デジモンゴーストゲーム第30話感想

デジモンゴーストゲーム第30話「悪友」感想

脚本:中山智博 絵コンテ:畑野森生 演出:山崎響介 総作画監督:仲條久美 作画監督:酒井夏美、小澤誠、大山康彦、澤木巳登理 (2022/6/19 放映)

<あらすじ:公式サイトより引用>
不登校の中学生・荒巻カヨノの部屋に、突然エクスティラノモンとワルもんざえモンが現れ、「遊ぼう」と懐いてくる。最初は戸惑うカヨノだったが、彼らが口うるさい父親や担任を人形に変えてくれたのを機に徐々に仲良くなり、増長していく。幼なじみのアオイが訪ねて来るが、アオイもまた人形に変えられてしまった。 急にアオイと連絡が取れなくなった事を心配した瑠璃は、宙にも連絡し、アオイを探しに向かう。と、そこに黄色い熊の姿をした怪しいホログラムゴーストを発見し、後をつけていく。一方、エクスティラノモンとワルもんざえモンを引き連れたカヨノは、町に出て、すれ違っただけの人や公園の人々を次々に人形に変え、それらで残酷な人形遊びを始める……。

●全体を見て:録画のタイトルには「…残酷な‘‘人形遊び’’の果て、、」と追加されている。
悪友というのは、ある少女の心の隙に付け込んで友人のふりをし悪さをした、ワルもんざえモンとエクスティラノモンの事。二体ともパペット型の完全体で、外見はぬいぐるみのようだが、かわいいというより化け物感。カヨノをそそのかして暴走させた。
OPに前回進化したテティスモンが加わった。
カヤノという不登校児が今話のヒロイン。その存在感たるやハンパない。不登校児の理由は様々だが、彼女は一つに親しいはずのアオイが瑠璃という目立つ美人とつるんでいる事への嫉妬。二つに、明るい元気系の担任との相性の悪さ。本心は淋しがり屋なのに、対人的に好き嫌いが激しいという困ったちゃん。まあまあ理解ある常識的な両親に育てられながら、どうしてこんなに根性曲がった子に育っちゃったのだろう?少なくとも不登校の原因は明白ないじめや、親の虐待ではないだけに、この腐った性根は正直理解に苦しむ。
理解に苦しむと言えば、ワルもんざえモンとエクスティラノモンがなぜRWに出現するのにカヤノの自室のクローゼットからでなければならなかったのか。どうやって、本来淋しがりやなカヤノに目を付けたのか。なぜカヤノの名を知っていたのか。その背景は語られずに終わる、気になる~。「また」と言っているから、もんざえモンのラブリーアタックを浴びるのは複数回あったらしい。という事は、またがあり得るという事;もんざえモン、頼んだよ。
不登校の明白な解消という形で終わらなかったのにはある種の安堵。登校が叶う事だけが、不登校の解決策ではないので。不登校の継続、転校、フリースクール通所など、選択肢は複数ある。孤独を癒され眠る白い服のカヤノ…。心機一転、白くまっさらになって。
ゲストデジモンの声が今回もやたら豪華。前話同様、ゴスゲがこんな人呼んじゃっていいのかなと内心思う。生粋のゴスゲファンには失礼ですが。いえ、豪華なのはいいんですよ…。

●宙:おいおい中二にして異性を意識しないのか、瑠璃たちの女子会に何事もなく同化。ソニアさんの様な年上美人にしか異性を感じないとか?やばいよ。アオイをさん付けで呼んでるので、ちゃん付けじゃなくて適度な距離があったのはよかった。テラス席のある今どきのカフェにて、注文したのは映えそうなレトロなクリームソーダ。料理もイケるが裁縫もこなすという、女子力の高い男児。

●ガンマモン~べテルガンマモン~カノ―ヴァイスモン:コンビニで最強を買い与えられ、かわいい。ルンバに乗る、かわいい。完全体の時間制限について明言された。なぜなのかは本人たちにも未だ不明。完全体ですらそうした制約があるなら、究極体はどうなんだろう。いいとこはもんざえモンに譲った。

