「re-fly」感想

ミニアルバム「re-fly」感想

和田さんがご病気を再発されて再復帰後初の作品「re-fly」。公式サイト「光司広場Ⅲ」で和田さんは「 もちろん、病気は歓迎される事ではないけれど、それがあったからこそ今のちょっと成長した自分がある。確実にそう思える出来事と時間でした。そして、その一つの証でもある今回のミニアルバム「re-fly」」と述べている。

CDのキャッチコピーは「再び翔び立つ和田光司の今が詰まったミニアルバム」。私も病気で数か月入院しており、和田さんの復帰は我が事のようにうれしい。 全体的な印象は春にふさわしく、ジャケットの白い羽のように軽やかで明るく元気や勇気や希望をもらえる曲ばかりでした。マイナー調やバラードは全くありませんでした。

CDジャケット:表は白いシャツにジャケットもパンツも帽子も白の和田さんが緑の中に立ち手を差し伸べて、白い羽が舞っているもの。軽やかでさわやかで淡い感じ。裏ジャケットは、青空の草原の踏切に和田さんの帽子が飛ばされているもの。デジモン無印最終回のミミちゃんの帽子へのオマージュに間違いありません。この感想を書いた当時は、やせこけた姿も全く気にならなかった。なぜなら完全復帰すると信じて疑わなかったから。今思えば、あえてありのままの姿をさらす事で不退転の決意を示したのかもしれません。歌一本で勝負する、そんな決意、シンガーとしてのプライド。写真をジャケに使う必然性はなくイラストでもよかったのだから。けれどそれが私にとっての遺影となってしまいました(;_;)

私は和田さんが「Butter-Fly」というヒット曲に恵まれたことが和田さんという一人の歌手の歌手人生にとっていい事とは限らないと案じていました。「和田=デジモン」というイメージから抜けられず苦しむこともあるかも知れないと思ったからです。例えば、水樹奈々さんのようにアニメ出身だけど何でも歌える一人の歌手として認められづらくなるのではと。でも、和田さんは答えを出したんですね。「Butter-Fly」がありデジモンがあって今があるのだと。だからre-fly。その想い、受け止めました。

01.ヒラリ ~re-fly ver.~ 作詞:和田光司 作曲:IKUO 編曲:宮崎京一
「デジモンセイバーズ」の後期オープニングは力強くハードな感じで主題歌にふさわしかったのですが、編曲で繰り返しになりますがテンポよく軽やかな感じに仕上がっています。まさにヒラリと舞い上がりそうな。色に例えれば、前者は熱血の赤と強さの黒、後者はキラキラ光る虹色みたいな。

02.風 ~re-fly ver.~ 作詞:和田光司 作曲:大久保薫 編曲:宮崎京一
「デジモンテイマーズ」の挿入歌で、和田さんのファーストアルバム「all of my mind」の中の1曲です。思わず口ずさんでしまう大好きな曲。これも、編曲で音は厚くなったけれどより明るくサクサク軽快な感じになっています。私はファーストアルバムのシンプルなアレンジも好き。欲を言えば、このアルバムの「Seven」も大好きなので、別ヴァージョンが聴きたかったな。⇒「KOJI WADA DIGIMON MEMORIAL BEST」の購入で叶いました。
この曲にはこんな歌詞が。「常識ってなんなんだろう もっと大切な事あるんじゃない」「世間なんてさ(中略)愛想笑い」、そう、反骨精神、ロックなんです!和田さんは正統派ロッカー!

03.bravery 作詞・作曲:和田光司 編曲:鈴木豪
元気と勇気の出る明るく力強い歌で、歌詞にはlove songとありますがもう少し普遍的な愛と情熱を歌った歌のような気がします。「超えてゆけ」で、頑張ろうって思える。反骨ワードがここにも。「不条理な時代」「キレイ事に何度ジャマされて」。

04.希望ノカケラ 作詞・作曲:和田光司  編曲:R・O・N
「焼け焦げた大地」「火薬が舞う」「正義の旗が」「光る地球(ほし)にしよう」などと、明らかに平和・反戦を人類に訴えるメッセージ性の一番強い歌詞です。でも政治臭や嫌な感じはありません。平和を成し遂げると信じる心、強い。

05.Butter-Fly 作詞・作曲:千綿偉功 編曲:渡辺チェル
解説不要ですね。聴きなれたあの歌です。アルバムに入れたのは、ここで原点を振り返ろうという意味合いもあったのかなと勝手に解釈しています。アニソン番組で、その後もたびたび不死蝶と取り上げられて、うれしさもひとしお。

06.re-fly 作詞・作曲:和田光司 編曲:渡辺チェル
「『ゴミ箱を飛び越えた先の未来』なら今この手にある」和田さんは、未来を手に入れたんですね。本当にうれしい(*;_;*)なのに亡くなってしまうなんて…泣きます。でも、和田さんが「共に行こう」と言ってくれるから、きっと泣かないでと言ってくれるから、私、行くんだ。
もちろん、デジモンフロンティアのオープニング「FIRE!!」の歌詞「ゴミ箱を飛び越えた先にある未来」(作詞家の山田ひろしさんが、和田さんのデモテープがゴミ箱に捨てられていたのが拾われてデビューが決まったエピソードを歌詞に取り入れたのはご存知ですよね?)へのアンサーソングと受け取ってよいでしょう。「『階段の先にある時代』は今 ここから始まるんだ」も、同様です。
そして何より、和田さんが復帰の喜びと未来への期待をみなぎらせた生命力あふれる歌で、アルバムの中で一番好きです。
ちなみに、この歌のバックグラウンドヴォーカルに、アニソンの大御所・影山ヒロノブさん、遠藤正明さん、きただにひろしさんが参加されています。

発売元:ランティス 販売元:バンダイビジュアル

追記:私は今でも、和田さんのアルバムや歌をしょっちゅう聴いて和田エキスを常に補充しています。はっきり言って和田依存症。まだ聴いていない方、是非聴いて下さい。後続CDの再録やバージョン違いとは異なり、和田さんが直接自分の意志で創った遺作です。今これを書いている最中、テレビの天気予報のBGMに有澤孝紀さんのデジモンミュージックが流れました。デジモンミュージックよ永遠に!(2021/12/31更新)



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