デジモンアドベンチャー:第39話感想

デジモンアドベンチャー:第39話「ジャガモン ポテト地獄」感想

脚本:冨岡淳宏 演出:セトウケンジ 総作画監督:仲條久美 作画監督:荏原裕子、Lee Yeong-gyu、Noh Gil-bo、原憲一

●全体を見て:録画のタイトルには「丈のポテト愛!」と追加されている。
前回に続いて、闇の力でも弱肉強食の敵でもないデジモンとの戦いがメイン。戦いばかりが続いていたのが嘘のよう、テイルモンの休息の勧めが何だか今更。でもこういう回はいい。ファストフードが話題というだけで楽しくなる。ただ、次回も太空がメイン?この時期になってやっとキャラの掘り下げ回が続くのも全体としてバランスが悪いように感じる。やっと8人揃ったのにファーガへの切迫感がなく、キャラの掘り下げはもっと前にやってほしかった。
丈先輩が主役なのに、正直そんなにうれしくなかった。なぜなら、無印第7話「咆哮!イッカクモン」の時の骨太さや02で伊織を支えた第16話「サブマリモン海底からの脱出」の時のようなやさしさ誠実さ…要するにイケてるカッコよさがなく、「地獄」だ「愛と悲しみ」だ、「ポテト愛」「ポテ友」という訳のわからない要素で固めたのには引くし、「滑った」ネタも健在、結局ギャグ回なんじゃという不満が丈ファンにはあるのだと言ったら厳しいだろうか。もちろん、皆に協力を仰いだり素直に礼を言うところはポイント高く、丈先輩の責任感、やさしさ、誠実さ、求心力が表われていたのは認めるが。丈先輩は本当に芯がカッコイイんだよ!と言いたい。
なぜポテモン以外のデジモンがフライドポテトを残すのか、ストーリー上大切だと思うのだが理由が見当たらないのが残念。ゴマモンのように食べづらかったから?事後ポテトメニューを増やしたら好評だったから、単なる食わず嫌いなのか、それにしても食わず嫌いな理由がわからない。バーガー単品が好かれてフライドポテトが不評なのがわかっているのにポテトも調理してしまうってなぜ?注文に応じて作れば残らないのに。

●丈:丈にとって、フライドポテトは厳しい受験戦争の中で唯一の心の支えだったよう。そこからくる強烈なポテト愛。お小遣いが少ないのは医者一家とはいえ、かつては団地住まいだったし、三兄弟の受験費用もあるしで、生活は質素だったのか、それとも教育上敢えて少なくされたのか。

●ミミ:遠距離移動は車でなくプライベートジェットを利用していると判明。さすがセレブ。

●ゴマモン~ズドモン:自称リーダーを盛り立てようとしているが、無印の凸凹コンビぶりが今作では見られず、ゴマモンとのコンビの印象が薄いのはとても残念。ズドモンに進化しコモンドモンやミミを巻き込んでの丈の荒療治。聖なる力の助けもあって、ハンマーとともに丸腰の丈をぶん投げた!のには驚いた。

●テイルモン~エンジェウーモン:自分の聖なるパワーが他のデジモンや子供にもパワーを与えると知っていて、ズドモンと丈先輩にパワーを込めた。こういうのって旧作にはなかった力だ。聖なるデジモンて何でもありだな。丈が先輩なのかリーダーなのか気にしていたのは、テイルモン自身がパーティーのリーダーと自覚しているからだろう。このオアシスに来たことがあると判明したが、成熟期の姿でいられる設定はまたも説明なし。

●ガブモン:ルナモンに毛皮を洗われそうになり焦っていた。毛皮を脱ぐのが恥かしいという無印からの理由は説明なし。ヤマトもスルー。もう、新作ファンを迷わすなって。

●コモンドモン:海で泳げるのだから川で行水すれば済むようにも思うが。皆でお掃除シーン、のんびりするなあ。

●バーガモン:フロンティアにも登場した、多岐にわたるハンバーガーのデータを取り込んだ食物型の成長期。エビバーガモンとともに、お客がたくさん集まる一流ハンバーガーショップを作ることを目指してるという。注文を取らずお金も取らず商売でなく食事を振舞っている理由はそれなのか。看板にはデジ文字で「ハンバーガー」とある。ポテトの包みが葉っぱなのはご愛敬。声は齊藤彩夏さん、東京都出身、青二プロダクション所属、「トイレの花子さん」の主役で子役(声優)デビューした方。フルバの草摩紅葉役等々演じた方。

