デジモンアドベンチャー:第8話

デジモンアドベンチャー:第8話「子供たちの攻城戦」

脚本:佐藤寿昭 演出:古家陽子・都築悠一 総作画監督:浅沼昭弘 作画監督:八島善孝

●全体を見て:録画でタイトルに「・ヤマト合流!作戦開始」と追加されている。「攻城戦」という言葉が聞き慣れず、キッズにとってはなおさら難しいのでは。
ゲソモンを倒しやっとのことで目指したクラウド大陸。しかし、着いたのはサウンドバードモンの影響下にあると思われる敵デジモンの要塞だった!予想通りバトル中心の展開。敵を倒し要塞の中へ入ると、中枢部に聖なるデジモンについて書かれた情報が。やはり一部がリストにないデジ文字で、もう読むのはあきらめた(でも根に持つタイプです;)。
「6人」というより「ヤマト対5人(ひとまず光子郎はまだ合流していないが)」という構図が明白で、これは今後のストーリー全体にも関わってくる気がする。無印で後半ヤマトが別行動をとったように。そもそもEDからして、OPがリーダー太一がメインなのは順当として、EDがあからさまにヤマトがメインで、しかも5人のシルエットのカットに続いてそれをまぶしそうに見るヤマトのカットがあることからも「ヤマト対5人」の構図が読み取れる。
佐藤寿昭さんは思うように検索がヒットしませんでした。また誤字じゃないよね。古家陽子さんは、ワンピースやプリキュアで演出などされた方。都築悠一さんは、ドラゴンボール超やプリキュアで演出助手をされた方。いずれもデジモンでは初めて見るお方が続き、今作をフレッシュに創ろうという姿勢を感じます。つーか20年もたってスタッフが入れ替わるのは当然か。原画は八島さんとあと一人だけ。相変わらずすごい仕事ぶりな方のよう。

●ヤマト:声が浪川大輔さんでtri.で無残な死に方の描写がひどかった西島先生の声と同じというのはもう仕方ないので言うまい。おそらく太一たちとは別の道で要塞に到着し、明確な敵意を持つデジモンの存在も要塞に何かあることも推察していた。太一を名字で呼んだり皆を足手まといと言うなど他と壁を作っている。しかし、ガルルモンの背中から見た光景は、頼もしい「仲間」の様子。この際の皆の表情の作画や演出が素晴らしい。こうして友情の紋章を胸に、ゴリモンに決戦を挑む。後で丈とミミに助けられたと素直に謝意を述べている。そういう一面が口下手なヤマトの良さだ。
マント姿はVテイマーの太一の専売特許かと思っていたが。

●ガブモン~ガルルモン:アグモンに続きフルでの進化バンクを披露、美しくも見応えがある。もしかして、進化バンクはアグモンとガブモンだけなんてないよね?クールなようで熱いのを誰より知っているガブモンだから、ヤマトが皆を洞窟に残した真意を汲み取った。いくらジャンプ力があると言っても、あの高い塔の上のゴリモンに届くほど飛べるのか??

●太一:どんなに危険でもあそこを突破しなければ先はない、あくまで前進するリーダー。ヤマトの動きを見て、陽動作戦を展開し勝利。共闘したとはいえ一度会っただけのヤマトを躊躇なく「俺たちの仲間」と呼んだ。ヤマトは目をピクリとさせていたから、ちょっと近いと感じたのでは。

●アグモン:やはりガブモンとはかなり親しい旧知の仲。見ていて和む。

●空:海で砲撃されバードラモンに助けられたが、ミミがバードラモンに足で捕んでもらっているのに対し、彼女は片手で足に捕まっているだけで宙に浮いている。女子ながら戦闘能力も太一並み、どんだけ豪胆でたくましいか。ヤマトへの名乗りも堂々としたもの。ヤマトを「すごいね、彼」と評するも、いやあなたがすごいよ、自覚ないの?

