デジモンアドベンチャー第38話「復活!魔王ヴェノムヴァンデモン」感想
脚本:まさきひろ 演出:角銅博之 作画監督:出口としお 美術:飯島由樹子
ウィザーモンという犠牲を払って、エンジェウーモンと全ての力を合わせてヴァンデモンを倒した子どもたち。しかしお台場の霧はなぜか晴れない。
タイトルコールとシルエットはヴェノムヴァンデモン。クレジットは「ヴァンデモン」で、声は大友さんだが、ヴァンデモンの時より巨大化したような演技。シルエットは頭部ではなく本体と思われる腹にある目のアップから全身像への移行という手の込んだ映し方。ゲンナイの告げた予言の通りにことは進み、ヴァンデモンは魔獣の姿で復活した。あまりに強く、対抗する術がない子どもたち。しかし、勝利のカギもまた予言に記されていた。それは光と希望の矢がもたらす奇跡。子どもたちの家族の援助と活躍が印象的な回であった。
●太一:怖いけど勇気を振り絞りエンジェウーモンの光の矢を受ける覚悟を決める。ここからは太ヤマ・ヤマ太全開ですラブい~^^)「怖いか?(ヤマト)」「恐くないと言えばうそになる(太一)」「実は、俺もだ」キャーvvですな。
●ヤマト:太一と同様、エンジェモンの希望の矢を受けると決める。太一の手を握る、イチャイチャMAXですな。「俺が逃げないようしっかり捕まえててくれ」「俺の方こそ頼んだぜ」「奇跡よ(エンジェウーモン)」「起きろ(エンジェモン)」!矢が二人を貫くと、アグモンは鉄壁の竜戦士・ウォーグレイモン、ガブモンはメカメカしいメタルガルルモンにワープ進化!進化シーンめちゃカッコよ!
●タケル:父と兄に遠慮して、母を呼ぶ事ができない。お台場まで来た行動力の一方でこんな気まずさも。家族なのに切ないね。
●ヒカリ:ビッグサイトの被害者に、自責の念に駆られて。空にやさしくフォローされる。光の矢の奇跡を信じて。
●光子郎:ゲンナイ(ここも声は八奈見さんではない?)のメール「うれしいお知らせ!」が届き、添付ファイルが自動解凍されると(こういう細かい描写が良い)、内容は古代遺跡で見つかった予言の詩であった。「はじめにコウモリの群れが空をおおった 続いて人々がアンデッドデジモンの王の名を唱えた そして時が獣の数字を刻んだ時アンデッドデジモンの王は獣の正体を現した 天使たちがその守るべき人のもっとも愛する人へ光と希望の矢を放った時奇跡はおきた」。細かいことだが、声では「奇跡がおきた」と読んでいるが、文面は「奇跡はおきた」である。具体的な霧を晴らす方法は、メールではわからなかった。なので一同はひとまず自宅へと。光子郎の自宅マンションは「ODAIBA
MANSION」(空のと同じ名称)である。丈も同じマンションとの事で、カメラアングルは2階に向けられている。
両親の告白に、知っていたがどうにもならず本当の自分を見せないようにパソコンにハマったと。「本当のことを話してもらってありがとうございます…あ、いえ、あ…ありがとう」敬語を訂正したが、今まで通りでいいと肯定され、母に抱き着いて号泣。二人を抱き寄せる父、涙。
父に問われ、ヴェノムヴァンデモンは究極体と判明。ここからは光子郎のテーマが流れる。「天使たち」はエンジェウーモンとエンジェモン、「守るべき人」はヒカリとタケル、「最も愛する人」は親兄弟すなわち太一とヤマト、ブラコン、笑。タケヤマ派もヒカ太派も大喜び。小学生だから、恋人や配偶者でなく家族が愛する人に当たると推理。矢を受けて大丈夫なのかと危惧はあったが、その推理と提案は大当たり。さすがの分析力。
●丈:プカモンについて「事情は後で話すから」と落ち着き払っているから、シン兄さんとは信頼関係が深いのだろう。「父さんは(医師に)なれって言うけど」。02で発売の「未知へのアーマー進化」で城戸父は、本音はなってほしいけど、本人の意思に任せると明言していますが。「血を見ただけで気絶するような奴」だから医者に向かない、とシン兄さん。そうなんだ~、でも将来を見ると、いつだかに克服したんだね。勉強漬けでなく、シン兄さんのような理解者が身近にいて本当に良かったね先輩。親に求められ受動的に医者を目指していた自分の意思を探るきっかけとなった助言。ちなみに父はほんの少ししか映らず、普通のスラックス姿ということしかわかりませんでした。
