デジモンアドベンチャー第47話「風よ!光よ!サーベルレオモン」感想
脚本:前川淳 演出:吉沢孝男 作画監督:直井正博 美術;清水哲弘
太一らは先手を打ってピノッキモンの館に潜入。一方、復活したメタルエテモンから逃げる丈たち。そこに新たなデジモンが現れる。
タイトルコールとシルエットはサーベルレオモン。背景は明るく風のように流れて。このサブタイトルは特撮ドラマ「快傑ライオン丸」のOP「風よ!光よ!」のオマージュという。46話とともに、丈先輩がミミを支えて踏ん張るので、大好きな回です。
●レオモン:すたれたかつてのレストランに逃げ込む、その声は、やはりファイル島の勇者レオモンその人であった。犠牲だとか別行動だとかの事情に一切言及せず、選ばれし子どもの力がダークマスターズの暗黒から世界を救うと断言する。少しもブレがない。皆がファイル島に現れたのは、デビモンたちに勝てるか、本当に救世主たりうるのかという試練だったのではないかと言う。その試練をお前たちは乗り越えた、今こそダークマスターズを倒す時だ。勇者の風格は今も変わらない。進化してメタルエテモンに応戦し、逃げるよう指示する。
●ミミ:レオモンのコメントに、ミミは犠牲を悼んで、流れる「哀しみ」。戦いは嫌、誰かが傷つくのも嫌。強敵メタルエテモンを前にしてその純真は、結果として皮肉にもサーベルレオモンに致命傷を与えさせた。ミミが傷ついたオーガモンを想いしゃしゃり出たせいで、新たな犠牲が生まれてしまった。せっかく丈だって、ミミのためらいを思い彼女が戦わずに済むよう計らったのに。私はミミのこの中途半端な行為をどこか許せない。レオモンは、子どもたちのために犠牲になるのをいとわなかっただろうけど。
サーベルレオモンが致命傷を負い瀕死状態に。はじまりの街でまた「生まれ変わるまでお前との勝負はお預けだな…」とオーガモンに言い残して果てた。なんて悲しい犠牲…。流れる「哀しみ」。一縷の望みであった「はじまりの街」さえも、オーガモンによると荒れ果てたよう。逝ってしまったデジモンたちの再生は叶わない。街を復活させるには、ダークマスターズと戦うほかはない。流れるのはSevenのインスト版。戦わずにただ泣くだけなんて。パルモンの言葉や丈の説得に、はじまりの街の復活のためなら何でもする、と覚悟を決めたミミ。その代償は大きかったが、抵抗勢力の仲間集めの旅は始まる。ミミのグリーフワークは、やっと新しい局面へ向かった。
●丈:別行動している、「まさに試練の真っ最中さ!」と。周りが見えてしっかりしていて、よくミミを支えている。ミーハーな気持ちでなく、本当にカッコよくなった。ミミに同行して正解だったろう。でも、わたし的に丈ミミ・ミミ丈は絶対ないです!ミミをおもんばかってレオモンの指示に従い逃げようと決めるとか、サーベルレオモンの被害に応戦を決めるとか、はじまりの街へ行こうとか、決断力が養われた、立派。トイレットペーパーでは手当てできない、医者のタマゴの無力感、涙。
●ヤマト:単独行動をしながらも、他の子を案じ見守っていたとわかる。でもまだ心の整理はつかない様で、目をそらし無言で去っていく。太一らも、引き留めることはできず。気まずい空気。
●オーガモン:相手がレオモンとわかるとバトルモード、軽くいなされてしまう。よそでもおそらくはいくつも、ダークマスターズに従わなければ皆殺しという状況を見てきた模様。悲しいかな、格下な上に傷を負っており、メタルエテモンの眼中にない扱い。レオモン再生という名目で、仲間集めの旅を提案。まさに心強い。