●ピヨモン:前回は前半にゲソモンに襲われ後半は待機していたが、今回はゴマモンと同じく2回目の進化をしており、パワーが増しているよう。

●丈:実は意外にも無印・02とも丈と光子郎との絡みはほぼない。思いつくのは02第38話「ホーリーナイト・デジモン大集合!」でお台場に紛れ出たデジモンを光子郎のパソコンでDWへ戻す作業くらいか、誠実と知識の紋章で伊織と繋がっている件だけ。今作では、最年長の受験生ながら、頭脳派の光子郎に圧倒されプライドが揺るぎ苦悶の表情をするのが描かれ、丈ファンとしてはイタかった。さて、丈のガリ勉は医者の家系に生まれたという理由のみであって(旧作では後に医者になる目的を見つけるが)、自分が知りたいから知りたいことをとことん探求する光子郎の知識欲とは勉強の姿勢が根本的に違っている。
海獣のパートナーのお約束で、今作でも船酔い&カナヅチ(笑
彼らしく上級生の責任感からと、生真面目な思考回路から話せばわかると何と白旗を振りに行き空回りしてしまう。そんなドジな先輩がかわいくて。相手はとてもそんな状況ではない「おかげで腹が決まった」と、太一が前向きにフォローしてくれた。

●ゴマモン~イッカクモン:前回はハープーンバルカンを一度に1発しか打たないことを指摘したが、今回は数回連発、しかし弾の数は無印と違いやはり1発に1個だった。どれが正確な描写なのか、私はゲームをしないのでそちらの情報はわからないのだが、資料とネットを調べた限りでは詳しい記述は無かった。メインの必殺技なのだから正確な設定を描写して欲しい。

●ミミ:イッカクモンに乗ってる時、船酔いでめげている丈を介抱もせずなぜか余裕でイッカクモンの毛皮で三つ編みを編んでいた。下手すりゃリボンでも付けそう(笑。ガブモンの顔の汚れを取り除き、傷ついたデジモンへのいたわりを見せた。

●パルモン:ミミのタオルが燃やされた時、「空のだけどね」と言っていたのはどういう意味かわからない。防災グッズを持参していた空にミミが借りていたのだろうか。そう見えなくもないカットがあるが。

●光子郎:太一に東京の状況(コロナ禍の折、今や他人事ではない)を伝えるが、通信が単に不安定なために切れてしまうのではなく意図的に妨害されていると気付くのはさすが。彼なしでは現実世界の危機の様子がわからないのだが、早く合流して欲しい。

●カブテリモン:セリフの「太一はん」が最初「たいちゃん」に聞こえたので何があったのかとびっくりした。かなり長い時間成熟期でいられるのは、光子郎との親密さの深まりが関係しているのか。

●ゴリモン:獣人型の成熟期。02第14話「疾風のシュリモン」テイマーズ第4話「テイマーの試練!ゴリモンを倒せ!」に登場。右腕がエネルギーカノンという武器になっている。1体で要塞の第一の見張りを任されていたのだから知能がそれなりに高いのだろう。目が一瞬赤かったがその後は白で、操られているというはっきりした描写はないが(この目の赤さ、操られているのかどうかを見分けるのにどうもシリーズを通して一貫性のない描き方なのでその都度戸惑う。)、黒い息を吐いているのが何か関係あるのだろうか。最期は塵も残らぬ爆破という激しさ。

●ソーラーモン:マシーン型の成長期。ハグルモンの突然変異ではと言われている珍種。戦力は無いに等しいが、まぶしさは武器となる。2体はアグモンにあっけなくやられ2体はヤマトのマントに妨害される。敵としては小物。

●ダークティラノモン:恐竜型の成熟期。ティラノモンがウイルスに冒され凶暴な暗黒デジモンとなった。無印第35話「お台場の妖精!リリモン開花」や同じく02第38話で、ヤマトの出場するバンド大会の会場にに現れた。今回はパワー溢れる要塞の門番役。目は赤くないがやはり黒い息を吐いていた。

●タンクモン:サイボーグ型の成熟期。争い好きで「傭兵デジモン」の異名を持つ。浜にいる数が半端ないが、逃げ回る丈とミミを仕留められず、トゲモンとイッカクモンが機を見て反撃し一掃に成功。しかしその残骸を敢えて描くのはいくら敵とはいえちょっと悲しい。ゴリモンもそう。生命の最期、そのあたりをデジモンという作品はごく敏感であってほしいというのが親心。

●次回予告:オーガモンと未知の完全体が登場するので、少なくともアグモンも完全体になるだろう。聖なるデジモンの情報も気になるところ。

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