デジモンゴーストゲーム第43話感想

デジモンゴーストゲーム第43話「赤目」感想

脚本:山崎亮 絵コンテ:角銅博之、野呂彩芳 演出:野呂彩芳 総作画監督:仲條久美 作画監督:澤木巳登理、仁井宏隆、小澤誠、信実節子、大山康彦 (2022/9/18 放映)

<あらすじ:公式サイトより引用>
世界一詮索好きな少女、エマ・ヘインズ。清司郎の留学時代の知人である彼女が、アメリカから日本へやってきた。エマにガンマモン達のことを知られたら、世界中にデジモンの存在が広められてしまうと清司郎は焦る。東京案内の最中、あの手この手で清司郎に身の回りのことを詮索し始めるエマ──だが、少し様子がおかしい。一つ詮索するたびに、苦しそうにうめくのだ。清司郎達は知らなかった。詮索するごとに、エマの体に奇妙な『赤い目が』が増えていることを……。

●全体を見て:録画のタイトルには「アメリカから来た詮索好きの少女」と追加されている。
赤い目のホラー、やっぱりグロかった~もう勘弁してください。でも、古い妖怪本に載ってるからには、人間側の心理にそれを求めるニーズがあるってことなんだろう。どっぷりはまったプログラマーの描写、青い目を奪われるエマの描写など、何度見ても気分が悪くなる。目即ち視覚は、五感の中でも特に情報量が大変多いだけに、コミュニケーションの在り方を大きく左右する。だから視覚を支配するアイズモンは厄介な相手。今回は、アイズモンというより後述の百々目鬼がモチーフとなっていた。
TOTOのウォシュレットに代表されるテクノロジー満載の日本の多機能便器。しかし世界中でトイレがある国は50%しかなく、その中でも水洗式のトイレは先進国のわずかな国しか普及していないという。来日外国人がトイレに興味を持つのもうなずける。トイレと洗面所を含めてレストルームと呼ぶんですね。日本では化粧室ともいう。なかなか間接的でデリケートな呼び名。エマは羽田空港のトイレが普通と言っていたから、先進国のごく一部の人の中の一人という事になる。
エマが来日したのは結局のところ観光という名目での清司郎のプライベートへの詮索?恋愛感情とまではいかないが、清司郎に大きな関心を持って追及を試みている。留学時代のエピソードや詮索好きになった原因とか、詮索したことを胸にしまわず公開したがる理由とか、キャラの掘り下げは、いちいち記憶が飛んでしまい描写が少ない。せっかくのゲストキャラなのでもう少し知りたかった。ジェリーモンとの清司郎争奪戦の続きも見たいしね。
ただの「知人」の観光案内に加え、詮索にさらされ迷惑しているのに、エマのピンチを知ると救い出せるのは自分たちしかいないと、宙と瑠璃に協力を求めるなんて、何てやさしく面倒見が良いのでしょう、胸アツです。さすが寮長をアイデンティティにしているだけのことはある。
バトルシーンでひたすら「First Riders」をかけ続けバトルの盛り上がりと曲の盛り上がりを相関させた演出はエキサイティングでした。

●宙:キスシーンをガンマモンに見せないよう目を覆う、保護者目線です。中学生なのに自分はちゃっかり見てるけど。

●ガンマモン~ウェズンガンマモン~カノ―ヴァイスモン:「愚幻」で現れた物体を破壊するためウェズンに進化、そして影からアイズモンをあぶり出すためにカノ―ヴァイスモンの次元を超えた白くまぶしい光を発射、メテオルクスで弱体化させるという大活躍。

●瑠璃:いつの間にか「チームりるるん」のリーダー然としています。りるるんは、すっかり怪奇的なお悩みの相談窓口と化している。

●アンゴラモン~ジンバ―アンゴラモン:弱体化したアイズモンを、ブレイキンストリームで一掃。「出物腫れ物 迷惑千万 雀の魂 百まで忘れず。」元ネタは三つ。「出物腫れ物所嫌わず」屁も腫れ物も本人の都合(場所・場合)に関係なく出るという事。赤目のことを指している。「三つ子の魂百まで」は幼い時の性質は一生変わらないものだという事。雀とは、事情通である人や、内幕や情報をしゃべって回る人のことを指す。いくらアイズモンのせいとはいえ、エマの詮索好きは変わらないであろうというような意味か。

