デジモンアドベンチャー第35話「お台場の妖精!リリモン開花」感想
脚本:まさきひろ 演出:今村隆寛 作画監督:信実節子 美術:飯島由樹子
8人目と8匹目との運命的な再会。そしてヴァンデモンから光の紋章を奪回するも、ウィザーモンは海に沈められ、テイルモンは囚われの身となった。
タイトルコールとシルエットはリリモン。
8人目を取り逃がさないため、そしていずれは現実世界とDWを支配するため、ヴァンデモンは霧の結界でお台場を覆う。流れるのはボレロ。結界のせいで、お台場とは電話もネットも通じない。刻々と過ぎる時間の細かい描写、そして子どもたちのそれぞれの家族の横顔が描かれ、とても良かった。
午後9時1分⇒ミミの父がゆりかもめに乗車中、午後10時30分⇒丈がゆりかもめ新橋駅に移動した、10時45分⇒ヒカリたちが就寝、翌朝6時2分⇒タケル宅の朝、そして太一父が足止めを食らっている駅、空が朝練へ出発、6時56分⇒東京ビッグサイトに囚われている人々(この時計は実際ビッグサイトに存在)
●ミミ:パルモンのヴィジュアルを良いと思っておらず、ぬいぐるみと言うと趣味悪いと思われたくない、と毒舌。トゲモンが苦戦、男性陣も苦戦、なぜこんなひどいことをするのかと悪のデジモンを許さないミミの純真が発動、トゲモンは超進化!
●パルモン:パルモンが経口でなく腕から地下水を摂取する描写は、これが最初で最後である。そんなん出来たんか。埋め立て地のそれは、塩分と汚れのせいか、不味い模様。セルフイメージは美しいので、ミミに趣味悪いと言われたのは大ショック。私もパルモンはかわいいと思うけどなあ。ビッグサイトに監禁されて、敵だらけなので進化せず様子見とした。超進化したら、ピンクと黄色の花と緑の葉をモチーフにしたかわいらしい妖精型の完全体リリモンへ。「私、趣味悪い?」やっぱ根に持っていた、笑。とってもきれい、かわいいと言われ、礼を言う。「私を進化させたのはあなたの純真な涙、その心を大事にしたい、だから…見てて」と「花の首飾り」なる技で悪質なウイルスを除去し敵ではなくした、お見事。
●ミミの父:ケースケ、CVは櫻井孝宏さん。濃霧のせいでゆりかもめが徐行運転、遅くに帰宅。見た目からして若く、設定ではロック系ミュージックのフリーのミキサーだったか。夜に読書、妻はフラワーアレンジメント(華道ではなさそう、ハート型のリースも飾ってあるし)に興じ、時間的にも経済的にもゆとりを感じる家庭。女性と子どもの護衛を任され、東京ビッグサイトのターミナル入り口にある、アメリカの代表的な現代ポップアート作家クレス・オルデンバーグ氏の創った高さ15.5mの巨大なのこぎりの彫刻を背景に、男としての気概を表したかったのだろう、「東京ビッグファイト」と記名のあるカートでダークティラノモンに正面衝突!跳ね返されてしまう。それでミミの叫びにパルモンがトゲモンへ進化。「大丈夫…だけどカッコ悪い」「そんなことない、…」ハイ、ラブラブはいつもの体、ごちそうさま。
●ミミの母:サトエ、CVは徳光由香さん。玄関には家族をかたどった和気あいあいの表札が。こういうプレート、今見るとダサいけど、流行ったんだよなあ。つぶらな瞳でピンクにフリルのエプロン、ミミのピンクのワンピース、パジャマもパフスリーブのピンク色、ファッションセンスはこの母にしてこの娘。キムチチャーハンの生クリーム苺添えという奇抜な料理を提供、しかも夫もそれがおいしいという、特異な味覚の一家。太一父の指示に対し、夫を戦いから外すようヒステリックに泣いて抗議、叶うと笑顔という現金なしたたかっぷり。ミミのワガママは母譲りと思われる。
