DIGIMON BEATBREAK 第3話感想

DIGIMON BEATBREAK 第3話「合わせ鏡」感想

脚本:會川昇 演出:三木琴絵 作画監督:西村あずさ・川村敦子 総作画監督:浅沼昭弘 作画監督補佐:中野彰子 美術:神綾香

OPのサブタイトルはその話数の内容というより、シリーズ当初の数回はシリーズのキーワードを当てた感がある。ナレーションが挿入されるがタイトルにタイトルコールの声はない。白地に黒文字と、視覚的にもシンプル。EDでまずびっくりしたのは脚本が「會川昇(あいかわしょう)」さん。調べて、ハガレンや特撮などの脚本を書かれている方と知りました。私の世代で「あいかわしょう」と言えばヤンキー俳優の「哀川翔」さんですから。で、本名は「あいかわのぼる」とお読みするそうです。アイキャッチは第1話と同じであった。第2話とこの2パターンで回していくのかな。


●トモロウ:ワイヤレスイヤホンではない上に、カセットテープで音楽を聴くというレトロ好きが確定。カセットテープなんて、超デジタル音痴でアナログ派の令和の我が家でも、デジのクラファンのテープ以外置いてないよ。サポタマを信用しないことからもアナログなソフトをあえて選んでいるのだろう。寝ながらだからドラムスティックではなく右手でビートを刻んでいる。

釣りの際、ゲッコーモンのせっかくの助言を無視。「俺はサポタマもAIも信用してない」と断言。その理由は幼少期からのサポタマへの特異体質のトラウマがあった。子どもらが制服だから保育園でなく幼稚園であろう(ということは母親が専業主婦か短時間パート)、ブロッコリーを残して(嫌いな食材をブロッコリーという設定にしたのは何か理由があるのか?)サポタマと言い合いになりバグらせてしまった上にバグが他のサポタマにも伝染し大騒ぎに。その戸惑いと恐怖心。ところで幼稚園児が髪をメッシュって、おい。これは今現在でも「親の趣味を子どもに押し付ける虐待では」という議論のあるところだぞ。あの活発そうな母親がそうさせたのか?

もう一つの回想シーン。音楽の授業?習い事?にて。サポタマの助言を無視して自分なりに弾きこなしたら面白くて、なのにサポタマはバグって例によって他にも伝染し大騒ぎ。両親が教師に呼び出され、サポタマに異常はない、つまりはトモロウ側の異常を示唆される。クラスメートたちに陰口をたたかれて。自分らしくありたいだけなのに。それでサポタマもAIも信用しないことにしたのだった。皆と逆を行くトモロウのシルエット、孤独と疎外感。そりゃあ斜に構えるわな。両親はどうフォローしたのだろう?

キョウが情報屋に行くと言うと、うれしくてご飯を掻き込む、元気になってよかった。食べることは生きること。しかし、情報屋のハイエモンの情報は交錯しており、クリーナーなんかやめる、ヒトミのe-パルスを取り戻そうとトモロウは一人出ていく。

兄ばかりか、無関係のヒトミも巻き込んで侮辱した外道を許せないトモロウは「放っておけばまた誰かのe-パルスを狙うに決まってる」からと、ゲッコーモンにデリートを強要。恐怖する無力化されたプニモン、さすがに拒否するゲッコーモンと、止めようとするレーナ達。怒りに任せて「やれって言ってんだろ!」その憎悪の鼓動によってゲッコーモンが「暗黒進化」。赤い瞳になり狂暴化。ムラサメモンに手痛くやられ、その間の記憶はない。「悪いデジモンを消す、それがクリーナーの仕事だろ!」キョウに怒りをぶつけるトモロウ。

翌朝、ヒトミの復活を陰ながら見届けて、兄への確信を胸に二人帰る道すがら。トモロウは昨日は「やりすぎた」と謝罪する「悪かった、ゲッコーモン…」初めて名前を呼ばれ頬を染めて喜び、抱きつこうとするゲッコーモン「オレっち、大切なひとだってな!」、照れ隠しするトモロウ「そこまで言ってねぇよ!」。なんてかわいくもほほえましいラストシーン。朝日は輝いて。帰る場所はそう、グローイングドーンのアジト。そこが二人の居場所となって。

●ゲッコーモン:夜中に冷蔵庫を漁り、チームの一週間分の食料をいっそ爽快なほど食べ散らかす。異様な食欲。

「トモロウ、オレっちも信用しないってか?」トモロウの分身なはずなのに切ない問い。トモロウのリアクションは無言。

ゲッコーモンは嗅覚が鋭いようで、ガソリン臭を「臭ぇ車」と評している。ヒトミのサポタマも、トモロウの匂いが手がかりとなった。トカゲは嗅覚を駆使して環境を認識し、獲物や捕食者を感知する能力に優れている。

