デジモンアドベンチャー:第6話

デジモンアドベンチャー:第6話「狙われた王国」

脚本:山口宏 絵コンテ:貝澤幸男 演出:なかの★陽 総作画監督:浅沼昭弘 作画監督:清山滋崇・二階堂渥志

●全体を見て
録画のタイトルに「・少女ミミとの出会い!」と追加されていました。
山口宏さんはGONZOの設立にも携わったというベテランの脚本家さん。なかの★陽(よう)さんは、映画・アニメ・ゲームなどで演出・脚本・デザインなどされ鬼太郎第6期にも参加されてる方。二階堂渥志さんは原画マンということしかわかりませんでした。いずれもデジモン作品は初参加では。貝澤さんと清山さんはおなじみ。
1話ごとに一組の子どもとパートナーデジモンを紹介し絆と進化を展開させる流れだが、光子郎・テントモン同じく、ミミがどうやって初対面のパルモンと出会い絆を深めていったか、回想の1シーンだけでかなり省かれているのが物足りない。
ちょっと気になるのは、冒険中に無印と違って食料や寝床の確保の描写がほとんどないこと。今回は空腹のシーンがあったけど。あえて触れないようにしているとしか思えない。今作の子どもはそれらで消耗するほど弱いメンタルでないということか、それとも尺の中で他を優先的に描きたいのか。

●ミミ:帽子の色が今作は地味だけど、冒険に似つかわしくない赤いワンピース姿。
太刀川重工の会長の孫ということは、父親もしくは両親が大会社の会社役員や社会的地位の高い人である可能性あり、つまりセレブなお嬢様。おじいちゃん子なのが明瞭、どんな家庭に育ったのか興味ある。小4だが武蔵小杉小の所属ではない様子、私立のお嬢様学校だろうか?ずいぶん前からデジタルワールドにいたようだが、現実世界での住所はどこだろう。
無印とは真逆のミミに驚く。疲れた・ベッドが無い・シャワーが無いと嘆いていたミミ。それに、美少女が汚物系デジモンに好かれるというパラドックスもあった。しかし今作のミミは、帰りたいどころか(いくらパルモンの補佐があったとはいえ)すっかりなじんで自分の王国まで作り、それを守る使命感に燃えている。それに、全くもってかわいいタネモンに好かれている。戦いは嫌と嘆いていたのに、バトルとは言えないが果物泥棒に積極的に罠を貼る行為も見られた。このような、子どもたちのデジタルワールドへの適応力の高さは今作の特徴ではないか。
泣いたり笑ったり感情が豊かなのは無印と同じ。ドリモゲモンを倒しパルモンと涙で抱き合うのは名シーンなのだろうが、私は引いちゃったというかそんなに泣くとか感動はしなかったなあ。
「謎の声」を昼寝中に聞いたようなというが、あくまで太一と空のタイミングで語りが始まっており、ヤマト・丈・ヒカリ・タケルも受信したのは確かだろうがきちんと聞いていたかは定かでないということになる。
今自分のできることをやるというおじいちゃんの言葉に感銘し、太一たちの旅に同行する決心をする。
声は、高野麻里佳(こうのまりか)さん。前田愛さんとさほど変わりなかったのがうれしい。
●パルモン:タネモンたちのまとめ役だった模様で、王国では何と執事を務めていた。オーガモンに操られたドリモゲモンに苦戦、データが消えかかってしまう。そんなパルモンを残して自分だけ逃げられないというミミとの絆にデジヴァイスが応え、トゲモンに進化。大きさでは圧倒的にかなわないのにココナッツアッパーという聞いたことのない新技(公式大図鑑にも載っていない)でドリモゲモンにとどめをさす。
●太一:時間を限られた海を目指す旅の途中なのに、ミミを女王様と呼び王国を守ろうと臨機応変に判断。グレイモンと一緒に善戦。
●アグモン~グレイモン:例のごとく腹ペコキャラで笑いを取った。1話内でフルの進化バンクは1体にしか使わないようだ。グレイモン、成熟期にしては強すぎるくらい。
●空:バードラモンに乗り、コアドラモンとタスクモン1体を見事倒し「こっちは片付いたよ!」と力強いセリフをさらりと言ってくれる豪胆さ。
●光子郎:デジタルワールドと現実世界との時間の流れが違うという重要なことに気付く(無印ではわかるのは第21話と中盤になって)。エンコードなるスキルも使いこなし、頭脳派の面目躍如。
●ミミのおじいちゃん:声は池水通洋(いけみずみちひろ)さん。日本俳優連合専務理事だとか早稲田大中退とかそっちの方に関心が行ってしまいましたが、仮面ライダーシリーズの怪人役や天才バカボンのウナギイヌ役の方だと。東京の危機に直面して会長自ら現場へ参加するのはそれだけ危機が未曽有のものなんでしょう。皆でマスクをして事に当たっているのは、放映休止中にコロナ禍の実情を描き加えたのかも。第1話で光子郎のタブレットにTACHIKAWAとあったのはこの伏線だったし、危機の解消までに再登場の可能性あり。
●タネモン;球根型の幼年期。ざっと30体いるが、太一たちの家来番号が72、73ということは、王国の偵察隊など別の場所にもいるのだろう。土の中から出てきたのには驚いたが、小さくてとても可愛らしい。セリフは鳴き声しかないが、手旗信号で偵察の連絡を取る、ミミなき後の王国を維持する決定を行うなど知能は高い様子。
●オーガモン:無印ではグレイモンにやられて髪が焼け焦げたのを気にするお洒落さんであったが、角をへし折られるのは美容を飛び越えて激しい屈辱体験。思わず咆哮するのもわかる。しかし、単なる敵キャラで終わりそうにはない感じにちょっと期待。いまだ文章でなく単語を発するのは、誰かに操られているせいなんだろうか。咆哮から見ても、単に完全に操られるのでなくある程度自立性を保持している模様。
●タスクモン:もともとケンカ好きの暴れん坊な恐竜型の成熟期が、サウンドバードモンに操られさらに凶暴に。最初の2体が穴掘りという古典的な罠でやられてしまうのが情けない。次の2体もグレイモンの一発攻撃で敗れてしまう。
●ドリモゲモン:獣型の成熟期、でかい。
●アナウンサー:声は生田竜聖(いくたりゅうせい)さん、フジテレビの現役アナウンサーという粋なキャスティング。女声だったなら松澤千晶さんというところか。ちなみにお兄さんは俳優の生田斗真さん。
●次回予告:無印でも第7話でゴマモンが進化。とにもかくにも丈というタイトルで期待が膨らむ。どんな男前やら(笑

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