デジモンアドベンチャーtri.第3章「告白」感想

デジモンアドベンチャーtri.第3章「告白」、見てきました。パタモンのかわいらしさを再認識。光子郎は頑張ったよな~。ヘラクロカブテリモンがかっこよくてよくぞ!立派だったな。DVDの発売が11月、第4章が2月、きちんと作って下さるならそれで良しとしますが、じれったい。入館したらメイク―モンのデジモンカードとヤマトのブロマイドをもらった。感想を書くまでに、アプモンが始まったり第4章が始まったりですっかり書くのが遅れてしまった。一応、第4章を見ていない時点での感想で書こうと思う。

黒地に白文字で「和田光司さんと水谷優子さんに捧ぐ」とテロップが。和田さんは2016年4月3日 、上咽頭がんで死去(享年42)。水谷さんは2016年5月17日、乳がんで死去(享年51)。胸に刺さる悲しみ。

●あらすじ:メイク―モンがレオモンを倒して歪みに消えてから、悲しみと自責に耐えられない芽心。歪みや感染という異常事態に危機感を募らせ焦る光子郎は、神経を張り詰めてパソコンとにらみ合い。そんな中、タケルはパタモンの感染に気付きながらひた隠す。結局打つ手もなくなし崩し的にデジモンたちは動くが、ヒカリの口を借りて「安定を望むもの」から「大きな犠牲」つまりリブート(reboot、コンピューターの使用中に再起動すること)、パートナーと過ごした記憶を失うという犠牲を払えば子供たちの世界を守れると聞かされる。それは次にメイク―モンが現われた時安定様が執行するという。
一部で表示された謎のメッセージ「破滅の時は来た デジモンは再び解き放たれる 脆弱なるデジタル基盤に依存した、お前たちの世界は 砂上の楼閣に過ぎない 今こそ崩壊の序曲を奏でよう」19時52分~というニュースを聞く太一とヒカリ。八神母の声優さんはアドでは水谷さん(劇場版では榊原良子さん)だったが、トライではどなたが?
光子郎がようやく歪みの原因を突き止める。現状と全く異なる記数法に、電子機器が対応できずデジモンにも悪影響が出ていたらしい。これを解決できなければ世界は滅ぶも同然…。一方太一たちは現れたメイク―モンを、歪みに押し戻すのが精一杯。それどころか次々に感染を起こし味方を傷つけることに。何とか正気を保ったテントモンは、光子郎の用意した安全地帯に入らず、ヘラクルカブテリモンに進化しみんなを抱きとめるように歪みの中へ消えていった。リブート完成。
ひとまず平穏を取り戻した現実世界だが、光子郎の説得もありゲートを開き皆パートナーデジモンとの再会を果たす。けれどこのデジタルワールド、どこか変だ。


●気付いたこと:
無印という名作を、初めからなかったことにするなんてストーリー一体だれがOKを出したんだろう・・・(怒涙)。第4章でピヨモンが進化しているから、絆は戻ることになるのだろうが、あまり安易に後へ繋げてほしくはない。それに味方同士で激しく争うシーンを延々と見せられ、げんなり。文句ばかり言ってしまうが、それは期待の裏返し。第3章でパートナー関係が白紙になってしまい、後の章で収集つくんだろうか…
子どもたちのファッションだが、制服はともかく私服にはそれぞれのテーマカラーがあってそれがキャラクターの性格をも表していて、それは映画にも引き継がれて楽しめたのだが、トライではまちまちで残念だった。例えば光子郎はオレンジとカーキ、ヒカリちゃんは薄ピンクと黄色で統一してほしかった。パンフでスタッフは「そこまで考えて作ってます」と言ってたけどなあ。ただ、作中に出てくる服の実物が買えるのはうれしい。
進化とは、子どもたちとパートナーの心が成長したり絆が深い時にできるものだと思ってきたが、その辺の描写が微妙。最後のバトルでアグモンだけメタルグレイモンに進化してたり、退化したはずのテントモンが次の瞬間カブテリモンからヘラクルカブテリモンに飛ばして進化したり、おやと思うことが多い。メイク―モンがメイクラックモンに進化した理由も現場に駆け付けた芽心との関連もわからないし、1体に成熟期が数体束になってもかなわないというのも解せない。ただ、子どもたちよりデジモンの意志が主体となって進化していたのはそれなりにいいと思う。
冒険と分かっているのになぜに制服でデジタルワールドへ行くの?丈は救護バッグ・空は大きなトートバッグ・タケルはリュックなどそれなりに装備しているが、動きやすい安全な私服の方が自然に思える。


