デジモンゴーストゲーム第67話「スベテヲ喰ラウモノ」感想]
脚本:十川誠志 絵コンテ:高戸谷一歩、福岡大生、三塚雅人、中村明博 演出:難波涼 総作画監督:- 作画監督:浅沼昭弘、仲條久美 (2023/3/26 放映)
<あらすじ~公式サイトより引用>
レグルスモンの狡猾な罠にはまったシリウスモンは、敵の攻撃で胸に穴を開けられ、死に向かっているように見える。その時、宙に謎の声が呼びかけ、「お主の命の保障はできないが、シリウスモンを救う方法がある」と言い、宙はその提案に乗る。
シリウスモン=ガンマモンの心の中に入った宙は、偽ガンマモンの妨害やガンマモンの心の世界を食い荒らしているレグルスモンたちにも負けず、死に向かっている本物のガンマモンを助け出す。するとガンマモンは元に戻り、シリウスモンが復活、激しいバトルの末レグルスモンをKO、彼はグルスに戻り、さらにガンマモンの中に戻って遂に降参する。だが、その先で宙たちを待っていたのは、途方もない結末だった……!
●全体を見て:録画のタイトルには「-」と追加されている。
相変わらず忙しいので散漫な文章ですみません。でも改良できそうにないのでアップしちゃいます。
おお、OPのグルスの次にレグルスモンが追加されました。あと前半後半ともアイキャッチはなく最終シーンに移動。ゴーストナビゲーターのナレーションも終盤にあり、最後のホラー作品アピールをして。調査ファイルはありませんでした。という最終話ならではの構成。ゴーストナビゲーターがラスボスかなんて予想もネットにはありましたっけね。
最終話は従来、最終戦後の後日談と相場が決まっていたのですが、ずいぶんな情報量です。サブタイトルは、グルスの生まれた星を食いつくし行き場を失わせた、2000年後に来るという「全てに終焉をもたらす者」。これではなく、後半の新しい国造りがサブタイではだめなのかなあ。ストーリーの柱はレグルスモンへの遂なる勝利と、クオンタモンの尽力も含めた、子どもたちによる共存可能な新たな国の造設。
ラストバトル、ガンマモン系とグルス系の演技が同じ声優さんというのには本当に今更ながら驚きます。浦和めぐみさんの伊織とアルマジモンも素晴らしかったですけど。声優さんてすごい。
ファンサービスなんでしょうか、復活したシリウスモンはガンマ、べテル、カウス、ウェズン、カノ―ヴァイス、シリウスと姿を変え大売出しです。両腕のブレードが破壊されても、遂に例の隠し球のプラネイトナックルを発動!レグルスをグルスへ退化へと追い込みます。メインヒーローなんだから、そうこなくっちゃ。アンフィモンやディルビットモンに手を出させずに、結局は進化系の上下というより気合い、精神論での勝利なんでしょうか。
インナースペースにて、負けを認めるグルスガンマモンはガンマモンに複数の「約束」を結ばせる(訓示してくれた宙にならってのこと、成長したなあ)。グルスを食って内部に宿す、倒して消滅させないのは、本作ならではの結末。
2つの世界の、破綻でない道。「しかし その道はとても薄く もろい可能性じゃぞ。それでも望むのか?」。一同の答えはイエス。クオンタモンの心変わりで、ゲートから戻っていく難民デジモンと、治る電子機器。BGMが盛り上げる。その変化に北斗は、宙たちの活躍と成果を感じ取る。で、またDWに戻るって、結局何がしたいの?
