デジモンゴーストゲーム第49話「真紅ノ収穫祭」感想
脚本:中山智博 絵コンテ:角銅博之 演出:難波涼 演出助手:山崎響介 総作画監督:金久保典江 作画監督:松本文男、福世孝明、岡辰也 (2022/10/30 放映)
<あらすじ:公式サイトより引用>
ハロウィンの日、魔女の仮装をしていた人々が、ウィッチモンの呪文により、本物の魔女となり、今度は彼女たちが、どんどん魔女を増やし始める。さらに、他の仮装をしている人たちは、ネズミに変えられ、魔女猫に追いかけ回されていた。去年同様、カルチャースクールでハロウィンパーティーの準備を手伝っていた宙たちだったが、そこでも、魔女仮装をした詩織やアオイがウィッチモンの呪文にかかり、魔女化してしまう。街中を魔女でいっぱいにしようとしている詩織とアオイを止めようと、街に出た宙たちだったが、そこで目撃したのは、低空に浮かぶ不気味な黒雲と、魔女たちの不気味な集会だった……!!
●全体を見て:録画のタイトルには「魔女たちの不気味な宴」と追加されている。
サブタイトルの「真紅」はウィッチモンの服とオーラ、魔女の帽子のリボン、ブローチ、目玉の色。「収穫祭」とは、かき集めた魔女たちのことだろうか。
ハロウィーンを意識して、ウィッチモン登場とパンプモンの4話からの再登場は季節的にうれしいもの。まさかの二年目でもハロウィーンネタ。
多くの日本人がハロウィーンの意味などほぼ知らずに、すっかり日本の季節行事になってしまい、私の世代などは隔世の感があります。今年は韓国で大惨事も起きたし、渋谷の混雑も毎年異様だし。どうでもいいですが、アクセントは「ハ」でなく「ウィ」に付き、「ウィン」ではなく「ウィーン」が正しい発音。
ハロウィーンは毎年10月31日に行われる、古代アイルランドに住んでいたケルト人が起源と考えられる祭りのこと。現代では特にアメリカなどの英語圏で民間行事として定着、本来の宗教的な意味は殆ど無くなっている。キリスト教にとっては異教徒の祭りなので、容認から否定まで見解は分かれている。ケルト人にとって10月31日は秋の終わり・冬の始まりにして一年の終わりを意味し、死者の霊が幽霊や妖精や悪魔の姿をして家族を訪ねてくると信じられていた。家に戻った時機嫌を損ねないよう食べ物を用意した。また、子どもが怖い仮装をする事で、死者の魂に気付かれないようにしたのが伝統であった。お化けカボチャのジャック・オー・ランタンは、怖い顔や滑稽な顔を刻んで悪い霊を怖がらせ追い払うためのもの。
ウィッチモンの目的は魔女の王国創設だが、凶悪というほどの悪意はなく、仲間欲しさに魔力の高まるハロウィーンを利用したのが騒動の始まり。例により怪奇現象の描写が主。メインキャラの描写は少なめで、人間のゲストキャラ・詩織とメインキャラとの絡みも少ないのは残念。31日が過ぎ、ウィッチモンの力が弱まり、魔力が解けあっけなく一件落着。しかし0時ですから、保護者目線で毎度思うのは中学生が深夜まで起きているのが心配。
え~と、複数の目玉を口に突っ込む、これ私ダメでした。目玉だけでもダメなのに、それを口に押し込むなんて!グロいのはホント苦手。でも角銅さんの名がある回の作風だからなあ…。
角銅氏は「錆びた館分館」にて、パンプモンの回に昨年は担当できなかったので今年は良かった事、宙たちのコスプレはそれぞれ設定も作ったはずなので出番が短くもったいなかった事、魔女の大群は大変そうで演出さんが頑張ってくれた事を書かれていた。
