デジモンアドベンチャーtri.第5章「共生」感想

●あらすじ:黒ゲンナイに芽心を殺すと脅され、メイク―モンは怒りで「変異」しメイクラックモンへ。興奮のためか芽心をも手に賭けようとし、現実世界へ飛び立つ。メイクラックモンの歪みのせいで現実世界に電子機器の異常やまた、ナノモン・タンクモン・ゴーレモン・アノマロカリモン・ゴリモンらが待機する状況。しかし何の連絡ももらえずにいる西島と教授のもとに、ハックモンが現われホメオスタシスの「パートナーに希望が持てずリブートも無効だったので世界の調和のため、『変異』を起こしたライブラを排除する」意向を伝える。自衛隊にも根回しは済んでいるとハックモンは言う。その中、メイクラックモンが地熱プラントに被害を。
子どもたちはデジタルワールドでデジモンにも植物や地形や天候にまでも翻弄される。デジタルワールドに憎まれているとヒカリは言う。黒ゲンナイの差し金で現実世界へ戻された子どもたちは、危険なデジモン連れとして警察に補導されてしまう。迎えに来た西島に現実世界の混乱やハックモンからもたらされた情報を聞き驚く。ひとまずみな月島高校で一夜を明かすが、メイクラックモンが出現しラグエルモンに変異。そこにヒカリを通じてホメオスタシスがメイク―モンの排除を明言する。そのため遣わされたハックモンの進化系ジエスモン。しかしあくまで仲間であるメイク―モンを守ろうとパートナーデジモンたちが究極進化しオメガモンとともに総力を挙げるが決着がつかず、デジタルワールドへ戦いの場を移す。
そこにイグドラシルの遣わしたアルファモンも現れ熾烈な四ツ巴の戦いに発展する。ジエスモンの放った技が地割れを起こし、太一はオメガモンに芽心とヤマトを託し自分は行方知れずになってしまう。それにショックを受けたヒカリは、呪いに取り憑かれたようにニャロモンをオファニモンフォールダウンモードへ暗黒進化させる。それは残ったラグエルモンと一体化し不気味な白い姿となり消えた。いよいよ世界の調和の崩壊が始まるのか?

●全体を見て:芽心とメイク―モンの関係を散々描いているのに、芽心がほぼ全般鬱々として自責的でさっぱり落とし処がわからない。芽心はいつまでもお客様だし、パートナーとの関係をどうしたいのか混乱するまま最後には「殺して」って自分の意志というより他にどうしようもなくてそう言うなんて、ちょっとデジモンのストーリーとしてひどいように思う。「デジアド」ってこんな作品だったっけ???
怪談話、丈の怪談、芽心を励ます太一とアグモンを眺めるデジモンたちなど、ちょこちょこあるギャグ場面は笑えるがシリアスな展開の中で何だか居心地が悪い。
バトルの展開は派手だが、進化シーンは8体で同じ画面に収めちゃうし、勝ち負けがうやむやでちっとも話が進まない。心が成長したり絆が深まった時進化して勝利して次へ進むという、当たり前の展開がないことに戸惑いを覚える。太一「一体何と戦ってるんだ」って、それわしら視聴者のセリフだよ!あそこまで排除言っといて、ラグエルモンはジエスモンにやられないで終わるし。本当に第6章で収拾がつくのだろうか。
地熱プラントって言うけどこれ原発だったらどうするのって気がしません?メイクラックモンが直接殺人はしていないと言いたいからなんだろうけどなあ。
以前までのリブートの諸問題があっけなく解消し、いかにも昔からのパートナーシップが築かれており、何だったのかと。
ダークマスターズのうちピエモンもピノッキモンも出てこなかったな。

●芽心:皆に励まされるがパートナーとしての存在意義をなかなか見いだせず、落ち込んでばかりで正直どう力づけていいかわからない。選ばれた理由も結局わからない。感情移入できない。スタッフが2人をどうさせたいのかさっぱりわからん。
細かいことだけど、メガネの描き方が気になる。小学生の時から眼鏡だったのだから、近視や遠視が進んでいるはずで、壊れた眼鏡では非常に不便と推察される。しかし、自宅にも戻れず修理できた暇があったとは思えないのに、壊れたメガネがきちんと描かれていないのが気になる。
鳥取弁と標準語の使い分けは良いと思う。荒川美穂さんが自分から発案したところもあったといい、好感が持てる。
怪談を盛り上げるという意外な一面も。

●太一:芽心を進んで気遣ったり、あーだこーだ言っていたが芽心の言葉を受け止め、仲間だからこそラグエルモンを倒そうと決意。第6章のキービジュアルに出てますもん、生きてはいるんだろうけどひとまず生死不明という大問題。

●ヤマト:オカルトが苦手という新たなキャラ設定が。劇場配布特典のハガキにまでフューチャーされてます。リーダー太一の代理としてひとまずゴーグルを手にするが、それって大輔の役割じゃ・・(涙)。第6章予告ではかっちりゴーグルをはめておりすっかりリーダー、まじか。

●空:芽心のフォローは手厚いが、効き目はなし。太一不在で呼びかけるヤマトに、最初に立ち上がった。
●光子郎:ラグエルモンを倒すという太一に反発するヤマトとの間に入り仲裁。客観的視点を忘れずにいる一人。パソコンの画面がえらいことになってますが説明はなし。

●丈:失言担当(笑。デジモン連れが内申に響くことを心配し、適応能力の高さをほめられる。背筋も凍る話も受験絡み。がんばれ先輩v

●ミミ:「生まれちゃだめなデジモンなんているわけない」に同意します。感情の高ぶりを吐き出す担当。
●タケル:揺れるヒカリをこまごまとフォロー、タケヒカ良し。芽心への気遣いとはまた別なのがいい。また「お兄ちゃん」と言ってる。「兄さん」はどこ行っちゃったの。黒ゲンナイをさん呼ばわりしなくていいよ。

●ヒカリ:デジタルワールドが子どもたちを歓迎していないのを敏感に感じ取る。ホメオスタシスが深いつながりを持って子どもたちを選び、ヒカリを信頼して霊媒に選んだのかと思いきや、出ていけ宣言。ホメオスタシスとは導いてくれる良い関係じゃなかったの??。太一の不明を知るやいきなり呪文が体にまとわりつき黒ブラコン全開となりニャロモンが暗黒進化。唐突すぎやしませんか。同人界ではえろ含むブラコンバリバリでも驚かんけど、これ公式でしょ?