●トリカラボールモン:ネット図鑑によると「とりから」はひらがな表記だ。とりからボールという商品名があるのかと思いきや、ロッテリアのチキンサイドメニューは「チキンからあげっと」「さくさくチキンスティック」等しかなかった。けれどデジモン作品とのコラボの経緯から言ってこのハンバーガーショップはMacでなくロッテリアがモデルだろう。唐揚げのレシピデータから産まれた食物型の幼年期Ⅱ。

●ポテモン:あらゆるフライドポテトのデータを読み取った美食家の成熟期。おいしさを多くのデジモンに共感してほしくてお勧めのフライドポテトを分け与えて回っているという。事実上本作のアニメオリジナルキャラ。青いオーバーオールに赤いマフラーに黄色い服というのが某幼児向けキャラに似ている。ポテトを食べたゲップは臭くはないようだ。声はくまいもとこさん、東京都出身、81プロデュース所属、本名は熊井統子、無印ではスカモンで登場したベテランさん。丈先輩に一度だけ「ポテトモン」と呼ばれているが、スタッフ・キャストの誰も間違いに気づかなかったのか。

●ジャガモン:もとは臆病で平和的な性格という植物型の完全体。必殺技は、見た目より硬い表皮の一部を発射する「スマッシュポテト」。ポテト提供終了という絶望と拒否感で自分の心の混乱からポテモンより暴力的に進化したという珍しいケース。負けてもなぜかポテモンに退化しなかった。正気に返ったのは、聖なる力と丈の想いの熱さのせいだろう。残ったジャガイモからハッシュドポテトやポテサラバーガーなどを作ったのは言動から空だろうか?

●ルナモン:lunaはローマ神話の月の女神。月の観測データと融合して生まれた、ウサギのような姿の哺乳類型の成長期。得意技は耳をくるくると回し発生させたシャボンの渦で敵を巻き込む「ロイヤルイヤーリップル」。戦闘に使える他に、これで洗車していたのね、月やウサギとはあまり関係なさそうな技ですが;声は今野(こんの)宏美さん、北海道出身、青二プロダクション所属。鬼太郎第5期の猫娘、らき☆すたの小神あきら役などで活躍。

●その他のデジモン:クネモン(全身に稲妻の模様が入った幼虫型の成長期)、フローラモン(パルモンと同じく爬虫類的に進化した、植物型の成長期。気位が高く、パルモンをライバル視してるという)、バドモン(budは葉の芽や蕾の意。植物型の幼年期Ⅱ、成長期はララモンなど)、カメモン(サイボーグ型の成長期)、タンクモン、プスリモン(pusuriは針の刺さる音か。レッサー型の幼年期Ⅱ、成長期はエリスモン)、ブリンプモン(blimpは小型軟式飛行船の意。メカノリモンと同じく乗り物のマシーン型成熟期)、ムーチョモン(空を飛べない鳥型の成長期)。つまりここは弱いデジモンが集まっていられる安全な場所ということだろう。

●ED:曲名は「オーバーシーズ・ハイウェイ」。作詞はウォルピスカーター/Orangestar、作曲はOrengestar、歌はウォルピスカーター。ウォルピスカーターさんはハイトーンヴォイスがトレードマークで、2012年に動画投稿サイトで活動を開始。「カルピスウォーター」をもじった芸名ではと推察する。Orangestarさんは、1997年~VOCALOIDを用いて作詞・作曲するボカロP、別名は蜜柑星P。蜜柑星は「未完成」からくる命名という。良いか悪いか、キリスト教界の主流から異端視されるモルモン教徒であるとのこと。ED原画は古家陽子さん、仲條久美さん、生水勇気さん、上田温子さん、小吹唯翔さん。未来へ向かう明るくスピード感のある歌、デジモンとの朝の日常風景、冒険中のひとこま、どれもいとおしい。個人的には、丈先輩の朝食のメニューをチェック。トーストとサラダと、蜂蜜かジャムを塗っているところ、例の目玉焼きは無かったことが心に残った。「大人になんかなっちゃいけないねぇ」はラスエボが思い出されて刺さった。

●次回予告:今作の空は強くて、太空など恋愛を微塵も感じさせないので逆に楽しみ。ばりばりサッカー女子なんだろうか。トロピアモンはアニメ初登場。

          もどる