●瑠璃:美人のインフルエンサーは、一方で妬みも買うから怖い。アオイがピックアップされたからもう少し活躍すると思ったら、カヤノとは距離があり不登校の件はアオイに任せっきり。あっけなく人形にされちゃった。スマホのGPS、機械音痴の私には呑み込めず。

●アンゴラモン~ジンバ―アンゴラモン:「君子 熊人形に近寄らず されど心開けば肝胆相照らし 生涯の友 得るかも」。「君子危うきに近寄らず」のパロディ。「肝胆相照らす」は、互いに気持ちを打ち明ける事、非常に親しい仲、を意味する。カヤノがアオイの介入をきっかけに真の友人に恵まれれば。

●清司郎:髪型、変ですかね?似合ってると思うけど。ジェリーモン様にこき使われてる最中に、人形にされてしまう。

●ジェリーモン:中古らしき家財道具を清司郎に運ばせて(未来なのにこれはアナログ)、いったいどんなビジネスだろう。ジェリーモン様、それは正夢というか事実です。

●アオイ:大人しいミカに比べて自律的で積極的なアオイ。不登校のカヤノを案じるだけのキャパがある社交的な子。それで今回被害に巻き込まれてしまう。けれど誠意と友情は実はちゃんとカヤノに届いていた。
「2年になって」ああそうか、10月に1年生だから春を過ぎ進級したのか。感慨深い。
「ウサちゃん」アンゴラモンのことを察知しているが、突っ込まないとこに好感。瑠璃が打ち明けてくれる日を待つのだろう。

●ミカ:「ガンちゃん」、笑。ほんとにホロって信じてるのかは今や微妙。

●荒巻カヨノ:今話のヒロインにして、サディスト(と呼んでもいいですか)。一児童生徒と担任との相性が悪いのはままあることでその偶然には同情するが、おおむね、ずいぶんと自分勝手で根性のひねくれた娘。一人っ子らしいから、わがままがきいたのが一因かも。広い個室に、天蓋付きのお姫様ベッド、たくさんのドレス、少なくとも物理的には恵まれた環境。
ともかくひねくれた背景が知りたいところ。それが話のキモでしょ。違うかな?思春期の感じやすい繊細さだけで果たして説明できるのか。ただ悪辣で、それがエスカレートしていくさまはなかなか感情移入できない。パペット型二体にたきつけられたとはいえ、カヤノが自身の意思で人形に変えさせてしまうのだから、デジモン二体より怖いし始末が悪い。
しかし悪友の魂胆を知り、改心し、気にかけ訪ねてくれたアオイに謝礼する。謝罪でないのは、いつもリツイートさせていただいているサイト「シティ・ザ・エメラルド・デジタル」(クリックしてトップページからブログに入ってください)に記載がありここでは触れない。よくぞ改心した。さあ、新しい関係の始まりだ。好き嫌いと孤独へのわだかまりを超えてゆけ。(マイBGMは和田光司さんの「bravery」。超えてゆけ~♪)
以前はロリ系ファッションだったが、たらしこまれてゴスロリ悪魔風に変貌。しかしなあ、このゴスロリとは言い切れないファッションデザインは何事?テイマーズのゴスロリ正統派・アリスに笑われるぞ;やっぱり私は中鶴(以下略)。改心した時はまた白いロリ系に。
声は佐藤聡美(さとみ)さん、青二プロ所属の実力派。全体的に、もの静かな温和な役が多いという。けいおん!では活発な役も。個人的には鬼滅の炭治郎の幼少期、フルバの花島咲が印象的。夫は声優の寺島拓篤さん。声優さんが職場結婚て、なんかいいな。