●清司郎:エマを「デビル」呼ばわり。「知人」と言うからには、付き合いはあるものの「友人」と呼びたくない関係性なのだろう。なら付き合いをやめればいいのに、そこは押しに弱くお人よしなんだろうなぁ。
「伝説の勇者 清司郎の真の力をしたためたマル秘ノート」って、いったい内容は何なんでしょう笑。読んでみたい。
「もしも異世界大学に転生したら」ってアニメですか、さすがは異世界転生物が当たり前な今の中学生。私なんかはそっち系はもうお腹一杯で見る気もしません。転生という理屈で人生をリセットできちゃうずいぶん虫のいい話で、どうにも好きになれない。
「秋葉原がデートスポット」という漫画、宙が疑念を呈していたように、メジャーでない癖のある漫画のようです。
赤目がばれて、エマの危機感の無さに驚愕、ジェリーモンの促し、深呼吸の後の決意。一連の表情の変化が素晴らしい。仲間にエマを救うための協力を依頼というより懇願するところ、カッコよかった。
アイズモンをあぶり出すために、エマの赤目を包帯で封じ閉眼させると、出ましたアイズモン。さあ疑似デジタルフィールド展開、という知略が成功。

●ジェリーモン:ジンバ―アンゴラモンとともに、弱体化したアイズモンをフィサリストで一掃。倒れるエマを支えた清司郎をさらに支えるテスラジェリーモン、二人の協同作業、ここいいシーン。普段はダーリンを放置しても、いざとなったら独占欲丸出しなのが可笑しい。おそらくはファーストキスであろう清司郎の唇を力ずくで守った。本当にダーリンラブなのね。

●エマ・ヘインズ:金髪碧眼のアメリカ人。これを即、人種差別と言うつもりはないが、ステレオタイプという意味では気にかかる。私事だが、私が小学生の頃英語塾に入ったのだが、茶髪のアメリカ人先生が言った言葉は忘れられない。「日本人は、欧米人が皆金髪碧眼と思い込んでいて、私のような髪と目の色をした人がアメリカ人と聞いて驚いてしまう。本当はいろんな人がいるんですよ」。それから45年経っているのに、ステレオタイプは変わりがない。単発のキャラだからわかりやすさ第一というのはわからなくはないのだが。それを言っちゃあ02のウォレスもそうだし。
清司郎を評して、女性の服装に興味を持つ様になったとか、背が伸びたとか、モテるでしょうとか、彼女の存在をしつこく聞くなど、異性として意識しているのは間違いない。清司郎に助けられたことで、それが恋に変化していってもおかしくはない。キスはまあ欧米人の挨拶の意もあるだろうが。
声は井上麻里奈さん、青二プロ所属の大人気声優さん。初等科から大学まで学習院というお嬢様。出演作は進撃の巨人のアルミンとナレーション等々。個人的には恐れ多くも初めて拝聴しますと、まあ生き生きとしたヒロイン・ヴォイス。

●アイズモン:影の中に潜む魔竜型の成熟期。図鑑によると、データを蓄えた分だけ強大化し、貯蔵量次第では力は完全体も超える。多くの目をもち、敵の動きを見逃さない。必殺技は、全ての目から発する呪いの光線「邪念眼」と、蓄えたデータを物体に変換し攻防に使う「愚幻」。
宿主の記憶を部分的に失わせるという能力は図鑑に記載なく、今話独自の設定だろう。そのせいでエマは危機感を持続させる事ができない。人間に取りついて情報を得るという設定も図鑑にはなし。
大きいのはあくまで人間の情報を蓄えたからで、本来は小さな成熟期デジモン。弱体化して、操られていたプログラマーたちは赤目から解放された。
「俺は 情報収集好きなやつらに手を貸して 情報蓄えていただけなんだぞ!」と弁明、反省の色はない。例によって一言も叱りもせずに「それ人間にとって迷惑なだけだよ」と寛容な宙。アンゴラモンの案はどこかのコミュニティーに預けて監視というから、甘々な結論。また強大化しないとも限らないのにね。
声は中尾隆聖(りゅうせい)さん、説明するまでもない大御所、81プロデュース所属。アイズモン、フロのルーチェモンの声だけに、成熟期なのに存在感あり。

●プログラマー:その手腕はアイズモンにより狂気の沙汰に。声は既出の元吉有希子さん。

●インフルエンサー:他人のゴシップをネタにフォロワーを増やそうという人も実際に存在するのは残念。声は既出の角倉英里子さん。

●警官:聖職である警官がプライベートに侵入してくるなんて、恐ろしい。声は既出の小野元春さん。

●女性:声は既出の水希凛さん。

●東京国際空港の夫婦:クレジットはなし。

●調査ファイル:「百々目鬼(どどめき)」は、鳥山石燕の妖怪本に描かれている伝承の妖怪。腕にいくつもの目がある女の姿をしている。もともとは人間の女性だったが、生まれつき手癖が悪く幾つもの盗みを働いた。盗んだ金に宿る精霊たちが、目玉となって体を蝕み、化け物へ変えてしまったという。

●次回予告:ほしいものが何でも手に入ったら…。エスピモンがカップラーメン食べてるのが気になる。登場デジモンは不明。

(2022/9/23 記)



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