デジモンゴーストゲームの理想の世界とは、旧シリーズとは少し違い(共存という点では02最終話と同じだが)、人間とデジモンが共存する「別次元の新たな国」。ゴスゲの人類救済譚は、そう来たか。今ある日常の大切さ、異種族とどうすればわかり合い共存できるのかを問い続けたゴスゲ。戦って逃した敵もいたけど、一応は共存のハッピーエンドなのかな。
個人的にゴスゲロスにはなりませんでした。常に一歩引いて見ていた感じ。菊池正美さんへの入れ込み以外に入れ込むキャラは特段なかったし、グルスのエグさは好きだったけど、全体として「デジモンシリーズにこういう作風もあるんだ、ふ~ん」ぐらいの位置付けで、初期4部作の感動ほどのものは残念ながら感じていません。ホラーがそもそも苦手というのは仕方ないとして。ゴスゲグッズ欲しいと思わないし(萌えを感じない)、でも自分の録画じゃ頼りないので円盤は出してほしいな。キャラの魅力がもっと開花するように、キャラソンCDも欲しかった。
一話完結の怪奇モノ路線を貫いたせいで、子どもキャラの掘り下げはあまりなく、終盤の展開はバタバタ。でも、ネットでゴスゲの高評価(異種族への理解と共存、誰も傷つけない作風)を見ると、そのような受け止められ方をして終わったのはいちデジモンファンとしては素直にうれしいという面もあります。私個人がその良さに気付いてハマれなかったというだけのこと。デジモンコンテンツを充実させてくれた一作でしょう。
福岡大生さんがツイッターにて「ガンマモン復活からAパートラストまでのバトル全般のコンテを精魂込めて描かせていただきました」…とてもパワフルでした。
あと、リンク先のブログ・Fishbowlに記載あり知ったのですが、十川誠志さんがシリーズ構成の仕事をこれを機に辞められるそうで、驚いています。各話のライターは続けられるそうなんですが。残念です。もしゴスゲに劇場版などあるなら、参加してほしいな。
日曜朝9時フジ枠は乗り換えられてしまったけど、東映アニメさんとデジモンなるコンテンツには相変わらず期待をしています。「東映アニメにもうデジモンを関わらせるな」という厳しい評があるのは承知しています。けども東映アニメの内情なんて私知らんし。オリジナルの、あくまでキッズ向け(←ここ大事)のアニメ作品の展開を、年増ないちファンは永遠に待ちます。
新プロジェクト「デジモンシーカ―ズ」については自分まだよくわかっていません。機械音痴なので、ウェブ上の小説とはまるでなじみがありません、バイタルブレスも使えなかったし、とても不安。キッズ向けでもないようだし、う~ん嘆息。
その前に、劇場版02新作が公開なんですが、旧作ファンのオトナのお財布を狙った作品でないことをただ願っています。本音を言うと旧作をネタにもういじってほしくない。tri.以降の続編的作品群を観てそう思います。どうか良い作品でありますように。
●宙:異種族(デジモン)に対して対話から解決していこうとしてきた宙。わずかな可能性にも、自信もって前向き。大好きな弟が一緒にいるから。「人間とデジモンの新国家は クオンタモンが用意したまだ誰も すんでない別次元のデジタルワールドに建国されます」。もうすっかり建国の立役者。
●ガンマモン:大事な存在たちが消え、自分の姿も消えかけ、宙に関する記憶もあいまいに。
グルスは宇宙から来たってことは、そもそもはガンマモンの体ってこと?しまいにはガンマモンの姿で黒い目になってグルスが喋るし、意識と体がどうなってるのかもうよくわからん。
●グルスガンマモン~レグルスモン:「薬 あいつ 作った!」黒化を修復する薬、テティスモンでもあるまいにそんなの作れたんですね。
ガンマモンの中で約束させられたグルスは言う「来るぜ。「全てに終焉をもたらす者」だよ」。もともとは宇宙の別の星から来たというグルス。「俺の使命は終わってねえ。俺は奴を食いつくす!」そのための軍団結成。来るのは「人間の時間でだいたい2000年後だ」しかしそれはデジモンの時間感覚であり、すぐそこまで来ているという。結局それ、どうなったのかよくわからなかった。人間の感覚の2000年後でいいんだよね?
むやみに強いグルスガンマモン、レグルスモンが、シリウスモンの隠し球で案外あっさり負けてしまったのは意外。あれだけ究極体にも勝る尋常でない強さを強調しておいていきなり何?って感じ。期待された究極体は、出ませんでした。
●瑠璃:アンゴラモンが隣にいる、それが平和な日常。
新しい国のテーマソングをピアノで作曲。ぴったりくるの出来たかな。アオイ・ミカがいるのに普通にアンゴラモンもいるという、説明はないが新しい局面。
●アンゴラモン:「感情もぴったりも 理屈にあらず気持ちなり 調べるよりうむがやすしってね」元ネタは「案ずるより生むが易し」。感情は分析しなくとも、一緒に過ごして感じてみればわかる。
●清司郎:クオンタモンの解析能力が量子コンピュータをもしのぐことに驚き。ではあるが予測不能な未来に賭け「2つの世界が寄り添い共に生きる道 破綻以外に必ずあるはず」と。
●北斗:ガンマモンについてギンリュウモンに問われて。「なぜか みんなに怖がられててな。仲間外れにされてとんがりまくりでな。宙に任せて正解だったよ」。自分の息子を異世界の嫌われ者の矯正に使うとは、親としての倫理観を疑います。そんなん自力でせえよ。
結局はキーパーソンと見せかけて、大したことせず終わった存在。
●コタロウ:国造りの協力を頼まれ「「なんでも自分でやった方が早い」じゃなかったのかよ」と、独りで完結しがちな宙の事ちゃんとわかってる。デジモンにも色目を使うとは呆れる。ついでながら、残念にも新島さんは出ませんでした。
●アオイ、ミカ:瑠璃宅にて新しい国のポスター作りで登場。主導権はやはり活発なアオイが握っているよう。「新国家 国民 大募集!」。そこから手作りかい。
●エスピモン:「アオイ やるじゃん」パートナーではないものの、アオイに一目置いていることがわかるセリフ。
●クロックモン:「全員助け出すんだ!」デジモン難民相手に奮闘は続く。良いキャラとしていい塩梅に定着しました。最後には小さなデジモン相手に教鞭をとる姿が。
●マミーモン:上に同じ。人間の医局の一員としてだけでなく、デジモンを診られる医師として今後も重宝されるでしょう。
●バクモン:清司郎に「アフリカの会議に遅刻するっす!」と一言セリフあり。遠いアフリカにすら出張するんですね、お疲れ様。出てきてくれてよかった。
●ギンリュウモン:いやもう最後に出ていただき、ありがとうございます!それしかないです菊池さん!