●メイク―モン→メイクラックモン→ラグエルモン:進化でなく「変異」と判明。それにしても強すぎて、ジエスモンやアルファモンとも互角、その理由は無印のラスボス・アポカリモンの部分を内包しているからか。なのでバトルの決着がつかず見ていてカタルシスがないままグダグダ続く。感染という因子もまだ引きずっており、手が焼ける。芽心に手を上げたかと思えば一度ジエスモンから守ろうとしたりもう訳わからん。仲間だが敵という設定に無理があるのでは。
鳥取でエビ天を食べた時、尻尾まで食べていた。私もエビ天やエビフライの尻尾は食べる派なので、共感。ちなみに手作り天ぷらは海老、キス、カボチャ、オクラ、なす、シイタケ、ハス、しそと、夏らしい。
芽心と離れると不安から凶暴になるのは、ずっと以前からのようだ。選ばれた割には随分と危険な存在、なぜ。

●アグモン:相変わらず食い意地キャラでどうしたものか。無邪気さで芽心を少し慰めたが。私にとっても多くのファンにとってもヒーロー中のヒーロー・オメガモンが進化してもまたも勝てないで、ちっとも話が進まん。

●ニャロモン→テイルモン→エンジェウーモン→オファニモンフォールダウンモード:テイルモンとメイク―モンが両方猫キャラで女キャラの意味はここにあったか。

●オルディネモン:映画では名称が公開されておらず、資料の絵コンテにその名が。その後第6章の紹介でようやく名が明かされた。オファニモンとラグエルモンが融合??謎の気味悪い黒い翼と白い女性姿。メイク―モンとテイルモンは仲間ながら敵という難しい関係のまま、合体なんてしちゃったら第6章どうなるのか不安で仕方ない。しかもアポカリモンのデータ云々言うんだから、これ万が一ラスボス??

●姫川:相変わらずイッちゃっておりさ迷った末なぜかダゴモンの暗黒の海に到着。意味不明。未だ子どもたちとの絡みはなく、完全に脇へ引いてしまったよう。銃はいったいどうやって入手したのでしょう。

●西島:「切り捨てるくらいならなぜ選んだんだ」と激高。警察に補導された子どもたちの身元引受人として圧力を行使。それ以外は事態の展開に大きな役目を果たせず姫川も助けられず相変わらずヘタレ。最後に太一とともに行方不明になったらしいが誰もその点には触れてくれず!;;ひどい扱い。ベアモンがパートナーだったが、それについて特にコメントはなし。

●望月教授:デジモンの第一人者らしいのに、会議からも外され、科学者としても父親としても大した役割を担っていないのがもったいない。

●八神裕子:家族の代表らしきお披露目のしかた。もちろん、水谷優子さんの演技から「裕子」と命名されたが、tri.では声優さんのどなたが演じているか映像及び資料に明記はなし。せっかく作った大量の夕食、どうするんでしょう。出演はないけど、子どもたちが電話する先に、それぞれの家族の姿が見えるのは私が無印からのファンだからか。タケルがヤマトに電話を渡すとこなんか、よく描かれていると思う。

●ホメオスタシス:子どもたちを導く味方かと思ったら明確な敵対側に。なぜ選んだのかをそっちのけで子どもたちの排除にも回るなんて、そんな存在だったのかは今までの(無印や小説版)描かれ方からして疑問。

●黒ゲンナイ:大きく出ずに裏で糸を引いている。ヒカリの心の隙にも入り込んだ、暗黒進化の影の立役者。メイクラックモンに「お前は生まれて来てはいけなかった。だが俺はお前の生まれてくるのを待っていた」「世界を壊す鍵」と。

●ハックモン→ジエスモン:ハックモンが進化してジエスモンになるとは映画で一言も言ってない。ので、ゲームをやらない私は最初わからなかった。ジエスモンもアルファモンもセリフが全くなく、意思が感じられず淋しい。

●アルファモン:最後にちょろっと出てきて猛威を振るう。ロイヤルナイツでありながら、なぜかイグドラシルの側、不遇。

●エンディング:「アイコトバ」。しばらくアニメの作曲を控えていたという太田美知彦さん作曲、山田ひろしさん作詞、AiMさんと宮崎歩さんデュエットの王道デジモンソング。聴くたび鳥肌が立つ。聴き応えがあって淋しい黒地に白文字画面もやり過ごせる。2人のデュエットは和田さん亡き後もイベント等で披露はあったが音源としての発売は初めてで、そりゃあもう素晴らしい。ただ、CD発売がA~Dの4枚仕様とあって金欠ファン泣かせの代物。山田さんが芽心とメイク―モンのことをイメージして作ったというだけあって、合言葉であり愛言葉、パートナーの心を歌う名盤。
ちなみに声優陣の「レオパード・スティール」というのは声優・芸能事務所の一つ。

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