デジモンテイマーズ第30話感想

デジモンテイマーズ第30話「デジタルワールドから緊急連絡 クルモンが…」感想

脚本:前川淳 演出:梅澤淳稔 作画監督:山室直儀 美術:徳重賢 (2001/10/28 放映)

この回のサブタイトルも、一行に二つの事象を併記したもの。山木不在でヒュプノスの再開がされ、それがDWにも影響を及ぼすさま。そしてクルモン、ルキたちとタカト一行の再会、ベルゼブモンの初バトルと一行への決意表明が語られる。各キャラにそれぞれ見せ場があるのは大変うれしい。
夜の見張り役をジェンと交代するタカトとギルモン。ジェンに耳で掴まれた眠そうなテリアモンかわいい。近くに迫るRW球、ルキを案じるタカト。
その頃ルキとレナモンは、RW球が遠くに見える森の中で寝ていた。周囲をデジノームが飛び交う、美しい二人に惹かれたのか。さすがに気になって目を開けるレナモン、見やった先のルキの単独行動を心配しているよう。小中氏によると、デジノームの声は、毎回声の低くない女性声優陣が別途に収録していたそう。
爆煙を上げて走るベルゼブモン、強い力を得たことにまだ満足はしていない、なぜなら使う相手がいないから。戦う相手を求めて夜に咆哮する。
小中氏のブログより「意図的なのか、今話は1コマ作画が実に多い。エフェクト・アニメ―ションが多いが、ダイナミックなキャラクター・アニメ―ションも惜しみなく描かれている。劇場作品的。昔の私はゴールドライタンの「標的マンナッカー」などを見ては喜んでいた。今話はそれに近い感覚を覚える」。「ゴールドライタン」とは、トランスフォーマーやマシンロボなどに先んじた、意思を持った変形ロボットの群集劇である。主役ロボットのゴールドライタンと主人公ヒロとの友情が重要なテーマになっており、時代を先取りしていたという。標的マンナッカーは、第48話のサブタイトル。
朝、タカトの提案にジェンも同意し、旗のところに戻ることに。小中氏のブログより「ここでBGM「人々」(※注釈:「行き交う人々」のこと)が流れ始めたのが、個人的には嬉しかった。現実世界編の、≪いつもの日常≫を彩る音楽なのだ。それが、デジタル・ワールドで初めて流れる。ここもタカトたちにとっては、「日常」の世界になってきたのだ」。
ルキ苦手と告白するケンタ。パートナーデジモン不在をバカにしてると、ヒロカズも同意。ジュリはルキちゃんを好きというが、パートナーがいる人にはわからぬとヒロカズ、ごもっとも。いずれパートナーが現われるはず、とのレオモンの言葉に喜ぶ二人、けれどレオモンの真意は同情に近い言葉がけだった。希望はエンジェモンとヒロカズ、否定するケンタ。私もそう思います。じゃれ合う二人の様子がおかしくてとても好き。できるといいね、と小声でジュリ。
旗のところに着いた一行。これにも裏話が。「実は最初にこの荒野に落ちて、写真撮影をした地形と、それ以降に描かれてきた旗ポイントには共通点がなかった。これは構成役としての私のミスであった。前川さんが、特徴的なメサがそそり立つ場所と改めて設定し直した」。旗は無くなっており、旗を立てた穴からギルモンがクルモンの匂いを嗅ぎつける。おもむろにクルモンの真似をするテリアモン、しらけてスルーする一同^^;)レオモンは、クルモンがデーヴァから逃げたと推測。タカトも、クルモンが僕らを探してると喜ぶ、大当たり。
壊滅的な被害の明治通りのニュース、見ていたのは山木だった。広いリビング、都庁も見える大きな窓。麗華が朝食が出来るという。二人の同棲もしくは半同棲がほぼ確定、ただここが山木の部屋か麗華のそれかは確定できない。たぶん山木と思うが。山木が見やる都庁、その中では…。
