デジモンテイマーズ第42話感想

デジモンテイマーズ第42話「デ・リーパ―に襲われた街 テイマーの決意」感想

脚本:まさきひろ 演出:角銅博之 作画監督:信実節子 美術:徳重賢 (2002/1/20 放映)

親の心情を知った上で、デ・リーパ―の事を知っているのは僕らだけだと強い使命感を持って現場へ向かおうとする3テイマーのシンクロした決意。四聖獣さえ手を焼くとわかっていながら、見過ごすことなどできなくて。
今話について小中氏「ジュヴナイルであり、リアルな侵略SFバトルであるという事の両立は、絶妙なバランス感覚によって各話で構築されていった。未知なる侵略者は、まず恐ろしく見えなければならない。第三部の初回はまさきさんと角銅さんのコンビで、恐怖感を軸にテイマーたちの責任感を描く。(後略)/今話は登場人物がバラバラ状態からの作話で、端的に説明する為に字幕が入る。この後の話数でもこれは引き継がれていく。/まずはホテルニューグランド、と思しき横浜のホテル(後略)」。
西新宿の異変をニュースで見ているルキ。なぜデ・リーパ―がRWに?ルミ子は仕事先と電話、マイペースなようでも職場への配慮はできる大人だと描かれて。こんな危機、だからこそ家族の時間を大切にとも思っている。ルキには意外だったよう。
李一家は、趙先生の家に避難させてもらっていた。テレビを見る兄妹の4ショットはこれが初、ロップモンも加わって。麻由美がジャンユーに携帯でかけているが繋がらず、趙家の固定電話に着信が。ジャンユーからだ。ジャンユーはジェンリャに伝える、異常現象のことは私たちに任せろと。焦りつつもわかってますと答えるしかないジェン。
ジャンユーは山木らと共に異変現場近くに駐車しているヒュプノスのモバイルラボ車に詰めている。中ではヒュプノス・チームとワイルドバンチが設定を進めている。小さいながらヒュプノスの基本機能は備えているという頼もしさ。
夜明けの松本駅で異変を知ったタカトは、中央本線上り急行あずさに乗っている。まさき氏は今話を書く為自腹でシナリオ・ハンティングをしたというからすごい。ある乗客の読む新聞によると、デ・リーパ―とデジモンが世間で混同されているよう。その乗客はギルモンを見咎め、車掌に伝えようとする。悪いことなどしていないギルモンだが、世間の目はまだそれを知らない。慌ててジャケットをギルモンにかぶせるタカト。次は八王子駅。逗子の叔母の家に行くには乗り換えねばならない。美枝と約束したのだ、ジュリを送り届けたら必ず向かうと。小中氏「今話はじっと考え、声に出すのを躊躇い続けている。一話の、まだ幼いとさえ言えたタカトから、思慮をする人間へと成長しているのだ」。一応、三鷹へ向かうあずさ号を見送ったものの、横浜線にははたして乗り換えるのか。
こちら福岡空港国内線出口。一年も行方不明の中学生がデジモンの世界から帰ったというニュースは知られていて、リョウはマスコミに質問攻めにあう。それを強引に遮ったのは九州訛りの父親(世田一恵さん)。車中でモノドラモンを紹介すると、父は「きさん(お前)は横道もん(バカ)たい!」と叱る。横道とは、博多弁では横着の意。リョウは「洒落のつもりね?」と受け流すが、涙を浮かべて深刻な父の顔に思わず謝罪。爽やかどころではない。モノドラモンが勝手に車をいじるので、ラジオから偶然新宿の異変がリョウの耳にも入る。もはや他人事ではないリョウ。
避難区域となっている東新宿駅(地名的には大久保、百人町辺り)周辺の住宅街。アイマコの家へ侵入するインプモン。インプモン不在の後に迎え入れられた飼い犬は不在。家族もおらず、子供部屋を覗くと慌てて避難した様子。アイマコの写真とともに飾られていた、インプモンの似顔絵に心動くインプモン。自分はパートナーとして忘れられていなかったのだ、驚き。
松本の樋口家。樹莉の義弟・昌彦が縁側でクルモンと遊んでいて、転んで泣いてしまう。母・静江(宮下富三子さん)がやさしく介抱する、痛くなーい、痛くなーいと。そもそもやさしい性格で、継子のジュリに冷たく当たるような人物ではない。強いて言えばやさしすぎて腫れ物に触るような面があったか。ジュリにとっては心開けない存在であったのだ。(ここでちょっと疑問なのは、クルモンの存在を母が全然気にしていない事。例の怖いデジモンの一種か、とかいう観念は浮かばないのだろうか。)それを見て学習したのか、ニセジュリが昌彦を押し倒して恐ろしい表情で「痛くなーい、痛くなーい」と同じ声掛け。怖さに泣きだす昌彦。義母がいぶかしむと、ニセジュリは笑顔を作ってみせる。小中氏「機能が高まっている樹莉タイプのADR。アフレコ時、記録の小川さんが角銅さんに、「ニヤリと笑うところ、、リアクション(言葉じゃない息やニュアンスを現場ではこう呼ぶ)は要らないですか?」と問われ、角銅さんは「これは人間ではないので要らないです」と答え、効果音のみでこの笑顔になる」。この笑顔、ほんと怖いですね。クルモンは耳を縮め、ジュリの変化を案じる。
