デジモンテイマーズ第28話感想

デジモンテイマーズ第28話「敵か味方か!?伝説のテイマー秋山リョウ」感想

脚本:吉村元希 演出:今村隆寛 作画監督:信実節子 美術:清水哲弘 (2001/10/14 放映)

リョウとサイバードラモンの登場とバトル、リョウとルキの関係性、メインパーティーの動向が描かれた回。リョウがテイマーズのキャラとして採用された顛末は小中氏のブログより。
ワンダースワンのソフトで秋山遼が主人公のRPG が、無印と02の放送時にパラレルに展開されていた。「テイマーズがメタ・アドベンチャー的な設定だという事で、関プロデューサーが、デジタル・ワールド編で秋山遼を登場させる事を決めた。そもそもメディアミックスな企画がデジモンなのだし、大まかな話を聞いた段階では何ら問題ないと思って、そういう構成を立てていたのだけれど、我々ライター陣はゲーム設定の詳細を知るに従って、安寧に双方の世界観を直結出来ないと考えざるを得なくなる。(中略)無印、02のキャラクターたちとのドラマがあった、というヒストリーはテイマーズでは触れない事にした。だから関プロデューサーが、「同一人物だけれど、一度記憶を失っている」という、やや苦しい説明をする。(中略)アニメ・シリーズとパラレルに進行していたゲームの人間キャラクターなのだから、可能な限りの整合性はとって然るべきだった。不満を持った視聴者もいたかもしれないが、テイマーズのシリーズとしては、年齢からしても、テイマーとしても、そしてデジタル・ワールドに来た人間の「先輩」という、実に美味しい設定だった。」「リアル・ワールドでもゲームの常勝者だった、となれば、当然留姫とは接点がある。という事で遼のキャラクターづけも込みで、吉村元希さんが2話持ちで書いた、その前編。素直に留姫と仲良くなりはしないだろうな、と思っていたら「さわやか光線」。そ、そうなんですね……、とシナリオを読んだ気がする。「敵か味方か!?」というのは、リョウが敵な訳ないのに、と思っていたのだが……、本編を見ると微妙に正しい。」
風の谷から上昇し、荒野へ戻ったルキたちは、テイマーズ旗のもとにいる。あうんの呼吸で、様子を見に行くというルキとレナモン。ヒロカズとケンタに、レナモンは動かないよう釘を刺す。砂埃に消えるルキたちを見送って。
一方のタカト一行。ジュリがレオモンの肩に乗っているのがツボ。手がかりはなく、でもテリアモンはモーマンタイと。「縁があればまた会える」と呑気な発言に一同嘆息。旗のところへ戻ってみる事に。旗は一応役に立っているという事。誰もいないが(ニアミス、惜しい!)ギルモンがレナモンのまだ新しい匂いを発見、たどっていく。すると巨岩でできた遺跡のようなものがあり、匂いは途絶える。
残されて不安になってついてきてしまったヒロカズとケンタ。もう、ほんとおバカなんだから;ルキの使えないとの不満も妥当な反応だ。そして近づく光の柱、まだ遠いと余裕かましたケンタだが、時すでに遅し。
たどり着いたのは、歯車と時計の小世界。近かったRW球が遠くに見える。怒りで固まるルキの背中が印象的。振り返ると、激しい身振り手振りで怒り爆発。またもやこの二人と一緒に飛ばされたのがどうにも納得いかない。ルキのどアップが迫力。ヒロカズの言う身もふたもないは確かにそうだけど…。するとレナモンが時計の音に気付く。
雪のような白い地面に、ぽつんと立つ時計。秒針が引っ掛かっているようで進まない。ルキが触ろうとする瞬間、触るなと叫んだデジモンがいる。けれど驚いてつい触ってしまっていて、時計が正常に動き出す。おののく二体のデジモン、クロックモン(小栗雄介さん)・成熟期、ハグルモン(世田壱恵さん)・成長期。皆をあざ笑うように飛び出す鳩時計。二体の嘆きの理由は、この時計が止まって歯車が回っているとここは平和なのだという。
果たして、巨体と咆哮が恐ろしいメガドラモン(柴山由崇<ゆたか>さん)・完全体のお出まし。テイマーと分かるのか、ルキに狙いを付ける。臨戦態勢のレナモン。クロックモンとハグルモンは、レナモンにテイマーがいると知り驚く。テイマーがいるデジモンをロードするとRWへ行ける、その為なら犠牲をいとわぬデジモンが多いという伝説があるのだという。くだらないと、一蹴するレナモン。ルキとて、逆にこっちがロードしてやると息巻く。しかしその巨体相手に進化は必至、DWでルキ初のスラッシュ、超進化プラグインS、キュウビモンに進化。テイマーとタッグを組んだ進化。進化を見るのは久しぶりというクロックモンたち。そう、DWではここしばらく普通には進化が出来なくなっている。
しかし、鬼火玉は突き返されてハグルモンにも当たり、歯車が一個取れてしまい機能不全に。弧炎龍も無効、傷つき倒れるキュウビモン。ルキ、ピンチ!