●太一:第1章で抱えた悩みを大きく変化させることなく経過。目立つことなく、デジタルワールド決行の音頭を最終的にとったぐらい。
●ヤマト:姫川に情報開示を求めに動いたり、高石家を訪問したり、メイク―モンに近づこうとする芽心を力づくでとめたり、バンドにバイクと、行動派な面が目立った。ちなみに太一と食べたアイスはガリガリ君と思われる。
●空:水谷さんのことがあって、三森さんはおそらく気持ちも新たにアフレコに臨んだことだろう。もし次があったら、三森さんしかいないもの。本人は、おかんを自認しピヨモンに自分のことをもっと大切にと声をかけられる始末。
●光子郎:前半はピリピリして挙句にやつれ切って、かわいそう。でも記数法で歪みの原因に気付いてからはテントモンのナイスフォローもあって失意から俄然知識欲と光明を取り戻し、ついには感染についてバックアップフィールドなる対策まで構築して臨んだ。単なる知識に終わらない強さが見える。まあこれは、骨折り損に終わってしまうのだが。全身を賭して別れを告げたヘラクルカブテリモンに、リブートされた未知の地・デジタルワールドへ赴くようみんなを説得することで報いようとしたか。
●丈:あれだけテンパっていたのに、究極進化で自信を得たのか生き生きして、塾での席順は3列以降と相変わらずのようだが集まりにもきちんと顔を出す。塾と学校の二足のわらじで、自転車を常用。連日徹夜の光子郎を気遣い、片付けして寝かしつけるとこなんか親切な丈先輩らしくてよい。「実在」(笑)するという彼女に、デジタルワールドへ向かうことは伝えたのだろうか。
●ミミ:ミミの叫びは、自己主張とかわがままとか言うには激しすぎる。昔のミミちゃんのわがままはベッドで寝たいとか歩き疲れたとかシャワーに入りたいといった小学生として当然の欲求だし、弱いものを温かくいつくしむ純真さだ。帰国子女というより下品で気の強いギャル化したように思えてならない。トライのスタッフが、ミミの純真を勘違いしているように思えてならない。それともこれがミミの「成長(変化)」?帰国子女だからってツンデレをツンダラと言うとか諺の間違いとか、あまり意味のないセリフに思え余計に軽いキャラに見えてしまう。
●タケル:02では事態を俯瞰した大人っぽい面が多かったが、トライではまた最年少だし、パタモンの感染の件があってちょっと子供じみた態度も多く見せた。パタモンを一度失ったことのあるタケルにとってパタモンの感染は悪夢以外の何物でもない。そこで感染を隠してしまったことがバッチリ裏目に出てしまった…。他人に負担をかけたくないというもともとの性質で、光子郎の余裕のなさを見て余計相談できなかったのか。歪みに消えたパタモン、ヤマトに泣きすがるタケル。これ大好物って輩が今もわんさかいるんだろうか(笑 ヤマトの呼び方が「兄貴」だったり「兄さん」だったりするのが気になる。タケルがそう呼んでいるというより脚本に理念を感じない。ディア逆での「兄さん」にタケルの成長を見たファンたちの一人として。
●ヒカリ:(安定様)がなぜ子どもたちでなくデジモンたちの前に降臨したのか。あと、皆驚いてるけど降臨したの初めてじゃあないはずだよね。病院を受診してたけど、保険証なしじゃ10割負担だから(成長してからは健康で融通の利くかかりつけの医者もなかったろうし)姫川が払ってくれちゃったのかな。
●芽心:ドM全開。泣いて謝ってばかりで、空やミミのフォローもなかなか届かない。タケルの前で「罵倒された方がまし」と泣き崩れる。メイク―モンの件で無理もないとは思うが、もう少し動きがあってもよかったのでは。
●02組:一乗寺家のマンションは、02と同じ303号室だから、田町のマンションに引き続き住んでいるのだろう。それにしても不在だからとあっさり引き下がるなんて、ヤマトも「連絡が取れないから」ぐらいであっさりひいちゃうし、02組たちかわいそう・・・。このまま黙殺されるのか、トライで今後どう登場するのか想像がつかない。賢ちゃんは今さらしつこくカイザー姿を引っ張り出されるし、京は「芽心はメガネキャラがいなかったからデザインした」なんて言われちゃうし。トライのスタッフは02をかなり軽視していて正直不信を感じる。もちろん、無印組プラス新キャラとなると02組に割ける脚本の尺がないのもわかるのだが。
