デジモンゴーストゲーム第46話感想

デジモンゴーストゲーム第46話「女王ノ晩餐」感想

脚本:山口宏 絵コンテ:- 演出:中村明博 総作画監督:西野文那 作画監督:酒井夏海、村山綾音、仁井宏隆 (2022/10/9 放映)

<あらすじ:公式サイトより引用>
寮の浴場でコタロウと出くわした宙。だがコタロウの様子がおかしい、湯船を恐れ、訳の判らないことを叫びながら逃げて行くのだった。その翌日もコタロウは、何の変哲もない水たまりを見て怯え出す。見かねた宙が事情を聞くと、プールに行ってから、水を見ると不気味な幻覚に襲われるようになったという。もしかしたらデジモンの仕業か?調査に乗り出す宙達だったが、密室で一人きりになった瑠璃の背後から、怪しげな影が近づき……。(私の注釈:コタロウには幻覚という病識はないと思われるのだが。「密室」というか単に女子トイレ。)

●全体を見て:録画のタイトルには「水たまりが怖い…?!」と追加されている。
なんかひたすらコタロウの苦悩の描写でサブキャラとしてはかなりおいしい扱い。女系デジモンが相手だから、たぶらかされるのは尻軽な男児という事でやはり彼が適任。彼にもマニアなファンはいるだろうが、とりあえず宙の半裸出し放題に狂喜したファンはいるはず~。どうして被害者がヒロやキヨでないのか!というご意見もありそう腐的に。ただ、コタロウが出っぱなしで、他のメインキャラの出番が相対的に少なく物足りなさを感じた。
驚いたのは、殺人が未遂に終わったせいで例によって説話でオウリアモンを無罪放免としたこと。いやコタロウの感じた恐怖のトラウマは誰がどうあがなってくれようか。まああんまり過去のことを引きずって落ち込む性格ではないから深く心配はしてないけど、作品の姿勢として倫理的にどうよ。殺人未遂が罪に問われてないって。しかも何ですか、仕舞いには人間界に馴染んじゃってインフルエンサーとして成功するなどと言うオマケも付いたので、腰を抜かした。いくらクロックモンや瑠璃からのサポートが可能だったとは言え。
前回に続いてまたも新デジモンの登場。このシリーズの恒例になりつつある。新デジモンの登場は、新鮮でうれしいところ。
コタロウの手足に絡みつくのはまだしも、口・耳・鼻にまで蔓が入り込む描写は何度も言いますがグロくて勘弁。ホラー色はあればあるほど苦手です。つまりはホラーとしてはよくできているんだろうなというわけで。
10月の東京の気温で、代謝の良い若者が、2週間風呂なしというとかなりのもの。想像するに、納豆とかの匂い?そんな‘熟成された匂い’にこだわったオウリアモン。自称グルメ女王のプライドを、ジンバ―アンゴラモンにまんまと利用された、挑発的な心理戦の勝利。サブタイトルは「グルメ女王」から。

●宙:やつれたコタロウを親身にお世話、やさしい。宙が関わらなければ死んでいたかも。
機転を利かせ、スプレーのガスを利用しソルブローで引火させた攻撃。成熟期三体で完全体への勝利の決め手となった。

●ガンマモン~べテルガンマモン:いまだホロと誤魔化しているものの、コタとの仲はすっかり親密。コタを案ずる様子がまたかわいい。

●瑠璃:危うく被害者2号になるところでした。男性をたぶらかすだけでなく、女性も襲う対象なのですね。スプレーはハーブでもソープでもなく「ノーブ(ノープ?)」との表記。一体何のスプレー?消臭剤か芳香剤と思うが、異臭好きのオウリアモンには耐えがたい匂いであったのはラッキーだった。

●アンゴラモン~ジンバ―アンゴラモン:三人と三体が吊るされて動けないところを持ち前の知性で一計を案じ、開放に至ったのは大きい。
「タデ食う草も好き好きなれど いかもの食いも 時にまたよし」。元ネタは「蓼食う虫も好き好き」辛くて苦いタデの葉を好き好んで食う虫もあるように、人の好みはさまざまである、の意。ただし人の趣味が理解できない時に使う。「いかもの食い」は、普通の人が口にしないような妙なものを好んで、またはわざと食べる事。ゲテモノ食い。転じて、常人と異なった趣味・嗜好のこと。独特な匂いを好むオウリアモンの配信がバズっているのを評して。

