デジモンテイマーズ・冒険者たちの戦い

映画・デジモンテイマーズ「冒険者たちの戦い」<2001年夏東映アニメフェア>

別次元のデジタルワールドで、アポカリモンのデータの破片から生まれ恨みを引き継いだメフィスモンをオメガモンは追いつめるが、メフィスモンは次元の壁から逃げおおせてしまう。

両親の代理でお盆にお墓参りに沖縄へ行く事になったタカトだが、ゲームをしたいのにと気が進まない。第一ギルモンはどうするんだ。両親の様子からして、母方の実家だろうか。ジェンとテリアモンを誘い、クルモンもついてきて、日本エアシステムの飛行機で沖縄へ。ルキとレナモンはいつも通り新宿にいるが、街のモニターにはVペットが映っている。那覇空港に着いてもタカトは気乗りせずジェンを誘うが、ジェンは与那国島の海底遺跡を見に行くからと行ってしまうしギルモンは騒ぐしクルモンはうろちょろするし、先が危ぶまれるタカト。

迎えに来ると言っていた従兄弟のカイは見当たらない。Vペットを供給している玉城社長の生インタビューにカイが映りこみ、ひと騒動起きてしまう。Vペットは自分の意思を持ちユーザーと話すデジタル生命体とのことだ。

船で浦添家のある島へ向かうが、カイは島が近づくとそのまま海に飛び込んで泳いで家へ行ってしまう。そんなことは日常茶飯事のようで何とも豪快であけっぴろげな自然児っぷりに、困惑するタカト。島へ着いて、ギルモンの入ったスーツケースを押していると、重さと疲れと船酔いもあったし、タカトは寝てしまう。それでギルモンがスーツケースとタカトを押してきたのでカイはビックリ。でも、夕方タカトが目を覚ましたころにはカイはギルモンとすっかり打ち解け、おじいも犬みたいなもんとギルモンに鷹揚な態度を見せる。ギルモン連れて来て正解だったね。

ルキが帰宅すると、祖母がパソコンをしている。懐かし~MaCのブルーベリーカラ―!母はパリにいて、ルキ宛にメールが来ていた。子のパソコンにもVペットが。レナモンが、デジモンが現われると予告する。その夜、プテラノモンが工場地帯に現れ、「バトルトマホーク」をスラッシュしレナモンが倒しロードするが、レナモンは「今までのデジモンと違う」という。そう、それはメフィスモンが人間への恨みから遣わしたデジモンだったのだ。

翌日、海へ出たタカト。透明な水、きれいな色の熱帯魚、サンゴ礁・・・美しい海の描写が素晴らしい!ギルモンも人目を気にせず自由に泳ぎ、蛸をかじると墨を吐かれてしまう。カイがもりで蛸を獲って、浜辺で焼いてみんなで食べる。沖縄を見直したタカト。カイは海人になるというが、タカトはパン屋を継ぐかどうかなんて考えてもいなかった。

海を見ると、少女が鮫(ティロモン)に追われ逃げてくる。舟を出し、カイが少女を助けギルモンがティロモンを倒した。少女を連れて急いで家へ帰り寝かせると、彼女が持っていたパソコンにはVペットがいた。

シウチョンも、Vペットに算数を習っているが、兄もテリアモンもいないのでご機嫌ななめ。ジェンは海底遺跡を堪能している。

少女は、飼い犬・メイが自分を助けようとしておぼれた夢を見てうなされて起きる。少女の名は上原ミナミ。彼女がボディボードの大会に出なくなったのも、デジモンに追われているのも、その犬と関係があるのだろう。しかしおじいは、いっぺんに聞いたら疲れるからとカイとタカトをたしなめる。

夕食は沖縄の郷土料理。おいしそう。でも私はミミガ―もアシテビチも食べられないな~。ギルモンの食いっぷりがかわいいです。ギルモンとカイのやりとりにふと愛犬を思い出し泣き出してしまうミナミ。三線を弾いて慰めるおじい。ただ、夕食も一緒でないとなると、カイの両親はいないの?沖縄では働き口が少ないので、本島や九州へ出稼ぎに行く人が多いと聞いたことがあるが、浦添家もその口だろうか。だとしたら、そんな家に小学生を泊まりに行かせるなんて普通は遠慮するだろうに、松田母恐るべし。

東京では信号機の故障で事故が多発。ジェンに電話したジャンユーはあちこちのコンピューターのシステムが暴走し新種のコンピューターウィルスかもということしかわからず、電話自体切れてしまう。すると、コンピューターの画面のデータをⅤペットが食い荒らし始める。もしや!