ハイエモンピアスと戦う理由は「トモロウのe-パルスはオレっちのもんだってな!」。ミラーワールドへ引き込まれてしまう。

●レーナ:レーナの杏仁豆腐もゲッコーモンに食われ、サポ主たるトモロウに詰め寄る。キョウやマコトが盗み食いするとは思えないのに書き込みが「食べたらコロス!!」とは穏やかでない。食べ物の恨みは何とやら。特にお楽しみのスイーツは。調理は当番制か、自分の当番の日に朝食抜きなんてあり得ない、と意気込んで釣りを。「働かざる者食うべからず」ごもっとも。

ハイエモンを追ってミラーワールドへ。ウルヴァモンの「キャスターロケット」で助太刀するも「勘違いしないで(中略)あんたを助けに来たわけじゃない」と意地張って、マコトは苦笑。

●プリスティモン:彼女の助言で見事アジが釣れた。そんなことまで助言可能とは、守備範囲が広い。ウミヘビを攻撃したおかげで、メインディッシュのアジが穴だらけ笑。アジの焼き目に、添えられた大根おろしとしょうゆと大葉、レタスとミニトマトと茶色いドレッシング、白飯という細やかな描写。料理作監の仕事が冴える。レーナの強気な言動を理解していた「本当は行きたいんでしょう?」。ウルヴァモンが「ファングモンは大切なひとの姿に化けることがあるわ、油断しないで」と警告。つまりはトモロウの大切な存在ってゲッコーモンてこと!「大切なひと?」驚き戸惑うトモロウ。大切という自覚がまだないのか。

●マコト:「一週間分の食料」「賞金を稼がないと今月ピンチ」と言っているから、チームの食料や貯金の残高を把握し管理しているのは彼だろう。それにしても家庭菜園に釣りでの食糧確保、クリーナーの懐事情は余裕がなさそうで、その辺はシビア。

●キロプモン:「ハイエモン、e-パルスため込むこと多い」。片言っぽいのが舌足らずでかわいい。そうか、久野美咲さんの、この響きが幼女役のプロとして有名なのか。ハイエナは強力な顎と消化器を持ち、他の動物が食べない腐肉や骨も食う。飢えをしのぐ時に食うため骨を非常食にする習性があるという、マコトは博学な子。ミラーワールドについても「ネット内に存在する仮想空間」「デジモンは亀裂を通って現実行き来することができる」と解説。

「キュリアスアイズ」でファングモンの姿をとらえ、体内にサポタマが2個あるのを視認。それでマコトは一つはヒトミのサポタマと確認できた、ナイスプレー。推測通りヒトミのサポタマは消化されず残っていた。それなら取り戻せばヒトミを凍結状態から戻せる!

●キョウ:ボートはキョウあるいはチームの自前と思われる。街は荒れており、公共交通機関は無いのだろうか?ハイエモンの情報が交錯している際も冷静。ピアス狩りに消極的だったのは、賞金額の低さではなく実は理由があった。それをトモロウは知らされなかった。

トモロウに伝える決意をしたキョウ「グローイングドーンはデジモンをデリートしない。それが俺たちの唯一の掟だ」。科学者たちにバグとかエラーと呼ばれるデジモン。「バグ」という言葉に自身のトラウマを想起するトモロウ。トモロウに対峙するグローイングドーンのメンバー、深い問いかけ「バグだから消し去ればいいのか、トモロウ」。そう、それはたとえバグと呼ばれても、かけがえのないひとつの「生命」なのだった。すなわちトモロウもゲッコーモンもバグではなくかけがえない存在なのであった。BGMは静かなピアノ。キョウの言葉にトモロウは…自分とゲッコーモンの存在を肯定できたのではないか。

それが「唯一の掟」ならば、他のことはルールもアバウトで自由なのだろうか?

