DIGIMON BEATBREAK 第37話「優しい魔法」感想
脚本:赤星政尚 絵コンテ:伊藤聡伺(さとし) 演出:石田暢 総作画監督:金久保典江 作画監督:川村敦子、宇代祐規、小松こずえ、金城美保、北野幸広、Fish 原画作画監督:仲條久美 美術:神綾香 制作進行:吉野翔馬 演出助手:渡部未来 <2026.7.5. 放映>
公式のあらすじは「GIFTの拠点である神殿に突入するトモロウやローズたち。シャングリラエッグのシステムを掌握したミハルは、住民を人質に取り、王会長にデジモンの公表を迫る。トモロウの問いかけに対し、ミハルは姉チフユの願いを語り出すが……。」
伊藤氏はワンピの総監督、絵コンテ、演出、各話監督を務めたすごい方。今回、「原画作画監督」というクレジットがあるが、総作画監督とは違うのだろうか?
GIFT編の最終回。やはり、私にはいろいろ難しかった。一人のデジファンとして、作品を肯定的に受け止めようと基本はしているのだが。
「優しい魔法」とは何のことなのか。優しかったチフユが、おそらくは孤独なミハルのために備えて遺したであろう、金色のコードがもたらした奇跡的な事象とメッセージを指すのか。テロリスト・ミハルは思わぬきっかけで改心、反省し償いのため連行される。人とデジモンの共生という夢をトモロウたちが叶える未来に希望を託して。トモロウのモチベーションが、兄の回復というよりデジモンと人間の共生のほうに寄ってきている気がする。
ミハルは幼くして両親を失う。次いで姉も失う。他人との交流は、大人になりたてのチフユのみ。光子郎のようにコンピュータで友人を作り交流することはなく、不登校で友人との交流もなかった。その孤独は壮絶であった。ゆえにメフィスモンの言葉だけが依り代となり、過激な思想に疑問を抱かなくなった。岸和田との出会いやGIFT創設の詳しいいきさつは語られることがなく残念である。しかし、もし近くにいる大人が誰か寄り添ってくれていたら、テロリズムに染まることはなかったかもしれず非常に惜しい。また、孤独ゆえに特異なe-パルスを持つトモロウに入れ込んだと思われる。どうやってトモロウを見出したかは不明だが。
姉の死亡時刻にこだわっているように、姉を奪われた恨みと復讐心が、テロという形を取った。目的のためには苛烈な暴力を手段とし、無差別に周囲を巻き込む。テロリストとしてのミハルは、しごく冷徹で卑劣。超えてはならぬ一線を完全に超えた。この点私は同情の余地を感じない。GIFTEDというウイルスプログラムでシステムを掌握し、シャングリラエッグ光ヶ浜イーストの密閉性を利用し住民を人質に取り、王会長にデジモン公表を迫った。
チフユの本当の願いとは「(人とデジモンが)手を取り合って暮らせる未来」。それを願ったのもまた、ミハルの偽らざる純粋な気持ちではあった。わからないのは、ミハルを散々扇動していたメフィスモンが、チフユの願いではなくミハルの願いだ、と急にミハルを裏切るようなことを言い出したこと。トモロウに、お前の姉さんは本当にこんなこと望んでるのかと問われての答え。「これはチフユの願いなどではない」「私は君の願いをかなえてきただけだ」。衝撃を受けるミハル。それでミハルは姉に責任転嫁していると気づいたのだから結果オーライなのだが。ミハルが生んだ怒りと恨みの権化であるメフィスモンが、サポ主ではないミハルを導こうとした??温情で?暗黒進化体がそれを望む?それとも単純に事実を述べたまで?王会長が驚いた、背中の白い四角も何なのか不明のまま。
「憎しみのせいだ、俺もそうだった」とトモロウは言う。けど、テロリストの真意に寄り添うほどの理由としては弱いように思う。なぜトモロウはそこまでミハルに入れ込むのか、私は最後までわからなかった。GDがトモロウの意思を尊重してミハルを救う方向へ向いたのも「え、彼女を許せるの?」とずっと思っていた。宮元氏がテロ集団を噛ませた理由はインタビューからわかるのだけど。大事なのはミハルが超えてはならぬ一線を越えてしまったこと。「もう戻れない、戻れないよ」反省しても、罪は格段に重い。死んだり傷ついた被害者がたくさんおり、個人的に極刑がふさわしいと思う。でもビーブレが「やり直しの物語」だから、ミハルの更生の余地を残すのはわかる。そうであってほしいとも思う。メフィスモンの幼年期・モクモンを手放し、さて、極めてひどいと聞く国民保護省での処遇やいかに。というか、モクモンは罪に問われずニリンソウ行き?ところで河原崎、有無を言わさぬ逮捕ではなく、逮捕時によくもミハルにトモロウとの面会を許したものです。
●チフユ:存命説は否定された。
●メフィスモン:巨大化しただけで、ついぞ究極体にはならなかった。そりゃ、ピラミディモンが多数の犠牲でようやく究極体になったのだから作品的に妥当か。ミハルを中に取り込んだのに、総攻撃しちゃって大丈夫?退化と同時に、一筋の光が神殿の残骸へと落ちていく描写は何?
