デジモンゴーストゲーム第50話感想

デジモンゴーストゲーム第50話「オカエシ」感想

脚本:森地夏美 絵コンテ:- 演出:上田芳裕 総作画監督:石橋大輔 作画監督:Noel anonuevo、Eugene Ayson、村山綾音、袴田裕二、信実節子、鷲北恭太 (2022/11/6 放映)

<あらすじ:公式サイトより引用>
春に大阪から越してきた、葉櫻学院一年・深津。東京での生活に慣れず寂しさを感じていた中、彼の部屋にプッチ―モンがやってくる。深津によく懐き、手助けをしてくれるプッチ―モン。お陰で深津は寮の生徒たちとも徐々に馴染めるようになり、その様子を見た宙と清司郎は、人間とデジモンが上手く暮らしていることを微笑ましく感じていた。しかし一点、プッチ―モンにはおかしな行動があった。深津との仲が深まるごとにそれはエスカレートしてゆき、やや不審に思う宙。やがてプッチ―モンは進化して、とんでもない行動に出始める。

●全体を見て:録画のタイトルには「『オカエシ』お助けプッチ―モンの恩返し」と追加されている。
いよいよの50話なのだが、特に区切りの回という訳でもないし、準レギュラー(とまで言えるのか?)が主役でメインキャラが主役を張らないという回。
おかしなもうけ話的なものにまたも軽率に乗ってしまう理久。ゲストデジモンはかわいい見た目で人懐っこいというプッチ―モンだが、一方的に理久に目を付け、絆もろくに育まれないのになぜか進化、更に一方的に「同じお返し」を理久に求めるというこの個体には悪意を感じる。tri.でメイク―モンは最後まで冷遇されていたが、またなのかという感じ。スタッフさん、メイク―モンに何か恨みでも?
キャラの薄い理久の再登場でも驚きなのに、準レギュラーキャラにもパートナーデジモンができるかもと期待させておいて、肩すかしの終幕。一体何だったのかと疑問を覚える展開だった。サブタイトルの「お助け」はわかるが「恩返し」の意味はよくわからなかった。
上田氏はこれが東映アニメで最後の作品だったと、やさしく接してくれてと謝意をツイッターで述べておられた。東映動画に1984年に入り、ドラゴンボール、DBZ、ワンピ、ガッシュなどで長きにわたり演出などされた方。お返しされなかった分を数えるプッチ―モンのアップは不気味。

●宙:メイクラックモンへの進化を見ても驚かず、かと言って、進化に戸惑う理久に何の助言もできず。この進化おかしいとか思わないのかな。そういやリュウダモンの進化も唐突であった。これがゴスゲにおける進化??
完全体二体で抑え込んだメイに、「深津と仲直りできる方法一緒に考えよう」と提案、宙らしい。
しかしメイの心はもうそこにあらず、理久に嫌いだもう一緒に暮らさない、人間とは二度と関わらない、お前なんて同じ人間と仲良くしてればいいんだ、と泣いて逆ギレし去ってしまう。これもまた一方的なお別れ宣告には疑問と落胆と涙、オカエシから解放されたものの後味の悪いであろう理久…。その人間と仲良くできてないんだという厳しい現状。フォローし続けた宙と寮長が、おそらくは最初の友人となるのだろう。

●ガンマモン~ウェズンガンマモン~カノ―ヴァイスモン:巨体のメイを初めて見ても驚かないのは意外。過去にDWにて面識はあるのか。
メイを追いかけるのに、なぜカウスでなく重量級のウェズンに進化したのか疑問です。

●瑠璃:テストは暗記派でなくヤマを張る派かな。

●アンゴラモン:ちょっと気まぐれだが人懐っこい、とプッチ―モンに少し触れただけで、ポエムの出番はありませんでした。

●清司郎:寮長として終始、理久を見守りました。もしフォローがなかったら危険だった。

●ジェリーモン~テスラジェリーモン~テティスモン:テスラジェリーが「レッツラゴー」言ってますけど、さすがに古くない?元ネタは赤塚不二夫氏の「レッツラゴン」というタイトルのマンガの中のセリフ。ギャル語にそんなのあるかな。
女神さま、メイに、頭を冷やせと。結果としては伝わらなかった。

