デジモンアドベンチャー第49話感想

デジモンアドベンチャー第49話「さらばヌメモン」感想

脚本:浦沢義雄 演出:今村隆寛 作画監督:清山滋崇 美術:清水哲弘

新たなエリアに入る時、体調を崩したヒカリ。薬を求めて策を講じる光子郎と太一。しかし、第三の刺客・ムゲンドラモンの攻撃は最悪の方向へと…

タイトルコールはアグモン。シルエットはヌメモンと、目が赤く光るワルもんざえモン。確かにこのタイトル、ヒカリでもヌメモンでもないからアグモンにお鉢が回った?

●ヒカリ:前回も書いたが、天性の特別な才能を持ち合わせた者は、神に愛されすぎた存在ゆえに、高熱や瀕死といった病弱であったり夭折することがしばしば見受けられる(もちろん天才でも健康・長命の者もいるが)。ヒカリも、その類ではないかと思う。安定様が憑依したり、デジモンの痛みや感情をテレパシーのように感じたり、その存在自体を感知したり。今回はヒーラーの素質も見せた。太古の昔に、祈祷師が宗教も医療も担っていたことからも、そんな能力をもヒカリは持ち合わせたのでは。
お笑い要素の多い浦沢脚本だが、しつこいほどヒカリが卒倒を繰り返し、光りまくっていた。弱かったり傷ついたデジモンへの深いシンパシー、そして自分が守りたいもののためには強者にも毅然とした態度で臨む芯の強さをたくさん見せてくれた。自身の危険をものともしない凛としたヒカリの強さはとても美しい。弱き者への無私のやさしさと、とてつもない意志の強さのギャップもいい。
ヌメモンの墓を作りたい、と。悲しい死を受け入れるためのグリーフワークの一つ。

●太一:崩落するとき風邪薬を持っていたから、落ちる途中でなくしたと考えられ、それをピヨモンが拾ったから、そう遠く離れてはいないはず。結局内服するシーンはついに見られなかったけど。ヒカリとはぐれ、冷静さを失っている時に、一緒にいたのが他の子でなく光子郎でよかった。皆疲れていると冷静に指摘され、胸ぐらをつかんでしまうが、その直後のつけられてるとの耳打ちはもうかっこいいったらない!テンパってても、敵?の気配の察知に関しては極めて冷静。ケンカのふりして避難。ここ非常にラブラブで萌えるので、自分かなり太光入ってますな。「俺の責任だ。戦ってくる」素直に反省し責任を取ろうとする性根の良さに感服する。しかし光子郎はすかさず皆で協力してと言う。アグモンとテントモンもフォロー。仲間は心強い。
ウォーグレイモンがムゲンドラモンをついに倒した。都市エリアが消えていくスパイラルマウンテンはある種壮観。さあ、いよいよ次はピエモン!

●光子郎;ヒカリありきでテンパっている太一に、「指図なんかしてないじゃないか」思わずタメ口になるのは胸がすく。ヒカリへの思いあってのテンパりを理解した上での冷静な提言は太一への信頼感があってこそ。太一のシスコンに対して一番のよき理解者。

●コロモン~ウォーグレイモン:疲れてて進化できず「グレイモン!」と連呼するのが悲しくも可笑しい。仲間との絆、それが経験値の高い究極体への勝利のポイントにして、ムゲンドラモンに「足りなかったこと」。

●パタモン:面識ないはずだがなぜ知っていたのか、もんざえモンではなくワルもんざえモンだと指摘。いつもなら物知りのテントモンの役割ではある。ワルもんざえモンに追いかけられ、速く飛べてるシーンはピヨモンとともに笑える「現実逃避」、笑。流れているのは、ユーモラスな「僕たち、デジモン!」。何気にエンジェモンがエンジェウーモンの肩を抱くシーンがあり、タケヒカ派が歓喜。

●ワルもんざえモン:ナレーションの時の表記は「ワルモンザエモン」だが、公式では左記である。パペット型の完全体。もんざえモンの色が黒いだけではなく、凶悪な顔である。メタルエテモンとは仲が良く、ぬいぐるみを贈ったのは彼である。もんざえモンと同じく正体は不明だが、妖しく光る目がのぞいているのが不気味。意地悪で陰険。必殺技は全てのものをダークな気分にさせ戦意喪失させる紫のハートマークを飛ばす「ハートブレイクアタック」。CVは高橋広樹さん。作業場のデジ文字は「クリーンエネルギー」。
部下のヌメモンたちには高飛車で冷徹、親分には平身低頭で泣き言をいうクソ野郎。しかし、抹殺されるとき腕が一部残って、それまで消えていく描写は哀れを誘う。上司に恵まれなかった。けど、モニター越しの会話だったのにムゲンドラモンはどうやって部屋を爆破した?

●ムゲンドラモン:ワルもんざえモンの報告が遅れたことをとがめただけでなく、もう不要と部下を抹殺してしまう冷酷さ。子どもたちへのとどめは自分で刺さないと気が済まなかったのか、奈落の暗闇・地下へと現れた。アンドロモン、バードラモン、エンジェモン、エンジェウーモンの攻撃もむなしく敗れ、もうだめかと思いきや。そこですっと前へ出たヒカリ。それを守ろうとして非力なヌメモンたちがまとわりつき、敗れる。合掌。ここでの劇伴(2曲)は、何度も本編で使用されている名曲だが曲名は不明。ヒカリのヌメモンへの思い入れと死を悼む心が、アグモンに不思議な力を与え、究極体へとワープ進化!

●ヌメモン:ナメクジのような軟体型の成熟期。暗くじめじめした環境を好み、ウンチを投げる以外攻撃力も知性もない。ヒカリによって死の強制労働から解放されただけでなく体力も癒されて。ヒカリをまるで女神のようにあがめていた。だからヒカリのためなら命は惜しくなかったのだろう。非力な汚物系の純粋さが光って、泣ける。

●アンドロモン:CVの梁田清之さんは、繰り返すが、2022年11月14日、57歳で急逝された。遺族の意向で死因は未公表だが、がんで闘病中だったらしい。知性と良心を持ち、選ばれし子どもと接点を持たずひとり地下でレジスタンス活動をしていたというから、レオモンやピッコロモンのように選ばれし子どもの伝説は知らなかったと思われる。それで敵と勘違い。終盤に来て、また心強い味方が増えてうれしい。さすがマシーン型デジモン、天井に腕でアクセスし情報収集するのがかっこいい。しかしこれもメタルエンパイア軍団には筒抜けだった可能性が。ちょっと気になるのは、都市エリアが消えていくとき、飛べない彼だけどこにいたのだろう?

●地下迷宮:ヒカリが寝込んでいた場所の壁には「東大泉二丁目」の標識と、壁に「TOEII]の落書きが。空は「世界中の街の地下」と呼んだ。

次回予告:いよいよピエモン率いるナイトメアソルジャーズのエリアへ着いた太一たち。レディデビモンに迎えられ、エンジェウーモンとレディデビモンの女同士の華麗な戦いが始まった…

2025.7,26、 記

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