●エアドラモン:清司郎のケニア出張の足。セリフは一言でもったいないのであるが、最終話に出てくれてよかった。
●ブルムロードモン:黒化が解かれるのを目の当たりにしガンマモンの中の黒き者について理解を示し、主に会わせてくれた。後半は出番なし。
●クオンタモン:謎の声の主にして、レベルも属性も必殺技も不明。外見がアマテラスもしくは月読尊のような姿。白く長い衣に金の仮面に青い顔というエキセントリックなカラーの見た目。今作が初登場、というより事実上ゴスゲのアニメオリジナルキャラという。一人称は「われ」、キャラ語尾は「じゃ」。
「デジヴァイスがわれとつながっておるからのう」宙たちをずっと見ていたと。DWの黒い侵食からデジモンたちを守るという意図で、デジモンを人間界に送り込んでいたその者。「人間の世界とデジタルワールドはつながっておる。表裏一体というやつじゃ」だからって、人間界の秩序が何も分からぬ大量のデジモンを送れば、難民としてトラブルのもとになる。そんなこともわからない長とはこれいかに。
字幕の「ビープ音」とは、パソコンなど電子機器の不調の時鳴る音。
何兆回とシュミレートしたが「2つの世界の破綻」という結論に。それは「デジモンとは違う非論理的な人間の感情が 土壇場であり得ない選択を繰り返し 破綻じゃ」との説。「われは感情はデータとして理解できてもその実感までは分からぬ」。そこで送り込んだデジモンを使って感情なるもののデータを集めることに。北斗と作ったデジヴァイスも目的はデータ収集。「データを蓄積したデジモンたちはブラックテイルモンが回収。われがそのデータを解析じゃ」。ある意味目的のために手段を選ばぬその身勝手さに子どもたちは憤慨。デジモンたちをゲームの駒扱いなんて(それでデジモンゴースト「ゲーム」とのタイトル?)そう、クオンタモンにはデジモンの長たる存在として決定的に欠けているものがあった。上から降りてきてクオンタモンは言う「かもしれぬ。じゃが必要なことなんじゃ」と、反省などなく何と笑い飛ばした。やっぱり長として大事なものが欠けてるキャラだよ。
監視していた様子の黒デジモン(アグモン、グラウモン、ガルゴモン)は、実は「偶然にも黒い侵食GRBに耐性を持つグルスガンマモンの監視役じゃ」。伏線を何とか一つ回収。とは言え、出てきて引っ張った意味はあまりなかったよう。
まだ感情の解析は済んでおらず「呼び戻すのじゃ」「今2つの世界の出会いは悲劇を生む。分けねばならぬ」。「2つの世界の橋渡しとして おぬしら全員がリーダーとなり デジモンと人間が共に手を取り合い暮らす新しい国を造るのじゃ。イヒヒ」。偉いデジモンなんだから、やたら軽く笑い飛ばす癖やめてくれません?ブルムロードモンが信望するだけの威厳がほしい。
せっかくの人気者・早見沙織さんの声なのに、キャラがどうこうよりもやたら早口なのは気になりました。ここでも情報量が多すぎです。
●人々:声は既出のボルケーノ太田さん、中村光樹さん、川口桜さん、角倉英里子さん、橘内良平さん、水希凛さん。
●宙の調査ファイル:どちらかと言えば、終始「清司郎のビビりファイル」でした。
(2023/4/8 記)