●清司郎:「トイレの美しさは心の美しさ」。けど自分は手を汚さず点検だけとはこれ如何に。寮のトイレ掃除は、委託業者でなく、お坊ちゃんやお嬢様たる寮生がするんですね、お疲れ~。

●ジェリーモン~テスラジェリーモン:すごい数のスプレー缶を投げていた。廃墟にそんなにあったのは不思議。

●野村コタロウ:前回に続き被害者に。少しずつ行き場を失っていくさまはまずまずホラー。首のあざに気づいた宙が尋ねなければどうなっていたことか。
清潔がポリシーなのは下心からという、全くイカレた奴。プール絡みで踏んだり蹴っやりだったのに、下心でのプール通い再開に全く躊躇なしなのにはびっくり。打たれ強いというか懲りないというか。トラウマを案じたこっちが恥かしい。
オウリアモンが被害を広げずなぜコタロウだけに執着したのかは不明のままなのは気になる。やっと二人目に瑠璃を襲ったけれども。

●北斗:またも、本人図らずも新デジモンがRWで騒動を起こす遠因となった。北斗に強く影響され騒動を起こすという事は、逆に言えばDW内にいる限り、デジモンはその知識や能力の使い方は無難な範囲に限られていたという事。
長期戦の構えのようだが、小出しはもうやめて、本格的にDWの描写を望む。

●オウリアモン:oleaの語源はモクセイ科のオリーブの学名Olea europaeaから。キャラデの元になる食虫植物は調べたがモクセイ科には無く、不明。DWの森林地帯に生息が確認された食虫植物型の完全体。図鑑によると、花の香りは昆虫型デジモンを誘惑し、香りに酔った獲物を舌で味見し花弁を大きく広げた「ジャミール」で捕食する。手となっている毒葉を使う「リーフレッド」は飛ばしたり、束ねると刃となり自在に振るう得意技であるという。
食虫植物は虫を捕まえ養分とするために独自の進化を遂げた植物で、その個性的なフォルムと驚異的な動きが昔から人間に大きな衝撃と感動を与えてきた存在である。(ちなみに基本的には光合成の能力に劣りはなく、自ら栄養分を合成できる。)こんな食虫植物をキャラとして取り上げるからには、相応の美と妖艶さと不気味さが欲しいが、暗く禍々しい女性的なヴィジュアルや舌で舐める行為や匂いのチェックなどそれにはよく成功している様に見えた。いやいや、朝アニメとしてちょっとエロすぎかもな。皆さんはどう思います?
コタロウに幻覚を見せて風呂に入れないようにし、体臭がきつくなったところで食べようとしていた。なぜ人間を食べようと思ったかは、北斗のコメントのせい。敗北を認めてからは素直なもの。他にも臭い食べ物はあると教わってまさかのVチューバ―に転身。
ジンバ―に「注文が多い」と言ってますが、元ネタは宮沢賢治の児童文学の短編集「注文の多い料理店」。山奥へ来た二人の青年が、「髪をとかして、履き物の泥を落とすこと」「金属製のものをすべて外すこと」などを注文される。それは食べられる下ごしらえだったという。なのでコタロウもそれに準じて行動させられたのであろう。
声は池澤春奈さん、アクロスエンタテイメント所属、声優にして舞台女優、歌手、エッセイストでもあり、第20代日本SF作家クラブ会長。血縁者がインテリ系で、自らも成城学園出身のマルチリンガルのお嬢様。個人的にはハム太郎のロコちゃんが印象的。貫禄のある妖しい女性像を演じられた。

●女子高生(区民センターのプールに来ていた):声は既出の水希凛さん、あと松田祐佳さん、青二プロジュニア枠の方。

●男子生徒:声は既出の八木沼凌さん。

●次回予告:「自分の体に違う何かが住んでいたら」。マミーモンが再登場で期待。もはや予告の内容は情報が少なく、個人的にグロさの程度がどれほどかに関心が偏ってしまっています。他サイトにて「シェイドラモン登場」との事。どこを見てそう思われたのか、私には不明です。

(2022/10/10 記)



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