ルキ、一応は母の帰りをカレンダーにつけている。8月1日(デジモン記念日~!)、思わずレナモンも笑ってしまう。ルキの母は、ヨーロッパ・エアの飛行機で眠りについている。

夜の海、ミナミはデジモンはこのパソコンを狙っている、お父さんが心配だという。タカトはvペットに餌をやる。ギルモンはデータ、だけど友達だという思いからだろう。だがミナミに、ギルモンが死んでVペットをもらったら代わりにできるかと問われてしまう。タカトは答えなかったが、メイはミナミのせいと思ってない、元気になってほしいと思ってるんじゃないかと伝える。ミナミはペットロス症候群だと思われるので、それについては下記を参照して下さい。

明日VPラボに乗り込むことにして、眠りにつく浦添家。ところがアノマロカリモンが襲ってくる。起きてすぐゴーグルをつける所なんか、戦い慣れている。タカトはカイにミナミを逃がすよう頼む「僕はテイマーだから」、「エアロウイング」をスラッシュして上からの攻撃で倒す。ハンギョモンが天井裏から出てきておじいがくい止める間にカイはミナミを連れて逃げるが、ハンギョモンにミナミを奪われてしまう。すると南のパソコンからシーサモンがリアライズしハンギョモンを倒す。シーサモンはミナミの名を呼んだ。しかし、マンタレイモンによってミナミは再び奪われ、波がシーサモンを阻んだ。クルモンが助けを求めどこかへ飛んでいく。

ヨーロッパ・エアーも水道局もシステムエラー、道路に水が吹き上がりブルーメラモンが現われる。一方与那国島でもエビドラモンが現われ船が爆発する。そこでクルモンの額が光り、キュウビモン、ガルゴモンに進化し敵を倒す。クルモンがルキに、タカトが大変という。ルキもジェンも、オメガモンに連れられて行く。

タカトが説得するが、カイは俺も行くと決心していて、一緒に行く事にする。秘密の出入り口を探すと、デプスモンがシーサモンに、マンタレイモンがギルモンに襲いかかるが、ギルモンはグラウモンに進化しラボの侵入に成功するタカトたち。アーケロモンなど一撃だ。

ミナミは一室に閉じ込められている。ミナミの父によると、会社はデジモンに乗っ取られていて、ミナミを人質にとってワクチンプログラムをよこせというのだ。「助けて」というミナミの思いがシーサモンに届き、シーサモンが助けに来る。バロモン、セピックモン、ポンチョモン、ピピスモンを倒し、ミナミの父の案内で安全な場所へ逃げる。

オメガモンはアーケロモンなどの攻撃をものともせず、デジタル空間をメフィスモンのもとへ向かう。

ミナミの父は、シーサモンがVペットを強制削除するワクチンプログラムではないかという。配られたVペットにはなぜかウイルスデータが付加されていた、それに気付いた彼はワクチンプログラムを作った。その話を聞いていた玉城社長は、何とメフィスモンに変化した!!フロンティアでは人間がデジモンになったけど、デジモンが人間になっていた例は珍しい(あえて言えばドラマCD「夏への扉」のなっちゃんくらい?)。メフィスモンにやられてシーサモンはラブラモンに退化し捕まってしまう。

