「我が家へ!拓也たった一人の帰還」
脚本:富田祐弘 演出:貝澤幸男 作監:八島善孝
圧倒的に強いダスクモンにあと一撃でやられそうになった拓也。闇に呑まれ気が付くと、元の世界へ戻れると聞いて闇のトレイルモンに乗り込む。
敗北感に打ちのめされた拓也の心。元の世界に着く前に、体がデジモンに変わってしまう。迷いを象徴するかのような、人でも獣でもない姿。ああ、ここはあの渋谷駅の地下のターミナル、初めて会ったのは輝二、それに友樹、純平、泉。乗るのを選んだのは自分だ。
トンネルから闇が沸き上がり、ダスクモンが現われる、エレベーターがようやく開いても入ってこようとする、絶叫する拓也。エレベーターで地上へ昇ると、化け物か着ぐるみと間違われ(通行人:小島一成さん・御園行洋さん、母親:塩味薫さん、子供:村岡雪枝さん)、電車の屋根に乗る。時刻は5時16分、自由が丘駅に戻った。でもダスクモンの幻はまた現れる。自宅に戻ろうとして車にはねられ、近所の知人(おばさん:中山りえ子さん、みっちゃん:中村絢さん)と分かるが相手は大慌てで拓也と分ってくれない。デジヴァイスをいくらいじっても人間に戻れない。そう、家を出る日の光景がそのまま目に映る。ケーキを食べそびれたあの部屋のまま。寝坊した俺を起こしてくれた母さん、ケンカばかりしてた信也、サッカーをしてくれた父さん、もしYESを押さなかったら待っていた誕生日会・・・涙する拓也(フレイモン)。
フレイモンは行っちゃいけないと拓也を止めるが、拓也の耳には届かない。トラックにはねられるのを防いだのは、実はフレイモンだった。あの時確かに思ったんだ、今立ち止まったら何も始まらないって。でも、ダスクモンは怖い・・・どうしたらいいんだ。拓也は駅へ走る、時刻は5時45分、母を思いつつ電車の屋根に乗るフレイモン。電車の中を除くと、拓也と同じ車両に青い帽子の輝二とそっくりな少年が乗っている。輝二が二人?!渋谷で降り、エレベーターに乗る輝二と拓也。乗りそびれた青い帽子の少年は走って階段を降り、階段を踏み外し輝二の名を呼んで倒れる。フレイモンはそれを知らずエレベーターのケーブル伝いに地下へ下りる。フレイモンは拓也を止めようとするが、先に降りた輝二が「なぜお前はここにいる」といった気がして、そう、あの時「乗らなきゃいけないような気がして」と答えたっけ。仲間は、拓也をかばって傷ついた輝二は、デジタルワールドの平和は・・・
俺だけが戻るわけにはいかない。迷いを振り切ったフレイモンは拓也を行けと促し、ダスクモンの幻に勝利を誓う。現われた闇のトレイルモンにフレイモンは乗り込み、家族を思い涙をぬぐうと、その姿はアグニモンに変わった。
闇のターミナルに着くと、あの冷たい風が吹いている。自分で選んで戻ってきたんだ。