デジモンアドベンチャー第45話「究極体激突!ウォーグレイモンVS(たい)メタルガルルモン」感想
脚本:まさきひろ 演出:今沢哲男 作画監督:伊藤智子 美術:清水哲弘
独り森をさまようヤマトはジュレイモンに、迷いを振り切るには太一と戦うほかないと言われる。罠かとは思いつつ思い当たるところあって、対戦を迫る。
タイトルコールは第一声はウォーグレイモンとメタルガルルモン、「ウォーグレイモンたい」をウォーグレイモン、「メタルガルルモン」をメタルガルルモンが。シルエットは二体、背景はそれぞれのコンセプトカラーであるオレンジとブルーのまだら模様と、凝っている。
●ヤマト:自身の存在意義が揺らいだところに、自分を磨く覚悟として太一と戦う決意を。安定様の説明に、選ばれたと納得はしたものの、単身で自分探しの旅路に出ることを決める。二人のけんかは、脚本家さんに失礼なので遠慮するが、全て引用したいくらい一言一言が共感でき重く切ない「俺たちのために死んでった連中が、こんな無意味な戦いを望んでると思うのか!」「わからねえよ!俺だってわかんねえんだよ!」。「正しいとか、間違っているとかじゃないと思うんだ。ただ、お前にはお前の道があり、俺には俺の道があるんじゃ」自分の道を見つけるために一人で行くと言い、戦ったことを詫び去っていく。太一への複雑な思いを整理するためには、必要なことだったのだろう。
●太一:単に頭に来て殴ったのではない。その拳は、散っていったデジモンたちの代わり。腕力がわずかでも強ければ、言い分を通す事ができたが、ヤマトとは全く同等だから始末が悪い。ヤマトには悩んだプロセスがあるが、太一にしてみれば、不意にいなくなって戻ってきたと思ったらけんかを吹っ掛けてくるのだから、その心境を鑑みずいじけてるんだと一蹴するのもわからんでもない。自分以外の意見をもうちょっと汲めるリーダーであればよかったし、実際安定様のあとヤマトに和解を申し入れているからその力量がないではない。正論まっしぐらでリーダーとしてはもう一息。
●メタルガルルモン~ツノモン:アグモンを挑発し、究極体同士の対決に巻き込む。ヤマトの手前戦ってはいるが、本心はやはりアグモンとの仲の良さを踏みにじりたくはないのか。
●ウォーグレイモン~コロモン:本気なんだね、と前回も言っていた。2回目を言ったのは、まさか信じられなかったからだろう。
●空:ヤマ太のけんかを止めようとしたが、太一にむげにされる。ヤマトが単身で行きたいと言った時も、温かく送り出すお姉さん的な立ち位置
●丈:ヤマトの紋章は「友情だったよな」と丈が声をかけるのが絶妙。「てことは、僕らはもともと持っていた自分らしさを再発見するために苦労してたってわけだな」。単にミミの護衛でなく、説得して、後を追うと。何て頼もしい。
●ミミ:主要な戦力たる二人の戦いに、さらに傷ついて、戦う意義を見出せなくなってしまった。
●ヒカリ:今までも、デジモンという存在への強いシンパシーを感じる神秘的な子であった。「この方の体をお借りしています」「私の言葉を中継できるのはこの方だけです」霊の存在を感じ取りやすく、霊的なエネルギーやメッセージを受け取りやすい霊媒体質と明らかになった。取り憑かれていた間の記憶はなく、体力の消耗もなかった。安定様から情報を聞かずとも、おそらくは聞く必要はない、体感的にわかっているのだろうな。
●安定様:「デジモンワールドの安定を望む者」、ファンによる略称「安定様」は、小説版では第3巻の214ページに「ホメオスタシス」の名で登場する。「デジタルワールドのセキュリティ・システム」とも名乗っている。ホメオスタシスすなわち「恒常性」とは、生体が変化を拒み、その内部環境を一定の状態に維持しようとする働きのこと。デジモンワールドの神ではない、と。「デジモン同様ネット上のデータから出来ています。ただデジモンと違うのは私たちは物体化できない、つまり自分の肉体を持てないのです」