●空:お姉さんらしくヒカリとテイルモンをフォローするものの、母の姿に自身も本当は不安でいっぱい。無理はしないでほしい。
●シン:CVは菊池正美さん。丈に比べ落ち着いたしっかり者で丈の良き理解者。シンといい丈といい性格が良くて、城戸家の教育は適切と思われる。押入の上の段をベッド代わりにしており、難を逃れた。同居しているのにそれを丈が知らなかったのは、塾通いで自宅にいる時間が少なく、勉強以外のことを考える余裕がなかったからだろうか。騒動にバイクが活躍、二人乗りでしかもノーヘル、緊急事態なので許して。医学生で、ビッグサイトの「何万人といる」被害者の診断・医事コンサルトの役割を果たす。「丈、お前な、親の言う通りの人生歩む必要なんかないって。実は俺だってさ…」。でもね、脚本にケチをつけるようで申し訳ないですが、国家試験に受かっても、すぐに離島の医師になれるわけではないです。医療法の規定により、臨床研修を終了しなければ保険診療の勤務医になれないし、医療機関の院長にもなれないです(美容医療、健診医療についてはこの限りではない)。初期研修は医学部卒業後2年間(内科6ヶ月以上、救急科3か月以上、地域医療1か月、外科・麻酔科・小児科・産婦人科・精神科のうち二つ以上、それ以外は自分で選択可)、後期研修数年間を通して専門医資格の取得を目指すという二本立てです。それでやっと一人前の医師になれます。離島ならなおさら自分一人の幅広くも深い力量が試される。自分も若かりし頃、海外の極貧国の医療を志していたので、シン兄さんには、ぜひ頑張ってほしい。漢字は?真、信、新、伸、慎、晋、紳、まさか診?三男が慎重派だから慎かとも思うが、一人目に付けるのだから一番シンプルな真ではないだろうか。ハイ、妄想激しいですスミマセン;
●ヤマトの父:泉家に事情を説明後、霧の突破を試みるも不発。予言の「コウモリの群れが空を」を目撃。「獣の数字」を知っていた。それは時刻午後6字6分6秒のこと、太一はさすがに直感的で察しがいい。今、5時59分59秒、様子を見に行かねばと車を出してくれる。真夏ゆえ、6時代ならまだ日は高い。さて、現れたのはあまりに巨大な化け物。
●光子郎の父:「一体何が起こったんだ」敬語でないのは違和感がある。同年輩の初見の人・ヤマト父にではなくまず子どもたちに問いかけたということか。隠れている間に夫婦で相談し出生の真実を告げる決意をする。実の父は遠縁で、天才肌の数学者で大学の講師、12年前に結婚し光子郎が生まれたが、交通事故で妻と共に急死。男の赤ちゃんを亡くした泉家に光子郎は引き取られた。赤ちゃんの時だから、普通の養子縁組か特別養子縁組かは知りたいかも。実の親のことを高く評価しているから、実親との法的関係を解消する特別養子縁組は選ばなかったと推測する。告白が遅くなったことを謝罪、パソコンも個性だと肯定した。知りたがりは環境要因だけでなく遺伝要因もあったんですね。車に同乗し、危険な現場に同行、和解の後だけあって。光子郎うれしそう。予言について、光子郎の推理を妻と共にフォローし有力な手助けとなった。
●光子郎の母:「あなたが元気でいてくれたらそれ以上は何も望まない」存在そのものを肯定されてどんなにうれしかったか。「天使、天使よね、ローマ神話に出てくるキューピッドは人に愛を与える矢を放つ」こんな知識がすぐ出てくるからには教養深いと推測される。キューピッドは英語読みで、「クピードー」翼のある幼い少年の姿で描かれる愛の神。「それや光子郎はん」ここからは太一のキャラソン「勇気を翼にして」が流れる、心揺さぶられる。エンジェウーモンとエンジェモンが太一とヤマトに愛の矢を放つという解釈が生まれた。
●アグモン~ウォーグレイモン:メタルグレイモンに進化しがんばるもエネルギー切れでアグモンに退化。まずもって大きさが圧倒的すぎる。太一が矢を受けることを心配したが、結果はオーライ。新たな進化!