●エクスティラノモン:ティラノモンのぬいぐるみに忍び込んでいるパペット型の完全体。図鑑によると、もんざえモンに匹敵するパワーと鉄壁の防御力を持ち、必殺技は中身のデジモンが繰り出す邪悪な球体「ブラックマター」。
図鑑では、相手を人形に変える件は一言も触れられていないので、今話独自の設定か。初めはカヤノにうるさく言う人を人形に。それでも飽き足らず、何の関係もない通行人までも人形に。果ては人形を虐待。「言うこと聞いておだててればいいなんてチョロ過ぎだったよ!」。ダークマターの改良版で人形を元に戻しめでたし。
声は白鳥哲さん、大沢事務所所属、声優にして俳優、映画監督。アプモンにフェイクモンで出演。

●ワルもんざえモン:もんざえモンと同じく、正体不明の凶悪な顔のパペット型の完全体。図鑑によると性格は悪そのもので、意地悪で陰険。左手に強力な爪「ベアクロ―」を装備。必殺技は全てをダークな気分にさせ落ち込ませ戦意喪失させる「ハートブレイクアタック」。
「こっちの世界で楽しくやらせてくれりゃ誰でもいい」って、そうだったのか…人間界での楽しさの追求が目的。
声はアドコロからたびたび出演の松山鷹志さん。

●もんざえモン:全てが謎に包まれたパペット型の完全体。溢れる愛で敵を包み込み幸せな気分にしてくれるハートを飛ばす「ラブリーアタック」が必殺技。
今話では、ワルもんざえモンたちをいさめる、ちょっと人見知りがカワイイさわやかな味方。以前から二体とはかかわりがある様子。カヤノに悪友の真の目的を見せて諭したり、時間制限のあるカノ―ヴァイスモンに加勢してくれ、無事に事を収めた。ラブリーアタックの効果から言っても、ことを収めるのに適任であった。「君の言うことをなんでも聞くのが、君を思ってるってことなの?君を本当に大切に思っているのが誰か、よく思い出そうよ」。ごもっとも。
声は入野自由(いりのみゆ)さん、ジャンクション所属、「千と千尋の神隠し」のハク役が有名。個人的にはパラッパラッパーのパラッパ、アイシールド21の主人公・瀬那といった爽やかな少年声が印象的。ワルもんざえモンの暗く太い声と対照的。

●(カヨノの)父親:突入せず声をかけた上で部屋に入るだけの配慮はある父親。声は既出の宮園拓夢さん。

●母親:「学校の事はひとまずいいから、話だけでもしない?」という不登校児の親にしては常識的な対応をしている。よくある「学校ぐらい行ってくれ」という本音をぶつける親も多い中。だからこそ、カヨノがここまでひねくれてしまった背景がわからない。声は既出の松嶌杏実さん。

●折原先生:陽気で元気で、いかにもカヨノの求めるところのデリカシーの無さそうなキャラ。声は既出の八木沼凌さん。

●スクールソーシャルワーカー:スクールソーシャルワーカーとは、児童生徒の問題(いじめ、不登校、暴力、虐待など)を環境面から援助する専門職で、心理面から援助するのがスクールカウンセラー。社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士のいずれかの資格保有者が定められた課程を修了してなることができる。配置されているのは一部の学校だけ。瑠璃の中学は名門校だし配置されていたようだ。カヨノの心を開こうとするも、ワルもんざえになれなれしいと評され孤独からの救いにはならなかったのが、心理学を学んだ経験のある者としてはとても残念。
声は既出のれいみさん。

●一つだけ個人的な意見を。初期に「登校拒否」と呼ばれていたが、決して本人が故意に拒否するケースばかりではないため、「不登校」という表現に収まって今があるという事は記しておく。行きたいのにいじめがあって行けないとか、気持ちでは行こうと思っても身体症状が出てしまう、等々。やはり差別的表現は、一度定着してしまうとなかなか消し去れないから怖い。

●次回予告:妖刀におそらく理性などを試されるアンゴラモン。順番から言って完全体進化回だろう。けど、せっかくのジンバ―氏、あんまり執事的な見せ場がないまま進化とは残念。レッパモンも活躍するか?

(2022/6/24 記)







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