ヒュプノスが再建されている。監査委員(山木の直接の上司・佐藤晴男さん)がさらに上の検察官(飯島肇さん)に抗議している。知識を持つ者でなければここは稼働できないと。しかし検察官はまるでやめる気はない。いよいよヒュプノス再起動。するとヒュプノスのロゴマークが映る。ここでまたブログより裏話「23話で山木は、形状だけのピンズを襟につけていた。このロゴが設定された理由を私は知らない。貝澤さんが必要だと考えたのかもしれない。ロゴの後ろでサークルの2Dアニメ―ションが動いており、メインタイトルバック、D-Arkの表示と同じ意匠だからだ」。
するとDWにも影響が。RW球に電光が走り、ひどい風が吹き荒れる。光の柱が迫り来て、一同は寸でのところで、野生の勘かギルモンの見つけた洞窟に避難し事なきを得る。レオモンが言うには、この嵐が吹くようになってから、DWはおかしくなったと。つまりはRWのヒュプノス、シャッガイがDWに干渉をもたらすという事。
タカトの持つ通信機が光り出す、ひょっとして。山木はメールの受信音をキャッチ、受信の設定を開く。麗華が丁度朝食を運んでくる。トーストにサラダ、この時季にアイスコーヒー?。まさかの着信、「ボクタチハゲンキデス。マツダタカト」。安堵する麗華、山木にあなたは?と問いかける。山木を親身に支える唯一の人。山木はシャッガイの失敗を引きずって休職中らしい。だが、受信したからには子どもたちの為にも動かねば。
嵐が止んで。通信機の光は消えてしまう。メールが届いたか、ここでは確認する術はない。
森を歩くルキとレナモン。デジノームが付いて回るが、レナモンによるとデジモン以外の生き物という。レナモンが食料を探すと。けど、リョウの言うように食べなくても大丈夫なのでは?ルキは、気味の悪いキノコとか採ってこないでと毒舌。(後でわかるが、レナモンはまさにそれを採っていた。笑)
走るベヒーモス、目的物を見つけて停止。悠然と奏でられるギター音、そこには蟻塚のようなクリサリモン(成熟期)の集団が。ベルゼブ、つまみ程度にゃなる、と余裕の発言。そして流れ始めるベルゼブモンのキャラソン「Black intruder」(作詞:山田ひろし、作・編曲:太田美知彦)。intruederは侵入者、邪魔する者。これ、かっこええ~思わず聴き入ってしまうし、ベルゼブの初陣を華々しくする効果も。襲いかかられても余裕、ベレンヘーナ(スペイン語で茄子という名のショットガン)を突きつけ「ダブルインパクト」を連射し無数のクリサリモンを撃破。デジモンカイザー以来の高笑いが聴けてまたかっこええ。クリサリモンの願いに応えて、やや近くの森の中にいるクルモンの力が発動し、もう起きなくなっていたはずの進化!巨体のインフェルモン。技を食らうベルゼブモンだが、押し返されただけで無傷。これにも高笑い、「最高だぜ」俺は強くなったんだと実感。近づくインフェルモンを飛び越えてかわし、ダークネスクロウを発動。二体の動きが止まり…、勝利したのはベルゼブモンだった。インフェルモンをロードするベルゼブモン。
それを見ていたのはチャツラモン(石井康嗣さん)。力を与えたのだから次は、と迫る。もちろん承知しているベルゼブモン。
レナモンを待ちのどが渇いてしまったルキ。それを聞いて、デジノームがルキを目を見張る美しい川へと連れていく。デジノームかわいい。さっそく飲んだ水はおいしく、機嫌のいいルキ。デジノームも喜ぶ。しかし、川の水が増水しルキは水に呑まれてしまう。悲鳴を聞きつけレナモンは駆け付ける。ルキに投げられた急ごしらえの綱。投げて助けたのは何とクルモンだった。クルモンがそんな仕掛けをにわかに作れるとは思えないのだが…;思わぬ再会!
しかし川はさらに増水、着いたレナモンの目にも止まらぬ速さがなければ、ルキとクルモンは危うかった。その水は例の荒野へと吹き上がり、流され落ちるルキ。そのピンチにクルモンのおかげでスラッシュなしでキュウビモンに進化しルキの着地をフォローし事なきを得る。