●ムラサメモン:殺されかけたプニモンのところに割って入り、ゲッコーモンの殺人を止めた。またもやカッコいい登場。クーガモンと対照的。

●ハイエモンピアス:よほど旨そうな匂いなのか極上と評し、トモロウのe-パルスをいまだ狙っていた。暮れかかる夕暮れ。ゲッコーモンをミラーワールドへ誘い込み、成熟期・ファングモンに進化する。ファングモンは森の奥に住み、迷い込んだものを餌食にするオオカミのような姿の魔獣型。アドコロ、ゴスゲにも登場したが、まともに言葉をしゃべる個体はこれが初めて。自分に有利な森のフィールドでゲッコーモンに化けトモロウに近づこうとするも、それはトモロウの罠。大口をドラムスティックで塞がれ、e-パルスを食らってパワーアップしたゲッコーモンの舌でヒトミのサポタマは奪還される。「ケケケ、トモロウのビートがあふれるってな!」バトルの疾走感と目まぐるしさ。よくやった!それで激怒しスティックは砕かれ(大事なので後日、買うんでしょうね)、技を放つもかわされる。そしてゲッコーモンの「ブレイクスロー」を受け敗北、幼年期のプニモンへ退化する。キョウに捕獲され、その後どうなったかは不明。

●轡田(くつわだ)マキ:初めて見るなんじゃこの難しい漢字は!使う意味あんのか!OPに出ていた伽藍堂の情報屋のお姉さんで元クリーナー。キョウによると、凄腕。大きなイヤリングとアームリングのクールでおしゃれな美女。お酒の並ぶバーの体で営業しているが、賞金首のデジモンを可視化する特別な個室がある。ハイエモンピアスはヒトミを凍結させたはずなのに賞金は低額、獲物としての価値ない、とレーナ。おかしい。しかし間もなくして河原崎からピアスの賞金額のアップが知らされて。

CVは園崎未恵さん。フリーランスの声優にして、女優、歌手。声種はアルト・ソプラノ。アドコロのテイルモンと太一の母でおなじみ。

●吉村:赤いハート形のふざけた眼鏡をした半パンでオールバックの若作りの謎の老人。キョウは「ヨッシー」と、レーナは「ヨシムラ」と呼称。レーナに対し「ボーイフレンド」云々とセクハラ発言。羽振りがいいのか派手な黄色の外国車に乗っている(ナンバーは44・6・03、特に意味はないか。)グローイングドーンのことはよく知っているようで、「賞金にしか興味ない」と落胆し軽蔑するトモロウに「グローイングドーンはちょっと違うがな」と応対。「信じてやんな。お前と、お前のデジモンをな」と、知った風で、何をどこまで知っているのか。しかしトモロウがすぐに納得するではなく困惑した表情。

CVは多田野曜平さん。テアトルエコー所属、声優にして俳優。ご本人曰く「チビ、ハゲ、小動物、エイリアン」の役が多いとのこと。声質が劇団の先輩の山田康雄さんと似ており、山田さんの代役・後任を任されたという。

●河原埼:情報屋と通じている、国民保護省のお役人?リモートで通信し、問いかければ即答してくれる。賞金首のデジモンの情報を所有。余計なことは一切話さない。ヒトミに加害したのをハイエモンピアスではなくスカーと誤認していた。「天馬アスカ」、「猿のデジモン(一部のファンが、クロウォに出ていた究極体・ゴクウモンとのネタバレを)」、そんな報告はない、と。キョウが「何か隠したいことでも?」とツッコむが、話を一方的に切り上げてしまう、怪しい。しかしピアスがキノコ団を襲ったことで賞金が上がりすぐさま情報を修正。情報は常に更新され続けているが、時差はあるようでもどかしい。

CVは内田夕夜さん。東京俳優生活協同組合所属、声優にして舞台俳優、声種はバリトン。海外ドラマ・洋画の吹き替えが中心で、2008年頃からアニメへの出演が増えたという。

●キノコ団:ゲッコーモンがトモロウのe-パルスのヤバい匂いを嗅ぎつけて行くと、シイタケがハイエモン相手にシャンブルモンを亡くして嘆いていた。そのハイエモンはピアスであった。匂いからしてトモロウのe-パルスが充電されたヒトミのサポタマを持っている。昨夜のこの被害により、ピアスの賞金額が跳ね上がった。いつも弱いデジモンばかり狙っていたから、言わば自業自得。

●生徒:CVは小橋美憂(こばしみゆう)さん・円(まどか)くるみさん、お二人とも青ニプロのジュニア枠の方。

●教師:CVは八木沼凌さん、青ニプロ所属、ゴスゲの複数の脇役で出られていた方。

●看護師:CVは3話と同じく石田碧さん。

●医師:CVは藤井豪(ごう)さん、青ニプロのジュニア枠の方。お二人ともお若いのに責任ある医師・看護師の役を全うされたと思う。

 

次回予告:道路を走るゲッコーモン、技を放つキロプモンとウルヴァモン、その技が当たったのはバイク?デジモン?天に手のひらをかざすトモロウ。第4話のサブタイトルは「ファミリー」。やっと「ゲッコーモン」と呼んだ上での、グローイングドーンとのファミリーっぷりやいかに。あるいは、天馬一家のことが描かれる?

2025,10、21.   記

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