デジモンアドベンチャー:第12話

デジモンアドベンチャー:第12話「リリモン開花」

脚本:山口宏 絵コンテ:佐々木憲世 演出:宍戸望 総作画監督:浅沼昭弘 作画監督:直井正博

●全体を見て:録画時タイトルには「・ミミを襲う謎のデジモン!」と追加がある。メインタイトルは旧作「お台場の妖精!リリモン開花」へのリスペクトだろう。これらメインタイトルの単純化というか象徴化というかは、今作の方針なのだろう事は明白だが、録画時タイトルを敢えて追加するのはキッズへの配慮?
美少女ミミの魅力、喜怒哀楽が全開だった回。特にミミの顔のアップのシーンも多く、その表情の豊かさ美しさは言うまでもなく素晴らしい。高見プロデューサーのご指摘によると旧作のアンドロモン登場回も直井さんが作監だったので注目とのこと、堪能させていただいた。ただパルモンはなかなかリリモンに進化せず、アンドロモンとのメインのバトルをメタルグレイモンに持っていかれるんじゃという不安の中、CM除く作品自体の放映終了が9時26分なのにリリモンが登場したのは9時23分で、大変やきもきした。アンドロモンとガードロモンの最期は何とも哀しく、旧作のミミなら「こんな戦いしたくない」と傷ついて言いそうなものだが、今作のミミはこれをバネにして先へ進もうというのだから「一刻も早く悪い奴らをやっつけなくちゃ」、何ともたくましい。

●ミミ:パルモンの蔓が届かないほど低く落ちたのに怪我は無いどころかワガママ一つ口にせずすぐに立ち直り、ミミちゃんさえタフなんて今作はすごいなあ。要塞でガブモンの顔の汚れをぬぐいねぎらったが、今回もそんな何気ないやさしさがガードロモンを奮起させた。同じく、パルモンを介抱するやさしさ。美少女が汚物系デジモンに好かれるというパラドックスは今作では無しか。アンドロモンがガードロモンを破壊したことに激しく怒り悲しみ、トゲモンをリリモンに進化させる。ここでは激しい挿入歌を敢えて使わなかったというスタッフのツイートが。

●パルモン~トゲモン~リリモン:感情により頭の花の匂いが変わると光子郎の図鑑で判明。マシーン型のアンドロモンと植物型のトゲモンは相性も悪く、棘は刺さらないし鋼のパンチは硬いしで一発でやられてしまった。美容の意識が高いのにトゲモンに進化した時は「サボテン?!」とその容姿の劣化に驚いたが、リリモンの進化シーンは旧作を踏まえて美しく、可憐な花乙女に可愛らしく進化したのも驚き。フラウカノン以外の新技の名がわからない。輝く花びらを乱舞させミサイルの照準を合わせなくしたり、敵の体を蔓と緑で埋め尽くしたりという植物型ならではの技が、今度はアンドロモンを圧倒。ちなみにリリモンのリリは百合の花lilyからきています。

●ヤマトたち:ネ―モン一行を心配する空に、自分らが今行動することが結果的にネ―モン一行の平和にも繋がると、ごもっともな冷静な意見。さすがに今回は籠を作る余裕が無かったのか、丸太で代用。

●丈:船酔いばかりか空酔い(?)もする様子。良いシーンなし、淋しい。

●光子郎たち:タブレットの調子が最近悪いという。何か悪い兆候か?タブレットのデジ文字はインチキ。そうです私は丈先輩の如く「しつこい性格」です!カブテリモン、今度は「おんどりゃー!」とのたまって登場。この目立ちたがり、どうにかなりませんか(笑。ミミの危機を救うカブテリモン、光ミミ派の萌えポイント。

●ガードロモン:マシーン型の成熟期。テイマーズの博和のパートナーとして登場し声は梁田清之(やなだきよゆき)さんだったが、今作では意思表示はあるもののセリフは無し。アンドロモンとは「仲間同士」(光子郎)という表現が使われていたが、アンドロモンが彼のことを2078号と製造番号で呼んでいたことから、同等ではなくアンドロモンの指揮下にあったのだろう。兵器として大量生産された個体なのになぜかやさしさに特化しており、ミミが「かわいそう」と埃をひと拭きしてあげただけのことを恩義に感じたのか、ミミを守る側に就いて命さえ賭けた。そうまでする動機が今一つ不明だと私は感じたが。あと、サウンドバードモンになぜ操られなかったのかも不明。その時は起動していなかったからなのか。ミミを最初に腕に乗せた時の彼の視野にデジ文字が「だれ かいぶつ てきいなし せいべつ おんな にんげん」と作画で正確に記載されていてうれしかった。続いて②めがみ ひろいん おとめ きゅうさい」③「せーふ まもろ がーど」④「まもろ まもろ まもろ まもろ」と続く(デジ文字の「ろ」は「る」と似ているので単なる誤字だろう)。ミミが何なのかを認識し、守ろうと決意した瞬間だ。やさしさと言えばミミに摘んだ花を贈る描写もある。⑤「はな めがみ」。それらがまるでジブリの「天空のラピュタ」のシーンに酷似とネットで話題になっている。

●アンドロモン:ガードロモンが進化した完全体。声は梁田さんではなくボルケーノ太田さんが充てた。残念ながらサウンドバードモンに操られた敵で、最後も正気に戻る描写があったのにそのまま緑に埋め尽くされてしまい、ヘビの生殺し状態。そもそもは中立もしくは味方だったのだから、この最期は重ねて哀しい。カブテリモンを倒した後の視野にミミが「もくひょう」光子郎が「ついかもくひょう」と映る。何だよ、デジ文字正確に描けるんなら毎回描いて欲しい。メタルグレイモンの巨体に対しても善戦し、ガトリングミサイルを連射する圧倒さ。「女神」を最後まで守ろうとするガードロモンを無残にも修復不能に。

●ハグルモン:マシーン型成長期。赤い目をして操られていたが、そもそもは自我がない無機質なデジモンで、悪用されても本人知る由もないとのこと。グレイモンにあっさりやられた。

●次回予告:完全体進化はまずアグモンとガブモン2体だけでしばらくストーリーが進むと思っていたので、ピヨモンもそう来るかとなると、残りも無印と違い早々に進化するのだろう。子どもの成長や絆の強化と共に進化するという展開をあまり期待できないようで残念。タケルとヒカリがまだDWに参加もしていないのに、それもやきもきする。

          もどる