ヒュプノスでは、シャッガイの準備がされている。危険だと必死に抵抗する監査委員だが、検察官は聞く耳持たず。そこで監査委員はある者に電話をかける…。
ギルモンが、クルモンとキュウビモンの匂いがすると。果たして、遠方からキュウビモンに乗ったルキが。そしてあの旗はクルモン!クルモンを抱きしめるタカト。ようやく目的の半分は達成された。全員が揃いホッとして休む一同。クルモンはジュリに抱かれ余程疲れたのか眠ってしまう。帰還のためにジェンは通信機を手にするが、山木との連絡は取れない。頼りになるリョウもいない。どうしたものか。
ベルゼブモンが高みから一同を見つけ、姿を現わす。身構える一同。テリアモンがガン見するが、ジェンのDアークにデータが表示されない、もしやデーヴァか。インプモンとの絡みの多かったキュウビモンだけは、この者の左腕に巻かれた赤いバンダナに心当たりを覚える。まさかインプモンの進化した姿。一同、声を上げ驚くが、そんな奴はもういねえと、ベルゼブモンを名乗る。ここで表示が出る、究極体魔王型デジモン。
ベルゼブモンはキュウビモンの鼻先に容赦なく銃を構える。キュウビモンも逃げずに対峙したまま。「俺はお前らを、殺す!」とどストレート。ほんとに敵になっちゃったんだねえ。
シャッガイ、準備完了。
恐ろしい言動とヴィジュアルに、一同驚きを隠せない。インプモンが何よ、とルキは反発しスラッシュ、タオモンへ進化。久々のタオモン進化バンク、本当に美しい。小中氏「タオモン進化は、ベルゼブモンがもし攻撃するなら、みんなを守る為であったが、これが実に正しい判断であった事がこの後判る」。
シャッガイ、起動。荒れ始めたDW。都庁の上空の異変を、ジャンユーとシウチョンは見て心配でならない。タオモンが一同を結界の中へ。ただならぬ気配に、出直すことにしたベルゼブモンが高い崖をものともせず走り去る。
検査官がシャッガイのテスト終了を告げるが、技術スタッフ(小嶋一成さん)は停止不能という。慌てる検査官。そこへいよいよ山木が麗華を伴って登場!プロの出番、素人はお引き取り願おうと。キター!止む無く捨て台詞を残し引き下がる検査官。
結界の前に現われたのはチャツラモン、完全体聖獣型デジモン、デーヴァだ!その攻撃で結界が破れ、飛ばされる一同。レオモンがジュリとヒロカズ、ケンタを確保するが、クルモンは飛ばされチャツラモンに捕まってしまう。せっかく再会したのに!再び結界を張るタオモン、しかしタカト、ジェンとテリアモンが結界から外れてしまう。そして光の柱に取り込まれ…今度はどこ行っちゃうんだろう?!
山木と麗華のオペレーションにて、シャッガイ緊急停止が果たされた。やってくれました。都庁上空は収まっていく。
DWの荒れも止む。タカト不在に、呆然とするギルモン。一同がせっかく揃ったばかりなのに、大変ヤバい。
小中氏「交通整理的なエピソードは本来なら私が担うべきだったが、私は第三部の構築と、デジタル・ワールド編での大詰め(ベルゼブモンの決着)を具体的にする事に専念していた。前川さんはチーム・プレイヤーとして徹してくれた一方、ベルゼブモンのキャラクター性をダイアローグで決定づけている」。孤高の魔王・ベルゼブモン、かなりイケているv

次回予告:オロチモンにジュリがさらわれた。ヒロカズはガードロモンと協力して助けに向かう。そう、テイマーヒロカズ!いよいよヒロカズにもパートナーが!ファイナルコールはルキ、ヒロカズ、ケンタ。

(2022/1/21 記)

 

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