デジモンゴーストゲーム第47話感想

デジモンゴーストゲーム第47話「永遠ノ記憶」感想

脚本:佐藤寿昭 絵コンテ:- 演出:角銅博之 演出助手:野呂彩芳 総作画監督:二階堂渥志 作画監督:北野幸広、澤木巳登理、直井正博 (2022/10/16 放映)

<あらすじ:公式サイトより引用>
ある晩のこと。シェイドラモンの命が尽きようとしていた。デジタマに戻り、記憶を失うことを恐れるシェイドラモン。その耳に、奇妙な笑い声と「記憶を残してやる」という言葉が聞こえてくる。翌日、共同研究をしている大学の研究室で、清司郎は友人の井原保の様子がおかしいことに気付く。人目を避けるように逃げ出した保を追いかけた清司郎は、保の体から触覚のような正体不明の流動体が生えてきて、不気味に蠢く衝撃的な光景を目撃する。

●全体を見て:録画のタイトルには「植え付けられた記憶の種」と追加されている。
もうどうしても感想を書く時間が取れないので、見切り発車でアップしてます。
一つの個体に一つの意識と記憶が宿るという当たり前なことが崩されるホラー。保であってシェイドラモンでもあるという異常事態は、双方にとって理不尽。二人が合体したさまは実にグロテスクなヴィジュアル。キモ~!
シェイドラモンの死への恐怖は、自我の証である記憶が消滅すること。だからデジタマとなって再生することがわかっていても恐怖であった。なぜ彼が、他のデジモンと違い自身の記憶の継続にあそこまで執着したのかが描かれていないのは、本当に残念。人間(日本人)なら一般的には、あの世に平穏な暮らしが待っている、つまりは意識は保存され記憶は継続すると思うから、死を受け容れられる。また、家族や友人がその人を覚えていてくれるという希望がある。彼を記憶に残してくれる家族や友人でもいたら話は別だったのだろうか。
マミーモンがこの一年で準レギュラーとなり活躍するのはうれしいもの。
角銅氏は「錆びた館分館」にて以下に触れている。都内の広い公園は高台があることが結構あって、聖地と思われる高台の写真を掲載(場所を特定する文章はない)。脚本時の仮題は「禁断の実験」とのこと。ナノモンは無印19話でも担当し、その時の作画も直井氏であったこと。シェイドラモンは昆虫型なのに目を開くという脚本の指定があった為わざわざ閉じた目の設定を作ってもらったこと。かつてパートナー役だった野島さんと中井さんの会話がなくて残念だったこと。

●宙:手紙はまたも常時携帯していたようで、「いろんなデジモンと会って色々感じたこと」を北斗に話したくて手紙を託した。あれれ。どういう理由と手段でデジモンが人間界に来るのか、どうしたら人間がDWに行けるのか、書くとしたらそういう内容かと思いきや。その謎は未だに解けずに47話です。
デジモンの死とデジタマ化に直面し、今回も思うところあったはず。

●ガンマモン:保に紹介されてホログラムと自称する時のたどたどしさ、わざとなんだろうけどカワイイ。保のことをタモと呼んでいる。ほぼ初対面なのに、人間への親和性が高い。

●瑠璃:チームりるるんのリーダーを自認しているのに、困っている保を放って帰宅するという無関心ぶりは意外。

●アンゴラモン~ジンバ―アンゴラモン:「科学なき世界は暗闇なれど 心なき科学も また深き闇。一寸の回路に一分の徳なし」。元ネタは「一寸の虫にも五分の魂」「一寸先は闇」か。倫理にもとる科学はいかがなものかという。

●清司郎:保をファーストネームで呼び捨てにしているのは不自然。いくら大天才で留学帰りだからって、この年代は生まれが一年違うだけで先輩後輩意識が強いので、中三が大学院生を呼び捨てにするとは私にはどうも思えない。いえ、院など行った事ないのでわかりませんが。清司郎がそれだけ研究室仲間として溶け込んでいたのだろうけど。
保に、友だちがいることを驚かれていた。天才は凡人などに興味ないと思われていたのか。
シェイドラモン/保は窓ガラスを割って出ていったはずなのに、だれがいつ清司郎を拘束したのでしょう。

●テティスモン:「アドゥワールド」の瞬間移動能力を応用し、保とシェイドラモンの分離に成功。こんな事もできるなんて心強い。女神さまでも危険な賭けを実行することあるんですね。成功を信じていたからか。

●マミーモン:すぐ忘れてしまうので書くと、声は菅生隆之さん。白衣をまとい聴診器を首に、医師としてすっかり人間界に馴染んでいる。
白衣姿で突如現れ劣勢の宙たちを一喝、すごくカッコイイ!ナノモンの悪行を知っており、磁石にくっつくとのアドバイスもして、心強い味方。
彼の言うデジモンの生死の理に、最後は落ち着いたので見ていて安心した。

