デジモンアドベンチャー第36話「結界突破!ズドモンスパーク!」感想
脚本:前川淳 演出:中村哲治 作画監督:八島善孝(原画も八島さんお一人) 美術:飯島由樹子
8人目を逃すまいと張られたヴァンデモンの霧の結界。外界から遮断され、お台場の人々はビッグサイトに囚われて。
タイトルコールとシルエットはズドモン。
●丈:一点だけ言わせてもらうと、左手首が緑色(腕時計の色)で塗られ、黄色のリストバンドが描かれていない。この見落としは、実は公式の他の絵柄(某Blu-rayのパッケージ)でも確認できている。なので、丈ファンのソフトコスプレイヤーとしては、ぜひ設定を守ってほしかった。この時だけリストバンドを外していたとは思えない。海でタケルを抱きかかえた時の腕のアップではちゃんと描かれているからケアレスミスと思うのだが。
いざ進めモードなのに、タケル母にはかしこまって正座のまま自己紹介、笑。「タケル君は僕が責任をもってお預かりしますのでご心配なく」と約束。しかし悲しいかな母は聞く耳持たず、信用なし。それでも、命に代えても誠実に約束は守るんです!すてきだ丈先輩!「君のお母さんに約束したからね、僕が君を守るって。約束は、守らなき…」、メガシードラモンの技で海に投げ出され、カナヅチなのにタケルを助け自分は沈んでいく。23話でタケルをかばっての自己犠牲といい、その誠実さはピンチの時にこそ本領発揮。先輩は空回りだけじゃないんだぞ。紋章の輝きは、進化を発動させただけでなく、その光で結界に進むべき道を開いた。
日の出桟橋で「船のご案内」という看板があるが、この時刻表は実際とは違う。どうでもいいことで、すみません。
●ゴマモン:大カバンの中から「わあ!」と顔を出す、何てかわいいv強運にもお台場の外にいた二人の東京湾横断に陸路も船もダメなら、海獣型が活躍するっきゃないでしょ!そして、丈の誠実さを受けての紋章発動、ズドモンに超進化!二足歩行型なのと大きなハンマーが印象的。
●タケル:日の出桟橋まで来たはいいが、水上・海上バスは原因不明の濃霧で運休再開のめどが立たず。ゆりかもめもレインボーブリッジも頼れない人々で溢れ返り、混雑で母とはぐれてしまう。母がいたなら同意しなかったであろう、丈と偶然先に巡り合い、イッカクモンに乗る。自分の無力さを意識するより前に、兄と父を助けたい素直な一心は案外怖いもの知らずであった「ボク大丈夫だから」。泣き虫もたくましくなったものだ。カナヅチなのに危機感ナシ;
●タケルの母:年長とは言え、初見の他校の小学生と謎のモンスターに我が子を任せる気にはさすがになれなかったのは親として当然だろう。それもあり、元夫に望みを託して見送るしかできず。やっぱり気があるんでしょう。浮気や性格の不一致が離婚の理由ではない、とますます思えてくる。あの子「たち」を守って、と言っているから、ヤマトのことも当然念頭にある。
●パタモン:敵をメガシードラモンと知っているが、いつもなら物知りテントモンの役目。ファイル島にも別の個体がいたということか。何とタケルも泳げないと判明、パタモンの力では引き上げられず、文字通り目を覆わんばかりの惨状。オイ助けるのをあきらめちゃわないでくれ。はじまりの街の回では持ち上げていたから、海がそれだけ荒れているせいか。ウィザーモンの声に最初に気付いたのが天使型のパタモンだったのは偶然か。
●光子郎:7時31分、自室でゲンナイのメールをチェック。メールの声は変声機の八奈見乗児さん?誰??とにかくまずデジタルバリアを張れとの指示。別のマシンにダウンロードって、そのマシンが現にちゃんとそろってるのはさすが光子郎。待ち焦らされて「デジタルバリア、オン!」するとパソコンが発光。その直後に敵が侵入するも親子もテントモンも敵には見えておらず成功。人間だけかと思ったら、テントモンも一応生体だからバリアで隠せたのですね。ゲンナイによると霧はヴァンデモンの結界で、その中心はフジテレビと、一同の中で一番正確な情報を把握したのが光子郎その人。これは、一つやってくれるでしょう。ヒカリが拘束されるのを目撃、おそらくは8人目と推理できたであろう。
●テントモン:バリアの成功に歓声を上げたら、存在が両親にばれてしまう、笑。でかいテントウ虫のような不思議な怪獣が現れたら、そりゃ驚くわ。
●光子郎の父:「信じよう、光子郎を。私たちの息子を。今までそうしてきたじゃないか」私は優柔不断と焦れていたこの父親、初めていいこと言ってくれました。妻も慌てていたものの夫を見つめて思い直し、息子へ目線を移した時にはもう信頼の目で。ここで光子郎の表情がもどかしさから安堵に変わり、効果音まで付いてますね。さすがうまい芝居。ゴルフクラブを持っているから、ゴルフで遊べる程度の経済力を持っているのでしょう。
