってるなんておかしいと叫ぶタカト。しかしジェンは戸外にて言う、よそ者が干渉するのはどうかと。それにジェンは旅の目的とルキたちの行方も気にしている。が、タカトは納得できない、あどけなくギルモンと遊ぶツチダルモンの子供たちがこの先犠牲になるなんて(これは実際の人類の平和観にもつながる憤りだ)。テリアモンも実は賛成、動揺するジェン。小中氏のブログより「しかしジェンも、デーヴァが手段も犠牲も考慮せずに攻撃してくる≪悪いデジモン≫なのだとは、納得していた。だが、デジタル・ワールドの辺境で、多種と闘争せず、ひっそりと暮らすデジモンがいるとは想像していなかったのだ。」
地面にカラフルな数字の0と1がまき散らかっている紫色の枯れ木の森にてクルモンひとり。頭上にはRW球。前話では風の谷で飛ばされてたけど、どこなのだろう。こういう感情を「さびしい」というのかと問う…。なんかかわいそう。感情というものを学習してきたということか。
威厳あるチャツラモンを前に、インプモン節炸裂「だれがてめーらなんかの言いなりになるかっての」しかし奴もさるもの、インプモンにペットを相変わらず取り合うアイマコの幻を見せトラウマをえぐる、もう全部お見通しでスカウトしているということ。「人の世界にお前の居場所などない」とド直球、「デジモンは人に帰依してはならない。デジモンはデジモンに帰依するのだ」とダメ押しだ。力なく膝と手をつくインプモン。
ベヒーモスが再びやってくる。ベヒーモスとは、旧約聖書に登場する陸の怪物。「獣」を意味するヘブライ語の複数形が名の由来。好戦的なのをジェンにとがめられていたテリアモンが超進化プラグインS(台詞上はそうだが、絵が高速プラグイン;;)のスラッシュでここぞとばかりにガルゴモンへ進化。DWへ来て初のスラッシュ&進化バンク、何度も感じるがこの二つのバンク、ほんとに見応えがある。
しかしガトリングアームも獣王拳も効かない。タイヤに当たればパンクして止まりそうなもんだが。ギルモンが飛び乗り制御に成功したと思ったら、落ちたのはチョロモン(声はどなたが兼役してるか不明)。そこでジュリが初のDアーク・スキャン、幼年期(幼年期Ⅰ、進化先はカプリモン、パグモン、モチモン)。そういうギルモンは、目が赤くなりバイクに操られてしまう。
追い詰められるインプモン。神を崇めれば強くなれるのか。チャツラモン、にやりと笑むのが何ともいやらしい。
一向は村から離れるように逃げる。チョロモンは、あのバイクに乗ると意識を乗っ取られ、次の誰かが死ぬまで走り続けると説明。アンデルセンの童話とは言っていないが、「赤い靴」のようだとジュリ。結末は、足を切断し教会に帰依したのちに果てるというもの。同じくアンデルセンの「人魚姫」と同じように、キリスト教的にはハッピーエンドだが。日本人にとっては、童謡の「赤い靴」の詩の内容もあって、暗く恐ろしいイメージがある。不安になるタカト。
前へ出てギルモンに呼びかけるが認識されていないようで突っ込んでくる。放たれたファイアーボールを、ジェンのスラッシュ「ブレイブシールド」で防御に成功。タカトは動揺のあまり自分が替わりに乗ると言い出し、さすがにジェンが制止する。
「今この世界では、デジモンは自ら進化する力を奪われている」。神の力で進化するには『契約』が必要だという。人に飼われし堕落したデジモン、つまりは何やかやと親しくしていたギルモンたちを敵に回し倒すことが契約だと。決意の末それを承諾するインプモン。するとチャツラモンはインプモンをいずこへと送り込む。あの明治通りにちらと見えた巨大な燃える鳥のもとへ…。
再び向かってくるベヒーモス、レオモンが剣(獅子王丸)でギルモンを気絶させ、事なきを得たものの、ベヒーモスは走るのをやめず、燃えるものへと呑み込まれて。
バイクが無くなり安心する一同。もう村は襲われない。ジェンは自分がDWの事を自分らの常識で考えてはいけないと思いすぎていたのかも、と反省の言葉を。タカトの素直な気持ちがツチダルモンを助けた。ジュリにもほめられ赤面するタカト。
すると突如、崖下から何者かが現われる。それは、ベヒーモスを乗りこなすというただならぬデジモン。タカトたちの声は届いているのかいないのか、しばらく止まっていたが走り出し、スピードを上げ去っていく。その名はインプモンが遂に進化した「ベルゼブモン」!うわ、ヴィジュアルかっこええ!その姿は荒野の果てへ消え、ダストパケットが飛ばされてきて終わる。図鑑によると、多くの悪魔型デジモンを統べる能力を持ちながら、あえて孤高の存在を守る魔王型デジモン・究極体。運命の再会はいつぞや。
小中氏のブログより追記。「見返して思うのは、アイとマコがパートナーだった時の、良い記憶もあっただろうという事。どうしてもアイとマコが登場する場面は、姉弟で奪い合う喧嘩になってしまう。しかしインプモンだって、ずっと後半になれば一旦、アイとマコの元へ帰るのだ。嫌な記憶しかないのであれば、そうはしまい。その辺りを描けていればなぁと20年後に思う(無意味ではある)。」大丈夫、伝わってます。

次回予告:予告からして爽やか光線満載、いったい何者?私はゲームの内容は詳しくないのではあるが、02で賢ちゃんとの絡みが全く描かれなかったのに、テイマーズでメインキャラとはこれ如何に。ファイナルコールはルキ、ヒロカズ、ケンタ。

(2022/1/1 記)

 

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