●丈:11年の生涯で最低のテスト54点、笑。冒険してたから数か月のブランクができてしまったせいか。問題からして算数(数学)のよう。医学部志望なのに数学赤点は確かにまずい。どうでもよくないことなんですが、記名欄が「丈」ではなく右上に点がふってある「犬」みたいに。丈先輩ファンとしてこれ気になるわあ。夏休みの夜なのに居残り勉強は気の毒。ゆりかもめ新橋駅近くで自宅に電話するも不通、テレフォンカードにはゴマフアザラシの絵が、凝ってますね。携帯電話は、当時誰でも持っているわけではなかったので、公衆電話を使っていますね。ということはお台場には難関受験専門の塾はないのでわざわざ新橋方面かそれより西の塾に通っていると思われる、大変ですなあ。そこらでは売ってないだろうから大きなカバンに常時携帯していたのであろう、「新ゲンキッズX」という栄養ドリンクを飲んで。船なら何とか、と新橋駅を発って竹芝桟橋へ向かうがここも不通。
●ゴマモン:人目につかぬようビルの外階段にて。丈を励まして「人生山あり谷ありさ」と。そんな表現よく知ってたな、受験生でもあるまいに笑。霧でどうにもならない丈に、なら塾で一体何を教えてるのかと生活者としての鋭いツッコミ。丈は「何だっていいじゃないか」と意気消沈。
●太一:異変を知っているので、「朝練どころじゃない」。ファントモンの攻撃に、巻き添えを避けるため、グレイモンに乗ったまま退却。その後ヤマトに見つかり、8人目がヒカリだと告げる。
●ヒカリ:囚われたテイルモンが気がかりで寝付けず。繰り返すが、年少者は二段ベッドの下の階がふさわしいと思うのだが、八神家では太一が下である。アグモンになだめられて、がんばって眠ろうと健気。そりゃあ心配だよね。アグモンのケガを案ずるやさしさ。
●太一の母:配達員に化けたバケモンにより子どもと引き離され、我が子二人が恐竜に襲われたとグレイモンのことを誤解。助けてやれずに取り乱すやさしい母親。
●太一の父:地岡、ユキ、櫻田と協力して自警団の指揮を執る、パワフルな決断と行動の人。太一のそれは父譲りだろう。女性と子どもは逃がす、つまり男性は戦う、古典的な性別役割の価値観の持ち主と言ったら言い過ぎか。
●ヤマト:チャンネル8番(フジテレビ)を視聴中、いいところで受信不可に。クールな小5がどんな番組に夢中だったのかは興味深い。ポーズをくるくる変えてリモコン操作するのが彼らしくなく可笑しい。父への伝言メモ「親父へ サバの煮つけが 冷蔵庫に入ってる。 下着は洗たく機…」難しい漢字を書けたり書けなかったりの小5。呼び方は「パパ」「父さん」でなく「親父」、自立度の高さがうかがえる。鯖煮かあ、好みが渋く、青魚の扱いにもう慣れている様子。苦労してんだね;ガブモンと添い寝する寝顔はまだあどけない。
●ヤマトの父:裕明、CVは平田広明さん。自然豊かな旅行先で撮った4人揃った家族写真を財布?に入れているから、積極的に離婚したくて別れたのではなく、今も家族を心の支えにしているというのが泣かせる。報道マンの使命感に燃えて現場への取材へ向かう、イケオジ。たぶん仕事優先の彼は同じく仕事を持つ妻と忙しさゆえにすれ違い、離婚に至ったのではと推察する。浮気とかではなく、互いに好き合ってはいたのだと思いたい。取材先でダークティラノモン、ギザモンに遭遇、霧と例の怪獣騒ぎが関係すると推理。親父さんが安全と見込んだのは、放映当時建設中のアクアシティと、ガブモンなる生き物の力。自分はというと、外部への報道に命を懸ける。局へ戻り、衛星放送なら何とかなるかと思案。
●ヤマト父の部下:地岡は菊池正美さん、ユキは重松花鳥さん、櫻田は風間勇刀さん。いずれも東映アニメスタッフから引用した命名。ユキは「まるで誰かが霧を操ってるみたいね、魔法使いとか」荒唐無稽な発想だが、実はビンゴ!さすがは現場主義。櫻田はSONYのパロディのSUNYというカセットプレーヤーでお経のカセットテープ(と聞くと、25周年のイベント企画を連想します)を聴いている。「般若」と唱えているから、多くの宗派で読まれている短いお経、般若心経と思われる。ストレスがたまると聴くという。私も未知の宗教への興味から一時期、コーランを聴いてました。近年イスラム圏の女性蔑視を聞いてからは、イスラム文化全般に嫌悪を覚えています。コーラン聴きは黒歴史入り。