●ガブモン~メタルガルルモン:ワーガルルモンに進化するも、メタルグレイモンと同様に退化。アグモン同様、ヤマトを心配するも。
●テイルモン~エンジェウーモン:お姉さん口調で、ヴェノムヴァンデモンを倒すしか方法は無いと断言、パタモンだけ連れて他のみんなには体力温存を指示する。テイルモンもヴァンデモンの真の姿について知っていたのかと推測される。ここで初めて、超進化後に成長期に退化せず成熟期のままなわけが明かされる「鍛え方が違うのよ」。「もう一度滅ぼしてくれるわ」このせりふもカッコいい!
●パタモン~エンジェモン:天使型としてテイルモンに指名され、責任重大。エンジェモンに進化して現場へ向かう。
●プカモン~ゴマモン:「やい、コラ!例え兄さんだって、丈をバカにすると許さないぞ!」「うん、それなら納得」丈思いでめちゃかわいくないですか?!竹順ラブ~!デジモンでもきょうだいの概念は理解してるんですね。医学生イコール勉強できるというのも知っていて、意外。だって塾で何を教えているか知らなかったもん。
●テントモン:当然ながら席を外し物陰からそっと「思う存分泣きなはれ、甘えなはれ」同じ気持ちです、一緒に泣けます。「変身やのうて進化です」光子郎母ともすっかり打ち解けて。
●ヴェノムヴァンデモン:獣の下半身と甲虫のような外殻の上半身を持つ究極体の魔獣であり、ヴァンデモンの進化した真の姿。秘めたパワーを開放したため破壊と殺戮の衝動だけの存在。知性や理性を保っているヴァンデモンは、この醜い姿をさらすことを嫌っている。必殺技は、敵の体内に破壊型ウイルスを注入しデータを破壊し機能を停止させる「ヴェノムインフューズ」。venomとは、①蛇やサソリなどの毒液②悪意、増悪。
不吉にも、ヴァンデモンの赤い仮面は残っていた。そして悪の手下たちはコウモリとなってそこに集結、巨大な魔王となって復活した。無印で初めて出た究極体。知性も理性もない化け物で、巨大なビルや観覧車を一瞬で破壊。エサを求めビッグサイトへ向かおうと。
●ピコデビモン:ヴァンデモンが倒されても、真の姿で復活する(アンデッド、不死身)ことをなぜか知っており(事前にヴァンデモンから聞かされていた?それとも自身の情報網?)、引き続き従属してエサの確保に働いた。「パワーが足りない」「まずはお前からだ」あっけなく食われたのはひどく哀れ。こんなカスでもエサになるのかな。
●ヨハネの黙示録:平田さん、「もくしろく」を「もくじろく」と読んでおりスタッフ誰も指摘しなかったのか。イエスが弟子の一人、ヨハネに啓示したのを書いた新約聖書の最後にある書物で、新約聖書唯一の、将来についての預言書。黙示録13章18節に、666が獣の数字として記されている「その数字とは、人間をさすものである。その数字は六百六十六である」。俗に悪魔や、悪魔主義的人間を指す数字とされる。
次回予告:ヴェノムヴァンデモンの圧倒的な力に、遂に究極体となったウォーグレイモンとメタルガルルモン、そして他のパートナーデジモンも力を合わせ戦う。守るべき大切な家族と世界のために、ラストバトルを!
2025.5.11. 記