●光子郎の母:テントモンの存在に驚きのあまり失神してしまう、線の細い方だけに。涙しながらも、危険の中心へ向かう息子を制止せず「必ず無事に帰ってきてね、私たちのところに」これは帰宅という意味と、実子同然であるという意味も含まれている。光子郎も、涙を振り切って明るく出発。こんな風に、かりそめだった絆はじわじわと深まるのであった、泣ける。
●太一:シスコンで「後のことはお兄ちゃんに任せて」「必ずお母さんたちを助けてくるからな」と気張ったが、ヒカリを守ろうと連れて行かなかったのが完全に裏目に出た。デジヴァイスに表示される時刻は午前7時30分、2時間が帰還の目安。皆がビッグサイトに囚われたと聞き、ヤマトの力も借りてヴァンデモンに対抗しようと計画。ヒカリの拘束を知る由もなく、ビッグサイトに潜入。
●ヒカリ:「あたしのせいなの?あたしのせいでみんなが」太一はヴァンデモンのせいと言い聞かせるが、このデリケートな子にはいろいろと辛過ぎた。戦う味方デジモンと敵デジモン(にすら感情移入したであろう)、傷つけられるヤマトと空を見て「お願い、やめてー!」「あたしが8人目なの。どこにでもついて行くから、もうみんなを傷つけるのはやめて」と告白。自責の念。やさしさと芯の強さがなければ告白できなかっただろう、ヒカリらしい。
●ヤマト:頼まれた時からどうも自信なさげで、ついには「太一一人じゃ」とヒカリを不安にさせ泣かせてしまう。いくらモテ男でも、ヒカリとの相性は最悪であった、苦笑。親友の妹とは言え、事前にほとんど接点がないのは痛かった。しかも、泣き出したヒカリのフォローをせずにタケルへの心配が心を占めるというダメっぷり。タケルに対する太一の接し方のうまさと対照的だ。そして期限の2時間は過ぎ。
●ヤマトの父:ボロボロながら使命感から何とか外部と通信しようと、衛星放送を試すが不発。光子郎がフジを訪れたのは渡りに船であった。
●空:母親のかばいたてとバードラモンの飛行で、ビッグサイトから脱出。太一に会えて、ミミも太一の両親も含め皆がビッグサイトに幽閉されていると告げる。太一の指示で、アクアシティのヤマトを迎えに行くのが丁度2時間後の9時30分。
●ミミ:空に希望を託して、ビッグサイトに囚われたまま。
●リリモン:叫び声も独特で、キュート。石化させられたとはいえ、ガチガチに硬いのではなく関節とか普通に曲がるよう。ファントモンに空が襲われた時には、効果が薄れたのか石化の姿ながら身を起こし意識もありました。
●テイルモン:淡々と「違う」と答えているが、皆殺しという圧をかけられての首実験。泣く幼い子どもたちとヴァンデモンの脅しに、身を縮めて目を固く閉じ冷や汗、その心境たるや。そもそもはやさしい心を持っているのがわかる。
●ウィザーモン:テイルモンを助けたい一心で海中で生き延び声を上げる執念。丈たちにオリジナルの紋章を見せ、救助される。ヒカリが叫んだ時、その紋章は輝いて。
●ヴァンデモン:リリモンに「大人しくしていればかわいいものを」言葉の端から、若い女性への執着が感じられてキモいよ。相手を石化させるデッドスクリームで無力化。
●ファントモン:空に目を付け、アクアシティまで尾行。8人目を見つけなくとも残りを殺せばと、残忍な性格。タスクモンとスナイモンで攻撃してくる。ヒカリの告白に「いい心がけだ、よかろう」とあくまで上から目線の上級デジモン。ヴァンデモンの配下にしては、知性もあり有能な模様。
●ピコデビモン:ピコダーツの他にも、目から催眠波を出す能力(技名は調べたが不明。もしかして、今話に限って設定に無い技を使わせたんじゃ、と勘繰ってしまう)を持っており、ビッグサイトに集めた大人をヴァンデモンのエサとして眠らせる。余談だが、太刀川夫妻はこの時もラブラブして笑顔で抱き合い眠っていた、苦笑。太一の両親、ポンキッキーズの3体も眠らされて。
●メガシードラモン:フォルダ大陸の過酷な環境を生き延びたシードラモン種が生き抜くために進化した水棲型の完全体。体が一回り大きくなり、頭部を追おう外殻も硬度を増し、頭頂部に稲妻型のブレードが生え、知性も発達しておりしつこい性格。必殺技はブレードから発する電撃「サンダージャベリン」。同じ完全体のズドモンにあっさり負けはしたが、レインボーブリッジを破壊するという大ごとをやってのけた。
●タスクモン:超重量級の恐竜型の成熟期。肩から生えた角を活かした突進攻撃が得意で、必殺技は「パンツァーナックル」。
●スナイモン:昆虫型の成熟期。目が無いが赤い触覚がセンサーで敵をとらえる。必殺技は両腕の研ぎ澄まされた大鎌で発する「シャドウ・シックル」。雑魚キャラが意外にも完全体ガルダモン相手に勝利するも次回は…
次回予告:悔しくもヴァンデモンの手中に落ちたヒカリ。完全体が総攻撃をかけるも。身を挺した友の死に、テイルモンが進化する!
2025.5.5. 記