●岸和田:途中から姿が見えなくなった。今回大したことをしておらず、捕まったのかまだ何かあるのか思わせぶり。ミハルやGIFTとのいきさつは一切語られず残念。
●ローズ:五行星なのにこの人も途中で消えた。
●ブリリアントゾーン:パートナーデジモンは仲が悪いとはっきりした。GDに尾行されたり、いいとこなし。
●王会長:光ヶ浜イーストの「プロテクト」(「セキュリティ」ではないのね)を信頼しており、あるいはイースト一つぐらい飛んでも別にいいと思っているのか、ミハルの脅迫に全く動じず。デジモンはバグという信念は固い。で、腹心たるゲンジョウはどこで何を?
●ヒトミ:このキャラも再登場がうれしい。一般人からすればエッグのピンチなんてピンとこないのか、まるで危機感無くポテチ食ってしまいにはヨダレ垂らして眠ってました笑。騒動と対照的な日常。
●アナウンサー:CVは原田葵さん、フジテレビアナウンサーで、櫻坂46の元メンバー。法政大学社会学部メディア社会学科卒。
●管制室長:CVは今川柊稀さん。
●部下:CVは橘内良平さん。
●女性:どの女性の声なのか、わからない。それを言うなら「男性」というクレジットもあるはず。CVは玉井布美花さん、青ニプロのジュニア枠の方。「第十九回声優アワード 新人発掘オーディション」で複数の事務所のスカウトを受けたという愛知出身の19才大学生で、さらに絶対音感の持ち主という有望株。
●ED:曲は「BREAK IT」、歌唱はKISS OF LIFE、作詞はKENTZ、ELVYN、作曲はKENTZ、Hanif Hitmanic Sabzevari、Akhil Pendalwar、Josh Pendalwar、Roydo、Mai Haylee、Yui Kylee、編曲はKENTZ、Hanif Hitmanic Sabzevari、Akhil Pendalwar、Josh Pendalwar。またもK-POPなのね、ごめんなさい私嫌いです。ムチムチ色気の強調も嫌い。曲自体はそんなに悪くないけれど。K-POPイコール潜在的な反日という偏見は私は抜けません。偏見とわかっていても、騒ぎを起こした人たちの対応は不誠実なままなので、同じ目で見てしまう。せっかくの新EDだけど、ニュートラルな目では見られない。
演出:小松由依 総作画監督:小島隆寛 作画監督:近藤瑠衣(敬称略)
次回予告:次回のサブタイトルは「虚ろな渇き」。意気揚々のトモロウ、レーナ、マコト、アジトでクラッカーを噴射。噴射で迎えられ驚くキョウ。キョウの誕生日は11月11日という設定で、時系列的にまだ早いから、何かの記念日?次回で「キョウ編」がスタート。9月末で放映から1年過ぎるが、次期はあるのだろうか?
2026.7.11. 記
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