デジモンアドベンチャー第40話「魔の山の四天王!ダークマスターズ」感想
脚本:西園悟 演出:今沢哲男 作画監督:直井正博 美術:飯島由樹子
ヴェノムヴァンデモンを倒すと、示されたデジモンワ-ルドと世界各地の異変。現実世界とデジモンワールドの命運を賭け、選ばれし子どもたちは再びデジモンワールドへ旅立っていく。
タイトルコールはピエモン、シルエットはダークマスターズ。
望遠鏡で現実世界を眺め。もうすぐ選ばれし子供たちが帰ってくるとピエモンは言う。ピエモンにとって戦いは退屈しのぎの舞台の一幕に過ぎない、ダークマスターズそれぞれにスポットライトが当たり、「タイトルは選ばれし子どもたちの最期」。そこはスパイラルマウンテンの頂上であった。
最初と同じく落下した子どもたちが、着いたDW。夜、見慣れぬ植物、そして天には現実世界の北海道が確認できた。気配を感じた丈はゴマモンを呼ぶが、それは敵なのか。丈は大地の崩壊に巻き込まれそうになる。デジモンは進化して駆けつけるが、気配の正体は、環境が変わりすぎて怯えて隠れていたチューモンであった。ヒカリに招かれ恐る恐る出てきたチューモン。ファイル島でのミミの顔なじみであった。
最初に襲ってきたのはメタルシードラモン。「凄まじいパワーと最高のスピード」。成熟期で8対1でもまるでかなわない。そう、究極体だから。一同、吹き飛ばされてしまう。次に襲ってきたのはムゲンドラモン。完全体に進化して挑むが(どうでもいいことなんですが、ガルダモンのアクセントが「ガ」にあるのか、微妙に聴こえる)、まるで歯が立たず、ムゲンキャノンで亜空間へと飛ばされて。その次はピノッキモン。操られた末に、ブリットハンマーを食らい退化してしまう。そして「ラストステージ」は…ピエモン。
飛ばされたのはコロッセオ(古代ローマの円形闘技場)、わざわざ最後の舞台として選んだのであろう。気色悪いピエロが現われ、選ばれし子どもがダークマスターズにやられるくだらない紙芝居を見せつける「君たちのこれからの運命を教えてあげたのです、感謝してほしいものですね」。ピエロの正体はピエモン、非常に嫌味ですな。太一とヤマトは威勢よく勝利を信じてアグガブをワープ進化させる。究極体2体で、世界を救う勢いで。けれど必殺技は一蹴され、トランプソード一撃で退化させられる。同じ究極体でも、経験値が違い過ぎた。勝利の夢は破れ、厚かましくもメンバー紹介ときた。そして処刑の時間が始まった「さあて、誰から終わりにしましょうか」。
チューモンは殺され、次に子どもがとなった時、まさかのピッコロモンが助け船を出した。子どもたちを結界でスパイラルマウンテンに送り込み、自らは時間稼ぎに究極体と戦って散った。スパイラルマウンテンに辿り着けたものの、戦いはまだ始まったばかりであった。二度目のスタートは苦難だらけ、がんばれ子どもたち!
●太一:「俺たちが戦う相手はそのダークマスターズってことか」とリーダーらしくさっそく照準を定めるが、チューモンに顰蹙を買う。8人揃い、ヴァンデモンさえ倒したという自信「いけいけ、コテンパンにやっつけろ!」。それは、勝利という結果をもたらさなかった。揃っても、一体何が足りないのか。
●丈:みんな、丈を忘れないで!、笑。「ゴマモン、手を貸してくれ」「手を貸してくれって言われても」やはり本質は手ではなく前足のよう、笑。「何でそんな強いのがいきなり出て来るんだよ」ごもっとも。
●ヒカリ:デジモンとの共鳴性の極めて高い特異体質なのは、DWに来ても変わりなし。怯えていたチューモンに気付いたり、ムゲンドラモンに勝てないと予感したり、ピッコロモンの死を確信したり、神秘的な驚くべき特殊な能力。
●光子郎:残念ながら、ゲンナイとは連絡がまだ取れない。ダークマスターズがそれぞれ究極体と告げる。ピノッキモンにはパソコンが得意なことをイジられていた。「ピノッキモン」で検索しろってか?
●空:ピノッキモンに操られ、「シェ―」のポーズを取らされる。元ネタは、赤塚不二夫先生の漫画「おそ松くん」の登場人物・イヤミのギャグなんだけど、視聴者のキッズには伝わったのかな?