●アグモン:食欲の訴えが何度も続いてテイルモンにいさめられるなど、不遇。ギャグで終わらせてほしかった。というか、戦闘でない場面での存在感のアピールの仕方として安易だと思う。あと、最後のバトルで一体だけウォーグレイモンに進化していたのがなぜ?
●パタモン:もともとハムスターのようなかわいらしい容姿で舌足らずであどけなさが魅力のパタモン。今回は、最初に感染したということでいじらしい可愛さ全開。
●テントモン:ヘラクルカブテリモン漢前!光子郎が夢中になれるのは、テントモンがいつもいてくれるから。
●テイルモン:ヒカリとの思い出作りに「駄目か?」とおねだりする甘え方がすごくかわいくてツボ。エンジェウーモンとエンジェモン、美しいというか妖艶!鼻先から口元にかけてが特に。ニャロモンがあの場にいるということは、リブートされてしまって、ヴァンデモンのもとでの暮らしがなくなったんだとしたらあの姉御肌もなくなるってこと?!中でも一番ショックかも。リブートされたのに、なぜ無印でヒカリにもらった笛があったのか疑問。
●ピヨモン:空を想って、いいこと一杯言ってるのは、第4章への布石だろうか。リブート後、空を怖がるが、確か無印でピヨモンてデジモンは「人懐こい性質」じゃなかったっけ??
●メイク―モン:すべての元凶であることがやっと明らかにされた。ビッグサイトに現れた時は、1体でちょっと強すぎて違和感を覚えた。ちなみにメイクラックモンという名称は作中では呼ばれていない。リブート後に、なぜか成長期の姿のままで、芽心への記憶も保持していたから、今後も重要なカギを握るのだろう。鳥取にいたころから感染の兆候はあったので、なぜなのか・なぜ今なのかは疑問。
●アルファモン:敵か味方か判然とせず。ジエスモンと乱闘、なぜデジタマでないのか。ジエスモンは、私は知らないのだが「サイバースルゥース」で声付きで登場、アニメではこれが初登場だというロイヤルナイツの一人だそうで。こんなのがいて、パートナーデジモンが進化もできなかったら、身を守れるのか先が思いやられる。
●ハックモン:「アイドルマスターシンデレラガールズ」のよきマネージャーとして、低く貫禄があって若い声の武内駿介さんがあてていたとは。誰の命で動いているのかは不明。
●姫川:ドSキャラ全開。味方だという大前提で見てきたが、怪しいあの微笑み(子供たちがリブート後にデジタルワールドへ行こうとした時と、デジタルワールドでパートナーデジモンに再会した時)。しかもゲートが不安定と言ってたくせにリブートされたデジタルワールドにいるし!もしかして陰で何か操ってるの?賢と同じ黒いD-3と02組が皆持っていたD-ターミナルを持っていたのも謎だし。
●西島:姫川の肩をつかむシーンが印象的。だが仕事上の上下関係は崩せなかった。もしいろいろ情報を与えられたら子供たちの立場に寄るとわかっていたから知らされなかったのか。
●黒ゲンナイ:なぜカイザーから変身したのか、なぜ黒幕なのか、全くナゾ。「感動の再会だな」なんて言い方、感じ悪い。
●芽心の父:芽心とメイク―モンのことを誰より知っていながら、極めて事務的な仕事人間で親身になってくれない。何考えてんだアホ!立場上、必ず後で動きがあるとみたが。
●芽心の母:メイク―モンの存在を知っているはずだが、特別それには触れないのが物足りない。いまどき家でてんぷらを揚げるなど家庭的で優しいお母さんだということは伝わるが、積極的に選ばれし子どもに関わる立場にはないのが物足りないといえばいえる。石田父らの動きが全くないことから、他の家族は登場しなさそう。


●EDはKNIFE OF DAY(細谷佳正さん)の「僕にとって」。ヤマトのキャラソンというよりは、子どもたちとパートナーデジモンの絆を歌ったものかな。相変わらず黒い画面が多くて寂しい。開き直って手抜きしたとしか思えない。

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