●タケル:朝食はコーンフレークというハイカラな好み。「ボク行かなきゃ!お兄ちゃんが、パパがあの中にいるんだよ」。タケルは「パパ」呼びでもOKです。母と共に電車で東京湾へ向かう。
●タケルの母:坂本千夏さんが声を当てており「奈津子」と命名されている。フランス人の父と日本人の母を持つミックスルーツの美女。黒のノースリーブに、次回明らかになるがパンツを合わせた引き締まった服装。盛り花に観葉植物、片付いたリビング、この家も経済的・時間的余裕が感じられる、シングルマザーなのにね。設定としては、フランス語の翻訳や、理系のルポライターと言った仕事をしている。彼女も息子と元夫がやはり心配。それに、幼い我が子の決断を尊重する自立派の女性、一緒にお台場へ向かうことに。
●空:自室はベッドでなく畳敷きに布団。タンスにはワンピースが数着、フォーマル系を着ざるを得ない立場ではあるのだろう。朝食前にいつもの朝練に向かう、まだお台場の異変を知らない模様。案の定捕まってビッグサイトに囚われていたが、太一母の話から太一とグレイモンが行動を起こしていると知り、助けに来ると信じる。櫻田のお経と聞いて、11話の丈のバケモン退治を思い出し、お経を逃げるのに利用。結局プレーヤーを壊されてしまった。
●ピヨモン:あの甘えん坊が、空の危険を察知すると、毅然として空の居場所を聴取し迷わず向かう。かっこいい。
●空の母:調理しながら浮かない表情、娘がサッカーに熱中するのを正直良く思っていないのは、けがが心配だけではない様子に見える。つまりは女児は女らしくすべきという保守派では。この鳥の姿の生き物は娘を守るのに信頼できると直感、行動を共に。「ピヨさん」という呼び方は遠慮がちで切なくも少し笑える。「変なこと聞くようだけど、空、あたしのこと嫌いだって言ってなかった?」高圧的と思ったら案外弱気で下手に出てきたな。ピヨモンが26話のエピソードを伝えると、愛情は伝わっていたのだと安堵。だから空を守りたい、ビッグサイトにて空をかばい盾となり逃げさせる。
●ガチャピンとムック:フジテレビの子供向けテレビ番組「ポンキッキーズ」のマスコットキャラクター。ポンキッキーズのスタッフのたっての希望で、二体が出演したという。加えて「P-chan(Pちゃん)」というキャラもいる。「アルファベット星P島出身のアルファベット型の宇宙人で、話せる言葉はPのつく言葉だけ」という謎過ぎる設定のキャラクター。
●ヴァンデモン:お台場の中心たるフジテレビの球体展望室の上にて、結界を操作、全く憎たらしい奴です。大人の話、フジの社屋や社員を登場させること、許可はスムーズに通ったのでしょうか。お台場の人々の中から子どもを分けて、テイルモンと会わせる「首実験」を決定。首実験とは、日本の戦国時代において、武士が討ち取った敵の首を持ち帰り、その身元を確認するための儀式、が本来の意味。テイルモンと全ての子どもを面会させ、8人目ならイエスと言わせる、言わないなら子どもは皆殺しとテイルモンに圧をかける卑怯なやり方。それが美学というのだから胸糞悪い変態野郎。リリモンによって善良化したダークティラノモンを、粗大ゴミと称して抹殺、ひどい。
●ギザモン:カエルのような体型の水棲哺乳類型の成長期。地上より水中での行動が得意。
●ファントモン:巨大な鎖鎌を持った死神のような姿で、バケモンより上級のゴースト型の完全体。必殺技は鎖鎌で敵の魂をも斬り割く「ソウルチョッパー」。声は櫻井さん?
●ダークティラノモン:恐竜型の成熟期。もともとは大人しいティラノモンが悪質なコンピュータウィルスに感染し、黒く変色し凶暴に変わった。必殺技は超強力な火炎放射「ファイアーブラスト」。
次回予告:東京湾を渡る丈とタケルは、メガシードラモンに襲われる。丈が力尽きようとした時、誠実の紋章が輝きイッカクモンが超進化!
2025.4.29. 記