●ミミ:「何で究極体が次から次へと出てくるのよ!」これもごもっとも。処刑を宣告され泣きじゃくる「いや、いやよ、あたし普通の小学生だったのよ。何でこんなところで死ななきゃならないのよ!」「もっとおしゃれしてもっとおいしいもの食べて、海外旅行とかもして、それで…」このリアクションがピエモンの癇に障り、処刑一人目に選ばれてしまう。これ位の言い草が小学生としては自然なのだろう、受難。ちなみにウォーゲームでハワイに行けてました。
●チューモン:CVは重松花鳥さんだがクレジットはなし。スカモンは山口眞弓さんか。10話のチューモンとスカモン(山口勝平さんとくまいもとこさん、お二人でキャラソンまで出している)の再演ではなかったが、まあこれはこれで。ミミとの再会で張っていた気が抜けて昏倒。「気力だけで支えていたのね」甘ったれだったピヨモンらしくない発言。気が付いたがスカモンの死に言い及んで号泣。大地の崩壊は深刻で、チューモンが語るに、ある日突然暗黒の力によってデジモンワールドはほぼスパイラルマウンテンへと再編された。また住人は、逆らう奴は全部倒すという「ダークマスターズ」方針の下、姿を消した。処刑にミミが指名されたが、身を挺して守った。最期の言葉はナンパ、小物なりの執念と恨み、恐るべし。
●ピッコロモン:「バカもん、お前らはこの世界の最後の希望だっピ!」「お前たちならきっと見つけられるはずだっピ、足りない何かを。そうすればきっと勝てるっピ。ゆけ、選ばれし子どもたちよ!」完全体一体で何ができようか、尊い犠牲。最後の希望言われちゃあ、行くしかない!湿っぽいですが、田の中勇さんご自身が2010年1月に心筋梗塞で亡くなられているのを思い出さずにはおれません。
●ピエモン:別次元的な存在で謎の多い神出鬼没の魔人型の究極体。ピエロが名前の由来と思われる。戦闘力は極めて強力。必殺技は「トランプソード」。アニメオリジナルの技として、白いハンカチで相手を人形に変えてしまう「トイワンダネス」、衝撃波を敵にぶつける「エンディングスペル」がある。ヴァンデモンにも通ずる格式高く嫌味な「美学」を信条とする、ドSっぷりがプンプン匂う。嫌ですねえ。
●メタルシードラモン:CVは風間勇刀さんだがクレジットはなし。シードラモンの最終形態で全身を超合金・クロンデジゾイドで覆ったサイボーグ型の究極体。必殺技は鼻先から放つエネルギー砲「アルティメットストリーム」。ドSのピエモンを手ぬるいと評する激闘派。
●ピノッキモン:サクランボの木から作られた、忠告を聞き入れない人形・ピノキオが元ネタであろう。悪質なハッカーがジュレイモンのデータから作ったとされ、樹木型デジモンの行きついた先である人形のような究極体。嘘ばかりつく性悪でいたずら好きな性格。必殺技は、火薬を仕込んだハンマーで相手を粉砕する「ブリットハンマー」。アニメオリジナルの技として、ダムダム弾を発射する「44マグナム」、長い鼻をドリルにして貫く「ドリルノーズ」、背中の板をブーメランにする「フライイングクロスカッター」。糸を伸ばして他者を操る能力もある。敵とはいえ遊び相手欲しさもあるのだろう。
●ムゲンドラモン:CVは江川央生さん。名前の由来は「無限」と「ドラゴン」。数々のサイボーグ系デジモンのパーツで作られた圧倒的なパワーと頭脳の究極体。電脳核(デジコア)に、何者かによって悪の意思が宿ったプログラムを植え付けられ、悪意に満ちた電脳核からは無限のパワーが供給されている。必殺技は二砲のキャノンから発射される「ムゲンキャノン」。言葉少なくも、むしろ威圧感が半端ない。
<ピエモン:大塚周夫(ちかお)さん>青二プロ所属であった。2015年1月、虚血性心疾患で急死、享年85才。晩年は声優としÞの知名度が高かったが、ご本人の認識は最期まで俳優であったという。役は幅広く、特に憎めない悪役が有名。ルパンの五エ門、ねずみ男、「美味しんぼ」の海原雄山などたくさん演じられた。
<ピノッキモン:小桜エツ子(現:エツコ)さん>リル・ポータ代表。代表作は「妖怪ウォッチ」のジバニャン、「ケロロ軍曹」のタママ二等兵など。アマチュア時代に声優養成セミナーにて「声に色がある」と言われ、本格的に声優になると決意したという。確かに特徴的なお声である。
次回予告:スパイラルマウンテンに辿り着く途中で着いたのは懐かしいファイル島の海岸。そこも実はメタルシードラモンの支配下であった。罠にかかる一同、そして残された丈とミミたちだけで皆を助けられるのか?
2025.5.18. 記