デジモンアドベンチャー第46話感想

デジモンアドベンチャー第46話「メタルエテモンの逆襲」感想
脚本:まさきひろ 演出:川田武範 作画監督:出口としお 美術;飯島由樹子

ヤマトが太一に戦いを挑むうち、ヒカリに宿った者を通して謎は解け選ばれた理由と紋章の意味を知る子どもたち。しかしヤマトもミミも、太一と別の道を行く事になる。三者三様、どれもいばらの道。子どもたちの運命やいかに。

タイトルコールとシルエットはメタルエテモン。背景のどピンクが強烈で、強さと執念を物語っている。47話とともに、丈先輩が活躍するから好きな回だ。

●丈:別れる時はミミを説得して、と言ってはいたが、「争いは争いを呼ぶだけで何の解決にもならない」という不戦の意思を自らも持っていたとわかる。しかしメガネ越しに天空を見れば、待っているシン兄さんの為に救いをもたらしたいという葛藤を胸に抱いている。しかしそれをミミに伝えようとはしなかったのがいい。「言いたいことがあっても、言わないほうがいい時だってあるよ」。これまでなら丈の上げ足をとったりからかったりしていたゴマモンが、これに対し極めて従順な返答を繰り返している。それだけ丈が成長し、ゴマとの絆が深まったのだと思い、大好きなエピソードだ。ヤバ~かっこいいv

ミミの純真さに、気を取り直しオーガモンの手当てを。トイレットペーパーを包帯代わりに、骨折の疑いには固定の添え木を、と処置は的確。父親に臨床場面に同席させてもらったことがあるのだろうか、さすが医者の息子。丈先輩のカバンがいつも大きいの、私もそうだからよくわかる。何かあった時のためにいろいろ持ち歩いて荷物が多くなってしまう心配性。ところで、カバンには歯ブラシ・歯磨き粉・石鹸のケース・タオルまである。清潔志向。処置のシーンでも「涙の行方」が流れている。

●ミミ:自身のわがままに丈を巻き込んだのは事実だが、自覚があるのは一つの救い。ためらいなくオーガモンをいたわる、傷ついたり弱い者は敵でも見過ごせないやさしさ。「殺すとか殺されるとか、ほかにもっと気のきいたセリフ言えないの?」。「あ、あ、ありがとよ」と言ったオーガモン、鬼の目にも涙。戦いを生きがいとするオーガモンとの何とも運命的な再会はミミにとって好機となる。ミミはレオモンとの戦いにどんな意味があるのかとオーガモンに問う。勝って、やったって気分になって、それから?いなくなるなんて考えたくもねえとオーガモンは答える。でもミミに論理的な矛盾だなんて一番非論理的な娘に言われるなんて、びっくりした。ミミの答えはまだ出ない。グリーフワークも未完。

●太一:ヤマトにとってそうであったように、太一にとってもヤマトは大きな存在なのも事実。反対意見を言ってくれる者を失った分、太一はよりリーダーシップを要求されるようだ。タケルを託された身でもあり、いつになく慎重で、自己犠牲もいとわぬ姿は、見ていてつらい。

●空:太一を信じてついては来たものの、皆に危険が及ぶのは避けたい保護的なお姉さん。太一に、万一の時は、と頼りにされている。でも万一ってねえ、そんな事起きてほしくないのに。

●タケル:ヤマトから預かっているだけに、「まだボクを子ども扱いする気?」には太一も苦慮。ヒカリの「みんなで行こう、お兄ちゃん」、頭脳派の光子郎らしからぬ「皆で渡れば怖くない、ですよ」発言に、結局皆で館に行くことになるが。

●テイルモン:ピノッキモンの館へ行くのに賛成「第一、待ってる時間がもったいないな。急がないとこの世界もあなたたちの世界も、取り返しがつかないことになる」と危機意識。デジモンの中で一番戦況を理解しているのはさすが。

●パルモン:倒れているのが敵かもしれないのに、まず駆け寄って木をどけた。さすが、ミミのパートナー。ミミは彼女の見を案じ、進化はしなかった。

●ゴマモン:オーガモンは負傷中だし残ったゴマモンはズドモンに進化。しかしハンマースパークはピノッキモンのブリットハンマーの直撃に破れた。図らずもメタルエテモンの乱入によって、丈たちは逃げおおせることになる。

●オーガモン:力自慢だが、ウッドモンたち(数十体)に対し多勢に無勢。隕石にある意味救われたが、がけから落ちて大怪我。その隕石とは、復活したメタルエテモンであった。「借りは返すからな」「それが一匹狼の仁義ってもんよ」。勉強漬けで任侠映画・番組など見そうもない丈から「おひけえなすって」などと具体的なセリフとジェスチャーが出てきたのは少し驚いた。時代遅れとミミに笑われ、すねるオーガモン。笑いが起きる。

●メタルエテモン:ブラックホールに呑まれたエテモンが、暗黒世界で多くの戦闘で得たデータから自己の弱点を研究・克服し、子どもたち憎しの復讐心で生き延び身体をクロンデジゾイドでサイボーグ化した究極体。胸板に「最強」の文字が。腰のぬいぐるみはワルもんざえモンにもらったらしい。雄叫びに拍手の強要、やかましい存在感が楽しくて、笑える。必殺技は、バナナの皮で相手を滑らせる「バナナスリップ」、何の変哲もなく強いパンチ「No.1パンチ」、「フルメタルヒップアタック」、「へこきアタック」などあほらしい技が複数。暗黒球が進化し暗黒雷を落とす「ダークスピリッツ・デラックス」。ピノッキモンとは、バトルに発展するが、お下品でアホらしい、笑。メタルエテモンは「坊や」「お子ちゃま」扱いするが、実に戦力は究極体同士で互角。ピノッキモンが飽きてしまって帰宅(ほんとにかわいげがない)、バトル終了というのも最後まで締まりがない。

●ピノッキモン:自分のアイデンティティに関わる「足りないもの」があるというジュレイモンの言葉を実はかなり気にしていた。それでゴマモンになぞなぞを吹っ掛ける。自分のアイデンティティの問題さえも遊び半分。答えなければ殺す、と。無邪気なガキと残酷な殺人鬼というギャップが恐ろしい。どうせ、正答しても撃つんだろ。さらに館におもちゃ型をした乱射銃や時限爆弾を備えていた。

●デラモン、フローラモンについては43話も参照のこと。竹順の「であ~る」演技がかわいい!皆が揃って真似しだすほどに、かわいくて可笑しい。このキャラ語尾を設定した方に拍手!脚本家さんか、演出さんか、声優さんか??ピノッキモンを仲間・友だちとは思っておらず大嫌いで、でも怖くて内緒にしてくれと。むしろ日頃のうっ憤をため込んでいた。このようにピノッキモンは部下に信頼されておらず、結果としてデラモンたちには大胆に裏切られた。

●ウッドモン:枯れ果てた大木の姿の植物型の成熟期。性格は凶暴で普段は木になりすまし、通りかかった相手のエネルギーを吸収してしまう。進化先はジュレイモン。たくさんいたが、隕石落下で全滅。

●獅子のようなデジモン:メタルエテモンから隠れる丈たちの前に現れた、ライオンのような姿のデジモンは敵?味方?もしや…

次回予告:ピノッキモンの最終兵器に、ウォーグレイモンは苦戦。一方、ミミたちはメタルエテモンに攻撃され、レオモンが究極進化し対抗するが…

2025.6.24. 記

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