コスプレは、宙・ガンマモン・エスピモンがミイラ、アンゴラモンが海賊(ゾロだけに?笑)、ジェリーモンがなぜか恐くないお姫様、清司郎が自称完璧な魔法使い、瑠璃がゾンビ、アオイが魔女、ミカが骸骨、あとナナとモエ(どちらがどちらか不明)が幽霊とオオカミ女。より細かい設定があったなんて、おっしゃる通りもったいないです。
原画の人数が多い。作監も、松本文男さんは、様々なアニメの原画、作監もされてる方で、メインとしてはグロス回の作監が多いとの事。グロスとは「まとめて」という意味で、テレビアニメシリーズで「アニメーション制作」とクレジットされるアニメ制作会社が元請けとなり、下請けの制作会社に一話分丸ごと制作を任せる事。福世さんはミュークルドリーミー等の作監などされてる方。岡さんは、中野区のアニメ制作の有限会社エー・ライン所属の方。というわけで、今回も外部のお力をだいぶお借りした模様。
●宙:カウスから落ちた時はどうなるかと思ったが、危険を思いやる弟に兄貴としてやさしいフォロー。
●ガンマモン~カウスガンマモン~カノ―ヴァイスモン:「シオ」「アオ」こういう呼び方が定着。「トリニクトリートメント」2年目だけど進歩はなかった、カワイイ。ランタンを見てパンプモンに言及したのは後半への布石。
カウスは出番が少ないのが寂しいので、出ると個人的にはテンション上がります。宙が乗って戦うのも好き。
時間制約の前に、ウィッチモンの方が成熟期な上に時間により魔力を低下させ意気消沈、カノ―ヴァイスの圧勝。
●瑠璃:ゾンビ本当に好きなのね、女子なのにエラい仮装になってます;
●アンゴラモン~ジンバ―アンゴラモン:「魔よけの宴は まか不思議。芝居 こんにゃく 魔女 カボチャ」。元ネタは前半は不明、後半は「芝居蒟蒻芋南瓜」。江戸時代に、井原西鶴が女性の好物を語呂良く並べたもの。通して意味は不明、これも単なる語呂合わせか。
●清司郎:今年はカルチャースクールのハロウィーン行事に参加。多忙を極める彼をして人使いが荒過ぎと言わしめるミカって何…。
魔法使いコスでも調査ファイルでも言うとおり、コスプレは得意なようでさすがアニヲタ。自分、コスプレ好きなので、いいぞもっとやれ!
●ジェリーモン~テスラジェリーモン:電撃技にて魔女を気絶させるというナイスフォロー。
●エスピモン:いつもマイペースなのに、飾りを手伝ったことを瑠璃に認めてもらおうとアピールは意外。コスプレに甘んじたのも意外。楽しそうなのを見て自ら参加したのか、今回は一同の流れに乗り気なため、当然騒動にも巻き込まれて。
ネズミ型ロボと信じていたのに、そういう自意識ではないのですね。
●パンプモン:忘れたので再掲、パペット型の完全体。声は高戸靖広さん。ハロウィーンの時期になると発生していたコンピュータウィルスが突然変異を起こしてパンプモンになったという都市伝説がある。しかし悪質なウィルスではなかったので危害を加える事はないが、見た目とは裏腹に強力な攻撃力を持つという。必殺技は巨大なカボチャを空中に出現させて敵を押し潰す「トリックオアトリート」。
一年ぶりの再登場はやはりうれしい。昨年は友だち欲しさに騒動を起こした奴が、今度は友だちを守るために援護にきたのがちょっと感動。宙たちを友だちと認識して、味方として参戦。トリックオアトリートで魔女たちを拘束。昨年学んだ教訓をウィッチモンに披露「ここは人間の国。魔女にしなくても一緒にいて楽しければ み~んな友達になれるの!」。同じ事したらまた来るよ?とウィッチモンに脅しをかけるあたり、味方とは言え人格的にはまだ問題あり。
疑似デジタルフィールドが解けると消えていた。シリーズが来年まで続いたら、再々登場になるのかな?