なぜこのタイミングで発言したのか。まず大前提として、ファイル島の時はヒカリが不在だったので発言できなかった。その後も一同を見守ってきたのだろう。ヒカリが参加し、究極体による同士討ちという異常事態だから現れたと思われる。デジモンワールドで増大した暗黒の力に危機感を覚え、デジモンを進化させられる能力のある太一とヒカリを選んだ。他の子どもに関しては、太一ヒカリと同じデータがあったからというが、それが何なのかは安定様もわからないという。選んだはいいが、ヒカリの欠席で説明が遅れたことはどうにも罪深い。もうちょっと早くにしていれば悲しい犠牲は出なかったと思うのだが。それに、未来についても選ばれし子どもたち任せで救う方法を見つかると信じていますとは、ちょっと無責任ではないか。まあ、神でないのだから仕方ないのか。
●光が丘の事件:流れるのは例によってボレロ。パロットモンとグレイモンの戦いをみな目撃していた。スキャニングされる4年前の8人。劇場版ではもっと多数の子どもが目撃者だから、その中から「選んだ」ということ。
●ゲートのあるスペース:若ゲンナイらによって、暗黒の力に対抗すべくデジタマとデジヴァイスと紋章が準備されていた。ピエモンの襲撃に遭い、逃げ着いたのがファイル島。現実世界で言う4年、それはデジモンワールドではとても長かった。ひたすら時を待っていた幼年期のデジモンがかわいい。若ゲンナイについてもっと情報が欲しいところ。さる情報によると、ゲンナイが老いた姿でいたのは、埋め込まれた暗黒球が育ちにくくするためとの事。
●テイルモン:「気の済むまでやらせたら?」なかなか言えない正論をズバリ。はぐれてひとりぼっちだった理由が判明し、悔しそう。ピヨモンがフォローするが、それに応えての返事が微妙にカットされて余韻がないのは気になった。「行く道は違うけど、目的地は同じってこと。どの道もいばらの道だろうけど」と、超然としたもので、確かに彼女の言うとおりだろう。話のシメに相応しい一言。(偶然の語彙チョイスとは思うが、いばら道と言うと、ヲタクにとってはマイナーなキャラやカップリングを推すことを指す。)それは本当にどれも険しい道に違いなかった。
●ゴマモン:テイルモンの正論にけんか腰、テントモンにいさめれれる。返事ぐらいしろと怒ったのは、丁寧に挨拶した丈への配慮である。
●テントモン:安定様の話し中に頭部を上下させるショットが。知識の紋章のデジモンにさえ、思いの外に難しい内容であったということか。
●パロットモン:腕が生えたオウムのような巨鳥型の完全体。必殺技は、頭の羽根に電撃を発生させる「ミョルニルサンダー」。ホーリーリングを持つデジモンではあるが、劇場版でグレイモンと戦い光が丘をめちゃめちゃに破壊した。
●ガードロモン:コンピュータネットワークの防御壁を守るマシーン型の成熟期。必殺技は「ディストラクショングレネード」。
●メカノリモン:乗り手がいて操縦することで動く乗り物系マシーン型の成熟期。必殺技は胴体のリニアレンズから発する「トゥインクルビーム」。主体性はないようで、バケモンを引きずりおろしゲンナイが操縦していた。
●ピノッキモン:文字通り高みの見物を決め込んでいたが、安定様の光で吹っ飛ばされた。メタルシードラモン編と比べて、ピノッキモン編は長引きそう。
前回も書いたとおり、これでこの回の感想を書き切ったとは現時点でも思いません。どの回もです。またいつ書き直すかわかりません、自分の非力が悔しい。
次回予告:戦いを嫌ったミミの前に現れたかつての敵・オーガモンは傷を負っていた。さらに現れた究極体に進化したエテモン、さらにピノッキモンの攻撃。ミミに心休まる時は来るのか。
2025.6.22. 記