中央線は今もダイヤが乱れている。逗子に電話したタカト、一方的に帰りを促す母に、タカトも一方的にぼく今帰れないんだと断言、電話を切る。デ・リーパ―の出現を知った以上、避難するなどできないと決心。
新宿駅西口駅前、自衛隊の車両やテントが整然と並ぶ。(ここで疑問なのは、都庁がデ・リーパ―に丸呑みされているのに、西口駅前がまるで無事な事。至近距離なのになぜ。)武装はバイオ・ケミカル仕様。まだ大きな被害が出てはいないが、得体の知れないものに占拠されているので始終ニュースが流れる。
ニュースを見て、親指の爪を噛むルキ。そんな癖があったのか、焦りからか。人の作った武器で退けられる存在でない、と冷静な批評をするレナモン。わかってるよとルキは立ち上がる、自分らが行くしかないと決めて。ルミ子は察して用意していた、ハートブレイクじゃないハートマークのおそろいの色違いのTシャツを。自分も若い頃無理言って結婚したことをおもむろに話す。以前なら自分が着せたい服を買ってきたが、今は自分がルキの趣味に合わせる心遣い。笑顔でうなずくルキ、謝礼するレナモン、部屋を飛び出していく。ルミ子、行って良いって、言わなかったよと少しの恨み節。けど聖子の温かいフォローがある。
小中氏の記載によると、第一特殊武器防護隊(練馬駐屯地)がリーコン部隊(私の注釈:威力偵察の精鋭部隊)として派遣されているという。うねうねと動く巨大な赤黒い泡が迫る。相手が何者かわからないからの特殊部隊の派遣なのだろう。
ジャンユーは画面に、ヒュプノスが何者かに乗っ取られた記録というのを表示する。侵食は始まったばかり。リアライズするのは、デジモンだけじゃないのか、愕然とする山木。とにかくやるだけのことはやろう、とジャンユー。
趙先生宅にて。シウチョンがロップモンに、「我」や「なり」を禁止した「普通の」会話の特訓をするという箸休め的な場面。気の毒だがテリアモンも打つ手なし。その背後ではジェンと趙先生が会話。先生の言うとおり、デーヴァにはデーヴァの正義があった。だが先生は更に言う。それぞれの世界に属する者には、それが信じる正しき道がある、正しき道が何であるか探し続ける、それがその世界に生まれた者の生きる意味なのだと。正しさとは追求し続けるしかないのか。ジェンには果たして伝わっただろうか。
中央線を曲がりなりにも使ったのだろうか、中野坂上(西新宿の手前)までたどり着いたタカトとギルモン。街も交番も無人なのを確かめて、ギルモンのジャケットを脱がせる。小中氏「デ・リーパ―・ゾーン付近は温度が高いという設定にしたのは、あの赤黒い泡の見た目もあるが、春夏秋用のテイマーの衣装のままでいける様に、という配慮の意味もあった」。確かに、冬服でのバトルとなると印象が大きく違ってしまう。バトルにおいて冬服の必然性はない。
首都高横羽線(横浜ー羽田線)を進むキュウビモンとルキ。立ち入り禁止の看板を飛び越えて。
西新宿は警察の機動隊によって封鎖されている。グラウモンに進化して突破…でもデジモンが疑われてる時に敵だと思われてはまずい。熟考するタカト、名案は浮かぶのか。
ルキが新宿へ向かったと知ったジェン(ルキは趙先生の電話番号を知らないだろうから、どうやってジェンはルキが動いたと知ったのだろうか)、真由美を説得できるか。行かなきゃという決意だけで、具体策のないことを厳しく指摘されて。でも、デ・リーパ―の事を知っているのはぼくらだけ、知らないふりはできないと訴える。麻由美は呆れ半分にいう、ジャンユーとそっくりだと。腕力で止めはしない、という消極的な賛意の示し方しか出来なくて。我が子の危険を望む親などいない、絶対に認めないと背を向けたまま。中国式の礼をし出ていくジェン。
親子関係の描写について小中氏「感情を爆発させるところは34話で既に見せた。今話は、極めてロジカルにジェンの無謀さを改めて思い知らせる役割。しかしやはり面と向かって、送り出せる親などいまい。心痛む、親不孝チャプター2。デジタル・ワールドへ行く時はタカトの親を描写したが、今話では留姫とジェン、それぞれを逃げずに描いた。/この5年後くらいになれば、子どもも携帯電話を持つ様になって、子ども同士で打合わせという事が普通に可能になる(状況的に携帯電波が不通になっているかもしれないが)。やはり携帯がもたらしたコミュニケーションの変革は、ドラマも変えてきている。今話の様な、テイマーのシンクロニシティともいえるこの後の展開が、もう描けない」。
