デジモンアドベンチャー:第9話「完全体・襲来」
脚本:十川誠志 演出:セトウケンジ 総作画監督:仲條久美 作画監督:原憲一・井口忠一
●全体を見て:録画のタイトルは「完全体、襲来・オーガモン一騎打ち!」と、追加というより微妙に変更されている。この録画タイトルの方が本タイトルに比べ毎回下手するとストーリーがよくわかる表現なんだが、送り手としてはその辺どう考えているのだろう?
光子郎のデジモン大図鑑コーナーから始まったが、やはりこれがなくちゃ!ファンからの希望が多くて考慮されたのかなと勘ぐってみたり。「次回は」と言っているからには、恒例となるようだ。タイトル「デジモンアドベンチャー:」の背景もグレイモンのシルエットになっており、他のデジモンを紹介する度これも更新されるのだろうか。
東京は「首都圏電源消失災害」と命名され危機が続いている(コロナ禍で東京バッシングの折、東京のこの扱いは都民として全く切ない)。ところが要塞の情報からは聖なるデジモンのことは断片的にしかわからず。そこに現れたオーガモンがグレイモンとの勝負を挑んでくる。大変な中なのに思わず勝負を見守るみんな。さらに圧倒的に強い完全体・メタルティラノモンも出現。しかし、最終的に道を開いてくれたのは、敵として現れたオーガモンその人(人?)であった。
十川誠志(そごまさし)さんはアニメ・テレビドラマの脚本・漫画原作を多数手がけた方。セトウケンジさんは第5話で絵コンテをしていた方。原憲一さんはぎゃろっぷ所属でテレビ東京版「遊戯王」シリーズ全作で作画監督をされている方。井口忠一(ちゅういち)さんは、タツノコプロ出身のアニメーターさんで、日本アニメーター・演出協会発起人の一人という大ベテランさん。
●太一:要塞にあれだけ文字情報があるのに、聖なるデジモンの記述はそれ以上「上手く読めない」と。読めない理由がもやっとしてわからずじれったい。なぜかオーガモンの名を知っていた。
●アグモン~グレイモン:今度はスカルグレイモンの骨から作られたという骨棍棒を吹き飛ばすなどオーガモンとの肉弾戦で大活躍。勝負を受けて立つために進化、なんて珍しい理由。メタルティラノモンを目前にデジヴァイスが光り完全体に進化するかと思ったら、一撃でやられアグモンに退化。おいおい;完全体の強さの引き立て役になっちゃった。
●ヤマト:敵の目的をいぶかしみ、聖なるデジモンが囚われているであろう本拠地を探すには敵から聞き出すまで、と作戦を構築。やはりDW歴が長く戦い慣れている様子。オーガモンの気迫にも一人だけ動じなかった。
●ガブモン~ガルルモン:ガルルモンはメタルティラノモンを「完全体」と知っていた。パルモンとは戦闘経験の厚さが違うから知っていたのだろう。おそらくは成熟期の自分がかなわない相手という認識もあったろう。
●光子郎:成熟期の次の進化「完全体」を目の当たりにして驚く。大図鑑を始めたきっかけは多分これということになるだろう。進化し通しだったテントモンをねぎらうのが良し。不安フラグを立てまくり、その通りに。
●テントモン~カブテリモン:「これがメガブラスターや!」と自分の必殺技を誇示したり、「どすこい、てなもんや」と謎の迷ゼリフに、まあ大胆に歌舞伎よろしく大見得を切ったり、随分と目立ちたがり屋な感じが新鮮。これまで見せ場少なかったしね。ギャグ担当なのか今一つキャラが掴めない。旧作では表のテイルモンと対照的に皆の調整役という裏方だったし。
●丈:パルモンが「空飛ぶでかいやつ」と表現した通り、子どもたちはコアドラモンの名を知らないはずなのに、なぜか名を知っていた。光子郎への対抗意識がまだあるのか、堂々とリーダーと自称した(笑
●ミミ:対戦するオーガモンを「楽しそう」と評した。自分が感情豊かだけに、他者の感情にも敏感なのだろうか。
●オーガモン:その激しい咆哮は復讐に燃えて。片言なのは、デビモンの支配下にあるからか。だが全くもって操られているわけではなく、自分の意志をはっきり持っている。コアドラモンを排除し角を折られた誇りを賭けてグレイモンとの一騎打ちを自ら選んだことでそれが明白に。吐く息が白いのもその証左。一時的にデビモンの配下にいるが、もともとは誇り高き戦闘民族なのだろう。デビモンの冷遇を知り、力の差を知りながら盾となってメタルティラノモンから太一たちを守り、覇王拳で道を開ける「真っすぐ、行け!真っすぐに、な」。それが彼の最後の誇り。あたかも子どもたちに道そのものでなく生き方も真っすぐにと言っているよう。いや、カッコいい!!江川央生さんグッジョブ!無印では気のいい暴れん坊で最後には味方になってくれたが、今作でもただの敵じゃなかった。
●メタルティラノモン:なんかメインのはずが主役をオーガモンに持っていかれたヤツ。まがまがしく最強なのはもちろんなんですが、アルゴモンで究極体がすでに出てるしなあ。前回のゴリモン・ダークティラノモンと同じく黒い息を吐いており、デビモンの指示下にあることを暗示するカットがある。オーガモンを味方として擁護するどころかその体を誇りと共に文字通り踏みにじった。これには太一とグレイモンも憤る。
●謎の声:「破壊と死を」とのたまう成熟期。なぜ完全体のメタルティラノモンを従えているのかは不明。声は、塩沢兼人さん逝去の後を受けゲーム版に登場した置鮎龍太郎さんの上品な演技。まだデビモンという名は明かされていない。以前「上品というよりマッチョ」と評したが、個人的にその違和感は回を重ねても一向に消えない。なので仕方なく「今作はマッチョなのよ」と自分に言い聞かせている。
●次回予告:またバトル中心になりそう。グレイモンの進化は確定。というかそれ以上の情報がない;タケルとヒカリはいつ加わるのだろうか。