●深津理久:上京して半年、44話でいかがわしい商売などしても、いまだ友人ができないのは悩み。強がって見せても、18:30、帰った友人が静岡あたりかと寂しく案じては、寮にも帰らず一人公園にいるのが実情。
そんな様子に付け入ったのがプッチ―モン。初めから自分の寂しさを埋めたいという下心があり、どこが「優しさ」なんだという。アンゴラモンが悪く言っていないから、一般的にはやさしいデジモンで、個体差があるのだろうが。
友人まがいの関係が始まり、理久なりに何とか共存を試みるも叶わず、デジモンのような機能はもちろんなく、「同じお返し」を求められ困る理久、一方気分がエスカレートするプッチ―モン。
理久の過ちの一つは、プッチ―モンの数えるお返ししなかった数をハイハイと甘く見過ごしていた事。もっと誠実にお返しについて考え、宙のようにルール作りなど実行していたら、もしかしてパートナーになれたのか。
声は既出の岡本寛志さん、奈良県出身。

●プッチ―モン:優しさのデジメンタルで進化した妖精型のアーマー体。図鑑によると、気まぐれな性格で、頭をなでられたり内緒話をするのが大好き。力は強くないが、相手を和ませる不思議な能力を持っているという。必殺技は相手の心を和ませて戦意喪失させる柔らかな光線「ハートナービーム」。
無邪気でかわいらしいが実はお助け(優しさ)に見返りをしつこく求めるという嫌な性格。今回はハートナービームにて、「怒ってる人がどう謝ってほしいか分かる機能」を発動、今回独自の能力で、理久をお助けした。しかしお菓子やハグではお返しにならず、同じという点に強いこだわりがあり、思う様に返してくれないと納得しないという迷惑者。そもそもデジモン界隈で孤独に陥っていたのはそのせいかも。
声は本渡楓(ほんどかえで)さん、アイムエンタープライズ所属、若手ながら数々のメインキャラを演じておられる方。

●「メイクラックモン:ヴィシャスモード」:タイプ不明の完全体。crackはひび、割れ目。viciousは①悪徳な、不道徳な②悪意のある、意地の悪い。図鑑によると、穏やかなメイクラックモンの心が悪に染まると、全身にひびが入ったような姿になる。世界の全ては自分に仇なす敵として、世界の破壊を望む。優れた脚力と感知能力、超常的な獣の勘を活かし、相手が絶命するまで執拗に追いつめるという。得意技は手足の鎧から延びる爪で切り裂く「カースドクロ―」、必殺技は体から毛針を飛ばして分身を生み出す「フェルトメイド」。
旧作のように絆の深まりや心の成長が理由で進化するのでなく、理久が大好きの一念で進化したのはデジモンシリーズの一作としていかがなものか。しかもなぜヴィシャスモードに暗黒進化したのかもよくわからん。
求める形で応えてはくれない理久に、理久を自分と同じ姿に変えようと暴走するメイ。たまらず逃げ出す理久。
完全体だけに、ウェズンとテスラだけでは劣勢。完全体二体でようやく抑え込んだが、無邪気なだけに「好きならお返しするでしょう?」と理屈は単純。
宙たちに止められ、人間とデジモンは同じでない・けれどわかり合えると聞かされるも、何が「分かった」のか、理久に絶縁宣告し失踪してしまうという取りつく島のない極端な終わり方。人間とデジモンの共存は無理というメッセージ、ゴスゲにおいてそれいいの?人間嫌いのデジモンを一体増やして終わったぞ、オイ。脚本の意図が分からん。

●(深津の)友人:東京観光を終え17:40、友人の帰る先が新大阪という事は、関西弁の理久君、大阪出身だったんですね。地元に友人がいるなら、コミュ障とかで友人ができないわけではなく、東京生活に慣れてないだけのよう。東京に生まれ育った自分はなぜか大阪弁が生理的に苦手。そんな輩も居る雑多な東京、そりゃ地方出身者は馴染めないのでしょう。私なんぞはその心境を測りかねる。
声は木村圭吾さん、草野太一さん。木村さんは青二プロジュニア枠、兵庫県出身、同姓同名のベテラン俳優さんがいます。草野さんは青二プロ所属、大阪府出身。

●寮生:セリフのある寮生は3人以上だったけど、クレジットは2人。声は既出の小野元春さん、橘内良平さん。

●おばさん:声は姫野春菜さん、渋い演技だけど青二プロジュニア枠の方。

●次回予告:「古くから受け継がれてきた大切なもの」「怒った怨念が地の果てまで」と首ナシがどう関係するのか全くわかりません。首のない鎧はデジモン?

(2022/11/7 記)





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