ルキのシャツについては「留姫のTシャツがブロークン・ハートからアンブロークンに変更になった経緯が思い出せず、まさきさんにも聞いてみたが、映画「暴走デジモン特急」がこの頃から企画が始まっており、その時点でもうアンブロークンなデザインになっていた模様。同作の監督でもある中村哲治さんが、残り10話分の留姫の衣装を変えるという大胆な決断をされたのかもしれない。/勿論、この変更はドラマとして最大限に今話で効果的に見せられていく」。20年も経つと、デザイン変更の経緯がはっきりしない事もあるんですね。しかしハートは伝わったぞv
どうしてヒュプノスを狙って現れたのか、ヒュプノスのせいなのか?!重責に耐えかねる山木。戦友たるジャンユーが声をかけて。
人間にとって未知なるデ・リーパ―に新都心を占拠され、まずは化学防護車と後に続く特殊部隊が進む。動き続ける赤黒い泡。
樋口家。「ジュリ?ジュリちゃん?」呼び方が定まらないのは、心的距離を測りかねている証左。その遠慮が結果的にジュリを遠ざけているのか。縁側で静江は昌彦にジュリの所在を尋ねる。昌彦は奥を指さす。奥は行き止まりのはず、しかし昌彦は譲らない。恐る恐る照明を点けてみるが、ジュリは不在…。ホラーテイスト。ニセジュリはデ・リーパ―であるから、本物のジュリは西新宿に居るのか?
進む特殊部隊。この頃の撮影機は無線仕様ではなく、長いケーブルを引きずっている。そのケーブルが何者かに引っ張られ隊員が転倒。撮影機はそのまま引っ張られ消えてしまう。
タカトとギルモンはトンネルへ辿り着く。(ここのセリフが一部はっきり聞こえない。私はYouTubeでなくDVDを見ているのだが、音源自体のトラブルのよう。)ここを通れば新宿中央公園へ着ける。行こうとすると、ルキの声がする。流れるデジモンテイマーズのテーマ。夕日を背に現われたルキとレナモン!そして自転車で来たジェンとテリアモンも合流!考えていることは3人とも同じだった!テイマーズが黙っちゃいられない。ルキの脱ぎ捨てたジャケットが宙を舞って。
隊員の無事を確認するとともに、引っ張っていった者を視認しようと近づく部隊。
トンネルの中にて。小中氏「テイマーとパートナー。この三組が並んで歩くのは42話にして初めて。三人だけなら、7話(角銅演出)で歩いた事があったが、こうした親密さはまだなかった」。行ってどうなるのかって、ぼく答えられなかった、とジェン。そう、四聖獣さえ手こずる相手、とレナモン。どうにかなるんじゃないのと、お気楽なテリアモン。どうにかなったらパン一杯食べたいと、無邪気なギルモン。それぞれの個性が出ている。ルキのハートの変化に気付いたタカト、似合うって言ってくれないのと噛みつくルキ。ここも箸休め的な可笑しさ。
部隊が目にしたのは、大量の鳥のような形のADR-02Searcher。小中氏「ADRのナンバーは確認された順なのだが、ネーミングもあくまで作り手側の共有の為だった」。ナンバーにも呼称にも大きな意味はないという事か。
新宿中央公園南端のトンネル出口から出てきたタカトたち。都庁周辺の空中で複数の爆発が。もう交戦は始まっていた。地上からの攻撃をかわすのはてるてる坊主の様な顔の付いたADR-03PendulamFeet。ゾーン外部に出るADRは有線でゾーンと繋がっている。つまりは形は変容していても、あくまで一体のデ・リーパ―という事。慄然とするテイマーたち。ここで一体何ができる…。
小中氏「インダラモン戦、ヴィカラーラモン戦で攻撃ヘリを出したが、まだ描写の主体は子ども視点であり、自衛隊員の描写を避けていた。しかし遂にこの第三部では人間側も死力を尽くす。/ADR-02 Searcher 渡辺けんじデザイン。群体でゾーン外を探索する「目」/ADR-03PendulamFeet これも渡辺けんじデザイン。同じ顔のドローンを従えている、攻撃型ADR 。足が振り子鎌になっている。むちゃ強い。/デ・リーパ―に引き込まれたビデオ・キャメラも、後に違う形で再登場する。/テイマーとデジモンが本格的に戦うのは次回から。そこまでのリアリティと、何より心情の描写を丁寧に描写されたのが42話だった」。親の辛い心情を背負って、でも僕らしかという使命感に燃えるテイマーズにこちらも気合が入る、頑張れ!

次回予告:リアライズしたデ・リーパ―と、タカトたちの初めての戦い。しかしRWでは究極体には進化できず、ピンチ!そこに加勢したのは何とインプモンがアイマコと再会し進化したベルゼブモン!ファイナルコールはタカトとインプモン。

(2022/3/21 記)

 

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