●メタルエテモン:サーベルレオモンのインフィニティアローは効かず、優勢。ダークスピリッツデラックスでミミを襲うが、かばったサーベルレオモンに命中。クロンデジゾイドのコーティングが自慢、ズドモンのハンマースパークも効かず、しかしハンマーブーメランで強打され、ひびが入ってしまう。同じクロンデジゾイドでも、コーティングより塊の強打の方が強かったってことか。同じクロンデジゾイドでも、純度によって強度も変わるとの情報も。ボスキャラだけに、その傷に究極体サーベルレオモンがネイルクラッシャーでとどめを刺したのは納得。うぬぼれが敗因であった。それも含めて、もうちょっといてくれてもいい何だか憎めないアホな強敵であった。復讐のメインたる太一のもとにでなく、戦いを忌避するミミのもとへ現れたのは皮肉なめぐり合わせであった。アホな死に方は湿っぽいピノッキモンの死と対照的。どうでもいいことなんだけど、進化したら歯が金歯!さすがは大スター。金歯って、今は聞かないけど昔は庶民のプチ贅沢だったのよね。
●ズドモン:倒れたサーベルレオモンに代わり奮戦!自分の武器がクロンデジゾイド製だとわかっての正面攻撃。進化すると自動的に自身の武器や技の情報が得られるということか。
●ピノッキモン:「住居不法侵入で訴える」などという子どもらしからぬ言い分が憎たらしい。太一にガチンコ勝負を挑まれ、ウォーグレイモンと対峙するも操り糸で同じ究極体を思うままに暴れさせてしまう。アトラーカブテリモンの攻撃、ガルダモンのブリットハンマー破壊(ズドモンのハンマーには勝ってたけどな)もあって窮地に追い込まれる。蘇る、負けるかもというジュレイモンの忠告。が、反省も命乞いもしない。館を巨大人形に変形させ襲ってくるという底力はさすが四天王。あまりの巨大さに苦戦する一行。その間に逃げようとし、友だちなはずのレッドベジーモンを足手まといだと抹殺してしまう。けれどそれをヤマトは見ていた。ピノッキモンの術に、メタルガルルモンは操られなかった。それは友情を踏みにじったからか。メタルガルルモンのコキュートスブレス一撃で、敗れ去る。最期のセリフは「ジュレイモン、ボクに足りないものって何だったの?…」判らずに逝ったのは哀れ。それを気にするだけのハートとジュレイモンへの愛着はあったのだし、育児環境にもっと恵まれていればいいデジモンに育っていたのかも。いい環境に再生することを祈る。地に刺さった背中のウッドクロスはさながら十字架、墓標のよう。巨大人形は崩れ、森のエリアが壊れていく。それは現実世界でも観測されて。物悲しい落ち着いた音楽、これも歌と音楽集に未収録。
●サーベルレオモン:上あご犬歯がサーベル状になった食肉獣・サーベルタイガーをモチーフにした古代獣型の究極体。成熟期レオモンから完全体を飛ばして究極体にワープ進化。パートナーデジモン以外でこのワープ進化は他に例がないのでは。ただ、本人がコントロールしきれていないと言っているから、究極体の中では格下なのだろうか。必殺技は、毛を針のように連射する「インフィニティアロー」(クロンデジゾイドには通用しにくい)、鋭い爪で破壊する「ネイルクラッシャー」。肝心のサーベルを使う技は無いんだね。
●レッドベジーモン:全身が赤く熟した食虫植物型の成熟期。成熟期のベジーモンより攻撃力も知性も高いし、性格も陰険になっている。必殺技は、強烈な臭いと毒素を帯びた息を吐き出す「ハザードブレス」。ピノッキモンの友だちまがい(手下)であった理由は何なのか。命令に準じて森で生き延びる為か。成熟期のパートナーデジモンに退治される。
●デラモン、フローラモン:大砲を撃ちまくり、ストレス解消?笑。子どもら、ドン引き。
●ゲコモン(山口眞弓さん)とオタマモン(松本美和さん):ダークマスターズに城を壊され有無を言わさず襲われて命からがら逃げてきた。お姫様じゃなく「ミミ」、笑。ダークマスターズへの抵抗勢力の第一陣となる。
次回予告:四天王の2体を倒したものの、次の敵はまた現れる。妹の発熱という苦い体験に取り乱す太一。都市エリアのメカ軍団相手に、光子郎の戦略とは。
2025.7.1. 記