デジモンアドベンチャー:第13話

脚本:山下憲一 演出:茉田哲明 総作画監督:仲條久美 作画監督:Noh Gil-bo

●全体を見て:録画タイトルに「・攻略!空中要塞」と追加がある。第13話と言えば無印では「エンジェモン覚醒!」の回だから、一通り成熟期に進化した回で、今作の展開の違い、完全体への進化の速さには驚くし、タケルの出なさっぷりにも驚く。空がバードラモンとキャノンビーモンに向かっていくの、大きさだけで言っても無理がある。いくらヤマトもいるとはいえどんな勝算があったのか、まるでガルダモン進化を前提にしているかのようで不自然。何としても完全体を出し切ろうという方針が感じられる。
ワスプモンに捕まる時、空とヤマトは体を張ってピヨモンとガブモンを守った。子どもの方がデジモンの盾になるなんて、旧作にはない行動。それだけ一緒に戦っていると強調しているのだろう。

●空:同性どころか異性の先輩・丈をしてもカッコイイと言わしめる大活躍。ヤマトとの協力っぷりがまるで02で夫婦になるヤマ空を思わせる、今作で深い意味あんのかな?

●ピヨモン~バードラモン:輸送の役目や、キャノンビーモンから落下した時も進化して皆を救い上げた。飛べるということでずいぶん働いております。

●ガルダモン:無印では第27話「輝く翼!ガルダモン」で登場する完全体。なぜ自分が愛情の紋章なんてと嘆く空が印象的だった。しかし傷つきながら闘うピヨモンへの気持ちが、自分を心配する母の気持ちと同じと気付いて、ガルダモンへと進化していた。中性的で神々しい大きな姿は、大好きなデジモンの一つだ。今作では、たとえ異世界の存在であっても苦しめられる存在を守ろうという自発的で包容的な愛情の発動だった。さすが姉御肌。フルの進化バンクはなぜか残念ながらありませんでした;
渡辺けんじさんのツイートによるとガルダモンの命名はインドの神・ガルーダからくるという。それがどうした事かインド→インディアン→それ風のデザインになったらしい。調べたところ、ガルーダはインド神話に出てくる神鳥で、アニメなどで鳥人等の命名によく使われるという。個人的に言うとこれは由々しき事態。なぜなら「インディアン」とは「ネイティブアメリカン」の蔑称であるからして、ネイティブアメリカンのそれをデザインに取り入れたということはスタッフの‘インドつながりの勘違い’に他ならないのだ。これは、海外放映されるメジャーなアニメ作品を送り出した日本人として恥ずかしい。

●ヤマト:丈の奪還、闇デジモンへの牽制があったとはいえ、聖なるデジモンからすると回り道なファンビーモン救出に、よくも賛同したものだ。しかも空のあの無理な作戦に。空の性分からして止めても聞かないと判断したのだろうし、仲間に心を割り始めた証左でもあろう。

●ガブモン~ガルルモン~ワーガルルモン:キャノンビーモンを知らない様子から、逆に歴戦のデジモンをおおかた把握しているのだろう。ガルルモン・ワーガルルモンともに飛行性のワスプモンをものともしない力で応戦、すごい。

●丈:酔い、丸太からの落下、ワスプモンに捕獲される、ゴミ置き場行きなどいいことなし。これだけじゃただのギャグキャラだが、そこは今作、イッカクモンの地上からの応戦で名誉挽回。丈先輩だけを見ても表情が豊かで作画の力を感じうれしかった。

●ゴマモン:彼に限らず、あらゆる場面や資料で丈のキャラを「繊細」と表現した文章を丈ファンの私は一度も聞いたことがない。それほど意外だった。続けざまの乗り物酔いはドジキャラ設定の一環と思うが、それを繊細と呼ぶのはかなり丈に擁護的と感じる。要は無印の凸凹コンビとはちょい違うと言いたいの。

●太一:PC叩けば治る発言が繰り返され、旧作(無印第5話、ウォーゲーム)へのリスペクトとしても少しくどいように感じた。

●ファンビーモン:声はかわいい役の多い釘宮理恵さん。セイバーズでイクト役でした。「fun」の意味は「ふざけ、戯れ」なので、デジモンとしてどういう意味での命名なのかは個人的に不明(ゲームなどするファンは知っているのかも)。陽気で力持ちの働き者でパルモンやリリモンとの相性が良いという設定の昆虫型の成長期。おびえていたが空の優しさに心開くけれど、事情を説明した以外に見せ場がない。せっかく人気声優さんが充てているのにね。

●ワスプモン「wasp」はスズメバチ。サイボーグ型の成熟期。粘液で獲物を捕らえる技に名は無いのか個人的に不明。

●キャノンビーモン:「cannon」は大砲。謎の空中秘密基地「ローヤルベース」を守る超大型のサイボーグ型の完全体。バードラモンとの対比でその大きさがわかる。必殺技は今回は山を半分も吹き飛ばした大口径レーザー砲から放つニトロスティンガー。しかしガルダモンのシャドーウィングにかなわず。いくらサイボーグ型の敵とはいえ、人格や知性が感じられず感情移入できず残念。最期に首が落ちたのもあまり教育的な描写とは思えない。

●次回予告:昆虫の王者って、蜂に続いて単純にまた蟲かい!とツッコミを入れたくなる。次からの新EDが楽しみ。けどまたビジュアルがはすっぱな感じなんだよね;;AiMさんが念頭にあるからいけないんだとわかっているが;

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