街ではさらにシステムエラーが続く。メフィスモンの目的は、破壊と混乱の末の人間の破滅。そこへオメガモンに送られたルキ、キュウビモン、ジェン、ガルゴモンが到着すると、メフィスモンは自分の作ったデジタル空間にみんなを落とす。壊れたタンカーや車が浮いている街。グラウモンは、メフィスモンの上にあるタンカーを攻撃し、メフィスモンを倒す事に成功する。街が破壊され、ラブラモンはミナミをかばって致命傷を負う。やはりその魂はメイだった、あの時のことはミナミのせいじゃないと伝えると、ミナミはメイの名を叫んだ。それがプログラムのキーワード、メイは消えていく。二度もメイを失うことになったミナミ、しかし得るものはあったと思いたい・・・。壊れた車などが消えていく、しかしなぜ世界が元に戻らないのか。

地割れがして、巨大な究極体・ガルフモンが現われる(しぶとい!)。成熟期では歯が立たず、みんな吹き飛ばされる。その時クルモンの額が光り、メガログラウモン、ラピッドモン、タオモンに進化し、三体で力を合わせトリニティ・バーストを放ち、ガルフモンを倒す。メフィスモンの世界は完全に破壊され、みんなは海から地上へ帰還する。まぶしい夏の空。

仮にも元無印のラスボスが、完全体3体に負けてしまうとはちょっとなあと思うけど、本編にまだ究極体が出てないのと、アニメフェアの尺に収めねばならないのとで仕方ない部分があったんでしょう。沖縄の海がきれいで、沖縄の魅力が伝わってきて楽しかったです。

エンディング→シーサー、お墓参りするタカト、紫の蝶、泳ぐタカトとギルモン、クルモン、蛸とギルモンとカイ、民族衣装を着て踊るミナミ、6人で記念撮影、いつもの服のタカト・ジェン・ルキ。

<付記>ペットロス症候群とは、ペットを死別や行方不明で失った人に起こる心身の症状という精神疾患である。特に、家族同然にかわいがっていたペットの喪失体験は大きい。自分の配慮が足りなくて事故や病気に巻き込んでしまったと自分を責めたり、理解のない人に「たかがペット」「また買えばいい」と心無いことを言われ傷を深めたりする。

症状としては、うつ病、憂鬱感、不眠、無気力、情緒不安定、疲労感、摂食障害、ペットの声や姿を感じる幻覚・ペットが戻ってくるという妄想などの精神症状、めまい、頭痛、発熱、胃潰瘍などの消化器疾患などである。

ペットロスになりやすい人は①家族同然にかわいがっている人②悩みの相談相手にしている人③こうしてあげたかった、と悔いが残っている人➡ミナミは①と③と思われる。

予後は、東京女子医科大学医学部精神医学講座教授 坂元 薫氏によると

第1ステップ ショックのあまり事実を認められない → ペットの死を現実のものとして受け入れる
第2ステップ 絶望感と悲しみの日々 → 自分の子持ちを素直に表現する➡ミナミには泣く事が大切なプロセスだった。
第3ステップ 少しずつ回復していく → ペットがいない環境に慣れていく
第4ステップ もとの生活へと戻る → 失ったペットのことを思い出として整理する

である。必要に応じて、精神科受診やカウンセリングが必要である。

<キャスト>ギルモン:野沢雅子 松田タカト:津村まこと テリアモン:多田葵 李ジェンリャ:山口眞弓 レナモン:今井由香 牧野ルキ:折笠富美子 クルモン:金田朋子 タカトの父:金光宣明 タカトの母:松谷彼哉 李の父:金子由之 李シウチョン:永野愛 上原ミナミ:三石琴乃 ミナミの父:小野健一 浦添カイ:サエキトモ カイの祖父:松尾銀三 シーサモン:津久井教生 オメガモン:坂本千夏、山口眞弓 メフィスモン:小杉十郎太

<スタッフ>制作:高岩淡(東映)、泊○(すみません変換できません)、東聡(バンダイ)、山下秀樹(集英社)、鳥山誠(読売広告社)
企画:櫻田博之 原案:本郷あきよし 監督:今沢哲男 脚本:小林靖子
キャラクターデザイン:中鶴勝祥 作画監督:山室直儀 音楽:有澤孝紀
スペシャルサンクス:Wiz、渡辺けんじ、北川原真(このかたもWizのデザイナーさん)、太田健介(←ボルケーノ太田さん)

          もどる