デジモンアドベンチャー:第29話感想

デジモンアドベンチャー:第29話「脱出 燃える密林」感想

脚本:古怒田健志 絵コンテ:大地丙太郎 演出:武藤公春 総作画監督:仲條久美 作画監督:荏原裕子

●全体を見て:録画のタイトルには「▼連れ去られたヒカリ」と追加されている。連れ去られたと言うよりは、同意の上ついていったとしか見えないが。
太一を中心にバトル尽くめで話に進展がなく、新出デジモンもやたら多くインフレ気味(しかも相変わらずセリフなしで個性がない)で、正直もどかしかった。弱肉強食が強調されて敵の数にきりがなく、闇デジモンの企てはどこへやら。私はバトル自体にはあまり興味がなく、バトルを通じての成長や絆の深まり、闇の制御と世界平和にどう寄与したかを見たいので、そうなってしまう。しかも最後がまたも敵の集結で終わり、勝利の余韻と達成感にひたる間もない展開もまたも繰り返しだ。何とかならないのだろうか。
何と超有名な大地丙太郎(だいちあきたろう)さんが絵コンテと。唐突な気がする。

●太一:当初からリーダーキャラで、今回も弱デジモン集団のリーダー然となり、ヒカリのことを想えばメタルグレイモンになり飛行して逃げてもよかったのに、二段階の進化で弱デジモン集団を守り切った。ひたすら戦っており、他のキャラの影が薄いのは気になる。ライバル的なヤマトですら影が薄いもの。ヒカリを追いきれずアグモンに叱咤され、珍しく弱みを見せた。そうだよ、メンタルはあくまで一小学生、ただ強いだけの太一じゃないもの。

●空たち:丈が当てにならないと踏んだのか、「バードラモン」「ええ」とツーカーな仲だ。いくら天命のパートナーとはいえ、そこまでの仲になるプロセスが掘り下げられていないので惜しい。前回フライモンに囲まれていたがそこからどう脱出したかも描かれていないし、太一と最初に合流できた過程も不明だ。ガルダモン登場から挿入歌が長く引用され、印象的。戦う女子の印象がまた強まった。だけど最後はメタルグレイモンに持っていかれちゃった。
珍しく「しっかり掴まって」と、乗ってる子どもへの気遣い発言第二弾。

●光子郎:同じく、デッカードラモンとサイバードラモンに囲まれていたのに脱出の過程は描かれず残念。新出デジモンを登場させた意味もなくなってしまう。ヤマトに呼び捨てにされうれしそう。しかしヤマトに対してさん付けなのは、おそらく無印と同じく家庭の事情による成育歴が理由だろう。

●丈:温泉に浸かりっぱなしでまさかの進展なしには驚いた。ナニモンがなぜか異様に増えているがその説明も無し。やっぱり息抜き用のギャグキャラ扱いなのかなあ。誠実のせの字もない。もっと別の意味で活躍させてあげてほしい。

●ミミたち:結局ゴーレモンはどこへ行ったやら。息抜きキャラ二人目。

●ウッドモン:声はボルケーノ太田さん。植物型の成熟期。体は硬いが、火炎系デジモンには弱い。セリフのある新出デジモンがいて、ほっとした。

●バドモン:毒を持つさまざまな植物のデータが混ざり合った、植物型の幼年期Ⅱ。怒ると棘を放つ。細目なので見た目で感情がわからないのは難点。

●ロップモン:角1本のテリアモンとともに人気の高い角3本の、珍しい双子の成長期、しかも天使系。何度も転んだり顔のアップシーンが思わせぶりだが、セリフは無く残念。以降も出るだろうか?

●アロモン:勇気のデジメンタルで進化したアーマー体の恐竜型。allo-の意味は調べたが不明。性格は特に狂暴という。メタルグレイモンの鋼鉄の左肩に噛みついたやつがいたが、硬そうなのに意外にも痛手な様子のメタルグレイモン。つーか鋼鉄なのに噛みつけるんだ。

●メガドラモン:完全体の中の竜型サイボーグデジモンの中で最強と言われる。しかし今回は数での優勢でありそう強くは描かれていなかった。この、敵の進化系と強さのアンバランスはまたも気になる。つまり完全体である必要があったのかということ。

●タンクドラモン:アロモンをおそらくは力で従えたであろうまるで戦車なマシーン型の完全体。アロモンより大きかったが、メタルグレイモン戦ではかなり小さく見えたので、身長の設定はどうなっているのだろう。重いのに何と回転してギガデストロイヤーを蹴散らし、守備力も強い。

●次回予告:アロモン、メガドラモン、黒い影はパロットモン、囲まれた太一と空だが、またすぐバトルかという思いが拭えない。ヒカリを追うんじゃなかったの。対パロットモン戦は、旧作へのオマージュだろう。パロットモンは完全体なので、メタルグレイモンの敵としてさらに進化するだろうか。究極体と明言、しかし前回ウォーグレイモンは光のヴェールに包まれながらも既に登場している。この展開の意図は何なの?

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