●ウィッチモン:魔女の姿の魔人型の成熟期。図鑑によると、ライバルのウィザーモンの後を追って別次元デジタルワールド「ウィッチェルニー」からやって来た。故郷では風と水の魔術(高級プログラム言語)をマスターしたが、大魔導士を目指すウィザーモンを出し抜くため、後を追ってDWで修行に励んでいる。少々残酷な面があり、プライドも高く、しきたりや決まり事を嫌うという。必殺技は魔力を帯びた鋭利な風「バルルーナゲイル」と、鋼鉄も貫く超高水圧の「アクエリ―プレッシャー」。
図鑑には、ハロウィーンに魔力が高まる旨や、人間を魔女にし、その魔女も人間を魔女にできるという能力、魔女への憧れのない人間をネズミに変える能力は記載がないので、今回独自の設定と思われる。アクエリ―プレッシャーでビル三つを貫通、それがこの日の魔力の高まりの証左。パンプモンに邪魔をされ、そのタイミングでカノ―ヴァイスモンへの進化をされたため劣勢に。
ハロウィーンの日は魔力がマジ高まると経験から知って、という事は複数年この時期を人間界で過ごしたという事。その間ずっと、人間は愚図で仲間や友だちには値しないと思ってきた。なのでパンプモンに脅されて表面的には大人しくなったが、反省というより受け流したまま、消えていった。反省が見られなかったという点ではすっきりしない終わり方。
ドラゴニアで追いつめられた末、だまし討ちでの反逆叶わず、日付変更とともに魔力の高まりを失うというお間抜けなオチにはびっくり。「あ~あ、終わっちゃった…。」とまるで幼児のように頼りなくしゅんとして。魔女王国創設という壮大な構想は、計画的というより仲間作りの延長線。パワーアップして単に気が大きくなってたせいみたい。
なぜなのか最後にガンマモンに「漆黒の覇王」ではと問いかける。何話だったか、その名称が出たのは初めてではなく、広くデジモン界に知られているという事なのか?かつてグルスの状態でDWで暴れ回っていたのか?真相やいかに。アニメでは触れられていないが、ゲーム(バイタルブレス)では、グルスガンマモン、その完全体まで判明しているというから、ゲームをやる人は私とは別の見通しをこのシリーズに持っていようか。で、ガンマモン自身は心当たりが全くないリアクション。何を契機にグルスから成長期・ガンマモンへ退化したのか?
声は潘めぐみさん、日芸卒、アトミックモンキー所属、本名は「芽具実」。声優・俳優・西洋占星術氏の潘恵子さんは実母。親が離婚し母子家庭に育ったが(個人的に勝手に親近感を覚える)、テレビからも家庭からも母親の声が聞こえるという不思議な状況で育ったという。何と言っても、ハンターハンターのゴンが印象的。ワンピのお玉、アドコロのタケルなども演じる人気声優さん。エネルギーに満ちていた時の柄が悪く悪辣なのと、パワーを失ってからの弱々しさが印象的でさすが。下世話な話だが、二世声優と言わせない実力者。
●詩織:他のモブキャラと違い漢字の名前キャラ。本来は引っ込み思案で大人しい子だが、魔女の力で存大に。そのギャップがいい。本人は、記憶はないものの「ワクワクした」と振り返っていたから、怖いだけの体験ではなかったよう。それはそれで恐ろしいかも。
声は後藤沙緒里さん、トイズファクトリー所属を経てフリー、ギャラクシーエンジェルの烏丸ちとせ役が有名。
●アカネ:ネズミを預かるよう頼まれて。このネズミ、どう見ても不潔なドブネズミで、白い小型のマウスでもないと「かわいい」という感想は出てこないように思うが。
声は既出の上杉華子さん。
●ナナ:声は広瀬ゆうきさん、青二プロ所属、声優にしてアイドル、歌手。両親ともに俳優で、父は廣瀬昌亮、母は志水季里子。ガールズユニット「A応P」のメンバー。キャンドモンで既出なんですね、本当に忘れっぽくて。
●モエ:声は既出の川口莉奈さん。
●女子高生:声は既出の元吉有希子さん、田中沙耶さん、水希凛さん。
●魔女:声は、凛の母で既出の渡部桃花さん。
●男性:声は既出の小野元春さん。
●次回予告:珍しく、登場デジモンがあからさまになっている。プッチ―モン赤。あとまた深津君?おかしな誘惑に巻き込まれないといいが。あまりに大きなものをもらったらお返しはどこまですればいいものか。何が恐怖のモチーフとなるのか?
(2022/11/3 記)