そこに現れ加勢したのがサイバードラモン(世田壱恵<せたいっけい>さん)・完全体。メガドラモンに何と「お前、俺の敵か?」と問うている。体格に歴然と差があるにもかかわらず、メガドラモンを地に押し付けてしまう。イレイズクロウを穴だらけになるまで放ち圧勝したがまだ攻撃を止めない。それを制止に入ったのがそのテイマーの少年。激しい展開にさすがのルキも目を見張る。
少年は手にしたDアークからヒカリの縄を出し、それはお前の探す敵じゃないと、サイバードラモンを拘束。ようやく攻撃をやめるサイバードラモン。汗をぬぐい振り返ると、危なかったねと笑顔。あっけにとられるルキに一方的に握手を求めリョウ(金丸淳一さん)と名乗る。悔しさで一杯のルキにお構いなしに親しげに話すリョウ。伝説の事を知っており、気を付けてと助言。もう聞いたとむくれるルキ。ハグルモンの不調を治し、時計をナイフで止め、何でもそつがない。しかもここには複数回来てハグルモンたちを助けておりDWにはかなり慣れている様子。RWに行きたいというハグルモンを励まし見送るやさしさも嫌味なほどさわやか。ルキ「陽に焼けた肌、輝く白い歯、さわやかな笑顔…。何なの、この異様なまでのさわやか光線は。あームカつく」。ルキには大不評。ここでテイマーズのリョウのキャラがほぼ確定。
ヒロカズとケンタが伝説のテイマー秋山リョウと気付き、会えて感激だと大興奮。リョウは中学2年の設定なのでヒロカズらの3歳年上。リョウも、DWで人間の子どもに出会えると思っていたという。
もしやルキらはここで光の柱に呑まれたのか。巨岩に入り口があり、そこへ入るタカトたち。ここも独特の小世界。浴槽を横にしたような岩があり、一同そこへ入ってみる。まるで乗り物のようと言うと、それに呼応したのか、突然壁が閉じ、閉じこめられてすごいスピードでどこかへと運ばれる。
マジラモンに乗りクルモンを探索中のマクラモン。
当のクルモンは、何と旗のもとに来ていた。ギルモンに会いたいとつぶやくクルモン。旗を持とうと抜くが旗ごと強風に飛ばされて、またどこへ行くやら。
夜、たき火を囲むルキたちとリョウ。今までのいきさつを話している。10月とわかるとリョウは、もう10か月DWにいるという。主な理由は、サイバードラモンが獰猛すぎてRWで暮らせないのだという。そんなデジモンとパートナーシップで結ばれていることに感銘するヒロカズとケンタ。しかしルキは結局自分もRWへの出方がわかんないんじゃとこぼし、キュウビモンにいさめられる。
ここで火に油を注いだのがヒロカズ。デジモンクイーンたって、リョウの不在ありきだと。優勝したリョウが準優勝のルキより強いと。弱くて足手まといな奴に言われて激しく抗議するルキ。手前の炎がルキの心情を現わしている。リョウの事は覚えていないというが、先のリアクションから強がりな嘘かも。そんなルキに、助けたからには言うことあるんじゃとリョウ。これも拒否するルキ。そうよねお礼はやっぱり言わなくちゃ。
リョウによると、上へは出られないという。サイドルートを抜けて隣の空間へ行くんだと。さすが詳しい。一緒に行くかと誘うリョウにヒロカズは即同意、しかしルキは反発、キュウビモンを連れ去っていってしまう。何も知らずに意地っ張りめと案じるリョウを尻目に。ヒロカズは怒るが、ケンタもちょっと心配。そんな途中でのエンディング、待て次回!
小中氏のブログより「と、留姫と抜き差しならない緊張関係がリョウとは生まれる。既にしてテイマーズの物語に存在感を提示している。今後も、デ・リーパ―編から最終話までリョウはテイマーズの一人となる。一方、サイバードラモンを充分に描けたかというと、これはなかなかアニメでは触れ難い設定がゲームの方にあった。サイバードラモンはまだ見ぬ、自分が倒さねばならない敵という存在を探し続けているというデジモンで、それをアニメでは軽く扱えないと考えた。しかしワンダースワンでも、モノドラモン(サイバードラモンの成長期)とパートナーにはなるものの、その結着までは描いていない様だった。だから、アフターCDドラマ「メッセージ・イン・ザ・パケット」で、リョウに、お前の本当の敵は、実はお前の中にいるんじゃないのか、つまり、自分の影を探しているんじゃないか。だったらもうそんな事を目的にするのはやめた方がいい、という趣旨のメッセージを書いたのだった。」と、ドラマCDにもわたるコメントを頂きました。

次回予告:サブタイトルが一つずつ違うテーマを言っているのでは。やっとタカト一行とルキたちが合流!ただ、全員を描くのは各スタッフに負担というから、また離散するかな。ファイナルコールはタカトとあと2人、ケンタ?と?

(2022/1/3 記)

 

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