●エスピモン:今回は騒動に無関係とはいかず、アンゴラモンとジェリーモン探しのパシリをやらされた上に、電磁石としてメタリックな体を利用されるという活躍ぶり、笑。サーチモードでナノモンの発見にも貢献。
いまだ本物のヒロを探して、いつオチが来るのだろう。

●ブラックテイルモン:またもタイムリーな登場、宙たちをいずれかの形で常時監視しているのは間違いないだろう。

●シェイドラモン:勇気のデジメンタルで進化した昆虫型のアーマー体でこれまたアニメ初登場。昆虫人間型の姿をしているが、勇気のデジメンタルが逆作用して、フレイドラモンと対極の凶悪となった。必殺技は両腕から放射する灼熱の火炎「フレアバスター」。
つまらぬ小さなけんかが元で死にゆくところを引き留められて。なぜそんなにも「記憶を保った存命」に執着したのかは、描写があってほしかったところ。マミーモン、アンゴラモンも述べていたように、どのデジモンも自らが死んでデジタマになると現世の記憶は断たれることは普通に認識している模様。
合体の分離に成功したものの、存命は叶わずすぐにデジタマへと消滅した。デジモンの生死の理には逆らえず、哀れ。死の原因が些細な喧嘩だからして、そもそも自身の命を大事に扱っていなかったようなので自業自得。
声は檜山修之(のぶゆき)さん、アーツビジョン所属、02でブラックウォーグレイモン、アドコロでマッハモンを演じられている。メインのゲストデジモンだからいいっちゃいいんだけど、クズなデジモンがむやみにイケボです。こんな人呼んじゃっていいのリストに入れときます。

●ナノモン:超小型の治療用マシーン型の完全体。図鑑によると、元はクラッシュしたコンピュータを修復するワクチン的なデジモンだったが、強力なウィルス型デジモンに攻撃され思考回路が破壊され暴走。正常なコンピュータでも勝手にデータを再構築し狂わせてしまう。どんな強いデジモンも、体を構成するデータをいとも簡単に破壊されてしまうという。
なぜか「ぎゃ」という名古屋弁に似たキャラ語尾付きに、何か意味はあったのか?島田さんの演技だけでキャラの差別化はちゃんとできているように見えたが。
無印19話やフロンティアにも出ているナノモン、ある程度の体の大きさがあったが、今話では図鑑の通りごくごく超小型であった。清司郎組の見事な思い付きでエスピモンを磁石として利用し、まんまと捕らえられた。データの書き換えでは強いが、肉弾戦ではお話にならない弱さ。
騒動の元凶にして性質はマッドサイエンティスト。実験の最終目的は、「神をも超える私の超頭脳の存在を永遠に残すことができるぎゃ」自身の永遠の記憶と命という狂気ぶり。仮題の通り危険な行為に、処遇が悩ましいところだったが、ブラックテイルモンの回収で一気に解決。
声は島田敏(びん)さん、青二プロ所属のベテラン、日本俳優連合の理事というエラい人。ちびまる子ちゃんのおじいちゃん役を青野武さんから引き継いだ。演技は狡猾な爺さんぶりがいい。

●井原保:メインの人間ゲストキャラなのだが、清司郎と同じアニメ番組のヲタである以外、どんな性格かは特段描写がないので不明なのは残念。せめてどんなアニメ作品なのかがわかれば。自室には複数の少女のポスターと人形(ぬいぐるみ?フィギュア?)が飾ってあり、アニメグッズと思われる。実験体に選ばれた理由も単なる偶然のようで、彼でなければいけない必然性は感じられない。清司郎の関係者だったがために命拾いした。
研究室で徹夜続き、要領が悪いのか論文は進まず、天才トーマのようにはいかない普通の院生。騒動でさらに集中力を奪われ、何度も失神し、お疲れさま。
「霊体」などと、デジタルとは次元の違う概念が語られたのは興味深い。
声は野島裕史(ひろふみ)さん、青二プロ所属。父の野島昭生さん、長弟の野島健児さんはともに声優、次弟の野島智司さんは作家、甥の野島透也さんは俳優。セイバーズのトーマ、弱虫ペダルの石垣光太郎役などされている。野島健児さんは、ピーターモンで既出。
声色はシェイドラモンと対照的で良い。

●大隈教授:声は既出の掛川裕彦さん。

●後輩院生:声は既出の橘内良平さん。

●調査ファイル:宙に始まり、アンゴラが解説、瑠璃が話を膨らませて、清司郎のビビり落ちのパターンが定着。

●次回予告:一体誰の結婚式でしょう。白に対して「毒々しい色」が登場するよう。瑠璃のドレス姿を拝めた、美しい。

(2022/10/22 記)




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